※この頃はまだ彼が自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)とは分かってません。
例えば本人がノリノリで話していた、『近所の好きな公園』について。その会話の流れでの出来事──。
私『へえ~、じゃあ、そこ行ってみようか?』
長男『え?』
私『? いや、今話してた公園にさ、今から行ってみる?』
長男『え? 公園?(いぶかしげ)』
私『公園の話じゃないの?』
長男『え? うん、公園。 公園?』
私『今話してた公園に行かないかって聞いてるの』
長男『え? うん、公園。 行くの?』
私『……もういいや』
長男『ああ、行く』
私『通じてんじゃん(エコー含)』
これはまあ発展形で、ふつうの会話でも何かしら聞き返しが多い。
ひとつの会話に2度3度行ったり来たりで疲れる……。
ひとつの会話に2度3度行ったり来たりで疲れる……。
■今だから分かること
今でもたまにありますが、5~6歳くらいの時は多発していました。
現在なら、これには自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)としての特性が、いくつか見られることがわかります(分からなかった時は、少しの会話でも本当にグッタリさせられました……)。
現在なら、これには自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)としての特性が、いくつか見られることがわかります(分からなかった時は、少しの会話でも本当にグッタリさせられました……)。
特徴1
【音として聞こえているが、意味としてとらえながら聞いてない】
耳には入っていますので、逆にこちらから質問すると答えられたりします。これは一度、耳に『音』の情報がインプットされていて、その『音』から意味をすくい取って会話のやり取りをしている時に起こります。
『1会話1テーマ』で落ち着いて話をしている時は、この特徴が大人しくなったりします。
『1会話1テーマ』で落ち着いて話をしている時は、この特徴が大人しくなったりします。
特徴2
【聞いてはいるが、前後の会話と結びついてない】
冒頭の例だと、公園の話をしている意識はあるものの、『公園』と『出かける』がしっかりと連携できていない状態です。定型の場合は『父親と公園の話をしていて、【行ってみようか?】と誘われた』場合、【父親】と【公園】に【一緒】に【行く】といった具合に、会話中のシチュエーションから状況を汲み取って、言葉が足りていない部分を補うので会話が成立します。この時は【一緒】という場面想定も、会話の中から読み取っていたりします。
しかし、彼の場合は今話していた【公園】と、現実にこれから行く【公園】と一致しなかったり、【父親】が【行ってみようか?】と誘っていても【誰と】を指す言葉がないために、『え? 一人で行くの?』と混乱することもあります。
特徴3
【会話内に要素が多く、どれに掛かる意味かわからなくなる】
会話している時に出現する言葉が多くなると、どれがどれに掛かる言葉なのかわからなくなり、会話の終わりやつなぎが理解できなくなる傾向があります。時間の連続性などの感覚もあやふやになりがちなので、数日前の出来事と現在の状況を結びつけるような会話は、しっかりと区切りを入れながら話す必要があったりします。
など、わが家の長男をみていると、こういった特徴が感じられます。
これにその時のコンディションや、環境などが影響してくる感じです。
これにその時のコンディションや、環境などが影響してくる感じです。
対策としては、こちらが意識的に『1会話1テーマ』を心がけたり、話のつなぎを『今話してた~~と同じ所がある◯◯の場合は』など、やや強調気味に話したりしていました。
なるべく混乱が起きないように会話運びをしていくと、本人もリラックスしてくるので、『上手く話さなきゃ』などの意識にメモリを奪われることがなくなります。そうすると比較的にスムーズに流れ出すことがありました。
なるべく混乱が起きないように会話運びをしていくと、本人もリラックスしてくるので、『上手く話さなきゃ』などの意識にメモリを奪われることがなくなります。そうすると比較的にスムーズに流れ出すことがありました。
案外、会話することへの苦手意識から、構えていたために注意が散漫になり、メモリ不足を起こしていたのかもしれません……。
あまり酷い時は『今なんの会話だったっけ?』と質問で返し、正解できたら『そう、それだ♪』となるべく柔らかムードで援護。何度かそれを繰り返すうちに、会話の要点をつかむコツが分かったのか、それとも会話にリラックスできるようになったのか、『今、なんの話か?』に気がつこうとする視点が出来たようです。7歳あたりからは特にこちらが援護しなくても、リラックスして会話の要点を見つけられるようになり、グッと楽になりました。
彼の場合は他のことに対して『メモリが奪われている』状態になると、目が虚ろになったり、生返事が多くなりだして分かりやすいのが救いと言えば救いでした。
ちなみに他の弟妹を例に上げると、
娘はこれらの特徴がもっと強く、同年齢の頃は『聞き返す』よりも、『理解できない会話から逃げる』ためにわざと暴走しているのが見うけられました(会話にならなかったので、もっと幼いころは詳細不明)。
娘はこれらの特徴がもっと強く、同年齢の頃は『聞き返す』よりも、『理解できない会話から逃げる』ためにわざと暴走しているのが見うけられました(会話にならなかったので、もっと幼いころは詳細不明)。
次男は3歳初期~中期の頃に、似たような傾向がありましたが、通常の発達として問題のない範囲なので特に気にしていませんでした。現在は『分かりやすい言葉』で話せば、かなりキャッチボールが可能になっていて、会話の前後や要点の掴み方を、教えられることなく自然に獲得しているのがわかります。
わが家の子ども3人、共通しているのは『要点をつかむためのリラックス』な気がします。まあ、機嫌が悪かったり不安要素があると、意味や要点を見失い、意図を拾いきれなくなってしまうのは大人も子どもも定型もASDもみんな一緒かも……と思ったりもしますが。
【関連記事】⇒タグ:コミュ障害
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中の人
夫。30代。
定型。フリーのデザイナー。
自宅で仕事をするかたわら、家事・DIY・訪問営業撃退に勤しむ。 本人は定型だが、何かしら発達障害との縁が深い。
心労と過労で3度倒れ、一時はうつ状態に。 ところがどっこい完治なタフガイ。
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