ASDでACの妻と
アスペルガーのこども2人を持つ
定型夫の研究帳を公開します。

Category:アスペルガーな娘

6歳:知らない人に抱きつく・突然話しかける対策│アスペな娘の距離感ゼロ時代

2014-07-24 Category:アスペルガーな娘
ちょっと遠出した先などで、知らない人に満面の笑みであいさつ。ここまではいい。
相手が笑顔で返すといきなり抱きついたり、ゼロ距離のなつき方を展開し、相手を困惑させてしまう。
これは保育所の散歩などでも起こっていて、突然走りだして知らない人に抱きつくなどして、先生を驚かせたと言う報告が今までも数回入っていた。
また出かけた先などで、同世代の子どもを見つけた時にも、似たような行動を取ることがある。
10年来の友達のようにいきなり話しかけ、相手が驚いていても構わずに話し続けてしまう。相手が去ってしまうとやや気まずそうな表情を浮かべるが、周囲に過剰な意識をすることが多く、その衝動を止められないようだった。しかし、逆にいきなり相手から話しかけられるなどの状況には弱く、小パニックを起こしたりあからさまに不快感を表したような対応をしてしまう……。
そんな事が続いていたある日、ちょっとした事件が起こった。
療育の帰りに妻と娘ふたりで公園で休憩していると、そこに同世代の幼稚園児数人が現れ、娘はそこにいつもの調子でゼロ距離会話を始めた。しかし、相手は複数で保育所に通う子どもを見たのが初めてだったために、囲まれた上に質問攻めで反撃されてしまった。
【あなたどこの子?】×5
【おなまえは?】×5
【どこからきたの?】×5
【どうしてここにいるの?】×5
【どこのほいくしょなの?】×5
【ほにゃららほにゃらら……】×5
娘『○☓△■☆★~~~!!!(名前やいろんな答えを立て続けに叫ぶ)』-1
幼稚園児パワーはそんなことでは押し返せるはずもなく。そのまま逃げ惑いながらも質問攻めに合い、逃亡をはかろうとした辺りで、妻に助け出された。帰宅した時にはもう落ち着いていたし、妻からも相当に説明をされたようだったので、ここぞとばかりに【外での距離感の取り方】について説明することにした。
■今だから分かること
まず、【知らない人にいきなり抱きついてしまう】行動は、私が過去に彼女の人見知り対策として伝えた『あいさつをすると仲良くなれる』を鵜呑みにしていた事が原因でした。
彼女はストレートに【挨拶した=仲良し】という先入観から入っていて、そこで笑顔を返されると【笑顔・肯定・受け入れ・意見の一致=完全肯定】と両極思考で受け止めてしまいます。だから笑顔で返された時は、その相手に対して一時的に“完全に受け入れてしまう”状態になっていたようです。彼女にとって最も親愛の情を示すのは【自分から抱きつくこと(これも過去に私との距離にとらわれてフリーズした時に一時的に取っていた対策)】であるため、迷いなく抱きついていたわけです。
また、保育所での散歩の場合はどれも、【幼い子どもたちが手に手を取って歩く姿を見て微笑んでいた年配の方】に、突如抱きついていたケースばかり。彼女は自分に向けられた笑顔と、自分たち全体に向けられた笑顔の違いをつかめずに行動に出ていたと考えられます。
そして、見知らぬ同世代の子に“10年来の友達の様に”話しかけてしまうのは、【挨拶した=仲良し】という一方的な方法論からであって、相手の反応や表情には一切の観察がなかった事が発端となっていました。
~~をすれば○○になるが、そうならないこともある
ちょうどこういった【0か100か】などの自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の特性とも言える、両極思考の間を埋める概念を少しずつ馴染ませていたところでしたので、チャンスと思い畳み掛けることにしました。
以下、その一部始終です。

外の人との距離感説明

私『娘は【あいさつをすれば仲良くなれる】を信じてくれていたんだね』
娘『うん』
当然の事と言うようにうなづく娘。
私『でもね、確かに正しいんだけど、あれはまだ幼かった君にそれ以上分かってもらうのは無理だったから、本当のいい方じゃないんだ』
娘『ほんとうのこと?』
私『あいさつをするのはね、仲良くなれるかどうか声を掛けただけなんだよ。ねんどに例えると遊ぶのに箱から出したところ。うまくできるかはやってみないと分からないでしょ?』
娘『……うん。わからない。靴屋さんではなしかけた子は、なかよくしてくれなかった
この靴屋さんとは数日前に彼女が話しかけた、靴屋にいた客の同世代の子供のことで、彼女がゼロ距離で話しかけたものの、ちょっと引いて無視され続けた時のことです。本人がショックを受けたことと、すぐその場で説明をしてあげられたので印象深かったようです。
私『そうだね。うまくいくかはわからないよね。だから相手が仲良くしようとしてくれないこともあるし、仲良くなってみたら逆に君の方が仲良くしたくなくなることもあるかもしれない』
娘『あー、なかよくしたくなくなること、ある。きょうもあった』
私『うん、公園のことだね、お母さんから聞いたよ。驚いたでしょ? いきなりみんなで話しかけられて』
娘『わたしのなまえをなんどもまちがえたの』
私『君が“わー”って大声で返しちゃったんでしょ?』
娘『みんなではなしかけてきて、うるさかったから……』
私『うん。そこで落ち着いてゆっくり話せたら、ちゃんと聞いてくれたかもしれないね』
娘『……うん』
ちょっと嫌そう。結構こりごりだったのが、ビンビン伝わってきました。
私『まあ、今日あったことは凄く珍しいことだよ。そんなにあることじゃないから安心して。それにその子たちは、いつもの君の失敗を教えてくれたんだよ』
娘『……?』
私『いきなり近づかれて困ったでしょ? いきなり友達みたいに話しかけられて驚かなかった?』
娘『あ……、うん』
私『君がいつも知らない人にやっちゃってたことだね。今日の君の嫌な気持ちは、もしかしたら今までみんなもそう感じたのかもしれないよ? それが分かっただけでも、その子たちにはありがたいと思うよ』
合点がいったのか、大きくうなづく娘。ショックの色もないので、恐らく純粋に理解が出来た様子。
私『でも、心配いらない。今までのが間違ってたんじゃなくて、今までのは幼い子が成功するやり方だったの。これからは“お姉さん”のやり方があるんだよ。知りたい?』
娘『おねえさん……の? しりたい』
私『まず、
仲良くなりたければあいさつをする。
にっこり笑ってくれたり、あいさつを返してくれる人は【これから仲良くなれるかもしれない人】。返してくれない人は【お友達にはなれない人かもしれない】から、それ以上はしなくていい。
ここから少しずつお話したりして、本当に仲良くなれるか確かめるんだ。毎日少しずつやるって方法もある。これは大人も子どもも同じでいいよ』
紙に1~3の数字を書き、イラストをその場で描きながらの筆談的説明。
娘『あいさつをかえしてくれる人は【これから仲良くなれるかもしれない人】……』
私『そう、すぐに仲良しじゃあないの。あいさつから少しずつ仲良くなるんだよ。君も知らない人に今日みたいにわーわー話しかけられて、いきなり抱きつかれたりしたら嫌でしょ?』
娘『うん』
……と、まあ長くなりましたがこんな感じでした。
こういったコミュニケーション関連のことは長男の時もそうでしたが、世間の胸を借りるのが一番手っ取り早かったです。起こった状況と気持ちの因果関係を説明してから、本人に感覚や気持ちを実感としてすぐに思い出させ、それが【どういう気持ちで、どんな意味があったか】を教えました。
娘の場合は特に両極思考が強く、また【これさえやっていればいい】をすぐに作り出そうとしてしまうため、中間の曖昧な気持ちを説明するのが非常に困難です。それに一度で分かってくれるものではないので、それこそ【毎号部品が付いてくる。創刊号は1.2合併で¥980】ぐらいの長い長い気持ちでいかないとお互いに心が折れてしまいます。
しかし、今回はかなり理解が深かったようで、外でのコミュニケーションに積極奇異な行動は激減しました。元々の衝動性と意味合いのとらえ方のズレが組み合わさっての行動だったようです。
会話から伝え合える意味合いが増えてきたことで、ようやくここまで辿りつけた感じでした。実際この会話のやり取りを、娘が4歳の時の私に聞かせたとしても、あの頃の私には想像すら付かないと思います。演技のない声で会話してくれたことすらありませんでしたから(震)
6歳になり、一段と成長していく中、ひとつひとつの認知のズレや思い違いを補正しつつ、出来る事がある日いきなり増えていく日々が始まりました。

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四歳ころのまとめ

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  • 夫。30代。
    定型。フリーのデザイナー。
    自宅で仕事をするかたわら、家事・DIY・訪問営業撃退に勤しむ。 本人は定型だが、何かしら発達障害との縁が深い。
    心労と過労で3度倒れ、一時はうつ状態に。 ところがどっこい完治なタフガイ。

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