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手記

【定型社会は言葉足らず?】アスペの矛盾とダブルバインド│指示の考え方

2014-07-10 Category:手記
なぜ相談しない!そんなこと自分で考えろ!
よそよそしい!なれなれしい!
など、こうしたどっちを取っても不正解となるダブルバインド。
親子では
どうしてお前はそんなに懐かないんだ!
怒り顔で手を広げるなんて矛盾も存在しています。
これらはしてしまう側が気をつけるべきことのようでもありますが、自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の性質や特性などによっては、知らぬ間に本人が自分をそういう状況に追い込むようにしてしまったり、状況を再現するように作り出している場合があります。
わが家の場合にもこのメカニズムがあり、根本の問題を見つけることにより、それぞれの個性にあった対策を打ってきました。
今回はそこにある特性の裏側と、対策へのヒントになりそうな点や、わが家での方法論をまとめてみたいと思います。大人と子どもの例を並列していますが、特性なので知識や経験でカバーされていても、その性質は同じだと設定しています。

自ら矛盾を生む要因となる特性

特性の強めなわが家の娘の場合、何か物事に臨む時や指示を受ける際に、いくつかの特殊なとらえかたがあります。ここでは大きく3つの要因をあげてみます。

【“どこまで”の線引が出来ない】

“頼る”となれば、思考自体を全て相手に丸投げするほどに頼り、それを指摘すると今度は相談することなく潰れるまで“独り”を続けてしまいます。この両極で注意を受けると、今後はそのどちらかの指示を出されても、範囲が分からずに思考停止をしてしまう事があります。
単純に指示や作業の度合いなどだけではなく、人との関係性でも【“どこまで”の線引が出来ない】という状況に陥りがちです。
例えば“人にはあいさつをしよう”となれば、誰彼かまわず何度でもあいさつしようとし、“そんなに誰彼かまわずするもんじゃない”と言えば口をつぐむでしょう。さらには“失敗した”と感じ、次からはあいさつをする際に思考停止してしまうこともあります。

【これさえやっていればいい】

以前に出された指示や説明も、状況が変わればそれら対応方法が変わる事はよくあることです。しかし、彼女の場合はこの【これさえやっていればいい】というような発想にとらわれやすく、状況を判断するより先に以前の指示を信じて相談なく先行してしまうことがあります。
通常、疑問を持った場合は指示を仰いだり、周りに相談するものですが、その思考を見せることもなく突っ走ったり、相談することが全く意識にないことがあります。特に本人が現状に違いを感じている時に極端に動く傾向があります。
これは【0か100か】などの極端な思考に走ってしまう性質と、ひとつの事実に集中が持って行かれてしまうシングルフォーカスなど、そこにあった(思いついた)事実が全てになってしまっているケースが多くありました。
一度そこにのめり込むと、周囲の環境変化や状況が変化しても気がつけず、ズレてしまうために問題になります。場合によっては、このズレ自体が矛盾になっていることもあります。
周囲は“周りを見ない人だな”と思ってしまい、本人は“こうすればいいはずなのにおかしい。前の指示と矛盾している”と混乱していて、闇雲に続けているなんてことも。

【人の視点にたてない】

視点の切り替えが苦手で、基本的には自分から見た目線が多くなります。自分と他者との距離感を把握するのが苦手になる原因と、同じか非常に近い部分での問題ではないかと考えています。
“バイバイをする時に手のひらを自分に向けている”というのは、幼児期の特徴などで上がることがありますが、“手のひらを左右に揺らすあいさつ”を理解していても、それを“相手に向ける”という視点に立つのが苦手である象徴かもしれません。
決して“人の気持ちに興味が無い”などではなく、あくまで立場を入れ替えたシミュレーションが苦手ということです。
これが何の矛盾につながるかといえば、【あなたのためを思って】などの好意に対し、指摘されない限り相手目線に立てないず、気が付かない場合があるということです。そして、本人も困惑するでしょう【的確に指示をくれる方が私のためになるのだが……】と。
本来指示をもらえることが“ためになる”のに、指示をくれないことが“あなたのため”といわれても、相手目線に立つ発想が浮かばなければ、本人は矛盾としか思えなくなります。
ちなみに定型者でもこの好意は困ることが多いのですが、だいたい言わんとしていることがつかめますし、そのあやふやな情報でも動き出すので問題化しにくくなります。
これらが直接的に矛盾を生み出していることもあれば、思考パターンとして取る対策が、矛盾を生む状況を作り出してしまうことがあります。

一般的な定型社会とのズレる点

社会の仕組みは、多数派の行動特性から制度を作られることが多く、社会通念もその場その場で多数派に合わせて作られます。
現在の我が国の場合、
・仕事は自分で見つけることがえらい
・1を聞いて10を知ることがえらい
・自立している人がえらい
・集中力が高く、でも周りも見えてる人がえらい
……このような、
どちらかと言えば【社員に経営者視点を求める】ような通念があります。
これらをこなしていける人材があることが、必要な時代があったこともたしかでしょう。【スペシャリストよりゼネラリストを尊ぶ】空気が残っているわけですが、技術や仕事量、一人あたりの分担量が増えてきている中、発達障害等の関わりなく弊害も生まれやすくもなっています。
さらに【いちいち口に出したり、物言わない状況でも、通念と状況から読み取って複数同時進行できる】定型が多いので、どうしても社会通念や求められる能力が“そこから”になってしまいます。
【一つの分野に特化したり、熟考することや違いを見抜くことに向いているが、複数同時進行や重複する意図は苦手】なタイプの人からすれば、非合理的で無駄が多く、余計な雑念に対してシンプルな思考を発揮できない状態になります。
もし、自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)と仕事をするのであれば、【分かるだろう】などの通念は捨て、的確な指示を意識していくことが結局お互いのプラスになります。
“いちいち指示を出す”必要があるのは、作業的な仕事しかできないということではありません。理解が重なれば大きくその分野の範囲をカバーすることが出来るということですし、的確な指示を受けて積み上げてきたのであれば、下に仕事を伝えることもできます。
【スペシャリストを育てる】発想が必要だということです。スペシャリストには的確な知識と方法論、応用範囲と理想が積み重なり、その経験則にのっとったアイデアが生まれることに大きな価値があります。
また、ゼネラリスト志向とスペシャリスト志向があることを意識することで、本人も周りもグッと考えやすくなることもあるかもしれません。
ASDに限らず、先に上げたように仕事量や、求められる分野の量が増えてきている現代であれば、有効なミス以外の問題が起きないよう、指示や仕事の動きを“具体的な言葉で表して共有できる形”にしていくことの方が得策でしょう。
極端な話、“最近の若いものは……”なんて言葉が、5000年前のエジプトの遺跡からも出たなんて話がありますが、文化や文明の発展はニーズの変化につながることとも言えます。
通念がいかにあやふやか分かれば、それについていけない人がいるのは当たり前であり、またそれを厳守するのは無意味なことだと考え、言葉にしていく方が建設的といえば建設的だと思ったり思わなかったり。

指示も環境も具体的・限定的に

わが家で何かをお願いする時や、指示を出す時は次のことを気をつけています。
・何をどうするのか
・いつまでにどれだけやるのか
・それをやることでどんなメリットや意図があるか
・それをしてもらうことでこちらが助かる理由
これらをなるべく説明し、理解してもらっています。
具体的な目標や方法論が分かることで、余計な不安がなくなったり、予測不能な方向転換やズレを防げます。
そしてこれは導入したことで一番効果が高かったことですが、
理想はここまでできるといいが、この辺りまでできたらOK
とゴールの具体的な説明に、もうちょっと頑張った先の理想まで伝えることです。
理想を伝えるのは、ゴールに進みながらも【工夫する】姿勢を取らせることになります。
本人に直接『工夫して』と伝えると、そこにとらわれて立ち止まってしまうことが多いのですが、具体的なゴールの先にある理想に視点が向かっていると、良い方向での効率化が生まれやすくなります。
つまり【これさえやっていればいい】という部分を防ぐ目的です。
また、自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の性質として、環境の変化に戸惑ったり、興奮状態になってしまう点があります。
いつも通りの指示や方法論が、少しの環境変化で思い出せなくなったり、活用できなくなることがあるのです。何かをやってもらうのはいつもの環境・いつものメンバーでの方が成功率は高くなります。
ただ、毎回そうしていると、本当に変化に弱くなってしまうので、大事な時や目的がある時だけにしておいた方が良いと思います。
職場の場合は新規顧客の電話対応や、顔ぶれが変わるような部署よりも、同じメンバー同じ環境でスペシャリストとして特定分野に集中してもらうほうが良いかもしれません。
もちろん、個人の性質や特性の差で大きく異なるので、一概には言えませんが……。

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  • 夫。30代。
    定型。フリーのデザイナー。
    自宅で仕事をするかたわら、家事・DIY・訪問営業撃退に勤しむ。 本人は定型だが、何かしら発達障害との縁が深い。
    心労と過労で3度倒れ、一時はうつ状態に。 ところがどっこい完治なタフガイ。

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