書いてある内容をちらっと
妻と出会ってから早十数年。
彼女は何かしら体調不良を訴えたり、潰れることが多く、隣にいる私は【気づいてやれなかった】とヘコむことしばしば。
彼女は何かしら体調不良を訴えたり、潰れることが多く、隣にいる私は【気づいてやれなかった】とヘコむことしばしば。
しかし、付き合っていくうちに段々とその正体や傾向に気が付き、特に自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の特性の観点からアプローチしていったところ、特徴的な不定愁訴のいくつかを乗り越えてくれました。
今回はそんな私の妻に見られた体調不良のメカニズムと、わが家で取った対策をまとめてみたいと思います。
※これはあくまでわが家のケースです。全ての自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の方に当てはまるわけではありませんし、この特徴に当てはまるからといってASDである根拠にもなりません。
人んちのエンターテイメントショーくらいの距離感でお読みください。
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夕方になると疲労感や眠気で潰れる
出産後、非常に増えました。生活リズムは壊れていませんし、適度な運動もしている、陽の光も浴びるなどの一般的に言われる方法をとっても効果はありませんでした。毎日のように、うつ様な症状ともとれる落ち込み具合。漢方も有名な薬膳酒も試しましたが、雀の涙ほどのプラセボプラセボで、セロトニン対策を考え食事療法を試みてもこれといった効果はありませんでした。
この状態になると無気力になってしまうため、一時期は夕方から寝るまでの間は、ほとんどの日が潰れる日となっていました。
とった対策はこちら
【間食や糖分摂取制限】。彼女は【疲れ】の気配を敏感に察知し、なにかしら対策を取ろうとしますが、そのうちの一つが『甘いモノを摂ろう』。確かに脳の栄養はブドウ糖で、疲れてくると甘いものが欲しくなるという通説がありますが、実はこれ【低血糖症】の引き金になりかねません。
低血糖症は急激に血糖値を上げる甘いものなどの摂取を繰り返すことで、膵臓が正常に機能できなくなり、血糖値を下げようとし過ぎてインスリン(血糖値を下げるホルモン)を出しすぎて逆に低血糖になる状態です。この状態になると脳へのブドウ糖供給量が下がって、様々な無気力系の症状を生み出します。
そういうような記事を読み、もの凄く妻の状態に当てはまったので打診したところ、間食の回数が結構多いことが判明。いきなりカットは難しいのと、摂取量としてはそれほど多いわけではなかったので、時間を決めて少量を心がけてもらいました。
結果は歴然、ほんの数日で夕方潰れが解消されました。
(※あくまでわが家のケースです)
(※あくまでわが家のケースです)
どうも低血糖症とまではいかなくても、1日に分泌できるインスリンの量は決まっているので、しょっちゅう摂っていた間食で無駄遣いしていたのではないかと思われます。と、言うのも彼女は『疲れて潰れてしまう』という事に対しての罪悪感が強く、少しでも疲れを感じるとお菓子類を摘んでいたからです。
適切に自分の疲れ具合がつかめず、過敏に対応していたことが裏目に出ていたということでしょうか?
具体的には『おやつは10時と15時』『摂っても変わらんから食べなきゃいけないものじゃない』として、上限と時間を決めただけです。水分補給もハーブティーなどを淹れて、ノンシュガー責めにしました。
【疲れ】の定義が曖昧
妻はどうも『疲れ認知ベタ』なようで、例えば不安を感じた時の胸のモヤモヤを【疲れ】と感じてしまったり、不安定な感覚を混同している様子がうかがえました。
まずは【疲れ】を感じたらすぐに言ってもらうようにして、これらの感覚が正しく【疲れ】なのかを探しました。
明らかにそうでない場合はしっかりと『それは~~の感覚だよ』と定義付けし、憶えてもらいました。
明らかにそうでない場合はしっかりと『それは~~の感覚だよ』と定義付けし、憶えてもらいました。
この定義付けにおいて、疲れの感覚を的確に知覚する場合、最も効果が高かったのがジョギングです。
彼女は当初、3分の継続したジョギングが出来ませんでした。しかし、自転車では結構ハードな運動になっても、継続して運動できています。そこでわかったのが【脈拍が強まる感覚=疲れた感覚】と誤認していたことです。
『それ、倒れることじゃないから、もう少し続けてみ? 体が代謝切り替えるはずだから』
と、スローペースで続けさせたところ、心肺機能が適切に動き出したのに合わせて、表情が変わりました。彼女は運動での疲労感の誤認を理解したのです。その後、ジョギングを続け肉体的な疲労感を正しく憶えながら、その回復状態に合わせてゆっくり長く続けるようにしたところ、謎の失速が激減していきました。
彼女自身が【疲れ】に対して不安を感じる要因として、この【疲れの定義の曖昧さ】が、恐怖心や不安定感をあおっていたのかもしれません。的確に疲れのボーダーラインを知ることで、疲れることへの苦手意識が薄れていったようです。
結果、疲れに気を取られることが少なくなりました。
結果、疲れに気を取られることが少なくなりました。
眩しい所・日光に当たると疲れる
これは娘が生まれてしばらくしてから激しくなりました。一時は明るい時間での活動が出来ず、出かけるにも非常に入念な設定が必要になり、頭を抱えていました。
これも色々と自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の体質や特性を知るうちに、ある可能性を感じたので実行してもらいました。
まず、ふつうの室内で眩しい時のように、眉間に力を入れて眼をしかめて数分間維持してもらいました。そのまま部屋内を移動してもらったり、簡単な家事をしてもらうと、眩しい時に感じる【疲れ】にやや似た感覚を訴えました。その後、額を軽くマッサージし、遠くを見るようにしてリラックスすると感覚は戻ったようです。
これは表情筋や眼に由来する筋組織の疲労感や、収縮の感覚が【疲れ】に感じたのではないかとの推測です。彼女の場合はこれに“暑い夏の思い出”や“娘出産時の夏の大変さ”を思い出して、気持ちが引き寄せられていたのではないかと考えられます。
現在は眩しい所に出る時は【これは眩しい感覚で疲れではない】や【気怠い暑さの“気怠い”は自分の体のことじゃない】など、極簡単な認識の再確認をするだけで正確な自分の感覚に目が向けられるようになったといいます。
確かに日中に出歩いて潰れることはなくなりました。ちなみに眼球や目の周りの日焼け、汗と埃で顔の皮膚が突っ張った感じもそれに近いらしく、これらも別途、認知することで乗り越えました。
確かに日中に出歩いて潰れることはなくなりました。ちなみに眼球や目の周りの日焼け、汗と埃で顔の皮膚が突っ張った感じもそれに近いらしく、これらも別途、認知することで乗り越えました。
ショッピングモールやホームセンターなどの大型店舗で疲れる
商品がたくさんある場所は、非常に疲れるようで、よくベンチで突っ伏していました。
しかし、ウィンドウショッピング自体は好きなようで、そのジレンマによく八つ当りされたものです。
しかし、ウィンドウショッピング自体は好きなようで、そのジレンマによく八つ当りされたものです。
彼女がここで突っ伏していた理由は次のとおりだと思われます。
・商品などの情報量や人混みなど見るべきものが多すぎる
・『選び出さなきゃいけない』『決めなきゃいけない』といった強迫観念
・色や照明のギラつきや騒音に不快感を持ちやすい
・むき出しの照明が多く、グレアで眼が疲れる(太陽の眩しさに眉間が疲れるのと同じ)
・『選び出さなきゃいけない』『決めなきゃいけない』といった強迫観念
・色や照明のギラつきや騒音に不快感を持ちやすい
・むき出しの照明が多く、グレアで眼が疲れる(太陽の眩しさに眉間が疲れるのと同じ)
わが家の場合、これは娘と長男にも言えることですが、こういった場所に行く場合は目的を統一しておきます。
【今日は~~を買う】など。しかし、時には何も考えずぶらぶらしたい時がありますが、そう言った場合は最初に『割引セール品の中から可愛い物を探してひとつ購入してからウィンドウショッピングする』という方法を取り入れました。
無駄なようですが、セール品であれば数百円から数千円、それだけで家族の安寧が手に入るならプライスレス。
【今日は~~を買う】など。しかし、時には何も考えずぶらぶらしたい時がありますが、そう言った場合は最初に『割引セール品の中から可愛い物を探してひとつ購入してからウィンドウショッピングする』という方法を取り入れました。
無駄なようですが、セール品であれば数百円から数千円、それだけで家族の安寧が手に入るならプライスレス。
この代償行動的な対策は、まず【選択しなければならない】という観念と、【なんか買いたい】という欲動を一時的に満足させる効果があります(長男のおもちゃ屋さんで最初に買うものを決めてから回るのと同じ効果 過去記事⇒5歳:おもちゃへの強い執着。ただし欲しいとは言わない│物欲と受動的思考)。なるべく葛藤を抑制する狙いです。
目的意識があると、結構余計な情報がカットされるのか、目が回るような感覚はだいぶ治まることがあるようです。
これは本人がサングラスが苦手なために試していませんが、色のギラツキが気になる当事者の方は、偏光サングラス(ふつうのサングラスでも可)をかけるといいかもしれませんね。これは車酔いが激しい人にも効果的で、サングラスで色を下げられることで、目から入る情報量も下がり余計な刺激がなくなるそうです。(妻の場合は色を変えられることが苦手らしく、そっちの不快感で疲れるらしい)
ただ、このお店疲れも【疲れの定義の曖昧さ】をクリアしたことで、だいぶ翻弄されなくなりました。色々と絡んでの認知のズレと言うことです。
勝手な推測でのまとめ
妻に起きていた【疲れやすさ】は、自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の方の特性、【一点突破に優れるが、同時進行・並行は苦手】が裏で働き、その他の溢れかえる情報を受けきれなくなっていたのかもしれません。
同時に【一点突破】であるがために、【疲れ】の感覚に注意を惹かれ、その感覚にとらわれてしまう。
定型の私では妻の言葉から推測し、想像するしか出来ないのですが、これらは決して『怠慢』や『根性不足』の問題ではなく、穴の位置をずらされたお面で生活させられるような、視界が狭められるような苦痛を伴う認知ではないかと。
妻がこれらをクリア出来たのは、あくまで『この感覚は~~だ』と、疲労感に誤認させる感覚をなるべく排除し、正常な疲れを感じられるようになったことが大きいと思います。この感覚の適正化は長男と娘にも効果がありました(まだ感覚を言葉やイラストで伝えきれない事が多いのでそういうのは待機中)。
先日、こちらのサイトさんの記事から、感覚過敏症シミュレーションの映像作品を拝見しましたが、非常に娘の証言に近い感覚がありました。
紹介されてた映像はこちら
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