ASDでACの妻と
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手記

わが家のアスペルガー当事者たちが行った【構造化】まとめ

2014-10-22 Category:手記
自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)や発達障害の特性に上げられる【こだわり】や【社会性の障害】ですが、そこへの対応として『いつ・どこで・何を・どこまで・何のために・どれくらいまで』と言ったような、本来特に改めて教わったりそこまで細かく取り沙汰さない部分までを汲み取って提示する方法が取られます。
これらは構造化と言われる方法で、要素を分解して理解し、その一連の流れを把握することで作業に見通しを持たせる事に有効だと言われています。
わが家の今までの対策も、その多くは構造化をより生活レベルで具体的に把握していく流れが中心です。この構造化は一般的な活動での流れや真意、所作などに限らず、物事への感じ方や気持ちの受取方などにも必要になってきました。
今回はここまででとってきた対策を、構造化の観点でまとめてみたいと思います。

単純活動や動作など

例えば掃除やお片づけなどは
1:出しっぱなしの物を元の場所に戻す
2:捨てるもの、選択するものなどは所定の場所に移動
3:清掃(拭く、掃く、掃除機など)

4:掃除道具をしまう

という流れに分解できますが、この1の段階でも『元の場所って?』となることがよくありました。これは子どもだけでなく、妻も慣れない当初は『でも、それ用の場所は作ってない。これは後から買ってきた物だし……』などと、パッと位置が浮かばないことが次に待ち受ける動作を遠くに感じさせ、【途方に暮れる】状態を作っていました。
まずは【所定の場所】をインデックス化していく必要があります。
わが家では収納の使い方もしっかりと用途ごとに区切りを作り、しっかりと完成形を定義して、慣れるまでは付箋を貼って品目を書き込んで置きました。子どものおもちゃも同様で、プラスティックのコンテナーボックスを複数用意して、“長男のおもちゃ、娘のおもちゃ、次男のおもちゃ、折り紙と手作りおもちゃ、木のおもちゃ、ぬいぐるみ”など本人たちでも定義が分かりやすい項目に分けてシールを貼り片付け先を指定しました。
特性として、総合的な判断のもとひとつひとつの置き場所を考えていくのが苦手だったわけですが、彼らはどこかそこへの苦手が【掃除】という全ての行為が苦手であるような不安を抱え、またそれを明確に説明できないために、強い感情や後ろめたさを持ってしまっていたようです。
意外と重要だったのが【仮置き場所の禁止】です。どうしても仮置き場所やフリーのスペースがあると、迷った時に“決めきらない癖”がつき、そこばかりに集めてしまったり、仮置き用の箱がどんどん増えていく羽目に……。
わが家のASD当事者たちの場合は、さらに【ここまで出来るとOKで、ここまで出来ると理想的】と完了に一定の目標を作りながら、その段階があることも意識させることで“こだわり”が発生するのを抑えました(娘は特にこの段階が分からないと、黙々とやり続ける傾向があった)。
【言わなくても分かるだろう・そのうち自分で憶えるだろう】
これらはご法度でした。むしろ【これからやる作業はいくつの動作に分けられるだろう】と考えていく方が良い結果に結びついた気がします。また、構造化していく事にはイレギュラーな事態や変更が起きた場合も意識しておく必要があります。“かもしれない”という言葉は要所要所に織り交ぜて、“そうなるのが当然”から、“そうなるはずのもの、だけどならないこともある”という側面も意識してもらうことが重要です。

物事の仕組みや作法・行事など

【何のためにやるのか・何のためにあるのか】はもちろん、場合によってはその物事や動作の名称の由来から調べるくらい、意図を明確にするのがポイントでした。
例えば娘の場合は5歳くらいまで【訂正される=拒否】など自分の思ったこと以外を受け入れることに否定的で、全く説明を聞いてこなかったため一方的な思い込みが多く、会話が通じるようになってからは非常に驚く事の連続でした。
代表的なものとしては
寝る=暗い時はジッとしていないと怒られる時間
⇒眠くなる意味が分からず、【夜、眠くなる、寝る】と言った事が結びついていませんでした。なので目を閉じる事自体に抵抗があったようで、親がいる間は目を閉じてジッとしているが、親が出て行くと目を開き、【寝る】という発想が一切ない中、手遊びや窓の外を眺めるなど、無音の遊びを繰り返していました。
これらに対し、寝るとはどういうことか、寝ないと体がどうなるのか、寝ると何がいいのか。寝ている間に体が一生懸命していることなどを、まずはこちらから質問して答えられる様になるまで何度でも説明しました。その後、彼女が寝なかったことによって起こる体調の変化や、強い眠気などに対し『それが眠気だよ、今つらいのは睡眠不足だよ』と感覚を自覚させ、今までの説明と合致させることで認知に結びつけました。
テレビリモコン
⇒凄く細かい事のようですが、彼女らしい微妙なズレの例です。わが家にはリモコン類を、ソファに座ったまま手が届く台に置いていますが、ある日を境に、このうちテレビリモコンだけがいつもテレビの上に不安定に置かれている事が続きました。
誰がやっているのか分かりませんでしたが『リモコンは離れてテレビを操作できるから便利なんだよ。テレビの上にあったらリモコンの意味がないよね』と家族に向かって説明してみても特にリアクションはありませんでした。それからしばらく続きましたが、ようやく娘がやっていることが分かり置き場所を説明しなおしました。

彼女の中では『テレビとテレビリモコン』がセットになっていて、ある時から自分でふと『私が片付ける』と思い立ったのですが、リモコン置き場として決まっている場所を理由と共に明確に説明されていなかったために、自分の思う場所に【無意識】で置いていた様です。
と、言うのも発覚したのは目の前で彼女がテレビの上にリモコンを置いた瞬間で、『あれ、君がそこに置いていたの?』と指摘した時、本人はそこに置いた意識がなく、むしろ不思議がっていました。
どうやら食事の前などに“片付ける”という事が全てになり、『テレビとリモコン』のセットが頭にあったため、わざわざリモコン置き場からテレビリモコンを選び出し、反射的にテレビの上に置きにいっていたようです。無意識だったため、私がリモコンの位置を説明していた時は、全く自分のこととは受け取っていなかったということです(立場の理解が苦手なので、自分を含む複数人に話をされると自分のこととは思えないという特性もある)。

娘の場合はこういった【意図や理由付け】を自分の解釈だけで信じこみ、またそれを習慣づけてしまう特徴があります。【“こうしよう”と思ったことは人に相談するのがルール】と、現在習慣づけるためのトレーニング中です。
長男の場合は地域のお祭りで理性がぶっ飛んでしまうことが多く、その瞬間沸騰具合がひどかったため、落ち着いている時に話し合ってみると
初めて来たお祭りの時におもちゃを持って走り回って楽しかった
(3歳時、ここで【お祭り=はしゃぎまわる】と定義づけられた)
という思いだけが彼の中にあり、恐ろしいことに“その他のお神輿も盆踊りなども全く意識下にない”と言う事が発覚。お祭りに対しての定義を説明する事となりました。
【お祭りは神様に祈る“まつる”の事で、お神輿にいつも見守って下さる大事な神様に乗っていただいて、その地域を回ったり、神様がその土地にやってきた状況を再現して、普段の感謝や新しいこれからの時期を祈る大事な儀式。楽しい気持ちで幸せを捧げるのも良いことだけど、はしゃぎすぎて忘れちゃっているのでは神様には伝わらない】
さらにこれを説明したのが発端となり、“楽しい=大はしゃぎ・騒ぐ”と思い込んでいたことが発覚。結局“楽しんで”と言われれば無理矢理にテンションを上げて、どこででも同じ大はしゃぎ・大騒ぎをしていた事が判明しました。
【“楽しむ”のは、“そこで起こっている事を楽しむ”のであって、馬鹿騒ぎはどこでも独りででも出来る事だから、それ以上の楽しいことを分からない人になる】
と合わせて説明することで理解した模様です。
長男も娘もこういった【意図】を説明することで、今までのズレとつなげて意識させる流れが作れるのですが、この【意図】は妻も横で聞いていて【どう子どもに注意すればいいのか】の指針になる事が多いようです。妻も特性として【意図】を見失いやすいために、子どもに物を教えたりズレを指摘する時に、基本スタンスが掴みにくくなっていた事がわかります。

自分自身の気持ち

普段は自分の思いや考えと違うことに敏感な彼らですが、ここにもう一つの側面があります。
それは【何かに従っている時は、自分の気持ちに気づきにくい】と言う事です。気づきにくいと言うより、むしろ従っている流れに預けきってしまって、自分の感情も体力もその対象に倣うことに全力になってしまう状態です。
陥りやすいパターンと言えば
人間関係で“こうしていればいい”と一つの流れに固執した時
複数人の人間との協力の場で“こういうもの”と明確ではない暗黙のルールがある場合
妻の場合、この二つが同時に起こりやすかったのが【お母さんであるということ】に迫られた時です。子どもとの関わり方や注意する事に意識が向かい過ぎ、自分が子どものやっていることに対して“それ、イヤだな”と思っても“では、母親は子どもに対してどうやって言えばいいんだろう”と抱え込んでオーバーワークになってしまう事がよくありました。
これはある意味で消極的な完璧主義の様な状態で、自分の気持ちを飛び越えて、その場に属することに意識が無いてしまったために、“失敗が許されない”と思い込むのと同じ自縛のパターンです。
つまり、彼女は【お母さん】という一般的イメージに従うことに集中してしまった訳ですが、その一般イメージはどちらかと言えば【一般的な理想のイメージ】にいつの間にかすり替わっていることが多かった様です。
【それって、本当は嫌だったんじゃない?】
【それ、本当は結構我慢したんじゃない?】
【それって、本当はそれじゃなくて、~~が嫌だったんじゃない?】

【それって、本当はそれじゃなくて、~~が邪魔だったんじゃない?】

通念に従ってしまっている場合、そこに浮かんでいる本当の感情すら実感できないまま、フラストレーションを溜めたり原因不明の憤りに振り回されてしまう事があります。そこで起こるのが“嫌なのにそれが分からない”・“嫌じゃないのに不快感が押し寄せる”などです。タイミングが大きくズレて気分を害すこともあります。
そんな時に効果的だったのが、相手の気持ちをある程度決めてかかった状態で、尋ねることでした。本当の気持ちがどうであったか、本当に感情を刺激した要素は何であったか。感情と実感とにズレがあると、現実感が遠のいたりパニック状態やフリーズのように思考力が停止してしまうことがあります。
また、特に依存関係がある場合、こちらに対し“分かっていて当たり前”と思い込んでしまう事が多いので、憤りの理由をハッキリとさせ、憤りの原因を“こちらが理解してくれない”事だと錯覚させないことも大事です。
それまで自分の気持ちに気がつけず、相手や状況に合わせてきた時間が長いと、なかなか自分の気持ちを理解するのは難しい様ですが、表面的な感情や反応の奥には本来の気持ちが存在する事もあるような気がします。
一連の行動の流れや仕組み、そこに起こりうる小さなズレやトラブルなども、明確に認識することで余計な表面的感情などの心の動きを抑える事が可能になります。感情の場合も作業などの構造化と同じく、『いつ・どこで・何を・どこまで・何のために・どれくらいまで』などの正当なとらえ方を意識していくことが必要になります。

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  • 夫。30代。
    定型。フリーのデザイナー。
    自宅で仕事をするかたわら、家事・DIY・訪問営業撃退に勤しむ。 本人は定型だが、何かしら発達障害との縁が深い。
    心労と過労で3度倒れ、一時はうつ状態に。 ところがどっこい完治なタフガイ。

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