長男
※この中に出てくる話は、あくまでわが家の長男と当事者の少年の特性による、たまたまな相性の問題です。全てのASD当事者とADHD当事者に起こるものではありません。また、善悪の話ではなく、人間の持つ特性上起こりうる問題についての視点で書いています。
色々と安定してきて、複雑な気持ちを言葉にして、ちゃんと話し合うことも出来るようになった長男。しかし、そんな長男でも週に1~2回ほど、突然親に対してよそよそしくなったり、極端に顔色を伺うような状態になる日があった。
そうなると何をどう話しても無駄で、場合によってはそれをきっかけに立ち直れず、一週間以上も会話もままならないようなちぐはぐな関係になってしまう。
不思議に思い、そのタイミングを調べてみると、段々とそのパターンがわかってきた。彼がおかしくなるのは決まって、その直前まである特定の友達の家に遊びに行っていた時に起こっていたということ。
その友達とは、以前その相性の組み合わせから、長男の不安定を絶妙に引き出すきっかけとなってしまったとある少年のこと。疎遠になっていた彼と小学校で顔を合わせるようになり、また関係が復帰していたのだった。
最初こそ【子供同士のことなのだから】と静観していたが、そこから思わぬ様々な問題へと発展していってしまうとは、この時は全く想像だにしていなかった。
■今だから分かること
小学校に上がるとよくあることですが、男の子の場合は一旦落ち着いていた粗暴な行動が、またぶり返してくる事があります。この頃は、長男もそういった時期で、何かしら友達同士でのたたかいごっこや無理矢理テンションを上げていくような言動が増えていきました。
そこに彼のASDの特性として、【どこまでやっていいのか、刺激を求め続ける様な状態】に陥っていて、拍車がかかっているような状態でもありました。ただ、これもそれほど問題視するほどの程度ではなかったので、こちらは様子を見ていたのですが、小学校に行く意図や勉強をしていく意図を明確に言葉にして教えていくうちに落ち着いていきました。
【大分落ち着いてきた】そう安心していた矢先の変化だったので、彼の急な不安定の波の出現に、少々ガックリきてしまったのも事実です。
突如彼がよそよそしくなったその時、相手方の子の家でどういうことが起きていたかといえば、次のような条件がそろっていたようです。
・衝動性の強い相手方の子と、刺激を求める状態をお互いに高め合っていた。
⇒チキンレースのようにお互いに刺激的な行為を競い合っている状態。
⇒チキンレースのようにお互いに刺激的な行為を競い合っている状態。
・長男が断った場合、弱虫などと罵られた
⇒何度かその場を私が目撃したこともある。すくんで言いなりになるパターン。
⇒何度かその場を私が目撃したこともある。すくんで言いなりになるパターン。
・その家にはおもちゃが部屋を選ばず転がっていて好きなように遊べた
⇒どれで遊ぶかなどの目移りが激しくなり、メモリオーバーになるパターン
⇒どれで遊ぶかなどの目移りが激しくなり、メモリオーバーになるパターン
・長男がパニックになったり、嫌なことをされて帰ってくると、その子が甘え声で誘いに来る
⇒謝られると反射的に許してしまう、誘いを断れないパターン
本当にどこにでも転がっていそうな条件ですが、わが家の長男にとってはまだ超える術がそろっていない、超弱点部分をピンポイントで突かれている状態でした。どこにでも転がっていて、幼い子どもなら誰でもとるであろう行動。つまり、うちの子が悪いとか、その子が悪いとか、そういったことではなく単に相性の問題です。実際に似たような条件下でも、他の子の家で遊んだ時は長男に【よそよそしさ】は起こっていませんでした。また、おそらく相手方の子も、長男と違う子と遊んでいる時にはそれほど拍車がかからなかったのではないかと思われます。
お互いに【衝動のボーダーに課題がある】訳ですが、ややその衝動性の中に、人を煽る傾向も持っている長男の場合は、ブレーキになるどころか相手をその気にさせ、また長男自身も自分のボーダーラインをぶっ飛ばしてしまう相乗効果を生んでいました。
長男にとっては、ふだん禁じられていることを自由に出来てしまう環境ですから、その刺激は強く興奮状態の中で浮かれたようになり、興奮が覚めた時に反動で一気に自責にかられていたのです。
ただ、それは彼の【よそよそしさ】の直接的な要因ではありません。それを【やってしまった事実】が心の片隅にあり、それをどう処理していいのか分からないまま、頭を切り替えたようで切り替え切れておらず、通常生活までメモリオーバーで霧がかかったようになっていたというのが正しい所だったようです。
ちなみに【やってしまった事実】とは、大それた事実ではなく、ソファでトランポリンや室内で追いかけっこなどの、『危ないから止めてね』程度のルール違反。大それた問題では無いからこそ、カミングアウトをするほどでもなく、ちょっと思い出してはモヤモヤしていく状態でした。この問題の小ささも処理に動き出せない大きなポイントでした。
長男がこういったメモリオーバーを自然処理するのにかかる時間はだいたい一週間程度、相手方の子と遊ぶ頻度も週に0~2回。つまり、毎週その問題を消化できるか出来ないかのタイミングで、新たに未消化問題が追加され、それが家に帰る度に“やってはいけない行為だった”と思い出してしまうのです。
結果、家にいる時間はほとんど【自責】か【メモリオーバー】の一杯一杯の状態。
本人はここに罪悪感を抱えていながら、それが間接的な問題のために何なのかを説明できず、こちらが話しやすい環境を用意しても、彼はそれを伝えることは出来ませんでした。
この未消化問題でのメモリオーバーは、わが家の自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)当事者3人に共通している問題で、特に長男の場合は表情を隠すのが巧みなのが裏目に出ています。本人は静かにメモリオーバーからじわじわと小パニックに陥っていて、表面化してくるまで抱え込んでしまうからです。
この問題は彼ら同士で解決できるのかといえば、ハッキリ言って不可能です。大人が間に入ることによって距離を作るか、相手方の保護者の方としっかりと相談しあって、お互いに協力しあう必要性があります。
ただ、相手方の保護者の方はこういったことに非常に敏感で、クレームと取られてしまえば話し合いは平行線のままか反発が生じかねませんでしたし、それ以前に何をどう話すべきかの問題定義が見えてきていません。第三者に入ってもらうにしても、長男自身の問題は、外では表面化しないために動いてもらうことは出来ませんでした。そこにいる大人たちがどうするかを、お互いに話し合う場が持てなかったのです。
結局、長男のいじめ問題が発展して、あらゆる膿が出てくるまで解決には至らず、大きな課題に発展していくこととなりました。
当時ここで見えた課題とは
・衝動性に関する課題
・悪いことと理解しておきながら無責任に焚きつける習性
・未消化問題でのメモリオーバー
・遊びの選び方と提案
・明確な拒否
です。
そこに辿り着くまでの間、彼は自分のストレスにすら気がつけず、様々な不安障害やストレス症状を起こし、家族全員で苦しむことになって行きます。
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夫。30代。
定型。フリーのデザイナー。
自宅で仕事をするかたわら、家事・DIY・訪問営業撃退に勤しむ。 本人は定型だが、何かしら発達障害との縁が深い。
心労と過労で3度倒れ、一時はうつ状態に。 ところがどっこい完治なタフガイ。
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