ASDでACの妻と
アスペルガーのこども2人を持つ
定型夫の研究帳を公開します。

Category:軽度アスペ・ACな妻

アスペ妻の記録~不安のコントロール~

2014-11-14 Category:軽度アスペ・ACな妻

人心地

子供たちが寝静まり、色々あって一日遅れとはなったが、【娘の修園遠足までお疲れ様会】を夫婦で開催した。
私『おつかれさま~』
妻『おつかれさま~』
私『しかし……』
妻『うん、それにしても……』
私・妻『すっごく、食べたね』
夫婦のユニゾン。それも無理はない。大分食べるようになったとはいえ、それでも少食な娘が、恐ろしいほどの集中力で食事に向かったのだ。それも【味わいながら】という、本来の食事そのものの、味に対する感情を見せながらである。
無感情に食べる。
娘には普段やはりどこか食事に対して、【言われているから食べているし、真面目なフリをしている】というような、“不本意”が感じられる姿勢が多い。自分の好みのレトルトカレーなら味わって食べようとする姿があるが、それ以外の食品に対しては、どこか“合わせて”いる。
その娘が今日、出された夕飯を本気で味わって食べていたのだ。一つ一つを味わいながらそれも大量に。
昨夜、夕飯を抜いたから空腹だった? いや、それもあるだろうが、そうやって夕方に家族といられなくなって食事を取らずに自室で過ごしたのは今までも何度もある。その後の食事はと言えば、やはり興味なさそうにボーっとしながら食べることが多く、【美味しそうに食べている】事はほとんどなかった。
実は今回、娘が妻から叱られた事は【理由も聞かずに怒った】ことだけではなく、お菓子にばかり想いを寄せてご飯を蔑ろにしたことも含まれていた。自分がなぜ怒られていたかを理解し、かつ【自分が何を分かっていなかったのか】を彼女が理解した時から、食事を蔑ろにしていた自分の言動も思い出したのだ。
叱られていた事の全てのキーがそろい、彼女の中で【守るべきことの見通し】が立った瞬間、わずかに残っていた離人感も払拭されたようだ。
娘『おなかすいた。ごはん、たべたい』
朝昼も食べてはいたが、まだ“心ここにあらず”だったのだろう、そして感覚鈍麻を増幅させていた離人感が抜けたことで、彼女の肉体本来の欲求がストレートに意識に訴えかけたのだ。
そりゃあ、食べて当然である。彼女の肉体からすれば、何ヶ月ぶりの【求めた通りの食事】だったのだから。彼女は全ての【不理解】を直接意識し、それを理解したことで実感を取り戻して人心地ついていたのだった。
同時にそれは妻も同じことである。

妻の見せた正解例

昨日は娘の問題があったため、どうにも遠足の会話では盛り上がる気にはなれなかったのだが、流石に最後の遠足だけあって、他の子もいつになく楽しそうにしていたらしい。妻のおみやげ話に花が咲いていた。
妻『そうそう、~~くんって男の子がね、なんか楽しさを超えちゃって、下ネタを言い始めたんだけど、それが熱に浮かされたように繰り返しててさ。もうあそこまで飛び抜けて連発されると何だかツボに入っちゃって、バスの中で爆笑しちゃった。“もう俺にはこれしかない!”って羽を広げてる感じ』
私『あー……、なんか分かるわそういうの。子どもってあるよね。普段は抑えてる事だけど、楽しい場所で大人も上機嫌で、いろいろ緩くしてくれた時に嬉しさ超えちゃうの。で、それをうちの娘は【許さない派】だあね』
妻が人差し指を立て、何かを思い出すような表情で止まった後、その指を私の鼻先に向けコ◯ンボよろしく、渋い味わいの表情で言い放つ。
妻『それだ! そう、あの子はそこでも怒りだしてたわ!』
私『……で、最初はその男の子に、その後、笑ってる君に対して怒った』
再度、妻が人差し指を立て、何かを思い出すような表情で止まった後、その指を私の鼻先に向けコ◯ンボよろしく、渋い味わいの表情で言い放つ。
妻『それだ! それについてもその時、説明したんだよ。“いつもはやらないようにしている事でも、楽しい時くらいはちょっと許そうって事もあるんだ”って。でもダメだったなぁ……むくれるのを止められなかったんだよ。まあ、しょうがないよね』
私『いやいや、それはその時止めるのは難しいし、起こさないようにするのも難しいよ。ふだんあまりないシチュエーションだしね。それよりも君はここまでの対応が完璧過ぎるぐらい完璧だったんだけど……自覚ある?』
一瞬の間を置いて、妻の首が上に伸び、目が開く。
妻『フェっ!?』
私『何鳥だよ……。いや、遠足に際して、特に予想を立てて話し合いを設けた訳でもないのに、娘の行動がパニック気味に爆発しても、リタイアになるまでは行かせなかった訳でしょ? それって、毎度完全理解まではされなくても、ある程度怒りを暴発させない程度の納得があったってことじゃない』
妻『いや、まあ、ねえ、えへへへへへ……』
私『さらに、帰ってくるまでの間にも、娘の問題点をまとめて、“これだけは分かってもらわないと困る”って判断を下したんでしょ? それは娘への適切な判断とかの前に、“自分がどうしたいか”が持てていた証拠だよ』
妻『まあ、なんて言うかねぇ、うへへへへへ……』
私『それを自分で迷いなく動いてた。以前の君だと“どうしよう”ってグルグルしちゃって、誰にも相談する発想も、相談していい事かも分からなくなって、フリーズしちゃってたんじゃない? でも、今回、それが相談できたら“御の字”だったのに、自分で出来る範囲をしっかり進めて、分からなくなった所でバトンタッチまで出来た』
凄く、妻の首が上に伸びている。褒められるのに弱く、また褒められることに妙な執着を見せる習性がある彼女だが、なんかもう、首が上に延びるほど有頂天だ。
私『しかも、今、急に娘に対して“止められなかった”って負の側面に気がついたにも関わらず、それが【全て】にならないで、“まあ、しょうがないよね”って言ってたんだよ? これがどんな事だか……ああ、もういいや、呑もう』
その後、もう何かの鳥みたいになっている妻と、娘の修園遠足終了を祝い、楽しんだ。

不安のコントロール

妻がなぜ事前の打ち合わせも無いまま、不慣れな環境の中で、娘が起こした不測の事態に迷いなく動けていたか。それは言うまでもなく、【不安】を生み出すパターンから外れていたからだ。
妻も長男も娘も、そして次男や私もそうだが、人間はどうしても【分からないもの】に対して不安を持つ。その不安は心を不安定にしたり、思考するための基盤を揺るがしてしまう状態になり、様々な不安症状を生み出してしまう。
怒り、不安感、閉塞感、離人感、思考停止、焦燥感……などなど。
私と次男の定型組と、妻・長男・次男のASD当事者組に分けてみると、私達はこの【不安】を生み出す【分からない】とどう付き合っているかに大きな違いがあるように思える。
【分からない】事に対して、その場で調べるか、期間付きの先延ばしにするか、分からない理由を探すか……はたまた分からないことをネタにすることだって出来る。しかし、この【分からない】という不安感に弱いわが家のASD当事者達は、期限のない先延ばし、いや、期限のない曖昧な不安感との薄い付き合いを始めてしまうのだ。
そして、【分からない】は本当に理解ができないから【分からない】なのかと言えばそうでもない事が多い。実際は理解しているにも関わらず、そこに集中した意識をもてないでいる状態がある。それは、ふとした迷いや二つ以上の未解決な事柄が浮かんだことによる戸惑いなのだが、そこから感覚過敏や離人症などの症状が強くなり、余計に分かりにくくなってしまうのだ。そして、解決できないということに胸を痛め、自己評価を下げてしまう。
つまり、純粋に【分からない】パターンと、ちょっとした思考の停滞から立ち止まりが起き、【分からない】時と同じ不安状態を引き起こしているパターンである。
妻が今回の遠足で、安定して状況に対する対応を取れていた大きな理由は、この二つのパターンを把握していることで、【自分はどう思っているか・自分がどうしたいか】をある程度把握出来ていた事にあるのではないだろうか。
まず、娘の特性から【こういう時はこういった行動を取る事が多い】と、ここまでの期間、毎日のように言葉に変えて【目に見える化】を続けてきた成果が出ている(※過去記事⇒アスペ妻の記録~すれ違いの本質~)。
本来は娘自身が、自分の気持ちや認知のズレを自覚するための、指針作りのための学習だった。しかし、それを4~6歳までの期間続けるには、親である私達が事細かに推理し、確認していく事が必要だったのだ。
その経験が今、妻に娘の行動が【分からない】とはさせなくなっている。
同時に娘の問題行動を、極大化させない効果をも生み出していた。
ただ、それだけでは妻のコンディションの低下によって、今まで何度でもパニック状態に陥る可能性が高い。おそらく修園遠足が半年早ければ、妻はパニックに陥り、1~2週間は離人状態となり、仕事や家庭での行動に障害が出ていただろう。
今回の妻の安定の最も大きな成果は、そうした彼女のコンディションを上下させている、他の不安症状を大幅にカット出来ていたことにある。
適切な疲れの感じ方、音に対する対策(デジタル耳栓完備)、“どこまでやるか”の線引による擬似完璧主義の防止、様々にあるうちの“どれかひとつは終わらせる”意識……など。彼女が思考メモリを奪われ、小さな不安から急速にフリーズへと向かわせる、自分の感覚の【目に見える化】と対策が済んでいたのだ。
例えひとつひとつの特性を治せないにしても、それが起きている時に自分がどう感じるのかが見えていて、それ自体が【不安】という感覚ではないと分かっていれば、かなりの低減が見込める事も。
これが単純な【不安】とは違う、擬似的に【分からない】時と同じ状態になってしまうパターンを止めていたと考えられる。
これらの中で何より大きかったのは、【楽しく愚痴る意識】。上手くいかないことを、上手くいかないという話題に冗談として昇華してしまうテクニック。彼女はそれをその場その場で口にしなくても、文章として思い浮かべようとするだけで、問題に対して良い意味での距離感を保てていたのだ。
この距離感が非常に大切で、問題を近く考え過ぎたり重く考えていると、防御本能から見ないふりや反発が生まれ、やや下がってもその問題にとらわれてしまうことになる。逆に遠く軽すぎても、その問題に決着を付けない限り、無意識のうちに長期間にわたってジワジワとメモリを奪われてしまうことがある。
つまり、彼女はトータルで目の前に起きている問題との、正確な関わり方の距離をつかんでいられたのではないかと言う事である。彼女に必要だったのは、解決策でもメントレでもなく、その距離を感じるための指針と見通しだったのではないだろうか。
初めて母親になった時から、彼女の中で何かが変わっているのかと言えば、我慢強くなったのでも、不安に負けない心を持ったのでもなく、彼女は彼女のまま自分らしく生きている。また、何か小難しい理論を覚えてきたわけでも、新しい思考方法を身につけてきたわけでもない。
自身の感覚の【目に見える化】をじっくり行い、見通しを獲得してきたのだ。
……実際、これが正しいのかどうかは分からないし、素人の私ではここで起きている分析など何の根拠も説得力も作り出せない。たまたま運のいいことが続いているだけなのかもしれない。
しかし、それでも妻はこの2ヶ月以上もの間、一度もパニックを起こしていない事は確かだ。それは不安をコントロールできているということ。
妻が得た不安のコントロールとは、様々な特性や認知のズレの確認と、それを不安だと感じる自分を理解することだったのかもしれない。

【つづき】⇒アスペ妻の記録~人の失敗に責任を感じる~

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  • 夫。30代。
    定型。フリーのデザイナー。
    自宅で仕事をするかたわら、家事・DIY・訪問営業撃退に勤しむ。 本人は定型だが、何かしら発達障害との縁が深い。
    心労と過労で3度倒れ、一時はうつ状態に。 ところがどっこい完治なタフガイ。

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