書いてある内容をちらっと
急に上機嫌な日がやって来て、一日中ベタベタしてきたり、妄想に近い誇張した話を一方的にしてきたり。しかし、その一方で思いつきに偏った行動が増え、その場で叶えられないと攻撃的な言動に走ったり、視界が極度に狭いシングルフォーカスな行動が増えだす。
それは1~2週間程度で収まるが、その期間中は本人の思いつきでの行動が多いため、だいたい似たような注意を繰り返すことになる。また、夜の中途覚醒や思い込みによる入眠拒否が増え、それが一度でも叶うと連日繰り返そうとしてしまう。
落ち着くように言っても無駄で、次から次に思いつくことに突き動かされてしまう。
■今だから分かること
自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の特性とは別に、一定期間訪れる謎のハイテンション期間です。以前も起こっていたのだと思います。ただ、これまでは通常時でも思い通り(思いつきが実現されないと)にならないと癇癪を起こしていたため、違いを見出すことは出来ませんでした。
彼女が人との距離や、関係としてどこまで頼っていいのかを理解し、家でのリラックスを手に入れ、かつ【人からの拒否や否定=人間性の否定】ではないことを理解したからこそ見えてきた彼女の特質です。
彼女が人との距離や、関係としてどこまで頼っていいのかを理解し、家でのリラックスを手に入れ、かつ【人からの拒否や否定=人間性の否定】ではないことを理解したからこそ見えてきた彼女の特質です。
特徴
思いつきに関連する行動で目につくのは、【思い出した・思いついた】に対する、【やりたい】への誤認が極端に増えることです。それらへの欲求は強く頻繁になり、癇癪とまでは行かないものの、強い口調や高圧的な態度を取ることもあります。小さな事がきっかけで【思い出した・思いついた】が起こるため、こちらとしては近くで何か話をしたり、想起させるような行動を取ることが億劫になります。
この時に飛び出しや、転倒、衝突、物を倒すなどの注意欠陥が目立つのも特徴です。どちらかと言えば、思いつきに対して行動を取ってはいるが“心ここにあらず”といった状態。だから様々なことをやりたがりますが、やったとしても満足はしません。
睡眠障害に関しては、まず入眠時に“寝る”という発想を持とうとしません。これは幼いころにアスペルガーの特徴として【寝るということを理解していない】と言う部分がありましたが、それを上回る“寝ない”事への意欲が強くなります。そして中途覚醒に関しても、普段は再度眠りについていたものが、衝動的に覚醒していることに欲求を持つため、まとまった睡眠が取れなくなります。
起こる期間やタイミング
彼女がこういった躁状態に似たコンディションになるのは、だいたい1~2週間。多くの場合はこの期間で大きな失敗をしたりして反省し、そこで原因や自分の言動が極端であったりすると収まります。
幼いころはこの躁病相が終わると、翌日からスイッチが入ったように自己評価を低くするうつ病相に似た状態に入るため、両極性の躁うつ病を疑った時期もあります。
幼いころはこの躁病相が終わると、翌日からスイッチが入ったように自己評価を低くするうつ病相に似た状態に入るため、両極性の躁うつ病を疑った時期もあります。
タイミング
楽しみなイベントが予定されているが、日程を把握できないくらい先だったりした場合に、興奮状態が長引いてコントロールを失った時に始まるケース。
自己評価が低下した時期の後、自信を取り戻すきっかけがあると、そこに集中し褒められることを繰り返そうと突き動かされ、そのまま引き際を失い突入するケース。
何らかのイベントの練習や、どうしていればいいのか理解できない事が長く続くと、自分がそこにいないような薄い現実感に陥り、実感を持とうとして行動を繰り返し続けるケース。
躁うつとの違い
期間が周期的ではなく、物事や状況に由来していて、自分の言動に何らかの実感を持つと収まる点があります。特に【今やりたいって思ったのは、“思いついちゃった”とか“思い出しちゃった”と間違えただけなんじゃない?】と投げかけるとその場で収まることです。
ただ、躁状態を起こしている要因について気が付けなければ、その状態は続きやがては疲弊してうつの様な状態を見せるようになります。
防衛本能?
彼女を見ていて感じるのは、これらの両極性な反応が、自らの心を守るための防衛本能なのではないかということです。精神に関する人間の反応として“受け入れきれないショックを受けると、別人格を作り出してストレスに対応する”とか“本当は難なく出来るが、やらないだけだ”と現実感から剥離していくなどの防衛機構がありますが、彼女の行動にも似た点を感じます。
まず彼女のASD当事者としての特性として
言葉から指示を理解し難い
人の感情が表情から読み取れない(他の事が気になり表情を見ようとしていない)
一般的な“どこまで”がなく、両極思考やゼロ百思考が強い
雑踏の中などで聞くべき音を選択的に拾い出せない
要素の多い指示に重要度を付けていけない
があり、常に意識的にしないと対応が難しいため、普段の生活から多くの努力を求められます。これは幼い彼女には大きなストレスになるため、休日に気が緩んで発熱したり、とことんまで落ちるほど疲弊することにもなっていました(今は対応に慣れてきて、ほとんど潰れることはない)。
こういった状況が続くと、対応していくために言動を特定の方向に設定して、それだけで対応することで“考える”をなくし、これ以上の負荷を避けているのではないかと。
だから状況をこちらが整理してあげたり、“どこまで”の尺度を敷いてあげるなど、思考に割く部分を埋めることで何事もなかったように復帰するのかもしれません。1~2週間の期間とは、それで対応できる彼女の耐久力の問題で、その後はほぼ間違いなく“失敗して終わらせる”形をとっていたあたりもそんな気がします。
いつもの特性とは違う、独特な行動様式が問題になった時は、二次障害や代償行動などだけでなく、今まさに防衛するために行動を設定しているのかもしれません。
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中の人
夫。30代。
定型。フリーのデザイナー。
自宅で仕事をするかたわら、家事・DIY・訪問営業撃退に勤しむ。 本人は定型だが、何かしら発達障害との縁が深い。
心労と過労で3度倒れ、一時はうつ状態に。 ところがどっこい完治なタフガイ。
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