ASDでACの妻と
アスペルガーのこども2人を持つ
定型夫の研究帳を公開します。

Category:軽度アスペ・ACな妻

アスペ妻の記録~やすみのおわり~

2014-04-10 Category:軽度アスペ・ACな妻

三人目懐妊

長男と妻の安定から半年、三人目の懐妊。
安定してきたとはいえ、今度は依存が強くなり、父親がいるとべったりな長男4歳。長男から引き継いだ『逃げる、よそよそしい』の悪化から、ほとんどコミュニケーションの取れない娘2歳。
『三人揃うと社会になる』
何処かそこへの期待もあったし、家庭のバランスがようやくはまる気がして、非常に嬉しい報告だった。
妻は結婚以来なかったほど安定していて、長男とのやりとりにも余裕が出てきていた。逆に娘の問題行動や気になる行動は激化しつつあったが、家庭全体でみれば、今までと比べかなり安定している期間だった。
やがて妻のお腹も大きくなる頃には、長男の安定はかなり進み、家庭でのパニックもフリーズも懐かしいものに。
仕事も順調に伸び、『今までの分を取り返すんだ』と、意欲に燃えていた。

次男誕生と祖母

予定日きっかり、次男の誕生だった。立会いを終え、深夜の分娩室で安静にする妻とゆっくり時間を過ごした。
妻は晴れやかで、そして落ち着いていた。
『お義母さん、来てくださんるでしょ? 』
出産後、一週間の入院となる妻、その間の手伝いに私の母が来てくれることになっていた。
長期休暇には定期的に帰っていたが、こちらに母がくるのは初めてだった。ばぁばが来る、と子どもたちも喜んでいた。
翌日は子ども達も休み、そして母がやって来た。
三人目の孫との対面に喜ぶ母。祖母との対面に喜ぶ長男。祖母を分からずボンヤリする娘。
その日の夜はお祝いとなった。

宴の後

その日の夕方は宴。やがて子どもたちもはしゃぎ疲れて眠り、母とふたり酒を続けた。
仕事のこと、子どもたちの様子、こちらでの暮らし。この家だからこそ伝えられる話がたくさんあった。
……が、どこか母の言葉の端々にトゲがある。
『ここまで出来る様になったのは、あなたを大学まで行かせた親のおかげだ』

『こんなところまで家族を連れて来てどうするつもりだ』

最初は心配の声だと思っていた。しかし、時を追う毎に私達への苦言ばかりになる。
だんだんとエスカレートしていく母。酒に酔った様子でもなく、淡々と私たちの暮らしへの苦言……もはや言いがかりを続けた。
こちらも『ごめんねー』など、なるべく軽くいなすようにかわしつつ数時間、だんだんと辛くなってきていた。
『いや、いいじゃない。もう勘弁してよ。うちもようやく上手く行き出したから安心して?』
しかし母は止まらなかった。
そして深夜2時を回ろうとした頃、母のある言葉で私に異変が起こった。
『あなたはあなたの力じゃなにもできない。なにもできていない。』
……目の前が真っ白になった。いや、グレーがかったモヤに包まれたような感覚。生まれて初めての感覚。
数秒か数分かも分からない。なにかを口走っているのだけはわかった。どうやら反論しているようだ。
我にかえったのは、猛反論を終え、最後の捨て台詞まで吐き終えた瞬間だった。
母の顔色が変わり怒鳴り出す。
『そこまで言うのなら、こんな所に居られない! 出て行きます!』
『好きにしろっ!』
その日は夕方からの大雨、母はタクシーを呼び、去っていった。
私は猛烈な疲労感の中、布団に潜りこんだ。

ノイズ

翌朝、妻からの電話で目が覚めた。
どうやら母は妻にはメールを入れていたらしい。
妻『大丈夫? ケンカしちゃったの……?』
私『ごめんね、こんな時に。なんとかしようとしたんだけどね……ダメだった』
妻『夜中にメールが来たの。ちょうど私起きてて、びっくりしたよ』
私『うん、今どこにいるって?』
妻『ううん。場所とかは書いてない』
私『そうか……。こっちでなんとかするから。ごめんね、休んでて』
母の携帯の電源は切られている。実家の父と兄、姉、親類縁者、思い当たる所に連絡をしたが、連絡はなかったようだ。
心配が膨らんだ頃、姉から連絡がはいった。どこにいるかは言わないが、連絡は取れたらしい。
胸をなでおろした。母の性格は知っている。数日行方をくらまして帰るつもりだろう。
前にも父ともめた時にこういうことが何度かあった。
再度親類縁者に無事の報告をいれ、一息ついた時、ふと妻との電話を思い出し、妻に電話。そのメールの内容を尋ねたが、なぜか妻は非常に言いにくそうにしている。
『ヒントになるかもしれないから』と説明し、渋々、メールを転送してもらった。
母はなかったものと思えと、彼に伝えてください
出産を終えたばかりの嫁にだけ、気を騒がせるような内容のメール。
実の親に感情を抑えきれなかった私もどうかしているが、これを深夜に妻だけに送りつけ、関係する人間に心配をかけさせるだけかけさせた母に嫌悪感を抱いた。
起き上がるが、そんなに飲んだわけでもないのに、昨日の酒が抜けて居ないのか、足腰に力がうまく入らない。
とりあえず子どもたちに朝ごはんを作るため、何とかリビングへふらふら向かった。
『ばあばどこ?』
長男が駆け寄る。胸がチクっとする。
『ばぁばは用事が出来たから帰ったんだよ』
ふぅん、とつまらなそうにソファに座る息子。その横でいつも通り、私に背を向けて座り直す娘。
いつものわが家、日常風景。
いつもと違っていたのは、耳鳴りがずっと続いているような頭重感覚と、深い虚脱感。視界の端にノイズがあるような狭い感覚。
やがてめまいと喉と胸の圧迫感、うまく空気が吸えない感じが始まる。
(ストレス症状かな……?)
そして頭の中にはあの台詞が浮かんでは消えていた。
あなたはあなたの力じゃなにもできない。なにもできていない。
大丈夫。私には私の家庭がある。ようやく安定した妻と長男。新しく増えた次男。そして娘だってもう少しで長男が安定したのと同じ年頃になる。
きっとうまく行く。私の歩んだ証明がこの家族だ。
そう何度も自分に言い聞かせていた。
しかし、
この日で“おやすみ”が終わったことなど、
私にはまだわかっていなかった。

【つづき】⇒~袋小路~

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  • 夫。30代。
    定型。フリーのデザイナー。
    自宅で仕事をするかたわら、家事・DIY・訪問営業撃退に勤しむ。 本人は定型だが、何かしら発達障害との縁が深い。
    心労と過労で3度倒れ、一時はうつ状態に。 ところがどっこい完治なタフガイ。

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