夜、そろそろ大人も寝ようかという頃、子供部屋から響いてくる尋常ではない音と声。
『うわぁあああああああっ!! 嫌だって! 嫌だって!』
『なんで! なんで! ○☓▼※♨っていったじゃないか!!!』
ドゴォンッ! ガンッガンガンガンッ!!!
夏休みも終わり、秋口に差し掛かった頃から激しくなりだした【夜驚症】。2~3歳の頃は娘にも現れたが、あったとしても泣き出す程度で、そのまま眠り翌日には憶えていないというパターンだった。しかし、長男の場合は明確な台詞で何かに抗議していたり、叩く・蹴るなどの激しい行動も発生し、一度始まるとかなり長いこと暴れていることになる。
自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の場合、特徴として眠りが浅かったり、入眠障害や熟睡障害などの睡眠障害をもっている事があると言われることがある。長男の場合は2~3歳頃に始まった夜驚症だったが、4~6歳時にはほとんど見られず、明らかに怖いことや嫌なことがあった日の夜に、大きな声を出して起きることがたまに見られる程度だった。
しかし、この頃から長男は毎晩の様にうなされ、怒鳴り、周りの物に攻撃したり振り切るような激しい動きを見せていた。時には他の子も起きてしまい、その寝かしつけにも対応する必要が……。しかし、朝、これらのことを本人は全く憶えていない。
■今だから分かること
【夜驚症】という言葉を知らなかった時は、彼の夜中の騒ぎ方に酷い“抑圧と鬱憤”を感じ、自分の親としての対応や、彼自身に何か精神的な原因があるのではないかと不安になることがよくありました。
ただ、
・2~3歳から夜中に一度目覚めてしまうサイクルの子どもは3~10%程度
・多くの子どもはそこで再度眠りにつくので表面化しない
・起きてしまう子の多くは、覚醒しきらない状況に混乱して反応している
・日中に感じている“我慢”などの記憶を整理している
・お行儀のいい子に多い傾向がある
など夜驚症の特徴を調べていくことで安心していったことと、無理にこれらの混乱を起こしてまで止めたりするのは、かえって処理の邪魔になるのではないかと考え、身辺の危険を排除した状態で経過観察をすることにしていました。
彼の場合、だいたい夜驚症が始まる時間帯は一定していて、入眠から深い眠りに入り、また浅い眠りになるレム睡眠時に発生しているような感じ(流石に脳波までは調べていないが、入眠後すぐの呼吸から、静まり返って深く眠っている様子が続いた後、また呼吸に独特の“意識感”が出てきた時に起きているのを何度か観察)。
これはふつうに大人でも、ストレス状態が続いたり、自律神経が不安定になっている時に泥酔して寝たりすると起きることがあります。いわゆる【レム睡眠行動障害】と似たような症状です。ちなみに暴れている彼と目が会い、2~3言交わした事もありますが、記憶には入らなかったようです。脳の処理機能に運動神経が連動してしまっている状態というと近いのかもしれません。
2~3歳の頃は幼いがゆえに睡眠のコントロールが利かなかったり、一部の臓器の発達段階で、ホルモンの処理などが上手くいかない事などが原因となるとも言われていて、定型の子どもにも起こるふつうの事だとか。また、5歳位から始まる子もいて、激しくなることがあるが、思春期までには収まっていくとのこと。
対策方法としては、
・2段ベッドの上など、暴れて落ちる場所に寝かさない
・窓などの近くに寝かさない
・他の兄弟がいる場合などは、離すようにして二次災害を防ぐ
・窓などの近くに寝かさない
・他の兄弟がいる場合などは、離すようにして二次災害を防ぐ
と言った保護目的の部分と
・少し強めに手を当てるようにゆっくりと背中をトントン
・静観、気にしない
・睡眠時間を多くするように調整する
・ストレスの原因を見つけてケアする
・静観、気にしない
・睡眠時間を多くするように調整する
・ストレスの原因を見つけてケアする
という緩和のための対処があります。
わが家の場合の対処は、次のようになります。
・二段ベッドの下の段に長男を寝かせる
・酷い時用に壁に余ったマットレスを立てかけて置く
・明かりを調節し、なるべく深い睡眠になるように配慮
・基本親は気にしないようにする(不安の伝播をさせない)
・就寝時間の一定
・ストレスの原因を探る
・酷い時用に壁に余ったマットレスを立てかけて置く
・明かりを調節し、なるべく深い睡眠になるように配慮
・基本親は気にしないようにする(不安の伝播をさせない)
・就寝時間の一定
・ストレスの原因を探る
長男の場合、自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の特性として、何かしら自分の行動にコントロールを掛ける必要があったり、極端な受け取り方から傷ついたり考え過ぎたりなど、様々な抑制を常時求められています。
私が当初【夜驚症】で恐れたのは、この抑圧への二次障害的な反応ではないかと思ったことです。ただ、本人も様々なコントロールを無意識の内に出来るようになってきていた頃であることや、そのあたりと発生条件との関連性が見られないので、“日中に起きたことを処理する過程”であると仮定してストレス原因を探っていました。
私が当初【夜驚症】で恐れたのは、この抑圧への二次障害的な反応ではないかと思ったことです。ただ、本人も様々なコントロールを無意識の内に出来るようになってきていた頃であることや、そのあたりと発生条件との関連性が見られないので、“日中に起きたことを処理する過程”であると仮定してストレス原因を探っていました。
解決にいたったのは二年生の初夏頃。
結果的に原因は環境の変化と、学校での友だち関係でのトラブルでした。恐ろしいことに本人はその問題を問題と捉えておらず、自分の中で嫌だと思いながら、そう思わないようにしていたフシがありました。
結果的に原因は環境の変化と、学校での友だち関係でのトラブルでした。恐ろしいことに本人はその問題を問題と捉えておらず、自分の中で嫌だと思いながら、そう思わないようにしていたフシがありました。
つまり、本人が問題視できなかったことで対策が遅れていたということです。原因が解決してから嘘のようになくなり、数ヶ月に一度あるかないかの一般的な症状に落ち着きました。夜驚症が起こる仕組みと自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の特性のストレスに関する一部を合わせてみると、ASD当事者にちょくちょくこの症状の報告があるのも分かるような気がします。
ちなみに全く関係ありませんが、この夜驚症を調べていた時、長年私にとって疑問だったペットのオカメインコ(98年永眠)の夜中の大騒ぎが、【通称:オカメパニック】と呼ばれ、愛好家の中では親しまれたり恐れられている事を知りました。なんか関係あったりして……。
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中の人
夫。30代。
定型。フリーのデザイナー。
自宅で仕事をするかたわら、家事・DIY・訪問営業撃退に勤しむ。 本人は定型だが、何かしら発達障害との縁が深い。
心労と過労で3度倒れ、一時はうつ状態に。 ところがどっこい完治なタフガイ。
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