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手記

感情的になると会話にならない・目が変わる│ASDの自己防衛とパニック

2014-10-20 Category:手記
わが家の自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)当事者たちには、自分の意見やその時とらえていた事実と異なることに直面すると、【強く感情的に否定に走る】場合と【生返事や明らかに薄い反応ばかりで応じない】といった反応に出ることがあります。
“もう、会話にならない……”
という状況です。この状況が悪化していくと、そういう反応をすることが当たり前になってしまい、なぜそうなってしまうのか余計に見えにくくなってしまいます。こうなった時は、【本人の納得がいく理由を得る】か【何らかのショックやきっかけでパニックがリセットされる】など、本人が冷静にその問題に向き合える状況が必要になります。
しかし、本人の感情的な反応が、攻撃・逃避どちらであろうとも、このパニック状態から抜けなければ話題は極端な方向に走りがちになり、堂々巡りになってしまうことがあります。実際わが家では彼らが“どうして・どんな時にパニックに陥るのか”が掴めていなかった頃は、この時間ばかりが長くなり、まるでそこに触れてはいけない様な問題になりかけることがよくありました。
今回はそんなわが家で見つけてきた【会話での解決が難しくなる瞬間】のパターンと、その要因への対処をまとめてみたいと思います。

目が変わる・スイッチが入る

ふとした会話の内容や、場合によってはこちらがどんなに原因を思い浮かべようとしても分からない様なふとした瞬間に表情が変わります。それは一定の信頼関係や関係の距離感によって、人を選んだかのように出たり出なかったりも。
全否定に走る場合
些細な事で関係を解消するかのような究極の選択を口にする
急に黙りこみ【自分で考えて!】など理由を話そうとしない
論点をずらすことに集中し、パワーゲーム思考(主導権を取ろうとする)になる

こちらの非や粗探しをする【君だって】の様な言葉が増える

受け流し・逃避に陥る場合
全く興味が無いかの様に返事はしても視線すら向けない
話をしていても普段なら理解できる内容でも理解できない
何かを思い出しているかのような硬い、遠い目などの表情

ひとつの姿勢のまま、リラックスがみられない

など、いくつかの特徴が見られますが、最も分かりやすいのは“目”です。どこか余裕のないまま現実感がないというか、画質の悪いテレビ電話で会話しあっているような、一種独特の距離感を感じる状態になります。
これらの状態がパニック状態や、離人症の様な“浮世離れ”した感情の状態であると分からなければ、こちらからすると単にこちらとの関係に困っていたり、会話のタイミングや振り方などに落ち度があるように感じられ、関係に自信喪失してしまう危険性があります。特に攻撃力が高いのが、これらで関係が悪化した場合に、本人も理由の分からない不安からの言動のため、自発的な関係改善の流れになることが少なく、こちらが“必要とされていない感覚”に陥ることです。この孤独感や剥離された感覚は味わった当人でしか分からないため、まず人に相談しても共感されない部分でもあります。
これがいわゆるカサンドラ症候群の要因の一つではないでしょうか?

そうなっている理由を話さない

意見の摺り合わせをする姿勢がなく、一方的に感情的に否定してきたり、困惑してフリーズするなどの反応があるのに、実際なぜそんなにショックを受けているのかは、対峙していて掴み切れない事がほとんどです。……と、言うより本人もその時、なぜそれ程に感情的になっているか理解していなかったりします。
場合によっては否定のために痛烈な苦言を呈して来たりしますが、パニック状態を抜けるとその発言自体を認識していない事もあります。
この時に感情的な相手に対し『なぜそんな言い方をするのか』や、殻に閉じこもった相手に『今、何を考えているのか』を聞いても、反応がないかもしくは取ってつけたように極端な理由を挙げたり、ただ不快だと言うだけでなかなか理由は分からなかったりします。
おそらくこれはパニックに陥る条件に起因するのではないかと思われます。本人はそのイライラや不安の根本を理解していないことが多かったりします。

対話パニックに陥る条件

一部人間関係以外や家族外ではふつうに会話出来ている、または特定の環境下で緘黙するが、その状況も一定の法則が見られない場合は次のような事が考えられます。
本人の意識化で薄っすらと何らかの問題意識がある
⇒ちょっとしたスケジュールや、流してしまったけど分からなかった会話など、本人は気にしている自覚がないが、メモリが割り当てられたままになってしまっている
疲れやストレスなどで両極思考が強く出ている
⇒“意見の食い違い=否定された!”など、【0か100か】、【全か無か】など極端に事実をとらえ、その責任意識から否定的もしくは途方に暮れている
他の事や雑音に気を取られ不機嫌
⇒選択的注意(余計な雑音や景色を意識から排除する脳の機構)が弱く、会話中にも様々な要素に気を取られて疲弊し、不快に感じているがさらにそれを会話に対する不快感と混同している。家電の駆動音やテレビの音、読み途中の本や新聞なども要因になる
依存関係が強く期待値が高い
⇒上記の様な本人も自覚のない要素で不快に感じ、敏感になっている時に自分の不快感を理解してくれない事にも憤りやショックを感じ、孤独感・憤り・不安感を極大化させ、さらに両極思考でパッキリと認知してしまう
わが家の自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の当事者たちに多かったのは、上記の例と『未解決済みの問題』『体調の変化への鈍麻』『先の失敗に対するフラッシュバック』などが多く、実際衝突している会話などに直接的な原因はない事が特徴的でした。
つまり、その対話以前にすでに何らかのズレや問題があり、それらの上に成り立っている現在の自分の感情を表面的に処理してしまう事で、その対話自体を不快なものとしてしまっていたわけです。

対処として有効だったもの

本人が向きあおうとしているかいないかで、かなり状況は変わってきます。本人がASD当事者である自覚がない場合、先に示した条件の様に、原因も分からないまま謂れのない自己評価の低下との闘いが連続しているわけですから、苦しむのも無理はありません。
しかし、そこで一方的に理解しようと走ったり、カバーしようとし過ぎると依存関係を煽ったり、かえって相手の自尊心を傷つけてしまうことがあります。
では、わが家では実際どうであったか、わが家以外でも実践して頂いて効果が見られたものを挙げてみたいと思います。
☆本人がASDの疑い・まだ向き合えていない時
他の雑音やメモリ低下条件を意識して排除する
テレビ、音楽、騒音、雑踏、ギラつき、眩しさなど、外的条件はもちろん、食事などの作業中や集中力の阻害が考えられるものは避けます。これは絶対条件と言ってもいいくらいです。
相談はオープンクエスチョンを避ける
⇒『~~をしようと思うんだけどどう?』ではなく、『~日までに~~をやってしまおうと思うんだけど、~~と~~どっちがいいと思う?』など、選択肢が会話の中にちゃんと用意されているクローズドにすることで、初見の『ん? これはなんの話なんだ?』という困惑をカットします。
言葉からの想像に頼る話題を避ける
⇒相手の想像に頼る会話は少なくし、相談の内容などで三次元的な理解が必要な場合は、チラシや雑誌の一面など、参考資料を視覚的に提示します。
自分の気持ちをできるだけ明確に言う
⇒『そう言われるとショック』とか、『こうしてくれると嬉しい』など、生活の中でなるべく自分の気持ちを明言していきます。依存関係に偏っている場合、【こうしているのが当たり前】になると、相手の気持ちにモヤがかかりやすくなり、自分の中の人物像で接してくるようになります。関係的に難しいようであれば『ありがとう』の励行から初めて見るのも手です。一番勇気がいる所かもしれませんが、歪んでいても関係は相互的なものです、どこかで変化を起こさなければ関係は変わりません。
スケジュールは明確に
⇒まだホワイトボード導入など、具体的な対策に出ていない場合、いきなり始めるのは逆効果の場合もあります。最初は『じゃあこの日に印付けておくね』と、カレンダーに書き込む事を続け、また期日が近づいてきた時にアナウンスをします。ただ、カレンダーも見ないし、アナウンスも生返事の場合は『やってくれるか、こちらがやるか』など冷静に決めておく方が無難です。ここで『やりたくないんだ』と勝手に動くと、問題になることがあります(この辺りの極端な捉え方は、段々とズレを修正していける状態になった時に望んでいった方が良いかと)。
繁華街へのお出かけなど
⇒音・光・商品情報の氾濫・人ごみなど様々な要因が溢れ、疲労が早くなります。慣れていない雑踏へ行く場合は目的地を決め、ちょこまかとした移動を減らし、目的意識を統一しておくと『何かしなきゃいけない・探さなきゃいけない』などのメモリを解放出来る事があります。
※過去記事⇒アスペルガーの人は疲れやすい?│体調の変化と認知の対策
☆本人がASDと向き合っている場合
『今、~~って思ってない?』『今、他に何か気になっていることある?』
⇒本人の理解が進んでいっても、ASDの特性が消えるわけではありません。ズレた捉え方や気づけない事がある場合は、明確に言葉にして認識していく作業になります。ある程度本人も家族も理解してくると、どんな時がパニック状態なのか見えてきますので、そういう場合はこちらから有り得そうな可能性を言葉に変えて打診することでつかめることがあります。
この時にまず見つけるべきは【何が思考容量を奪っているか】です。
今、気になっている事メモ
⇒ワーキングメモリに頼らず、小さなメモ帳を用意してスケジュールのこと、家庭のこと、家事のこと、趣味のこと、なんでも気になる事をメモしていきます。カテゴリー別に分けず、一日ごとに分けていく事で、ページを探すなどの手間も省き、サブ脳メモリーとしてメモ帳を余裕獲得に活用します。実際、書いているだけで完了することが多く、無駄なメモリ浪費を防ぐきっかけになります。
子供の頃の微妙な『あるある話』
⇒幼い頃や学生時代などにあった、地味に困る事とか気まずい事のあるあるなどを話していると、思いの外『極端に考えている』事が出てくることがあります。また、叱られている時にあった【叱られすぎて眠くなった】【自分が小さくなった感じ】などの会話も、反応として現在もその名残を見られることがあります。大人同士でもいいですが、子どもにもその頃に感じてたあるあるなどを話してみると、妙に距離感が縮まることがあります。
読んでいてお気づきかもしれませんが、ここまでに書いている対策は、会話の仕方そのものよりも、会話以前のASD当事者の耐性作りが目的になっています。これらは本人が【ああ、自分はこういう時に不安になってたんだ】と実感をともなって理解した時、未知の不安ではなくなるので無駄なパニックが少なくなります。
ここでの立ち位置としては
【あなたのそこがズレている】という否定や訂正ではなく、
【あなたを否定するのでも間違っていると言うつもりもないけど、実はこうした方が楽なんだよ】など、提案する立場であることは明確にしておくといいかもしれません。
よく見られたのは、自分の立ち位置や立場を理解することで、その場その場で合わせるなどのメモリ消費が減り、パニックが減少したことです。
【会話へ集中する環境・態勢作り】
【会話の内容の明確化】

【会話でのお互いの立場の明確化】

がポイントになっているのかもしれません。
これらの事は、今までの関係によってはその反応の仕方が“当然の事”の様になっていると、絶望的に難しいことに思える事もあると思います(私もそうだった)。それでもこちらが理解することで肩が軽くなることがありますし、相手が頑なに否定していたことでもいくつかの誤解や認知のズレが解けた時に、何事もなかったように関係が改善されることがあるのも特徴だったりします。

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  • 夫。30代。
    定型。フリーのデザイナー。
    自宅で仕事をするかたわら、家事・DIY・訪問営業撃退に勤しむ。 本人は定型だが、何かしら発達障害との縁が深い。
    心労と過労で3度倒れ、一時はうつ状態に。 ところがどっこい完治なタフガイ。

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