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手記

受動型と積極奇異型の【フリーズと癇癪】の違い│ASDの自己評価の置き方

2014-09-03 Category:手記
よく自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)には、受動型・積極奇異型・孤立型・尊大型などの別々なパターンが見られると言われています。私自身はそれらの違いには特に重きは置いておらず、どちらかと言えば【本人が何に自尊心や自己評価を置いているのか】が、大事な部分だと考えています。
と言うのも、娘の診断がついたばかりの焦りがあった頃、自分の娘を理解したいあまりにそれらの区別に目をとられ、かえって分かり辛くなってしまったことがあったからです。
表面的な言動には、受動型・積極奇異型・孤立型・尊大型にもそれぞれ差はありますが、それらの違いはいざ本人に当てはめてどうなのかというと曖昧だったり、その時々の関係性によってガラッと変わったりすることがあります。そして、“~~型はこう接するといい”などを実践してみても、どこか焦点が合い難いこともよく起こりました。
極端に言うと、さっきまで受動的で何に対しても受け身だったのに、突如自分の答えに固執して頑として聞き入れようとしないなどの、相反する感情がスイッチのように切り替わるのを目にしていたのです。
“生まれつきそうしかできない”と言う普遍的な障害やパターンではなく、“生まれつき一部の感情のとらえ方に苦手がある”というポイントに対して、本人の【受取方と表現の仕方(インプット・アウトプット)のクセの問題】が、表面的な行動に偏りを見せているのではないかと感じることがよくあります。
【受取方と表現の仕方(インプット・アウトプット)のクセの問題】
彼らがどう考えどう行動しているかは個性であって個人の自由です。ただ、社交の場で感情的になったり、混乱・フリーズをきたしてしまう過剰防衛な反応が、具体的な社会性の問題の因子となれば“対処”は必要になります。
今回は私の周囲のASD当事者の方々に見られた、受動的風と積極的風、フリーズと癇癪の反応の違いなどの特徴。そこに感じた彼らの自己評価の置き方や、その守り方をまとめてみたいと思います。
※この記事の中で、自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の特性や、行動などについて触れていますが、あくまで私の家族や知人などの個人的範囲での話です。全てのASD当事者の方々に当てはまるものでもなければ、これらの特徴と一致するからと言って、発達障害などであるという根拠になるものではありません。

受動型風な時のフリーズと癇癪

依存が強かったり、自分の意見を相手に丸投げするなど、自分を相手に合わせてしまっている状態の場合です。自分の意見を持てないのでも、間違うのが怖いというマイナスな発想ですくんでいるのでもなく、ただ相手に合わせて、自分の動き方を設定している特徴があります。
過去に自発的に動いて、問題になった(否定に感じた)事があった場合、答えを相手に預けることで衝突を避けている時もあるようです。
基本的には摩擦が起こりにくく、友好的な関係が保てそうですが、次のような問題を起こしがちです。
・そこでの自分の気持ちが分からなくなる
・自分では止められない
・人から他人ごとだとか冷たいなどと言われる
・板挟みや両極な意見を向けられるとハングアップ
・想定外な状態で合わせることが出来なくなるとハングアップ

・そこまでの段階を合わせてきてしまったために再起が難しい

ポイントはやはり【人に合わせている】ことです。
この場合、合わせ続けるための場面が途切れると、手が止まり、思考が停止し、焦りから自分の思考を取り戻せないままフリーズを起こします。それも表に出さないで日常化していくと、自分が意見を持って動いていないことに対して、漠然とした劣等感を持ってしまう可能性も。その劣等感は、フリーズのきっかけ作りに拍車を掛ける事になります。
こういったフリーズ状態から、激しい癇癪に移行するなどはほとんどありませんが、憤りや鬱憤が蓄積して爆発した時は、我を忘れたように突き動かされて反撃に出ることがあります。そして、フリーズにしても癇癪にしても、自分の気持ちと向き合ってからの行動ではないため、後々無自覚といえるほど憶えていないことがあります。

積極奇異型風なフリーズと癇癪

積極的に関わろうとするものの距離感はなく、他人と自分との違いや、考え方の相違・予測などの相対的な視点はなく、今自分がとらわれている事に一貫していたり絶対的。自分の思ったことが全てになり、愛着をしている相手にはそれが当然のことであると思い込んでしまうなど、絵に描いたような積極奇異型の様相が出る時があります。
簡単に言うと、こちらからは『なんか今日はキツイなぁ』とか『今の言葉、なんか引っかかるなぁ』という印象が強い時です。
これは『ぱっ』と思いついたことや、目に入った事実などに支配され、そこにとらわれた場合に起きている傾向があります。自分の意見に執着すると言うよりは、“それだけ・それが全て”になってしまう感じで、他の意見や気持ちは【最初から自分のステージには存在するものではない】かのように受け入れられなくなってしまったりもします。
こういった時は摩擦が起きやすく、何かしら上を取るようなパワーゲーム思考に傾倒するなど、様々な問題につながりやすくなります。
・そこでの自分の気持ちが分からなくなる
・自分では止められない
・人から高圧的、話が通じないと言われる
・勝つことに夢中になるあまり、論点ずらしや相手を怯ませる毒舌などに偏る
・自分の意見の方が正しいと思い込むと、人間関係の上下すら混同してしまう
・引き際も問題も見失い、ただただ相手の言葉に反応する

・今感じている気持ちがずっと変わらない、一貫した世界だと信じこむ

受動的な言動の時に比べて、積極的に自分を出しているように感じますが、実際は思い込んだ事実にとらわれているだけの場合があります。議論になると【自分の意見・正当性】を貫く事に夢中になり、相手の意見の正当性などは聞いている様子でも耳に入らず、ただただ否定するだけに陥るので、実際は思考停止している状態と同じです。
私はこれは癇癪というより、フリーズであると考えています。ひたすら論点をズラして勝とうとしたり、突如議論を台無しにするような酷い態度を取る事もありますが、相手憎しで何が何でも倒そうとしているというより、自分の考えが揺らぐことへの恐怖・反発・混乱が大きく、そこで思考がグルグル回っているためです。そして意外なことに相手の出方に合わせて反応しているので、実は受動型とハマっている状況は変わってなかったりもします。

共通の認識としてのフリーズと癇癪

私の中ではフリーズと癇癪の対応は、受動的な反応でも積極奇異型的な反応でも、根本的な考え方は同じだと思っています。
⇒フリーズ
現実と自分の考えとのギャップで混乱しているので、まずは落ち着かせる事が大事だが、無駄な情報を与えれば返って混乱を招くことになりかねない。この時は【今、~~って思っているってことでいい?】【今、こうしたいって思っているんだよね?】と、相手の考えや気持ちを一度整理させるために確認をすると、次の情報を受け入れる準備が出来る事が多い。
ただし、あまりに動揺や興奮が大きい場合は、本人を一人冷静にさせる時間が必要。
⇒癇癪
感情の吐露、爆発などでのストレス対応なので、本人にも必要なことだったりする。
ただし、そうならないように社会性を築いていくのが大切なことなので、人間関係においてはそのやり方では通らない事を毅然と、きっぱりと、そして淡々と表す。『そういうやり方では応じない』と無視をする、席を外すが逆効果な時は、ひと通り相槌だけは打ち続け、『で、それがどうした?』と言ったような冷静かつ上に立つ状況を作る。
つまり、
【フリーズ=意見・意思の迷走、混乱】
【癇癪=パニック曝露によるストレス対応】
であり、普段からの受け取り方や関係性により言動は違っていても、この二つに関しては起きていることはだいたい同じではないかと考えると、対処法は多少見えやすくなってきます。
フリーズと癇癪が共通して起こる特性があり、そうなるには共通した物事の捉え方があるとなれば、それに対応した各々の行動様式として、『人に合わせることを選ぶ』、『自分の意見や衝動を正当化する』『人と関わらないようにする』『最初から高圧的に上に立つ』など、対応した言動になっていくと考えておく位がいいのかもしれません。

自己評価の置き方

自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の特性としてのフリーズやパニックは、治療することは難しいと思います。ただ、よく言われているように、【そうならないようにトレーニングして対応できるようには出来る】ものであることは、本当にそうなんだなぁと感じています。
特に現在、わが家では妻と娘がこのハードルをかなりクリアして来ていて、相当イレギュラーなことがない限りは、むしろ頼れると言った方がいいほど落ち着いています(長男は今トレーニング中)。
以前は安定した日が一週間も続かないほど、フリーズやパニック、そこに付随するストレス症状に悩んでいた彼女たちが、なぜ、ここまでこれたのかといえば【自己評価の置き方】に関わるいくつかの認識を理解してきた事が大きいと思います。
【自己評価の正当化】
文字通り自分を評価することで、『これはできていたよかった・自分を褒める、認める』『これはできていなかった・自分を戒める、否定する』ことです。これをどこまで正当な部分まで落とし込めるかが、彼女たちにとって人間関係の距離感や、“自分”を獲得するための大きなハードルだったように思います。
フリーズに陥らないためには、『できない・失敗・わからない』などのマイナスな出来事に関して、なるべく自身への評価が極端にならず、正当に近い所に留める必要があります。
これには失敗する度に『これは“失敗”だ。私が否定されたのではない』と、ワンクッション胸に手を当てる習慣付けが、もっとも早く効果的でした。キーワードは何でもいいのですが、失敗を“手段の失敗”に止め、“自己評価の低下”に持ち込まないことを狙います。
【最終的に自己評価を誰に預けているのか】
何かを失敗した時や、人が思ったような反応を見せてくれなかった時、『ああ、失敗したけど、これがやってみたかったんだよな…(自分で評価)』と、『ああ、失敗した。どう思われるんだろうか(他人に評価を預ける)』という目線の置き方の違いがあります。
なんてことない様ですが、自分で評価している場合は、説明したり原因に向き合う余地があります。他人に評価を預けている場合は、相手からの評価を受けてから、初めて自分の整理に向かうことになります。例は『失敗の結果』ですが、この違いは何かに挑戦する時や向き合う時にも、所々で立ち止まる度に初動の速さや、不安の軽減につながっていきます。
この意識の差は、全ての人間に言えるほんのちょっとの違いです。しかし、失敗や否定、人との距離感などに、特性として敏感になりやすいASD当事者の場合は、感じる不安の分だけ大きな差が出てくるのではないでしょうか。
意識を変える事と同じなので、一見難しく見えますが、事後でも良いので意識的に自分を評価したり、人の評価を意識していないかを見返す習慣を作ると、わが家では比較的さっくりと馴染んでいった印象があります。上の自己評価の正当化と合わせて短期集中したのが良かったのかもしれません。
この【自己評価の正当化】、【自分で評価】をさらにスムーズにさせたのが、【自分の気持ちを知る】ためのトレーニングでした。
※この自分の気持ちを知る練習はこちらの記事をどうぞ。
過去記事:⇒依存・受動傾向でのフリーズとASD的な失感情症(アレキシサイミア)

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  • 夫。30代。
    定型。フリーのデザイナー。
    自宅で仕事をするかたわら、家事・DIY・訪問営業撃退に勤しむ。 本人は定型だが、何かしら発達障害との縁が深い。
    心労と過労で3度倒れ、一時はうつ状態に。 ところがどっこい完治なタフガイ。

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