書いてある内容をちらっと
わが家の自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の当事者3人が、注意された後に取る行動は基本的には緊張や落ち込み、そしてリラックスのない【わわわわわ】と言った焦燥感に苛まれドツボにハマっていく事がほとんど。
特に叱られたわけでもなく、軽い指摘やアドバイスでもコンディションによっては巻き起こります。
これは単に【叱られ耐性が薄い】とか【失敗に対する自尊心防衛】などとは片付けられない部分が見えていたので、本人たちにその自分の行動を認知してもらうためにも解明することにしてみました。
今回はその彼らの【是正】から始まるパニックのスパイラルをまとめてみたいと思います。
最初の落ち込みの原因
軽い注意だけでも落ち込んでしまったり、大きなショックを受けることがありますが、その原因は【0か100か】や【全か無か】などの両極思考が強いようです。
例えば人の話に返事もしていない時に、【返事はしなきゃ失礼だよ】と指摘しただけでも、酷く悪いことをしてしまったような顔をし、しばらく引きずったりしてしまうことがあります。
これは『ちゃんと返事しなきゃ』という是正を通り越して、『ああ、悪いことをしてしまった』と“善か悪か”だけで判断している状態です。これらは紙などにイラスト化して説明することで比較的簡単に理解してもらえますし、繰り返すことで少しずつ頻度を減らして行くことが出来ました。
具体的には
・紙に横一本線を引き、両端に『よい』と『わるい』真ん中に『ふつう』と書く
・注意した事を『ふつう』と『わるい』の間のどれくらいかを示して、そこに印をつける(大抵は“ふつう”から数ミリの場所。悪いは殺戮クラス)
・『ほら、君が注意を受けたのはこの程度の話で、叱られたわけでもなく“ふつう”に近づけるための説明だったんだよ。そこで【悪いことしてしまった……】は極端だよね』など、自己評価を下げてしまうほど、失敗やズレなどへの極端な認知を説明する
といった方法で対応しています。
こういった状態の場合は、自分を責めるばかりで具体的な是正案に心及ばなくなってしまうので、なるべく早くに説明することが重要です。
こういった状態の場合は、自分を責めるばかりで具体的な是正案に心及ばなくなってしまうので、なるべく早くに説明することが重要です。
慣れてきたら【これからする注意は、君を否定するものではないし、君をラクにするための方法だから聞いてくれる?】とお断りを入れることですんなり聞いてくれるようになりました。
極端な落ち込みからの極端な復帰
極端に【わるい】に落ち込んだ後は、失敗や評価を取り戻そうと、今度は【よい】に思考がジャンプすることがあります。実は表面的に分かりやすい【わるい】よりも、頑張ろうとしすぎてしまう【よい】への偏りの方が静かに疲れを蓄積させてしまうことが多く、長期戦に陥ることがあります。
この極ジャンプがあることがわかりませんでした。
これは長男や娘の場合はとにかく話しかけようと必死になったり、何かしら褒めてもらうために【いいこになる事】を探そうと躍起になります。また、妻の場合は妙に【気を使おうとする】状態に。
どちらも結局は疲労として蓄積されていくのですが、なにより問題なのは【挽回にとらわれて、元の注意された事を失念する】危険性が高いことです。こうなると失敗の認識が薄れ、しかし心の中には残っているために、なぞるように再現してしまうことがあるということです。
この場合も上記の一本線の図を使い、どこに意識が無いてしまっているのかをしっかり説明する必要があります。そして何より必要なのは【君にして欲しいのは、“いいこ”になって欲しいのではなく、具体的に注意されたことの是正だよ】とハッキリ目的意識を説明することです。
猶予がある事をほのめかす
問題はこれらの反応は、ほとんどが反射的に行なってしまっているために、何度も繰り返すということです。その度に一度は自己評価を下げるような極端な自責に思考が持って行かれているため、無傷では済みません。
そして、一本線の図の説明も、何度か繰り返すとそれすら【何度も指摘されるなんて……】と取られてしまうことがあります。
それを防止するために、しっかりとそこも説明しておく必要があります。
【この話はすぐにできなくてもいい。これからも何度でも何度でも説明するから、気楽に“ああ、自分は今そうだったのか”って程度で聞いて欲しい】
【君たちは“こういう時はこうなんだ”って言うのをいくつもいくつも覚えていくことである日できるようになるんだから、今日、この図みたいになった事は憶えるためにはいいチャンスだったんだよ。だからこれからも何度も説明するからね】
【あとね、憶えてもいっぱいいっぱいの時はこうなる事もあるのを、ちゃんと知っているから大丈夫だからね】
と、先々があることと、それがポジティブな意図の上に織りなされていることだと認識してもらいます。わが家のASD当事者3人の反応や、その後の対応の獲得を見る限りは、これらの猶予のフォローが効果を発揮しました。
単純に叱られ耐性が低いのではなく、もしかしたらこういった極端な反応のスパイラルが常態化することで、【是正】される事自体が苦痛になっていたのかもしれません。
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夫。30代。
定型。フリーのデザイナー。
自宅で仕事をするかたわら、家事・DIY・訪問営業撃退に勤しむ。 本人は定型だが、何かしら発達障害との縁が深い。
心労と過労で3度倒れ、一時はうつ状態に。 ところがどっこい完治なタフガイ。
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