ASDでACの妻と
アスペルガーのこども2人を持つ
定型夫の研究帳を公開します。

Category:軽度アスペ・ACな妻

アスペ妻の記録~人は人、自分は自分~

2014-09-22 Category:軽度アスペ・ACな妻

自己矛盾

私『おはよう』
長男『……おっ、おはよ……う』
朝、私がリビングに入ると、すでに足音で反応していた長男は、硬直し身構え【どうしよう、どうしよう】とありもしない何かを考え始めた。つま先まで真っ青になった彼は、目を伏せながらも私の喉元あたりに視界ギリギリに焦点を合わせ、全力でこちらの様子を伺ってこようとしてくる。
私『…………』
妻『ちょっと!』
先に動いたのは妻だった。私との間を遮り、長男の前に立ちはだかる。それでも母親の脇から私の様子を伺おうとする長男の肩を掴み、自らの顔へと向かわせた。
妻『今話をしているのはお母さんなんだよ。こっちを見なさい』
長男『…………』
眉間を硬直させ、上目遣いに妻の顔を伺い、小鼻に力を入れたような独特な上唇の歪ませかた。困惑と怯えの中に見える、明らかな【憤り】の色。“何をしてはいけないのは分かっている、でも、どうしてもそうなっちゃうんだもん”とでも言おうか、娘がこちらの話を聞く姿勢に立てる様になる、直前に立ちはだかった、最後にして最難関の壁である。
娘の時と同じく、彼もまた貝に閉じこもり、自責と憤りと焦燥感の渦に身を沈めていく。
妻『今、何を考えているの?』
長男『…………』
妻の質問は全く響かない、怯えたような怒ったような、本人すら区切りのついていない状態の彼は、支えてくれるはずの母の声すら、自分の思考力を奪う雑音であるかのように顔をしかめ、父親の影を追いかけた。
───ぱしんっ!
長男『………あ』
妻『話しているのはお母さんでしょ!』
一気に顔色が戻り、同時に絶望の表情へと落ちていく。彼は父の足音を聞いた時、【どうしよう、どうしよう】と答えの出ない問いかけを続けていた、ここにあるのは実は恐怖ではない、不安である。そして、今それをしては逆効果であることも理解している。しかし、父にそうなってしまう関係性を埋めるには、父に対して多く話しかけてもらえるよう、気を引き続けなければならない。
これがひとつめの矛盾。
彼にとっては自分の影響で、仕草がおかしくなる次男は邪魔でしかないし、そうやって家族の雰囲気が壊れるからと怒り出す母親にも納得が行かない。しかし、現実に母親が自分に関わるこの問題で怒りを見せると、彼はその状況をようやく理解することになる。“この方法は、みなが不快なのだ”と。
ただ、根本的な部分で解決していないため、彼は時間が掛かり無条件で許されるのを待つか、彼本人が違うことで気持ちがコロッと変わらない限り、自力で脱出することは不可能だし、そもそも彼はそうしようとは具体的に求めていない。
彼自身、自分を突き動かしている不安が何なのか、理由は解らないし説明もつかないのだ。
それもそうだろう。彼が今フリーズのループにハマっているのは、【どうしよう、どうしよう】の前に【お父さんに合わせるには】が抜けている。いや、正しくはその前提が必要な思考しか持ち合わせていない事が、彼にとっての常識で父親に今合わせられないことが不安でしかないのだ。そしてそれはこじれ、すでに彼の中では【どうしてもできない】という自責をも越え、今や憤りにすらなっている。
怒っているものに合わせるにはどうするか?
責められる人間でなければ収まりがつかないが、その通りにするのはすでに【合わせる】という受動的な発想に対して矛盾が起こる。今までに彼がこのパターンに陥っていた時に、『でも、どうしても考えちゃう』と繰り返し呟きながら、私に異常なほど意識を集中させ続けてきた真相。
彼が今躓いているのは、自己矛盾のジレンマそのものだ。私からそこを突かれればその時は理解し、柔和な時間を取り戻す。しかし、その自己矛盾の主要な柱である父にそれを突かれる事は、さらに自責を積み重ね兼ねない。
妻『……分かった。こっちへ来なさい』
すでに妻の言葉は届いていない、隣の和室に引きずられながら、彼は私の顔色をうかがい続けた。何か受け入れてくれるチャンスとなる一言が、父親の口からこぼれ出ては来ないかと、その視線は私の目ではなく、口元に注がれていた。

役割分担

隣の部屋に連れて行かれ、私が視界からいなくなると、長男は妻との会話に応じ始めた。私はリビングで会話に耳を傾けながら、じっとその時を待っていた。
妻『さっき、お父さんが降りてくる時、もう足音から気にし始めてたでしょ?』
長男『……うん』
妻『何を考えていたの?』
長男『お父さんとうまくやれるかなって……』
妻『そうやって考えるから疲れておかしくなるんでしょ? 家族はいるだけでいいって分かってるんじゃないの?』
長男『……わかってるよ。家族はいるだけでしょ?』
妻『出来ていないじゃない』
長男『………』
彼の顔を見なくても、今どんな表情を浮かべているのかが手に取るように分かった。眉間を硬くし、どこか拗ねたような口元で、目を逸らして黙りこむ。おそらくもう、妻の話をこれ以上聞くことはないだろう。
ここまで娘と被った流れになるとは、正直想像していなかった。
それだけ、娘が示してくれた反発や癇癪は、一般的な人と人との距離のとり方や、実際の関係性と通念に生まれる矛盾など、自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)でありながら、また彼女独特の特性に悩む気持ちを的確に指し示していた。
当時はそれが多すぎて分からなかったが、今なら分かる。彼女は本当は無駄な抵抗などは一つとしてしていなかったのだと。彼女は非常に合理的に的確に自分の困っていることに対し、困っていたのだ。
そして、長男も娘も、“母は解決するもの”と役割を与えていない。今までの妻の努力が実り、普段はそれほどでもないが、パニックに陥った時、彼らは母親がそこにいないかのように言葉を聞き流そうとする。そして、収集がつかなくなった頃、私が口を開くのを待つ。
娘に対し、逃げ場を失わせ、本気でぶつかったのはここに大きな理由があった。
普段の癇癪も怒りではある。フリーズや混乱も【嫌だ】という反応ではある。しかし、それは自分が思った【こうなるもの】が崩れた時に起こる混乱がほとんどだ。突発的に泣き出したり怒りだしている時の多くは、行程的に脱線した場合のストレス反応に偏っていて、彼ら本人がその気持ちとして【私はこういうのが嫌だ】と実感のある感情では動いていなかった。
娘がその浮世の癇癪の壁をぶち抜いたのは他でもない。普段最後まで怒る姿を見せなかった母親が、自分に対し揺るぎない怒りの表情を見せ、母親が怒る姿を混乱ではなく感情として【嫌だ】と実感できた事が大きいのではないだろうか。自分で決めた役割分担で人間関係を捉え、そこに生まれる自分の感情に気が付かないまま、目論見通りにならないことに混乱し続ける状態で、どうやって自分の認知を獲得していけるというのだろう。
妻が長男の尻を打つ。
反発や反抗、酷い悪戯や怠惰はどこにもない、それなのに我が子を打たなければいけないことがあるとは想像だにしなかった。一見、大きく脱線していなくても、それに溺れ続ける方が将来的に致命的な要因になることがある。
長男『………うぅんっ!』
殻に閉じこもり、ただされるがままに母に尻を打たせていた長男が、明らかに怒りを含めた小さな唸り声を上げた。妻は手を止め、じっと長男の目を見据えていた。
私『交代。ごめんね、ありがとう。………長男、父さんもここは譲る気はないからな。“どう言えばいいか解らない”とかは無しだ。まず、余計な事は考えないで、父さんの言葉を分かろうとするつもりで聞いてもらおうか?』
和室に入ると長男はしばらく妻を見つめ、こちらが目に入っていないようだった、そして声に反応し虚ろな目で私の姿をとらえた時、一瞬絶望した顔になり、再度虚ろな状態に陥っていった。

窮鼠猫を噛む

妻と私が交代すると、長男はまるで今までの事がなかったのかのように硬直し、言葉を発することが禁忌であるかのように口を一文字に結んだまま話すことを止めた。
私『お父さんが降りてきた時、“うまくやれるか”って考えていたらしいけど、いつもそんなこと考えてるのか?』
長男『………ボソボソ』
私『話す気がないなら、ずっとこのまま父さんも母さんも怒り続けることになるが、それでもいいのか? 人と話すなら聞こえる大きい声で話しなさい』
長男『……いつもは……ちが…ボソボソ』
私『もう一度言う。大きい声で。小さい声でしゃべろうとすると、余計に緊張するぞ』
長男『………ボソボソ』
私『もう一度だけ言う。大きい声で』
長男『………ボソボソ』
───ぱしんっ!
長男『………ッ!』
私『注意は三回までのルールはいつものことだろう? 家族との過ごし方だって今までと何も変わらない。やりかたを変えたのは君自身だ。それとも今のお父さんや家族との関係の方がいいのか』
長男『……元の……元のに戻りたい』
私『でもな、実はお父さんは、今までの君のやり方もちょっとどうかと思っている』
長男『………!』
私『君がなぜいじめにあったのか憶えているか?』
長男『………ボソボソ』
───ぱしんっ!
私『その小さい声のやり方も、お前が始めたものだ。それは人を怒らせる。今は怒られるための時間ではなくて、話をする時間だ。話をするのなら人に聞こえる声で。人に喋らせようとするのは失礼だ』
長男『……ぼくが! ぼくが“イヤだ”とか“きもち”とかいわなかったから……』
私『たしかにその通りだ。君はそうやって正しい答えが言える。……で?』
長男『……?』
私『今、家でも君は気持ちが言えてるのか?』
長男『…………』
私『次男が君のビクビクおどおどに引っ張られて、おかしくなった。それを見てまた今度は君がビクビクおどおどを激しくさせた。
あれからもう二週間だ。二週間経ったが君はそのままだし、何を考えているのか、どうしたいのか何も見えてこないし、伝わってこない。父さんが近くにいればただただ固まってオドオドしているだけだ』
長男『…………』
私『次男は次男、お父さんはお父さん、君は君だ。頭も心も別だし、やりたいことも気持ちもみんな違うよ。それなのに君はただただ近くにいる人に合わせているだけじゃないか?』
長男『…………』
私『君は学校でみんなに毎日叩かれて“イヤだった”から、ちゃんとそれを言葉にして戦った。だから終わった。で、人の気持ちは“イヤ”しかないの? 自分がどうしたいかがあるから、みんな自分で考えるんだけど、君はお家ではどんなに時間をあげたって、自分でなんとかしようとはしないよね。じゃあ、今、君はこうしてお父さんとお母さんが怖い顔をしていて、なんとも思っていないの?』
長男『…………』
私『お父さんと上手くいかなくてイヤじゃないの?』
長男『…………』
私『お母さんに怒られてイヤじゃなかったの?』
長男『…………』
私『さっきも叩かれてイヤじゃなかったの?』
長男『…………』
私『今だって必死で“お父さんを怒らせない話し方”とか、“謝ってもダメだろうから何か考えないと”とかぐるぐるしてないか?』
長男『…………』
私『………目を見ようとしなくていい。今、何を思っているんだ?』
長男『………ボソボソ』
───ぱしんっ!
会話の途中から、彼は私の方に目線を向けることに必死になり、言葉が何一つ残っていなかった。もう一度、最初から。もう一度。娘の時もよくあったことだ。話の途中に違うことに気を取られたり、言い回しに集中してしまって、話を理解しようとはしなくなってしまう。
娘の場合、それらは時に数週間後に突如思い返されて話し出されることもあった。『あれがよく分からなかった』と。また、話が終わろうとした段階で『実はよくわかんない』と返されることもしょっちゅうだった。それまで叱っていたものを、再度一から説明するのは、叱る側にとってかなりダメージが大きい。
しかし、ここまでで実は効果が出始めてきているのを、長男にはすでに感じ始めていた。
娘の時の様な、説明のし難い根深い幾つものズレがあるというより、非常にシンプルなズレ。“こうしていれば終わりにしてもらえる”と言う、事態を他人に預ける受動的な構えと、今回の目的である“本人の憤りの爆発”である。それらが明らかに浮き彫りになってきていた。
難しい言葉や理論、複雑な気持ちの違いを小学3年生に説明するのは難しい、いや不可能だ。欲しいのは本人が“イヤ”になり、感情をぶつけてくる怒りの反応。
言葉ではこれを学ばせる事はあり得ない。これこそ本人が感じなければならない。しかし、いつもどおりの彼の受動的な人間関係の取り組み方では、何十年掛かるか分からないし、今、そんなことを先延ばしにしていたらどれだけの認知や感情を犠牲にしていくか分からない。何より、次男への精神的なダメージへのケアも急務である。
彼の気持ちを起爆させるために、嫌われようが憎まれようが、今この時に立ち向かう感覚を覚えさせなければ、どんどん合わせるのが巧みになっている彼に、パターンの脱却を教えることはできない。“窮鼠猫を噛む”今、噛まれるべき役は私だ。

堰を切る

フリーズすることに集中し、全ての言動がパターンにはまっていく長男。そしてそこに関する矛盾や、上手くいかないポイントへの不安感を明らかに募らせている。瞳の奥に燃える小さな“逆ギレ”の色。それでも、それを通常の思考が残っている本人では、パターンに突き進むことを止められない。
しかし、その堰を切る瞬間は予想よりはるかに早く訪れた。
歯を食いしばり、頑として言葉を発しようしなかった彼が、その度に強く叱責されることに疑問を感じ始めた。そして空の何かをにらみ始める。明らかに怒りが募っている。さっきまで瞳孔が開いたまま、ただ叩かれるままにしていた彼が、体をグイと起こして“受けよう”としてくる。
小さな唸り声を漏らした次の瞬間、彼は自分を打つ親の手を受け止めた。
私『……なんだ、叩かれたってよかったんじゃないのか?』
長男『…………ぅぅっ』
私『ただ黙ってなるように合わせてればいいんじゃないのか?』
虚ろだった目が、しっかりと私の目をとらえた。そして受けた手で小さく押し返しながらつぶやく。
長男『……イヤだ』
私『なにが嫌なんだ?』
長男『……たたかれるのも、おこられるのも、ビクビクおどおどするのも、おとうさんを傷つけちゃうのも、もうイヤだ』
私『じゃあ、ちゃんと話を聞く気になったか?』
長男『うん。ぼく、もうちゃんと話をきくよ』
自分の言葉、自分の呼吸での返事。明らかに今までの彼とは違う、私との間にモヤがかかったような手応えのなさが薄らいでいた。正に娘の時と同じく、一定の情報が集まり、何かしらの合点がいった瞬間に、余計なフィルターがどこぞへ吹き飛んでいったような『クリアー』な感じ。
娘の昨年末のあの瞬間と、長男が生まれて初めて私を『ぱぱ』と声を出して読んでくれた時の、“そこにいる”を実感できたあの感覚を思い出していた。

人は人、自分は自分

隣で一部始終を見ていた妻曰く、“娘の時とピタリ映したように同じ”と表現されるほど、その後の彼の吸収……いや、アウトプットの変更はスムーズだった。
私から彼に改めて伝えたのは、

“人は人、自分は自分”
“人に合わせて何かしようとしなくていい”

一見、自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)のステレオタイプとしては、逆行する言葉かもしれない。しかし、私が彼に感じていたのは“合わせられない”のではなく、“どこまで合わせるか”のラインの置き方が適切ではなかったということ。
その修正のために、まずは私との距離の置き方を、近所に住む彼のお友達の行動を例に、一時適切な関係を保てるように実践することにした。そのためにもまずは時間的猶予があることを感じさせる必要がある。
私『たまにうちに連れてくる~~ちゃんっているでしょ?』
長男『うん』
私『あの子はさ、お父さんが降りてくると、話すことがなければ気にも留めないし、でも話したいときはグイグイ話しかけてくるよね』
長男『ああ~、そうだね』
私『でもさ、話しかけたいけど話すことがない時、あの子は自然なやり方してるよ』
長男『どういうの?』
私『目が合うまでこっちを見て、目があったら“おー”ってやる』
長男『“おー”って……、ああ、やってるかも、うん、やってるね』
私『それ、あの子が自分の気持ちでお父さんと“どうしたいか”を決めてない? 逆に君はお父さんが来ると“何かしなくちゃ”とか“どうしてればいいんだろう”ってやる。それはお父さんに合わせてるってことじゃないかな』
長男『うん。やってる』
私『娘も最初は君と同じだったよ。娘はまずお父さんが部屋に来たら“すぐにあいさつしない”って約束して、“何かしなくちゃ”って焦るのを止めさせたんだよ。その後で“家族はいるだけでいい”って教えたらすぐに出来るようになった』
長男『うん、ぼくもおなじこといわれた』
私『でも、君は確かにある程度は分かってたんだけど、娘よりちょっと上手かったんだよ。人に合わせるのが。だから疲れたり具合が悪いとお父さんに合わせるのが辛くなって、どうしていればいいのか分からなくなってたんじゃない?』
長男『……そうかもしれない』
私『いや、今すぐわかってもらえるとは思ってないよ。ゆっくり分かっていければいい。娘だって最初からいきなり出来たわけじゃないよ』
長男『え! そうなの!?』
私『うん。お父さんもそう思ってたから最初に様子を見ていたんだ。そうしたらね、だいたい10分くらいで“家族はいるだけでいい”ってなれてたかな。娘はまだ6歳になったばかりだったから。難しい説明はしなかったけど、そうやって“気にしてなくていいんだ”って慣れてくれたよ。2~3日位でね』
長男『その間は怒ったりしたの?』
私『いや、どうしても酷い時は隣の部屋で同じことをもう一度いっただけ。何? まだ失敗が怖いんか?』
長男『……うまくできるかなって』
私『だからさっきも言ったでしょ? “今すぐわかってもらえるとは思ってない”って。時間はあるんだよ。それに何か難しいことをするんじゃなくて、今までよりも楽になるってことだよ?』
長男『楽?』
私『だって今まではお父さんが降りてくる度に“なにかしなくちゃ”とか焦ってたでしょ? でも、これからは“人は人、自分は自分だ”って楽にしてればいいだけなんだし、それは“やりたいことがあれば言ってよし”“やりたいことがなければ何もしないで良い”ってことでしょ?』
この“やりたいことがあれば言ってよし”“やりたいことがなければ何もしないで良い”は、幼いうちは伝えることが難しい。しかし、それが上手く行かなければ参加させてもらえない事が続くと、重さ軽さの勘違いはあれど段々と獲得していく。それはその時ごとに、ふつうより詳しく説明していけばいい。
ついでに彼に紙とペンを渡し、夕方までの課題を出すことにした。
私『ここまででさ、お父さんが降りてきた時に“どうしていればいいのか”を、学校で書かされてる日記みたいに書いてごらん。出来る限り綺麗な字で書けるように気をつけながらさ』
長男『キレイな字で?』
私『そう。書けば分かるから、綺麗な字で書くように頑張るんだよ』

嵐の後

【分かるように話す】
【途中で勘違いを起こしていることに気づく】

【何を考えているのか明確にしていく】

たったこれだけのことでも、子どもに話すのは難しい。それを目的意識をもって、叱りながら調整していくのは非常に骨が折れる。妻と私はそのまま寝室で突っ伏していた。そして夕方、食事の準備に階下へ降りると、長男は自分で書き上げたマニュアルを持ってきた。
何度も何度も書き直し、文章を直した後や、字を綺麗に書きなおした所もある。
字を綺麗に書かせたのは、いつもより少し文字に書き起こす作業を、慎重に吟味させるため。
私『……うん。完璧だと思うよ。大したものだ。がんばったね。たくさん書きなおしたんでしょ?』
長男『うん。うでが痛いよ。でも、うーん、なんかちゃんとできそうな気がする』
私『なにが?』
長男『人のことを気にしすぎないってこと』
その宣言通り、彼は人が変わったように家でリラックスが出来るようになっていった。どうやら私を見かけた瞬間から無理に元気なフリをしたり、話しかけようとしたり、自分の立ち位置を考えなくなったようだ。
今回ぶつかって得たものとは何だったのか?
それは本人の『思い違いの修正』でも『新しい概念』でもなく、単に気持ちや欲求を外に向けて出すためのちょっとした感覚に気がつくことである。これが一般的な成長であった場合、こんなことをしなくても、どこかの段階で本人も気が付かない内に調整をかけて行ったのかもしれない。
しかし、長男はそうではない。一つの常識ややり方が全てになってしまうことがあり、それを自動的に調整したり、自発的に問題意識を持つ可能性は低い。それでも娘と妻のこれまでを見る限り、自分の気持ちを正確に感じ、それを整理していく方法を、それぞれにあったやり方で獲得していくことで明らかに見過ごしてしまう確立は下がっている。
それでも翌日、ちょっと不安そうに見えた瞬間があったが、彼は一言で自信を取り戻せた。
“いやだ”って、叩くお父さんの手を止められたじゃないか。もう大丈夫だ
これ以降、彼と家族の間に“目に見えぬモヤ”が掛かることはなくなった。
気持ちを言えないのではなく、自分の気持ちに気がつこうとしていなかった事が原因だったようだ。

【つづき】⇒アスペ妻の記録~【憤り】と【怒り】の違い~

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  • 夫。30代。
    定型。フリーのデザイナー。
    自宅で仕事をするかたわら、家事・DIY・訪問営業撃退に勤しむ。 本人は定型だが、何かしら発達障害との縁が深い。
    心労と過労で3度倒れ、一時はうつ状態に。 ところがどっこい完治なタフガイ。

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