ASDでACの妻と
アスペルガーのこども2人を持つ
定型夫の研究帳を公開します。

Category:手記

手記

怒鳴る夫・放棄する妻│カサンドラ症候群のためのワクチン的予備知識

2014-07-29 Category:手記
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パートナーが自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)であること。一般的な理解としては、まだまだその苦悩や現実は理解されていませんし、そこにいる当人同士でさえ気がついていないこともあると思います。
私自身、ASDを知らなかった頃は、相手に疑問を持ち・自分を疑い責め、その度に自己評価を下げながらもどこに相談してもいいか分からず孤独を感じてしまった時期があります。しかし、それは定型の私だけではなく、本当はむしろASDである妻の方が苦しんでいて、生きづらさに不安を感じていたことが理解出来ました。
現在でもすれ違いや取り違いで立ち止まることはあります。それでも不必要にお互い自責に駆られたり、憤りや不安を持って数日頭を抱えることはなくなりました。
今回は私自身と、私の周りのASDパートナーを持つ方や、このサイトにメッセージを下さった方々のケースを踏まえて、起こりがちなポイントや受け止め方をまとめてみたいと思います。
(※タイトルでは男性目線・女性目線とステレオタイプで挙げていますが、これは分かりやすくするためで、全てのASD当事者が性差の特性を持つものではありません。また、個人での診断や判断基準としては考えないで下さい。あくまで一般素人の記事です)
【カサンドラ症候群って?】という方はこちらを御覧ください。
過去記事⇒夫や妻、家族がアスペルガーで辛いと感じている人へ│カサンドラ症候群の峠
【自閉症スペクトラムって?】という方はこちらをどうぞ。
過去記事⇒自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の家族を人に説明する時の用例集

些細な事で怒る・怒鳴る・否定的になる

ASDの特性がそうなのではなく、裏側で原因になる特性が働いているケースが多いと思います。そこでされたこと自体に憤怒しているというより、その前後を見ていくとその性質を理解できることがあるかもしれません。
その出来事の前後に、何かしらの用事やスケジュール的な会話、もしくは近い将来に行動しなければならない主旨の内容はなかったでしょうか? また、予定の変更や、ボーっとしている本人に『たまには~~してよ』などの、自発的な企画や行動を求めた場合なども考えられます。
本質は【不安】と【評価の防衛】です。
ASD当事者の持つ特性のうち、次の様な部分に関係があるかもしれません。
1・二つ以上の事を同時に行うのが苦手
2・要素の多い会話や、答えが複数になる質問に困惑する
3・決めたことや習慣などからの変化に戸惑う
4・曖昧な計画での不調和な実行にストレスを感じやすい
5・失敗や責任を極端に大きく捉えてしまいやすい
6・5から自分を守るための防衛機構がある
【1・二つ以上の事を同時に行うのが苦手】
上記のシチュエーションで言えば、予定について質問を投げかけておいて、その答えを聞く前に次の話に移行していたり(思考と聞き取りが被ってる)、特に観ているとも思えないがテレビがついていた(テレビへの集中と会話への集中が被ってる)などでも、大きなプレッシャーや不快感を与えることがあります。また自分の『予定になかった』ところに何かを振られることも引き金になるケースもあります。
【2・要素の多い会話や、答えが複数になる質問に困惑する】
例えば『AはいいからBを持ってきて。Cの近くかDの中にあると思う』という言葉の場合、とてつもなく混乱する可能性があります。色々な説はありますが、単純に“聴覚からの情報を頭の中でイメージ化”する作業を“話の要素を吟味する”という同時進行が苦手であると理解しておくと分かりやすいかもしれません。
【3・決めたことや習慣などからの変化に戸惑う】
習慣になっていることを変えられたり、一度頭の中で“こうしよう”と決めたことに変更を促されると、パニックを起こしたり、そこでの調整作業に戸惑いや不安を感じることがあります。
【4・曖昧な計画での不調和な実行にストレスを感じやすい】
複数の同時並行が苦手なので、不完全な要素や未解決の案件がある場合、そこから思考を切り替えることに困惑する事があります。それは例えメインの目標に対して、非常に些細な問題だったとしても、未解決なものを抱えていると実行能力が低下する可能性があります。
【5・失敗や責任を極端に大きく捉えてしまいやすい】
両極思考(“0か100か”や“オール・オア・ナッシング”)と言われる特性です。良いか悪いかなどの判断も間が無く、極端になりがちなのですが、自分に関わる事で問題が発生した時に反射的に自分の責任を感じてしまう事があります。
【6・5から自分を守るための防衛機構がある】
自分の責任を極端にとらえてしまうということは、自分を責め続けることの連続になりかねません。場合によっては想像を絶する苦痛な日々にも。そのために何かしらの距離のとり方や、回避方法を独自に持っている場合があります。
要約すれば
変化に富んだ状況にストレスを感じやすく、複数同時の切り返しを求められるのが苦痛で、そこでの失敗やすれ違いに極端な責任の捉え方をしやすい
ということでしょうか。
対処方法としては
・上記の特性の例の様な【本人の苦手】を理解する
・一日の行動をハッキリさせておく
・1会話1テーマで説明が多くなる時は紙に書く
・判断を求める場合はクローズドに【AかBどっち】
などを踏まえて余計な思考の邪魔を生ませず、一緒にいる時間での苦手からのスレ違いを回避して、本人の自己評価や自尊心を剥き出しにさせないのが良いかもしれません。
大事なことは
どちらも悪くない。お互いに歩み寄り方にコツがいるだけ
と、定型パートナーも抱え込み過ぎない事だと思います。“解決より落とし所”、“全てを超えた抱擁よりも、二人三脚の足場探し”と、着実な視点の方が長期的に利点は大きかった様に思います。また、どちらかに責任の所在が偏りすぎると、『不安をただぶつけていればいい』という依存の様な関係になる危険性があります。
依存はなかなかに対処が難しいものですが、普段の生活でコツコツと対処しながら、安定した時間を伸ばしていき、会話をある程度成り立たせる状況を作ることが大事です(“怒らせないように生活”ではなく、“怒ることがない生活作り”)。
【言って欲しくない発言・態度】に関しては、タイミングを見ながら極冷静に淡々と理由を説明した上で、『そういうやり方はやめて欲しい』と伝えておくことも必要です。

家事・育児放棄

掃除や片づけ、教育や子育てのことに一切参加しようとしない場合。お願いしても怒るし、こちらがやっても怒るタイプがあります。よくありがちなのがこれらの反応を単純に【怠惰・甘え】などと自他共取り違えているパターンです。パートナーはASD当事者を責め、当事者は自分を責めながら自己評価や自尊心を守るために防衛行動を取るケースです。
先に上げた特性が、ここでも絡んできていると考えたほうが、このこじれは理解がしやすいと思います。
例えば掃除は、【片付け】と【清掃】の二つの同時進行で、家事のレベルとしてはそこに【備品や設備の管理点検】などの視点も必要になってきます。そして現代ではこれらをしっかりと習うことがほとんどありません。やり方や段取りを知らずに、考えながら同時複数の要素を持つ掃除をするとなれば、それは単に【能力として出来ない】のではなく、パニックの引き金になる可能性が高いということです
また育児なども同じことですが、家庭生活に日々の変化はつきものです。その変化も当事者にとって負担になると言う性質が背景にあります。“では出来る方がやればいい”と考えがちですが、パニックの裏側には自尊心への関連がありますので、根本的な解決になりません。
わが家で取っていた対策としては、【家事の要素を分解する】方法があります。
【掃除=かたづけ・清掃】に分け、【かたづけ=あるべき場所に戻す・ものをまとめる】に分け、【清掃=掃除機・水拭き】など一言にまとまってしまっている行動を分解していきました。ありがちだったのが【かたづけ】の段階で、かたづける先の判断が付かない状態で不安を抱え、自責から固まってしまうこと。
こういった複合的な物であると理解し合った上で、行動に明確な指針と【ここまでなら良し】などの線引を作っていくと、本人の安心だけでなく、より細やかな理解につながっていくことがあります。まずは【意図・方法・どこまで】をそろえていくのが近道かもしれません。

論点をズラす・含みのある言い方

議論や口論など会話で一定の【解決】などを試みようとしている時に起こります。ASD当事者の場合、両極思考やパワーゲーム思考から会話の勝ち負けや、主導権獲得にとらわれてしまうことがあります。論点をズラして来たり、後付な理由で堂々巡りにさせたりする方法は、会話での主導権を擬似的に乗っ取った感覚になるためです。これは定型にも人によってみられる手法ですが、勝ち負けの考え方がそのまま自己評価に直結してしまう場合であれば必死になるのもうなづけます。
また、含みのある言い方や思わせぶりな指摘など(例:まあ、君は~~だもんね……)を捨て台詞のように使う場合は、論点をズラす方法と同じく、【こちら側は把握している】という心理的に主導権を取ろうとする行動とも言えます。
これらの方法論はすでに【解決】から【勝つ】に変わっているので、建設的な決着に進むのは非常に困難です。また、途中でこちらが折れたとしても、興奮が治まらず余計な口論へと発展していくなんてこともあります。
対処としては
議論の主旨をズラさない
ことです。意図的にずらしてくる場合は、『いや、今は~~の話を決めようと二人で話してるんでしょ』と会話のゴールに向かわせるか、『ズラすのなら解決にならないからもういい』と止めてしまうかです。冷却期間を置き、その間になぜ相手が【勝つ】ことにこだわったのか、背景で守ろうとしていたものを見つけると次回に進む手がかりになることがあります。

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タグ:カサンドラ症候群

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  • 夫。30代。
    定型。フリーのデザイナー。
    自宅で仕事をするかたわら、家事・DIY・訪問営業撃退に勤しむ。 本人は定型だが、何かしら発達障害との縁が深い。
    心労と過労で3度倒れ、一時はうつ状態に。 ところがどっこい完治なタフガイ。

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