ASDでACの妻と
アスペルガーのこども2人を持つ
定型夫の研究帳を公開します。

Category:軽度アスペ・ACな妻

アスペ妻の記録~子どもと向き合う決意~

2014-03-20 Category:軽度アスペ・ACな妻

妻の変化

私が倒れて以来、妻は変わろうとしていた。
自分の仕事に対する消極的な態度、子どもたちへの教育への関わり方。私のいない家で今までのこと、これからのこと、問題になった部分に目を向ける。あきらかに目が違うし、しゃべり方もハキハキしている。
『スイッチが入った』といった感じだった。
割り振られないと手をつけようとしなかった仕事も、自分で一日のスケジュールを立てて取り組み、子どもたちの様子も見ようとしていることが会話から受け取れた。今までとは違う『意識的な活動』が妻から感じられていた。
入院から5日ほど経ったある日、24時間点滴こそ外れていないが、大分腹痛も下痢も治まり夜ふつうに眠れるようになる程度に回復していた。
その日、洗い物回収などで面会に来てくれていた妻に切り出してみた。
『そろそろ、子どもたちも面会に連れてきたらどうだろう?』
新しい環境などに来ると舞い上がってしまったり、人がいると落ち着きがなくなる長男。お出かけ時にふつうでいられたことのない娘。
父親の不在に寂しいかもしれないが、お見舞いは止めさせておこうというのが、入院時に妻と決めた方針だった。前までの妻だったら、子供がおかしくなっても気に留めず、子供が好きにするに任せていただろう。しかし、今の彼女なら動けそうな気がする。
妻も同意し、帰っていった。

子どもたちのお見舞い

そして次の休日、妻は子どもたちを連れて来た。
数日ぶりの子どもたちだが、妻が連れて来たタイミングが悪く、最悪のコンディションだった。長男は機嫌の悪そうな表情で目が泳ぎ、落ち着きが無い。娘は無表情のまま。他の部屋や初めて見る入院棟の設備に気が行って落ち着きが無い。
妻はといえばそんな子どもたちの様子が『想定外』だったのか、困ったような顔をしたまま、特に注意らしい注意もせず、ただ黙って立っていた。
ふたりとも私には一切興味を示そうとしない。やがて妻から与えられたパックジュースの取り合いで喧嘩を始めたため、すぐに帰らせた。
妻と子どもと関わると、よくこういった事が起きる。『よりにもよって何故今こうなる?』
ただでさえ子どもたちが不安定になるであろう外出で、一日中空いているのに、わざわざ昼寝をズラして連れて来た意味は?
喧嘩すると分かっていて、なぜジュースを一つしか与えないのか。そして、そうなっていても妻は子どもたちをたしなめようとしなかった。
妻は『今までごめんね。これから頑張るから』と言ってはくれたものの、これではなんの変化もない。
急に退院後の生活がリアルに頭に浮かび、気持ちが暗くなり始めた。
『どうせ変わらないんじゃないだろうか……』

我が家へ

遺恨の残る子どもたちのお見舞いから2日後、ようやく退院日を迎え、帰宅することとなった。妻は色々と考えていてくれたらしく、夕食の準備に打ち込み始める。
子どもたちは保育所。
いつも食事の用意は私が担当だったが、今日はゆっくり……
できなかった。
妻が考えていた献立を作り上げるには、妻の段取りでは間に合わなかった。子供を迎えに行く時間が近づいてきた時、明らかに妻の表情に余裕がなくなっていく。
『ぼけーっとしてるのも暇だし、なんか動きたいから、俺もちょっと手伝っていい?』
妻のホッとした表情、そして同時にどこか曇る独特な気まずそうな顔。ふたりで用意し、少し遅めのお迎えに妻は保育所に向かった。
この夜の記憶は正直いってほとんど残っていない。
おぼろげに憶えているのは、早々にぐずりだし、怒らせるような態度を連発して食事どころではなくなる娘。
テンションが定まらず、結局『ごっくん』出来ずにグズグズ泣き出す長男。
その間、子どもたちに何もしない妻。
そして私はフォローも謝罪もされないまま、自分で後片付けをし、床につく。そう、なにも特別でもない『いつもの我が家』があっただけだ。退院祝いの夜に、憶えているほどの何かなど、どこにもなかった。
■今だから分かること
ここまで書いてみて、今なら自閉症スペクトラム(アスペルガー)のだからこそ起きた、彼らならではの行動の真意が手に取るようにわかります。
子どもたちは子どもたちなりに、心の振れ幅があったからこそ起きたこと。妻のスケジューリングの余裕の無さは、本人なりに『大切なこと・優先順位』を、大きく捉えてしまっていたこと。
今の彼らはそうならない方法を会得しつつあります。
しかし、当時はお互いに解りませんでした。
だからといって、私は彼らをただ責める気もありませんでした。自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)を知らなくても、『彼らはそれぞれ“こうなる”事が多い』といった経験上のパターン観があり、そこを責めるべきではないことはなんとなく理解はしていました。
ただ、こういう場合に原因となっている行動原理を知らなければ(この場合はAS)、同じような立場にある定型の家族は、こう思いかねないんじゃないかと思います。
『なんで私だけこんな目に合うんだろう』
当時の私は時折そう考えかける時があり、同時にそんな事を考えてしまう自分の罪悪感に苛まれていました。

【つづき】⇒~妻、初心忘れる~

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  • 夫。30代。
    定型。フリーのデザイナー。
    自宅で仕事をするかたわら、家事・DIY・訪問営業撃退に勤しむ。 本人は定型だが、何かしら発達障害との縁が深い。
    心労と過労で3度倒れ、一時はうつ状態に。 ところがどっこい完治なタフガイ。

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