ASDでACの妻と
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手記

人間関係への依存とコントロールへの対処

2015-03-23 Category:手記

自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)やADHD、その他精神疾患を始め定型発達者もいつでもハマり得る人間関係の依存。

先日、娘の記事で彼女が人に合わせるために“人をコントロールする”ことに陥っていた例を書いたところ、結構多くの方から反応を頂いたので、もう少し踏み込んで書いてみようと思います。

今回は自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)に限っての視点ではありませんが、自身と周囲の人間の自己評価が関わってくる問題でもあるので、もしかしたら万能タイプなヒントになるかもです(カサンドラ症候群でお悩みの方にも)。

人をコントロールするということ

コントロールというと、高圧的であったり打算的なイメージを持たれるかもしれません。

思い通りにならないと癇癪を起こしたり、議論よりも勢いや地位を見せるなどで立場を上に見せてのコントロールは、どこででも起こっているのではないでしょうか?

ただ、実際のコントロールはもっと当たり前に使われていて、非常に消極的な方法でコントロールする場合も多くあります。

例えば特定の相手がいる場合に、意見を隠して沈黙したりモジモジした態度を取ることによって、相手からの裁量や行動を待つ事もコントロールになります。

こうすれば、相手はこう動くはず

この観点で動いている事を基本に考え、自分の行動や周囲の人物の言動を考えてみると、仕草や言い回しの説明がつくことが多く感じるかもしれません。

─── なにより、想像以上に自分がそうしていた事に驚くかもしれません。それくらい、この遠回しなコントロールは、善悪・程度に限らず頻発しています。

そこにある問題

こうすれば、相手はこう動くはず
特に過去を思い返して、“うっ”となるような恥ずかしい経験や間違えがある方は、この観点で“自分が何を要求していたのか”が見えると、急に軽くなることがあります。

自分の欲求が通らなかった事、要望通りの見せ方が叶わなかった事、場合によってはそれを見透かされた事による羞恥。

これらは結構頑固にこびりついてしまいますし、同様なシチュエーションに強い拒否感を持ってしまう事もあるでしょう。

なぜこびりつきやすいかと言えば、自分の真意として“そこにいる人物をコントロールしようとしていた”という事実が見えなければ、自己解決するにもピンポイントの正解にはならないので、こう考えてしまいがちになります。

─── 自分はこういう性格なんだ。

“性格”とは非常に曖昧な指標です。だからこそ解明できない難問だったり、努力・根性・自己啓発などで“自分を否定する期間”を設けなければどうにも動かないように思えてしまいます。

【こうすれば、相手はこう動くはず】これを元に自分を分析すると軽くなる可能性があるのは、一番最初の過ちの元凶となった、自分の【選択】がわかりやすいからです。

性格を治すのは非常に難しいですが、自分の欲求とそれに対する選択を知れば、【選択が間違っていた】と重大な要因では無い事が分かりやすくなります。

“分からない”がそのまま不安になりやすいのは誰でも同じではないでしょうか。問題が分かることで、不安から引き起こされるストレスや、閉塞感、自己評価の低下を抑えられるパターンは、人生経験でも多くの場面で出会うはずです。

コントロールと依存

このコントロールは【自分の思い通りに相手を動かす】事であり、その手法は通常それほど多くの選択肢を持ちません。大抵は幼い頃に考えだした【こうすれば、相手はこう動くはず】からさほど動いてはいないはずです。

つまり万能な方法ではなく、思い通りにならない事のほうが多いわけで、その度毎に憤りをためたり自己評価を下げてしまうことになりかねません。

だからこそ、その選択方法で動いてくれる相手がいれば、その人物を動かす事で欲求が通る安心感と自尊心の回復を求めるようになるのも不自然ではありません。

表面的な選択は人それぞれに違いますが、【こうすれば、相手はこう動くはず】という目論見が、特定の人物に向けられている時、それらは総じて依存と同じ状況になっているとも考えられます。

依存から戻るために

感情的になることで通そうとする
沈黙することで代わりに他人が動くのを待つ
立場の優位性を掲げることで意見を通そうとする
自分を傷つけることで人に心配してもらう

無力を装い相手に保護してもらう

これらはどれも人の中にあり、その程度によって周囲との関係に各々のバランス感覚が存在しています。結局は相手をコントロールする系統のもので、これら全てを完全に治すのは難しいかもしれません。

しかし、思い通りにならなかった時の自己評価の低下や、それを守るための癇癪行動は抑えられる可能性があります。

性格という重たい問題意識から、選択方法の変更という軽い問題意識だと理解できれば、立場の優位性を説いて自己弁護するなどの余計なガードが必要なくなるからです。

私の持論としては、依存が長期化する傾向として、【そこから動けないと思い込む】ことがあるのではないかと思っています(依存されている側もですが)。だから移動先を示して【こういう風に言っていいんだ】を獲得すると、軽くなっていく様に感じます。

わが家での具体例

わが家の場合は娘が【こうすれば、相手はこう動くはず】にとらわれ、人によってそれぞれの方法を持つ事でのみ、人とのつながりを持つという特異性がありました。

こうした方法は、基本的に演じる必要があるので、様々んな箇所で切り替えに戸惑ったり矛盾に苛まれます。そうして本人も常時気を張っているのでしょっちゅう電池切れを起こしたり、必要以上に自己評価を下げては落ち込んだり癇癪を起こしていました。

さらに問題だったのは、次男がその方法を真似するようになってしまったこと。

それまで自分の気持ちや欲求を、しっかりと自分の言葉で表現できていた次男が、急速に娘と同様の遠回しな方法に偏ったり、場面ごとに言葉を発せないようになってしまいました。

これらを解決するには、まず娘の自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)としての特性をお互いに理解する必要がありました。

両極思考、マルかバツしかない訳ではない
欲求が叶わないこともある

拒否は存在の否定ではない

など極端な認知が主に引っかかっていたように思います。

その上で、なるべく落ち着いている時に次のように説明しました(次男はここからスタート)。

私『“こうすれば、お父さんはこうしてくれるはず”とか、“~~先生はむくれていると助けてくれる”とか、“大人はこうすればこっちを見てくれる”とかって考えたことない?』

娘・次男『うん。ある』

私『その通りにならなかったら傷ついたり、嫌な気持ちになってない?』

娘・次男『うん』

私『それって、ちゃんと口でお願いしたのかな?』

娘・次男『ううん、ちがう』

私『言葉で教えてくれないんだったら、大人だってわからないと思わない?』

娘『!』 次男『うん』

私『そういうのって、普通に言ったらダメって断られるかもって思うから、違うやり方で気がついてもらうんだよね?』

娘『!』 次男『うん……ん? そう!』

私『で、気がついてもらえないから余計に残念になる』

娘『!』 次男『うん』

私『お願いした時にダメってされるのは、君たちが悪い子だからかな?』

娘『……あ、ちがう』 次男『ちがう』

私『それができない時だから理由があって断られたんだよね?』

娘・次男『うん』

私『だから君たちが間違っていたんじゃなくて、君たちが“やってもらおう”としてやったやり方が間違ってたんだと思わない?』

娘『うんっ!(←合点がいったらしい)』 次男『あ、うん』

私『だったら、やって欲しいことは「こうして」とか、欲しいものがあったら「これほしい」とか、一緒にいて欲しいんだったら「いっしょにいたい」ってそのまま言葉にする方が、相手も分かるし断られる理由もちゃんと聞けるから安心だと思うんだけど』

娘はこの説明だけでもかなりの変化が現れました。時折、衝動性が高い時や体調が沈んでいる時などに【こうすれば、相手はこう動くはず】が出てくることがありますが、以前ほどの癇癪は起こっていません。

次男はまだ4歳後半と年齢的に幼く、一度で説明が通るとは思っていませんでしたが、買い物中のおもちゃ売り場でモジモジグズグズが始まった時(娘の真似が始まる前には見られなかったコントロール法)、上記の話を要約し

『買ってもらえるかどうかを、相手に言ってもらおうとするのはズルいよ。ちゃんと自分で「ほしい」とお願いして頑張るつもりがないのなら、こっちも君の願いを聞こうとは思わないな』

と言うことを二度ほど繰り返し、また眠たい時や体調不良時のモジモジグズグズに対しても同様に説いた所、ようやく合点がいったようです。

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  • 夫。30代。
    定型。フリーのデザイナー。
    自宅で仕事をするかたわら、家事・DIY・訪問営業撃退に勤しむ。 本人は定型だが、何かしら発達障害との縁が深い。
    心労と過労で3度倒れ、一時はうつ状態に。 ところがどっこい完治なタフガイ。

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