ASDでACの妻と
アスペルガーのこども2人を持つ
定型夫の研究帳を公開します。

Category:アスペルガーな娘

5歳:人の気持が分からない・思ったことを言ってしまう

2014-05-14 Category:アスペルガーな娘
自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)と診断がついても、色々な対応策が分かっても、娘の問題行動はなかなか止められなかった。
その問題行動のうちの一つが
思ったことを言ってしまう
外で人を指さして、体型や外見などを大声でいってしまったり、その場の空気を凍りつかせるようなことも平気で言ってしまったり、目についたら反射的に口をついて出てしまう。それがいけないことだと教えようにも、この頃の彼女は『注意される』だけでもパニックになったり、耳を塞ぐように癇癪を起こしていた。
手が打てない──。
ある日、あまりに自分の考えにとらわれて、利己的な行動を繰り返す娘に話をしているうちに、私は情けなくなり思わず涙を流してしまった。それまで耳を貸さず、ただ返事をするだけの『貝』状態に逃げていた娘も、ようやく気を取り直して姿勢を正した。
言葉は拒否しても、流石に心には響いたのだろうか?
バツが悪そうに話を聞く娘を見て、そう思っていた。
それから数日後、次男がちょっとした事で泣いていた時、彼をあやしながら話をしていた。
私『男は泣いたら負けなんだぞ~』
その時、娘はゾッとするような嘲りの表情で私を指さした
娘『お父さんだって泣いたよねぇ~?』
一瞬、頭の中が真っ白になった。娘は鬼の首でも獲ったかのようにニヤニヤわらっていた。
この年くらいなら、親の泣く姿って、そろそろ重く感じるものじゃないのか?
自分が幼い時や過去の経験、見たこと聞いたことが頭を巡った。いや、教えないと分からないのだろうか? 気を取り直して彼女に質問を返した。
私『あの時、なぜお父さんが泣いたのかわからないの?』
私の声色に『是正』の気配を感じた娘の目が、
一瞬にして曇り、焦点が合わなくなる。
『貝』だ。
質問の答えを探しているのでも、言葉がわからないのでもない。大人がまじめに話す時は、自分が正される時だと分かっているのだ。『正されるのが嫌い』たったそれだけの小さなプライドで、フリーズとは違う感覚で殻に閉じこもることがある。光のない眼、笑ったように歪んだまま硬直した口。不自然な筋肉の緊張で浮かぶえくぼ。ゆらゆらと体を揺らすロッキング。
──もう彼女に言葉は届かない。
■今だから分かること
この時ばかりは本当に情けないのですが、『親でいられる自信』を失いかけました。
言葉を聞けば理解できる知性を持ちながら、注意されるのが嫌いだからと耳をふさぎ、その上気持ちが通じないとなると……。この先に待ち受ける不安が、果てしなく大きく膨れたような感覚に陥りました。
・前後関係や人間関係、善悪の判断がコミュニケーション時にはかれない。
・思った事実が『全て』になってしまう表層的思考。
・人も自分も『正解か不正解か』でとらえる両極思考。
彼女の場合、思ったことを口にしてしまうのは、こういった部分に遅延があったからでしょう。
そして、両極思考のために、自分の間違いは全て『致命的な罪になってしまう』という恐怖から逃げようと、自らの殻に閉じこもってしまう。
ちなみに冒頭の例で、彼女が私に対し『お父さんだって泣いたよね~』と、嘲笑するようにしていたのもここに原因があります。
【お父さんが間違った】のです。
両極思考で表層的に考える彼女とって、それだけであり、それが全てでした。だから彼女にとっては、父親の気持ちも、その時の自分の気持ちも関係なく、嘲笑して良い事実になったのです。
この間違った相手を低く見る考えは、後に別件で裏が取れましたが、本気で彼女は失敗したものは踏みにじっても良いと思っていたようです……。
思ったことを口にしてしまうのは、全て発達障害というわけではありません。
単純に子どもが空気を読めないのは、経験がないから判断がつかないだけで、私たちもそうして失敗と是正を繰り返して学んできたことです。ふつうの子どもも当たり前にやったりするものです。
しかし、この頃の娘は私にとって『ひっかかる行動』があまりに多く、どこから教えればいいのか、どこまで分かっていないのか範囲が広すぎて霞んで見えるほどでした。
・物語の登場人物の気持ちがわからない
・『負け、失敗』を嘲笑する
・『死』を『負け、失敗』と混同して笑う
・自分の大切なモノが壊れても関心がない
・兄弟に勝つために平気で嘘をつく
など、道徳心の部分に明らかな遅延も目立っていたため、さらに深刻でした。
そしてコレとは別に、この頃の問題行動の本質はここまでに挙げた点はもちろん関わりますが、もうひとつの側面もあったのではないかと思います。
それは

ルールやマナーなど、善悪の判断に関わる知識と、
その場その場の場面とが結び付けられなかった

ということです。

つまり、『分かっているけど、その時は認知できなかった』というのが、衝動的な言動の裏にあるということ。例えるなら、絵本で聞いた程度の知識だけで、お弁当作りに挑戦するようなものです。
この本質がわかった時、私は凄く救われたような気がしました。それはつまり、『本人は本当に悪意でやっているのではない』という実感と確認です。
しかし、結局彼女が『貝』になることの無意味さを知り、人の話を構えずに聞けるようになるまで、『本質』も『読む空気』も教えることは不可能でした。
彼女が初めて私の話に『耳を傾けた』のはこの数ヶ月後の事です。

【関連記事】思ったことを言ってしまうのを止めた方法の記事はこちら

6歳:引けばいいと解らずに状況や相手を否定する│アスペルガーな娘

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  • 夫。30代。
    定型。フリーのデザイナー。
    自宅で仕事をするかたわら、家事・DIY・訪問営業撃退に勤しむ。 本人は定型だが、何かしら発達障害との縁が深い。
    心労と過労で3度倒れ、一時はうつ状態に。 ところがどっこい完治なタフガイ。

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