ASDでACの妻と
アスペルガーのこども2人を持つ
定型夫の研究帳を公開します。

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手記

事実認識が狭く否定的反応が強い│ASDの怒りへの焦燥感

2014-08-20 Category:手記
非常に興味深い記事を発見しまして、そこからわが家の自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の当事者3人に起こっていた事の裏付けになりそうなので、ちょっとまとめてみようかと思いました。
福井大学と金沢大学の合同チームが発見したもので、【自閉症スペクトラムの人の脳は、相手の心を理解する部分と、自分の考えや行動を司る部分のつながりが弱く、ほとんど連携していなかった】というものです。対して定型発達者は、両方の部分が相互的に連携しているのが、MRIで確認できたとか。
この【人の心を理解する】と【自分の考えや行動】の関係には、非常に思い当たるものがあります。以前にも発見された【発達障害の場合、左脳前部と右脳後部のつながりが弱い傾向にある】という記事と合わせて考えると、いくつかの特性の裏付けになりそうな気がします。

パッと思ったことや考えが事実になる

娘の場合に多いのは、目に入ったものや気がついたものが、瞬間的に“全て”になってしまうこと。これは単純に“目に入った・気がついた”“やりたい!”などの欲求にすげ替えられるパターンや、ふとアドバイスをされた場合に止めてしまったり、真逆の行動に出ようとする反応にも関わっているように思います。
また、この反応は自分の気持ちなどに意識が向くようになった頃から、自分の考えがまるで全ての事実のようにとらえ、それ以上現実を確かめるなどの行動を一切とらなくなるケースにつながっています。これらが【全か無か】や【両極思考】などの極端な思考方法の一端を担っていると感じることがあります。
娘の場合は行動や感情を表面化させることが多いので分かりやすいのですが、実は長男や妻にも起こっていることではないかと、問題化した時にようやく分かる時があります。
長男と妻も“パッと思ったことや考えが事実になる”性質を持っているのですが、その本人たちの事実と現実がズレた時に“そうでなくては困る”とか“それは違う!”などの反抗をせず、じっと耐えたり、黙って混乱をしていることが多いのが特徴です。
そしてこの姿勢は、その度毎にズレを修正していく事ができず、乗り越えたと思っていたのに忘れた頃に再燃するなどの問題を引き起こします。
娘の場合は思いつきに飛びついて、瞬間的に同じことを繰り返してしまうことがありますが、その場その場で修正していけるので大きく躓くことが少なくなります。
こういった衝動性に関わるような、知覚と事実認識の直結と常識化は、時に抑うつ症状と同じような思考に偏っていくことがあるため、その度毎に訂正したり、瞬間的に思い込もうとする癖にワンクッションいれるトレーニングが必要になりました。
最初は衝動に対して10秒数えさせることから、意識の膠着を解くことを繰り返し、後に問題になる度に『それは気がついたとか、思い出しただけで、本当の気持ちではないんじゃない?』などの投げかけを続け、最初から正しく認知できなくても短時間で冷静さを取り戻す練習です。
ワンクッションを入れたり、違う視点で眺める習慣は、知覚から事実認識までの間に幾つものルートを擬似的に作り出します。短期間で娘に効果があらわれたのは、上記の記事のつながりが浅い部分に、迂回路をつくる作業だったからかもしれません。

事実とズレた時の否定的・感情的な反応

ちょっとした違いなのに、妙にそこに噛み付いたり何度も確認してきたり。また、自分の思っていた事実と違った時に感情を爆発させたり、逆に無反応になりフリーズしていくなどの反応がありますが、ここには二つのパターンがあるように思えます。
●“違う”という事実が全てになり、『何か言わなくてはいけない』『訂正しなくてはいけない』『怒らなくてはいけない』などの、事実の極端な位置取りと実行へのとらわれ

●“違う”という事実が、自分の否定と拡大解釈し、その事実に追われてしまう

知覚から事実へジャンプしているわけです、事実ということは常識となるので、それこそショッキングな出来事。定型でも常識が目の前で覆されたのなら、感情的に否定してしまうこともあります。ASDの場合はこれが頻繁に起こるわけですから、自然と防衛方法が身についてしまうのもうなずけます。
それが感情的な真っ向否定であったり、聞き流すように意識や聴覚情報を遠ざけることであったり、そうなりそうな状況から身を遠ざけることであったり。
特に感情的に出ている場合は、目的が『正確な事実認識』ではなく、『自分の事実の正当性を認めさせる』ことに向けられていることが多いため、会話での解決が難しくなりがちです。
そういった場合は【事実の捉え方の話であり、間違いや違いを否定する目的ではないこと】を理解してもらうことが有効でした。そういった前置きを置いてから話を始めたり、表情が硬くなり始めたら何度でもそれを伝えます。
頑なにガードを固めてシャットアウトしている時は感情が収まるのを待つか、『では、どうすればいいのか・どうなればいいのか』を説明してもらい、そういった考えがあることを認めた上で、合理的な説明をするなどが必要でした。
『うん、その考えも分かるよ。そう言うふうにしたい気持ちも分かった。ただ、一般的に多数派の人間はこういう選択を取るんだよね、だからもし分からなくなった時の解決方法もたくさんあると思う』
成分を分解すれば【理解する姿勢を見せる】【淡々と事実とメリットを説明する】ことに集中し、感情的に否定的な対応をしないことです。

人の気持ちと自分の気持ち

冒頭の記事の様に、【人の心を理解する】分野と【自分の考えや行動】の分野がつながっておらず、上手く連携していないことは、実は彼らが定期的に溜めてしまう“人との関係への苦手意識からくる、自己評価の低下”を表しているかもしれません。
よく自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の特徴として、“人の気持ちが分からない”があげられますが、理解すればするほどそれは“本当に分からない”のではなく、インプット時に阻害されていたり、アウトプット時にズレが生じたりなどの特性が強く、断片的や場面ごとでは人の心を理解していることが多いことも分かりました。
相手の気持ちが分かるけど、それへの対応が分からなかったり、大きなトラウマがあって感情的・逃避・硬直などの反応が起きてしまうパターン。また、相手の心を感じた瞬間に、ふと思ったことが事実になってしまい、ハマりこんでいくパターンがあるようです。
そう言ったことが絡まないことに関しては、冷静に分析していたり鋭い読みがあったりするのも特徴です。
以前にカサンドラな女性の方から受けた相談の中で、こんな話がありました。
“あまりのストレスで連日吐いていたら、夫から『どうして吐くんだ!』と怒鳴られた。辛かった”
このご主人は“妻が吐いていること”に怒鳴ったのでしょうか。それとも“妻が吐いている理由がショック”で怒鳴ったのでしょうか。おそらくそこまで追い詰められている妻のことを理解していながら、自分の何がそこまで追い詰めているのか分からず、どうすればいいのか分からないまま感情を爆発させたのではないかと思われます。その感情の爆発の裏には、問題を読み解けない焦燥感と、自分の責任から逃れたいがための“訂正しておきたい”といった怒りへの焦燥感もあるのかもしれません。
そのご夫婦は夫の理不尽な言動に、理路整然と抗議をしたことがなく、『そう言われる自分が悪いのだ』と受け止め続けてきた経緯がありました。そしてある日、夫の言動に対して感情を爆発させ、それを恐れた夫は余計に構えて言動が荒れていくというパターンでした。
ここで言えることは、まず何に対して苦手なのかを理解してから、【否定するわけではないという前提】【理解する姿勢を見せる】【淡々と事実とメリットを説明する】などのステップを持ってアプローチし、その上で【どうしてそうなるのか】の事実を説明するプロセスが必要だったのではないかということです。
知覚から事実認識の間に、言葉に出来る正確な事実が並べば良かったのではないかと。
この女性の場合は夫の今までの反応や、理不尽な物言いの理由を知ることで前向きになり、それを夫と共有することで段々と改善されていったそうです。こういう時に理解すると、何事もなかったように変われるのもASDの方に多い気がします。

妻が越えた時のケース

わが家の妻の場合は、事実認識とのズレや気持ちのスレ違いなどに対して、動けなくなるまでフリーズとリピートを繰り返していました。この状態だと特に自己評価が低くなりがちで、周辺で起こること全てがショックの引き金になりかねないので、自己評価の取り扱い方から調整していく必要がありました。
【大多数の人は、間違いが起こった時に間違いを問題視し、その対応に目を向ける】
【君の場合は、間違えた自分を問題視し、間違えた自分へ繰り返し疑問を投げかけている】
事実の重い軽いは個人の捉え方の問題ですが、彼女が自己評価を過大に下げようとしている時は、『いやいや、~~って選択が間違っただけなんだから重くね?』と毎回指標を告げ、『今考えるべきはどの選択だったらよかったかを考えて、次は楽勝だもんねと備えることだ』と着陸地点も用意していきました。
慣れてきた頃には、自分で声に出して『ああ、そうかまた自分責めてた!』と立ち止まれるように促し、習慣化していきました。
この中で色々と自己評価を低くして、自信を喪失していた時にヒントになったのは、次の例え話だったようです。
君は他の人のように、立派な刀も持っていれば、鎧も盾も馬も持ってる。でも、盾の使い方が間違えてるんだよ。ふつうの人は飛んできた矢を確認したら、盾を構えて盾で受け、どうすれば次も矢が当たらないかを考えながら戦場を見てる。
君の場合は自分の腹に矢が刺さるのを見届けた後に、同じ所を射られないように、盾で傷口を隠しながら、自分も見るのが嫌で目をそむけて走ってるから、小石ひとつにけつまづいてる。

それどころか時々刀も抜かずに、盾で相手を殴ろうとするから、おかしなことになってる。盾で受けろ、刀で切れ

精神論の様ですが、こういった与太話で雰囲気を浸透させた後に、具体的な手順や対策を打つとスムーズに超えることが多いのの彼女の特徴です。
わが家でのポイントは、極端な発想や表面的な理解が多いのが特性だと理解しつつ、でもその間を埋める思考や事実があることを何度でも伝え、また本人自身でもそれが見つけられるクッションとなる習慣を探すことでした。
今回、冒頭でご紹介した記事は、こういった事の裏にあった彼らの反応に、何かしらの裏付けになりそうだと感じました。私のまとめた記事は、もう言いがかりに近いこじつけかも知れませんが、パターンを理解するにはこういった知識や視点が大きなヒントになることがあります。
非常に期待値の高いニュースだなぁとホクホクしております。

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  • 夫。30代。
    定型。フリーのデザイナー。
    自宅で仕事をするかたわら、家事・DIY・訪問営業撃退に勤しむ。 本人は定型だが、何かしら発達障害との縁が深い。
    心労と過労で3度倒れ、一時はうつ状態に。 ところがどっこい完治なタフガイ。

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