悪い癖を治したり、自発的にやっていかなければならない事を出来るようにするなど、小学校入学準備を視野に入れると求められることは増えてくる。そんな中、わが娘にはそれらの【是正】に関して、ちょっとややこしい特性があって苦労していた。
注意されれば理解するし、分かっている事の方が多いのに、言われないとやらない。
また、アドバイスなども自分で説明できるほどに理解できるが、ちょっと間が空くとすぐに今までのやり方に戻してしまい、結局無意味に終わってしまう。
また、アドバイスなども自分で説明できるほどに理解できるが、ちょっと間が空くとすぐに今までのやり方に戻してしまい、結局無意味に終わってしまう。
理解はしているが、実感が伴っていない。
もう少し幼い頃は、注意という程でもない『こうした方がいいんじゃない?』などのアドバイスだけでも癇癪を起こしたり、必要以上に重くとらえて放棄してしまっていた娘。そんな彼女も、家でリラックスする事を獲得して以来、極端な反応はなくなってきていたし、注意したとしてもふつうに受け止めてくれるようにはなってきていた。
しかし、この独特な【是正に対する共感の薄さ】が、どんどん憶えていくはずの時期に遅れを出したり、不必要な苦手意識を作り出している事があるようだ。
■今だから分かること
【依存相手の親などの“評価”を必要以上に意識してしまう】
【出来る出来ないに過度な両極思考があり、物事を極端にとらえる】
【言葉を聞いてる仕草をすることに集中しすぎて話を聞いていない】
【出来る出来ないに過度な両極思考があり、物事を極端にとらえる】
【言葉を聞いてる仕草をすることに集中しすぎて話を聞いていない】
ここまでにこれらの彼女の性質を整えてきて、ようやくこの“同じことを何度も注意される・直さない”理由が見えてきました。それまでは様々な要因が絡みすぎていて、上手くいかないことで自己評価が下がり、なおさら極端な反応ばかりだったので、手がかりすら掴みにくい状況だったのです。
今回は彼女のキーワードともなっている【実感】をテーマに、彼女の中で起こっている反応を読み解いてみたいと思います。意外とこれが離人感や浮世離れな浮遊感など、『そこにいない感じ』の根本につながる事かもしれないなぁと思ったりしています。
理解と実感の距離
“人に何かを教わり、行動を是正する”には、【話を聞く】【理解する】【自分の事と結びつける】【実行する】といった流れがあり、それらを繰り返しています。娘の場合はこれらが別々の事の様になっていて、一連の流れになっていないことが多々あります。
具体的には注意され始めた段階で【話を聞く】事に過度に集中してしまい、音が耳に入っているが理解しようとはしておらず、確認のために質問されればそこにある記憶から引っ張ってこれるので正解はするものの、自分の行動に影響を及ぼすほどの深度で認知できていない事などがあります。
また、【話を聞く】【理解する】までは出来ていたとしても、それを【自分の事と結びつける】事が出来ず、いざ実行しようとすると“頭の中の説明書の文字を思い出す”と“自分の動きと照らし合わせる”と言う別々なジャンルの行動を、別々に再現しようとしてオーバーワークになってしまう事も。
こういう時は先に“自分がやっているのを想像しながら聞いてみようか”など、説明の時にイメージを持たせるようにしたり、目の前で実演することで理解します。ただし、そうしてもらうことが当たり前になってしまい、自身で『では、前に言われたように想像する所から入ってみよう』など自発的に知識を活用していくことはほとんどありません。再度、その指示を出されるまで待っていたりします。
こういう時は先に“自分がやっているのを想像しながら聞いてみようか”など、説明の時にイメージを持たせるようにしたり、目の前で実演することで理解します。ただし、そうしてもらうことが当たり前になってしまい、自身で『では、前に言われたように想像する所から入ってみよう』など自発的に知識を活用していくことはほとんどありません。再度、その指示を出されるまで待っていたりします。
是正されることに関して、『君が楽になるやり方を提案しているだけで、君自身を否定している訳ではない』などの認識がつき、比較的リラックスして注意を聞ける様になった事で、【話を聞く】【理解する】までがつながりやすくはなっています。
ただ、それらの情報は例えるなら“紙にメモした”状態になっていて、“そのメモは何のためにメモしたか”までは及んでいないため、現実の行動と結びついていない状態になっています。
ただ、それらの情報は例えるなら“紙にメモした”状態になっていて、“そのメモは何のためにメモしたか”までは及んでいないため、現実の行動と結びついていない状態になっています。
そして、これはまた、わが娘の独特な特徴とも言えるのですが、両極思考が強いために非常に自己評価を気にするところがあり、逆にそこに触れなければ真剣さをすぐに失う所があります。
具体的にこの特徴が壁になるパターンはと言うと、【最近叱られる事が少なくなって来て、自信がついている時】など、調子付いている時に【分かってる分かってるモード】になりたがるのですが、そういう時ほど自分のことと想像して実感する所まで話を聞いていないため、失敗が増えます。最悪、憶えている注意事項にまで【分かってる分かってるモード】になり、実感が非常に薄くなるため、今まで注意されて直してきたことまで復帰することがあります。
具体的にこの特徴が壁になるパターンはと言うと、【最近叱られる事が少なくなって来て、自信がついている時】など、調子付いている時に【分かってる分かってるモード】になりたがるのですが、そういう時ほど自分のことと想像して実感する所まで話を聞いていないため、失敗が増えます。最悪、憶えている注意事項にまで【分かってる分かってるモード】になり、実感が非常に薄くなるため、今まで注意されて直してきたことまで復帰することがあります。
……こういう時の場合は、叱る必要も出てきます。
『頭でわかってるだけじゃダメ、体でやらなきゃダメ』と。
『頭でわかってるだけじゃダメ、体でやらなきゃダメ』と。
平面的な記憶
彼女は時折驚くような記憶力や洞察力を見せることがあります。
例えばわが家には私のコレクションであるDVDやVHSなどが、壁面の長い棚にズラっと並んでいて、その中には子供用のDVDも並んでいるわけですが、彼女はそこからDVDが一枚なくなっていただけでも、一目見ただけで気がついたりします。それは特に『これからDVDを観る』などといった、そこに意識を集中させるような状況でなくてもです。
例えばわが家には私のコレクションであるDVDやVHSなどが、壁面の長い棚にズラっと並んでいて、その中には子供用のDVDも並んでいるわけですが、彼女はそこからDVDが一枚なくなっていただけでも、一目見ただけで気がついたりします。それは特に『これからDVDを観る』などといった、そこに意識を集中させるような状況でなくてもです。
またCMソングや絵本の内容なども、一度触れただけで記憶したりできていますが、いざその歌詞の内容の意味であったり、絵本がどんな心情の話であったかなどは理解できていなかったりします。自分の気持ちで一度想像するといった、自分の実感のフィルターを通していないということでしょう。
もしかしたらそういった“実感”という付加情報がないだけに、情報容量が薄かったり思い込み補正が掛からず、正確に多くの事を短期で記憶できているのかもしれません(正しくは記憶を呼び起こすための関連付けの仕方の問題だが)。
もしかしたらそういった“実感”という付加情報がないだけに、情報容量が薄かったり思い込み補正が掛からず、正確に多くの事を短期で記憶できているのかもしれません(正しくは記憶を呼び起こすための関連付けの仕方の問題だが)。
もうひとつ彼女の記憶のポイントとしては、【歌詞をしっかり歌おうとすれば歌詞を思い出せるが音程が外れ、音程を取ろうとすれば音程を正確に再現できるが歌詞が浮かばない】という点があり、練習を重ねながら『これはこういう歌なんだよ』と飲み込んでストーリー付けられると両方が上手くできるようになるといったプロセスがあります。
単に自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の特性で上げられる、“2つのことが同時に出来ない”ということより、“情報は情報・実感は実感”と分けてしまっている様にも思えるのです。そしてこういった情報と実感に距離がある事柄に関して、表現であったりリアクションであったりなどの、彼女の情緒が感じられる様な【言外の空気】が発せられることはほとんど見られません。
実感への対策
実感が伴うことで活きた知識になっていくのは、実は今まで妻のパニック対策で何度となく実証されていました。
妻の場合はパニックが起こりやすい事柄について、とにかく文字に起こしメモにしながら、同時に【なんで自分がそう感じているのか】を掴む事で“どうするかを考えられる様になる”所まで交通整理を行いました。
文字に起こすことでそこに関わる複数の事柄を、いちいち思い出したりするなどのメモリ消費を低減し、その上で【なんで自分がそう感じているのか】を理解することで、最も大切な【自分はどうしたいのか】を導き出す流れです。慣れてくると文字量も減り、整理する癖が付いてくるので頻度は少なくなります。
文字に起こすことでそこに関わる複数の事柄を、いちいち思い出したりするなどのメモリ消費を低減し、その上で【なんで自分がそう感じているのか】を理解することで、最も大切な【自分はどうしたいのか】を導き出す流れです。慣れてくると文字量も減り、整理する癖が付いてくるので頻度は少なくなります。
この流れは、様々な情報の中から自分の気持ちに結びつけるための流れです。つまり実感を伴うための流れ。妻の場合は“実感”というよりも、“メモリ消費を低減”が重大事で、実感の部分は副産物だったのですが、娘の場合はこちらがメインになったということです。
娘の場合はまだそれほど文章や文字と仲良くなっていませんので、とにかく実感をするために想像させたり、その場でイメージする感覚を中心に練習することしました。
具体的には
何らかの説明の際に【自分がやっているのを想像しながら聞いてみようか】などの声がけをし、想像する発想へ誘導する
【それをすることの意図】をしっかり説明した後、言葉で一つ一つの動作を指示。その際には手を触れず、言葉通りに自分の動作をするようにしてもらう
こちらが手本として動く時は、次に自分が同じ動きをする事を意識的にイメージしてもらう。その際も手本を見せることの意図などをしっかりと説明
などです。
また、幼い子どもの場合であれば、指示の書かれたメモの通りに探す『宝探しゲーム』や、簡単な街の地図を描いて、コマを自分に見立て『パン屋さんを右に曲がって~』などの指示通りに行動を展開していくなどの遊びも良いエクソサイズになるかもしれません。
また、幼い子どもの場合であれば、指示の書かれたメモの通りに探す『宝探しゲーム』や、簡単な街の地図を描いて、コマを自分に見立て『パン屋さんを右に曲がって~』などの指示通りに行動を展開していくなどの遊びも良いエクソサイズになるかもしれません。
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定型。フリーのデザイナー。
自宅で仕事をするかたわら、家事・DIY・訪問営業撃退に勤しむ。 本人は定型だが、何かしら発達障害との縁が深い。
心労と過労で3度倒れ、一時はうつ状態に。 ところがどっこい完治なタフガイ。
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