ASDでACの妻と
アスペルガーのこども2人を持つ
定型夫の研究帳を公開します。

Category:軽度アスペ・ACな妻

アスペ妻の記録~娘、ぶり返す~

2014-11-28 Category:軽度アスペ・ACな妻

小さな変化

お迎えから帰ってきた妻と、定例の【子どもの様子報告】を受けていた時だった。最近何となく感じていた事を妻に投げかけてみた。
私『ねえ、最近さ……娘がちょっと頑張りすぎてない?』
妻『頑張りすぎ? 何が?』
私『いや、気のせいだったらいいんだけど、“お父さんに可愛がられなきゃ”みたいな。……上手く言えないんだけど、4歳の頃とかにあった、それまで緊張してたくせにいきなり“好き好き”になるのと方向は同じっていうか……』
妻『んー、最近テンションが高めかなぁとは思ってたけど……、分かった、後で見ててみる』
私『ありがとう。お願いするわ』
年の初めに安定してから、早くも1年が経とうかとしている今、薄っすらと娘に不自然さが見られたのだ。これは本当にわずかなわずかな変化で、注意深く見ていなければ分からないレベル。この変化は私以外の人物では、見分けることは不可能に近いだろう。
なぜ、私はそれを感じられるのかと言えば、過去、娘はこの変化の後に急激に近づこうと【そればかり】になり、思い通りにならなかったりすれば激しく沈んだり、緊張を見せるようになる事が周期的に起きていたからである。
微妙な違和感の時から、何らかの手を打たないと、彼女は完全に【自分のやり方】に呑み込まれて修復不可能になったのだ。これは妻には向けられないので、妻が気がつけることはまず無い。
以前はそれに気が付けない事を罪悪とし、妻もフリーズしてしまったため、一時はうかつに相談することすらできなかった。
乗り越えたと思ったはずが、なぜ───?
気のせいだと信じたいものの、嫌な予感が拭えなかった。娘のあの目は、緊張と裏返しの、切迫感をはらんだものだ。それは過去5年間、嫌というほど向けられた、【他人への目】だった。

フラッシュバック

仕事を片付け、リビングに向かうと、子供たちはお風呂に入っていた。妻とふたり食事の用意を始め、私が食材に包丁を立てた時、ドアが開き湯上がりの娘が入って来た。
少し歪んだ唇、膨らませたまま硬直した頬、泳いでいる目。上体を腰から左右にくねくねと曲げるようにしながら、足はぎこちなくたどたどしく歩を進め、彼女は満面の作り笑顔を私に向けた。
娘『……ただいまぁ~♪』
私『お……かえ……り』
瞬間的に私の背筋に冷たいものが走り、胸に何かが詰まる様な圧迫感がこみ上げる。一気にここまで飛ぶとは想定外だった。もっとゆるやかな段階があるものだと、勝手に信じ込んでいた……
───霧の中の娘が、目の前に戻ってきた。
一瞬にして私の頭の中に様々な事が回りだす。
【今までの成功は気のせいだったのか?】
【娘を理解できたと思ったのは間違えだったのか?】
【どこから間違えた?】
【何がずれていた?】
その時、私の脇を素早く通り抜け、妻は娘の腕を掴んだ。
妻『……ちょっと、あっちの部屋で話そうか』
娘『……はい……』
消え入りそうな返事を返し、全身を硬直させた娘は、妻に手を引かれながら去っていった。

パターン

その後、娘は私に対し作り笑顔で近づいたり、一緒にいる間は常に何か話しかけようとすることはなくなった。しかし、強い視線を向けられていると、離れていても何故か気がつくように、強烈に向けられる意識は感じられるものだ。
視線こそテレビや本、落書き帳に向けているが、それを見てはいない。私がいる間は、常に私を気にしている娘の姿がそこにあった。
私『ねえ、娘。何かあったの? どうしてそんなにお父さんを気にしているの?』
娘『…………ぇっ………』
目の周りは赤く、頬骨から下は真っ白。唇は閉じながら、顎をとがらせるようにして固まっている。フリーズだ。上体はかすかにロッキング(揺れる)を起こしている。
私は紙に部屋の俯瞰図を描き、ソファーに座る娘と、先程まで私が取った移動経路を描いた。
私『さっきからさ、お父さんがこっちに行けば“こっちに行った”って気にして、あっちに行ったら“あっちに行った”って、ずうっと気にし続けてない?』
娘『………ん、きに……した……』
私『どうして気にしているの?』
娘『………ん、きにしたから』
私『気になるのはさ、どうにかしようとか考えるから気になるものじゃない?』
娘『わからない。おとうさんがきたら、きになっちゃってた』
私『家族は?』
娘『ただいるだけでいい』
私『何かする必要はあるの?』
娘『ない。なにもしなくていい』
私『いちいち相手を気にしたり、仲良くしなきゃって考えたりするのは、家族にするものだっけ?』
娘『ちがう。しらないひとにやること』
私『お父さんは知らない人なの?』
娘『ううん。ちがう、おとうさんはかぞく』
私『じゃあ、気にしててもしょうがないし、お父さん“知らない人”って言われてるのと同じだよね。君はそう言われたらどう思う?』
娘『……いやだ』
私『お父さんだって凄く嫌だよ。悲しいし。じゃあ、どうすればいいんだろう?』
娘『気にしない。なにもしないで、じゆうにしてていい』
表情が戻る。話していれば緊張が溶けたように、話も通じるし意味もしっかり思い出せる。しかし、最初に言葉を発せなくなった理由も、質問に対してオウム返しの様な、キャッチボールのない状態に陥るほど、何に緊張しているのか検討がつかなかった。
しかし、この感覚は知っている。この後、昼寝を挟んだり、退室する様な間が明けば、この娘は確実に振り出しに戻るだろう。ちょうど秋頃の長男が起こした、あの執拗なよそよそしさとパニックと同じだった。
そしてそれを繰り返すうちに、彼女は完全に【止められなくなる】だろう。
非常に、狂おしいほどに自分の予測に嫌気がさしたが、まるで約束された事のように、娘はその通りにはまり、やがて私の問いかけに対し、声を出さない様になってしまった。

原因

妻『保育所では最近、特に何も起こしてないし、何かあったわけでも無いみたいなんだよね……』
私『うん……………………』
妻『……どうしたの?』
私『いや、うーん、確信はないんだけどね……』
私は長男と娘の行動は同じでも、そこで考えていることの実感や自覚は、娘の場合は長男と比べ、もっと浅い所でしか無いのではないかと考えていた。
長男は私だけでなく、【人と合わせる】事に傾倒するあまり、家族との距離のとり方、特に依存の強い私に対して強固に“とらわれて”しまった。その時、彼は私に合わせようと意識している事も自覚していて、それが私を悲しませることも理解していた。
だから、そこを論点に彼のとらわれに対して、強い刺激と沿ったキーワードを据え付けることで、そのループから抜け出すことに成功したのだ。
しかし、娘の場合はどうか?
娘は長男と比べて、【自分の本当の気持ちに気がつく事が苦手】という特性が強い。パッと自分が思い浮かべた考えが、自分の全ての想いであるかのように、信じこみ疑いが持てなくなってしまう。
では、理由は何なのか?
人に合わせようとする特性は、長男に比べると薄い娘ではあるが、人といる上で浮かんだ思いつきに飛びついてしまう彼女の反応は、ある意味で人に左右されている事と同じである。
それは長男の受動的な社会性の確立と同じく、家と外での人間関係の形成に戸惑いを感じるタイミングが生まれやすくなるのだ。
【保育所では特に何も起きていない】
それこそが原因かもしれない。最近まで家でラクにすることで、保育所での活動が伸び、急激な成長を遂げつつあった。それが今、やや落ち着いてきて、保育所での苦労が激減、逆に家での方が【やってはいけない】を意識する事が増えてきている。
ここに依存相手である父に対し、【いい子でいよう】と考えたらどうなるか。きっかけはその程度でも充分だろう。
つまり、きっかけはあるが、原因はない。今単純に彼女の捉え方がずれ始め、そしてその時に反射的にとっている行動を制御できないでいる。
今まではこういった反射が起きた時に、【家族はただいるだけでいい・何もしなくていい・お家はラクにする所】などのキーワードで戻る事が出来た。
今回それを自分でできないのは、家と外のバランスが原因かといえば、やはりそれはきっかけに過ぎない。
今、彼女は【でも、こうなっちゃうんだもん】と、私との出会い頭に“いの一番”で思い込み続けている可能性が高い。そこから雪崩れ込むように、不安症状が出るまで“とらわれ”続けているのではないかと仮説を立てたのだ。

本当の刺激

私の仮説を展開している時、妻がハッとしたような表情を見せた。
私『ん? どうしたの?』
妻『うーん、ちょっと小さい頃の事を思い出したんだけど……。私、何となく分かる気がする……いや、私、これ知ってたんだ』
私『親に緊張するってこと?』
妻『ううん。“こうなっちゃうかも”って悪い事を考え始めると、そこからどうやっても抜け出せなくて、緊張し続けるの。……緊張っていうか、頭にそれしか無くなっちゃうって言えばいいのかな。
でね、その内にそんな事考えたって意味が無いって分かるんだけど、緊張する行動だけは止められないの。【自分はそういう風にしかできないんだろうなぁ】って思い込んでたのかもしれない』
私『そういう時って、どうしてたの?』
妻『すっごい怒られて我に返った気がする。もうね、【こりゃ、止めなきゃダメだ】って自分で思える状況にならないとダメなの』
……長男の時の流れともリンクする。娘の今の行動にも説明がつく。【こりゃ、止めなきゃダメだ】これには衝突するしかないのだろうか?
妻『後ね、私、あの子がどうして今、父親に口を開かないないのかも、多分知ってる』
私『それは?』
妻『私もやってたからね。つい最近まで。だからこれは私が直接あの子に言うよ。あの子が考えているのはね……』
実はここまでで、すでに妻に三回助けられている。一つは今、非常に重要な彼女の思い出話を、子供達の特性とに合わせてしっかりと思い出し、説明してくれたこと。
これで自分の仮説と合わせて、取るべき方針が決まった。
もう一つは娘が一気にぶり返しを起こした時、すぐに別室に引っ張りだし、再度キーワードを思い出させようと対応してくれたこと。
自分に向けられたパニックはやはりショックで、どうしたって心をえぐられるが、その状態で冷静に子どもが分かるように説明し心理戦に持ち込むのはとてつもなく疲労する。そこを救われたのは大きい。
そして、実は何より大きかったのは、最初に妻に娘の違和感を話した時、『分かった、後で見ててみる』と、相談に乗ってくれたこと。
以前までの妻であれば、『え……っ、ご、ごめん。気が付かなかった……』と、自分の責任に感じ、落ち込んでいただろう。相談した場合、逆に妻を冷静にさせてから話をしなければならなかったため、私はいつも二人以上を同時にケアすることになっていたのだ。
安心して話せることが、こんなにも余裕を取り戻してくれるのだと、長らく忘れていた。
何はともあれ、妻からの情報も得られ、私達は娘への新たな作戦を練り上げることに成功した。

【つづき】⇒アスペ妻の記録~刹那の世界~

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  • 夫。30代。
    定型。フリーのデザイナー。
    自宅で仕事をするかたわら、家事・DIY・訪問営業撃退に勤しむ。 本人は定型だが、何かしら発達障害との縁が深い。
    心労と過労で3度倒れ、一時はうつ状態に。 ところがどっこい完治なタフガイ。

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