ASDでACの妻と
アスペルガーのこども2人を持つ
定型夫の研究帳を公開します。

Category:手記

手記

夫や妻、家族がアスペルガーで辛いと感じている人へ│カサンドラ症候群の峠

2014-06-02 Category:手記
パートナーが自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の場合、
そのコミュニケーションのズレや、認識の違いからこちらが【必要とされていない】と感じてしまったり、是正に応じてくれないことに対して憤りを蓄積してしまうことがあります。
近年ではこれらの抑うつ症状や、体重の増減、自己評価の低下などの諸症状をまとめて【カサンドラ症候群(カサンドラ情動剥奪障害・カサンドラ愛情剥奪障害とも)】と呼ばれ、その言葉が少しずつ認知されつつあります。しかし、これは【あなたはカサンドラ症候群である】と診断されることはほとんどないのではないでしょうか?
それくらい新しく、浸透していない言葉でもあります。
私自身はこの言葉を“風邪”と同じく、具体的な診断基準も治療法も確立されていないものと認識しています。
それは“治療法がない”のではなくて、“対策が人それぞれの家庭だから千差万別で一言にできない”ということでもあります。
ちなみにこれはパートナーだけでなく、子どもや祖父母、近親者などの家族でも起こることだとも定義して欲しいところでもあります。
今回は私自身が抑うつ状態や自己評価の低下など、様々な症状に陥りながら、どう回復してこれたかをまとめてみたいと思います。

一番の弊害は社会通念

まず、一番大きなトラブルの元としてあげられるのが『社会通念』だと思います。
これは『こういうときはこうするものだ』とか『こんな時は声かけるのが優しさってものじゃないの?』などの、お互いに決めたルールではなく、お互いが今までの人生で形成してきた『マイルール』です。
特に定型の場合は『なんとかしてあげたい』とか『こうした方がいいのに』と細部に反応できるため、その場その場でズレに直面することになります。
ASD当事者の場合は『これはこういうものだ』とか『こうするべきだ』と、自分のルールや通念にこだわりやとらわれがあることが多く、時に否定的・感情的になってしまったりパニックに陥ることもあります。
定型同志の関係でも起こりうることですが、通念の認識にズレが出やすい定型とASD当事者のカップルの場合は、その頻度が高くなりやすいということではないでしょうか?
これはASD当事者が自身の認知の方向性や理由を適切かつ具体的に知り、パートナーもそれを理解した上で自分の『なぜそれに異を唱えたか』を認知していくことで軽減していけます。
ただ、私(定型)と妻(軽度アスペルガー)の場合、妻の傾向を把握したあたりで、情けないことに私が余計に『憤り』を感じてしまうことがありました。
わかってるんだから、こうすればいいのに!】と。
この私の『憤り』はなぜ生まれてくるのかを、自分で冷静に『~~だからこう思った』とか『~~だから焦ってる』などの、情動の種を見つけることで乗り越えました。私たちは特殊な夫婦ですから『社会通念』などがいかにあやふやで、私たちに合っていないものだと認識すればよかったのです。途端に楽になりました。

活かす視点

定型側がASDパートナーを理解し始めた時、『悪気があるわけではない』という言葉に翻弄されることがあります。
【悪気があるないに関わらず、自分の意思を押し通そうとするのはどうなんだ?】など、言葉に矛盾を感じてしまうことがあるからです。
私はこの『悪気があるわけではない』は【だから耐えろ】なのかと勘違いを起こしかけていました。
そうすると物凄く理不尽な気になってしまいます。
『悪気があるわけではない』は本当に相手の得手不得手や、苦手なものへの反応とその深層での心の仕組みなどを理解した時にようやく実感できました。そこから生まれた私の認識としては、『悪気があるわけではない』は【だからできる事はやってもらって、こちらができる事には間接的に協力してもらう】でした。
最初は面倒ですが、なにか作業や問題に対面する度に、しっかりとお互いが【どう動くか】【どっちが適切に動けるか】【どんな手助けがあるといいか】【どうすれば最も力が発揮できるか】をそれぞれに当てはめながら考えて行きました。これは意外とすぐに慣れるもので、お互いの能力を認識することで細やかな打ち合わせはその後必要なくなりました。
大事なことはその際『これは苦手だろうからやっといてあげよう』と、相手に伝えずにやるのは危険だということ。
細やかな打ち合わせはなくても、相手のために動く時はそれを伝えておくことが肝心です。そうしなければ協力関係が依存関係に陥りやすくなります。さらにその時は『ありがとう』の励行が継続していくキーになります。

話をする時のポイント

大事な話や、苦手意識に触れるなどのデリケートな話題の場合、正面に向き合うよりも隣に座るほうが良いです。
自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の方の場合、相手の表情を重く受け止めてしまったり、目を見て話すことに集中してしまい、会話への集中力が削がれてしまうことがあります。
その際、テレビや音楽はご法度です。ASDパートナーの『一点突破能力』を最大限に発揮してもらうには、少しでもメモリをそぐ要素は排除してからにするべきです。
横に座ることで無理に目線を合わせないように、【ゆったりと横顔で魅せる】的な小悪魔テクをいれながら、お互いに会話に集中できる環境を作ると、非常に的確で明確な答えをもらえることがあります。こういう時のASD当事者の集中力は凄いと思います。
ちなみに昔小耳に挟んだテクニックだと、心に訴えかける時は右側に座り、理論的な会話の時は左側に座ると響きやすいとか何とか。脳の対応分野と耳の関係ですが、とくに効果があるかどうかは分かりませんが、なんとなく頭に入っていると気持ちを保つなどのいい先入観になったりします。
うちの場合は大事な話の時は、いつもの歩き慣れた道を散歩しながらするようにしています。
歩きながらの話は暗くなりにくく、メモリを必要としない単純なリズム運動をしながらだと、率直で歯切れの良い会話になりやすい気がするからです。同時にセロトニン誘発でうつ対策にもなるので一石二鳥。
お互いの得意分野を発揮し合えるのは、ある意味理想的な夫婦関係とも言えます。
【定型とASDの夫婦だからこそたどり着ける境地がある】と思うことが打開につながるのかもしれません。

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タグ:カサンドラ症候群

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  • 夫。30代。
    定型。フリーのデザイナー。
    自宅で仕事をするかたわら、家事・DIY・訪問営業撃退に勤しむ。 本人は定型だが、何かしら発達障害との縁が深い。
    心労と過労で3度倒れ、一時はうつ状態に。 ところがどっこい完治なタフガイ。

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