ある日、保育所で娘の担任の保育士の先生が、午後から出張となった。
娘はその時、特に引き止めるなどの行為はなかったものの、しばらく経ってから突如トイレの個室に立てこもり出てこなくなった。
娘はその時、特に引き止めるなどの行為はなかったものの、しばらく経ってから突如トイレの個室に立てこもり出てこなくなった。
ベテラン先生や比較的気を許しているであろう先生が説得し、ようやく出てきた彼女の言い分は
【○○せんせいがいなかったから】
を不機嫌そうに繰り返すばかりだったとか。
似たことは以前にも数回あり、その時はだいたい
【みんなでやるお遊戯中にどこかに隠れてしまった】
と報告を受けていた(ここ1年ほどはなかった)。
最近安定が続いていた最中だったので、こちらもちょっとショックを受けたが、こういったことはこれからも時折起こると思った方がいいだろうとも再認識した。
同時に久々の彼女のパニックな行動に、いくつかの疑問も解けた。
■今だから分かること
【先生が不在でトイレにこもった】ことと、【お遊技中にふと隠れてしまう】ことは、彼女の中でおそらく違う問題だったと思われます。
【先生が不在でトイレにこもった】のは、単純に“いつも通りの生活が崩れたことでのパニック行動”であること、自閉傾向由来のこれがまず大きな原因です。
また、極端に人の目を気にしたり意識してしまう彼女の場合、新しい人間関係には“試し”から入るなど、非常に労力を割く事が必要になってしまう性質があります。
また、極端に人の目を気にしたり意識してしまう彼女の場合、新しい人間関係には“試し”から入るなど、非常に労力を割く事が必要になってしまう性質があります。
“試し”は従うべき相手か、どれだけ包容力があるかなど、彼女独特なステージの審査があり、その時の担任の先生にも4~5ヶ月を掛けて“試し”を繰り返していたようです。
その先生がいなくなったのはショックだった。そして同時に代わりの先生との関係構築への労力に“重さ”を感じ、打ちひしがれたのが大きかったのだと思われます。
その先生がいなくなったのはショックだった。そして同時に代わりの先生との関係構築への労力に“重さ”を感じ、打ちひしがれたのが大きかったのだと思われます。
先生が出て行く時には反応しなかったのに、時間差でこうなったのは、“先生がいなくなる”と当初耳には入っていても実感できず、代わりの先生が現れいつもと様式が崩れたことで実感。パニックに陥ったわけです。
また、厄介なのがそういった“小さな絶望”を味わった時、それをきっかけにシングルフォーカスと両極思考が火をふき、ネガティブな方向にとことん追い込んでいってしまう癖。
この頃はちょうどそういった【0か100か】に、どれだけアウトプットを偏らせないようにするか、キーワード付けていた頃でした。
対策として
【今までもそうだったけど、自分の思った通りになる方が少ない】
【そうなった時はすぐに“それもいいかぁ”と声に出す】
【たいがい周りの大人が出す代替案は君にも良案になる】
【今までもそうだったけど、自分の思った通りになる方が少ない】
【そうなった時はすぐに“それもいいかぁ”と声に出す】
【たいがい周りの大人が出す代替案は君にも良案になる】
と言った内容の言葉を、思い通りにならずに動揺を少しでも見せた時に伝えました。
こういった対策を打つチャンスを作るのは簡単で、目的と行く先を継げずに大型ショッピングセンターや大型の運動公園などに連れて行けば、そこは【思い通りにならない】の宝庫。彼女にとっては企画倒れの技のデパート!
……ちょっと荒療治ですが、認知関連で新しく身につけてもらうには、刺激が大きい事態に遭遇するか、短時間で同様のケーススタディを積むことが手っ取り早い。
この荒療治が功を奏し、普段の生活やお出かけの最中にブレることや、小パニックに陥るのが激減(さらに10秒ルールを組み合わせればもっと安定)。同時進行の【ひと目を気にする】対策と合わせて安定時間の確保を狙いました。
【お遊技中にふと隠れてしまう】のも、いくつか原因が考えられます。
まず大きいのは、みんなの声が一度に聞こえてただの騒音になり、何をすればいいのかどうしていればいいのか混乱し、パニックとまではいかないものの疲弊しきってしまった可能性があること。
まず大きいのは、みんなの声が一度に聞こえてただの騒音になり、何をすればいいのかどうしていればいいのか混乱し、パニックとまではいかないものの疲弊しきってしまった可能性があること。
これは私が小さい頃に周りの友達と話していて数人と一致した、【子どもあるある】だと思っていたもののひとつ、“みんなが好き勝手にわーわーやってる時にちょっと離れて休むと、なんだか急に寂しくなったような胸が騒ぐ感覚”を思い出しました。
ふとそんなことを娘にも聞いてみると、本人も『ああ、やっぱりあるんだ』と言った表情でうなづいていました。
ふとそんなことを娘にも聞いてみると、本人も『ああ、やっぱりあるんだ』と言った表情でうなづいていました。
もともとそういった“群れから離れない”といった、子ども用の本能のようなものがあるのかもしれません。娘の場合は自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の特性として、聴覚過敏に悩まされ疲弊し、余計に辛くなっていたことが考えられます。
感覚的には『離れたい・一人になりたい』が半分、『気づいてほしい・守ってほしい』の半分が織り交ざった複雑な心境だったのではないでしょうか。
ちなみにこの聴覚過敏の対策として、やや訓練は必要になりますが、一つの音やひとりの声に集中するという方法があります。娘の場合は一番仲の良いお友達の声や表情に集中し、それた場合はまた他に向ける方法を教えた所、かなり改善されたようです。
原因としてはその他に、始まる前によく聞いていなかったり、直感的に意味やルールを取り違えていたために困惑。先生の意識が、自分に向いてこない事への不満などの、愛着由来の反応が考えられます。
このあたりは個別にケースを積んでいく必要があるので先延ばし中です。
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夫。30代。
定型。フリーのデザイナー。
自宅で仕事をするかたわら、家事・DIY・訪問営業撃退に勤しむ。 本人は定型だが、何かしら発達障害との縁が深い。
心労と過労で3度倒れ、一時はうつ状態に。 ところがどっこい完治なタフガイ。
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