昨日まで近すぎるぐらい『お父さんお父さん』していた長男が、一夜明けると目をそらしたり、シーンと静まり返ったり。それまで遊んでいた次男に対してまで『~~はしちゃダメだよ』など、静かにすることを強要したりする。
ひどい場合はさっきまで車の中できゃいきゃいしていたのに、目的地に点いた途端に目が座り、言葉足らずになったり、つっけんどんな物言いになり態度が悪くなる。
そういう場合はたいてい、こちらが困惑しきった辺りで発熱したり、具合が悪いことを告げてくる。しかし、本人が告げてくるまではどんな聞き方をしても、体調の変化を言い当てたりしても納得はせず、ただただよそよそしくなる。
体調の変化でこうなっている時は、自分の状況やその具合の悪さがどんなものなのかが分かれば落ち着くが、非常によそよそしさが長期化するパターンがある。
大きなイベントや楽しみな予定の前後のよそよそしさは、どんなに放っておこうが手を差し伸べようが、本人の中で何かの切り替えが起こらない限り、数週間から1ヶ月にも及ぶことがある。この間は非常に繊細になっているので、ちょっとした軽い指摘などの【肯定的でない言葉】全てに強く反応してしまう。
■今だから分かること
体調不良の場合、彼は自分の変化に気がついているものの、それが具体的に何なのかを突き止めることは出来ず、ぼんやりとそこに意識が持って行かれてしまいます。
これは自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の特性の一つ、【感覚の鈍麻(特定の体感覚などに鈍い面がある)】が強く関係していて、そこに【これはなんだろう?】と意識を向けつつも、【何なのか】が分からないために余裕(メモリ)を奪われ続けている状態になっていると考えられます。
思考力や認知力に割くメモリが少なくなれば、今まで知識と経験でカバーしてきた部分が失われ、極端な発想に偏り過ぎたりするため、人間関係での距離感などにもオーバーワークを起こしてしまいます。これが彼の体調不良時の“よそよそしさ”の正体なのでしょう。
これらの対策としては
A・体調不良だと分かり次第、その症状を理解するまで説明し切る
B・回復後、予測された通りの結果になったことを改めて言葉にする
C・今回の体調不良に感じていた違和感を言葉で説明させる
A・体調不良だと分かり次第、その症状を理解するまで説明し切る
B・回復後、予測された通りの結果になったことを改めて言葉にする
C・今回の体調不良に感じていた違和感を言葉で説明させる
を徹底していったことでかなり軽減されていき、三年生の現在では自分から『お腹のこの辺りがズーンって押されてるみたいな感じ』とか『立ち上がると頭がズキンとなる』などの症状を自分で言い出し、自分から休むようになりました。
特に効果的だったのは【C】をこちらから【当り】が出るまで一緒に言い合って探したことです。遊び感覚で正確な言い表し方を練習することになり、その後も自発的な告知につながりました。
特に効果的だったのは【C】をこちらから【当り】が出るまで一緒に言い合って探したことです。遊び感覚で正確な言い表し方を練習することになり、その後も自発的な告知につながりました。
さて、問題なのが【大きなイベントや楽しみな予定の前後のよそよそしさ】です。
体調不良であれば【なぜ自分が余裕を失っていたのか】が、原因が分かり次第つかめるわけですが、“楽しみ・楽しかった”や“うまくいくか不安・できなかった後悔”などの場合は、【ああ、~~だったからこうなっちゃったんだ】が見つけにくいために長期化します。
体調不良であれば【なぜ自分が余裕を失っていたのか】が、原因が分かり次第つかめるわけですが、“楽しみ・楽しかった”や“うまくいくか不安・できなかった後悔”などの場合は、【ああ、~~だったからこうなっちゃったんだ】が見つけにくいために長期化します。
自分から余裕がなくなっている状態にも気が付き、焦っているため放置すると悪化することのほうが多く、こちらが一緒に種を探すサポートが必要になるわけですが、時にそれもよそよそしさの素になることがあります。特にそれが愛着を持っている相手に対して起こしてしまった場合は、自責の念が上乗せされて悪化の一途を辿ります。
【体調不良の時のよそよそしさ】は感覚鈍麻が原因で、自分に起こっている変化に気がつけばいいだけだったのですが、【大きなイベントや楽しみな予定の前後のよそよそしさ】にある要素は非常に多くのものが関わりあっています。
・単純な疲労感
・頑張っていたことが終わり【気が抜けた】のを【疲労感】と混同
・『もっとしたかった・あれもやりたかった』という想いへのとらわれ
・『嬉しかったからもっと何か続いて欲しい』という欲求
・欲求や想いを叶えるために親へ期待をふくらませる
・親への期待から【いい子にしなくちゃ】という強迫観念へ
・【自分の態度が変だった】と気がついたために自責
・自責に駆られたために【いつもはどうだったか】に必死になる
・様々な感情が同時に起こるためにメインの意識が曖昧になる
・頑張っていたことが終わり【気が抜けた】のを【疲労感】と混同
・『もっとしたかった・あれもやりたかった』という想いへのとらわれ
・『嬉しかったからもっと何か続いて欲しい』という欲求
・欲求や想いを叶えるために親へ期待をふくらませる
・親への期待から【いい子にしなくちゃ】という強迫観念へ
・【自分の態度が変だった】と気がついたために自責
・自責に駆られたために【いつもはどうだったか】に必死になる
・様々な感情が同時に起こるためにメインの意識が曖昧になる
などの要素が絡み合い、それらに気を取られ、いつもの知識や経験でカバーしていた部分がなくなり、ASDの特性がむき出しになるために起こる混乱と自責が見て取れます。
また、この状態になると【気がつく】と【意識する】が混同してしまい、目に入ったものに対して強く意識を集中してしまうため、愛着を向けている対象への(この場合は私)意識が超特急で行われ、あっというまに緊張につながります。
現在はひとつひとつの要素をほぐしていき、本人に理解させていくことで回復までの時間を短縮していっていますが、この頃はまだ小パニックを起こした状態では言葉が届かないことや、【家族はいるだけ】を実感をもって理解できていなかったために、『イベント後の小パニックこれ一本』的なものはありませんでした。
一緒に色々話し合いながら、お互いにしっくりくる説明や話を探っていた時期です。
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中の人
夫。30代。
定型。フリーのデザイナー。
自宅で仕事をするかたわら、家事・DIY・訪問営業撃退に勤しむ。 本人は定型だが、何かしら発達障害との縁が深い。
心労と過労で3度倒れ、一時はうつ状態に。 ところがどっこい完治なタフガイ。
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