ASDでACの妻と
アスペルガーのこども2人を持つ
定型夫の研究帳を公開します。

Category:軽度アスペ・ACな妻

アスペ妻の記録~砂の中の一粒~

2014-04-13 Category:軽度アスペ・ACな妻

書いてある内容をちらっと

転落

目が覚めても起き上がれない日。前日のアルコール? 体調不良? 起き上がれる気がしない。
とにかくだるい。
私が布団の中でそんな事をしているうちに、妻は子どもたちを保育所に送り、洗濯機を回し、細々とした家事を済ませる。
私はなんとか昼過ぎには立ち上がれるようになり、夕方に向かい気力が出てくるので仕事をこなすが、夕方になるとまた気分が激しく落ち込む。
そして、子どもたちの帰宅、娘の帰宅。
私は食事を作り、妻が子どもたちに食べさせる。
私は娘がパニックにならないよう、テーブルから離れたキッチンの一角に椅子を置き、視界に入らないように静かにひとり飲む。
私がいると荒れやすいからといって、私がいない状態を作るのは余計にまずい。それくらいの判断はまだ出来ていた。
夜、子どもたちを寝かしつける妻、しかし、妻は夜が弱いのですぐに寝てしまう。
私は目が冴え、思考が激しくまわり、不安に襲われだす。
過去の嫌なことや失敗ばかり、今、上手くいっていないことばかり、これから先、続くであろう【頑張らなきゃいけない】時間のこと。
そして、吐く。
でも、また酒を飲む。
飲まないと眠気が来ない。
飲まないと孤独が埋まらない。
飲まないと不安が止まらない。
眠気に襲われるまで飲んで、布団に入る。
朝、起きると、妻は子どもたちを保育所に送り、洗濯機を回し、細々とした家事を済ませる。
なんとか昼過ぎには立ち上がれるようになり、夕方に向かい気力が出てくるので仕事をこなすが、夕方になるとまた気分が激しく落ち込む。
そして、子どもたちの帰宅、娘の帰宅。
また酒を飲む。
朝、起きると、妻は子どもたちを保育所に送り、洗濯機を回し、細々とした家事を済ませる。

底を這う

起き上がれない日が、だんだんと増えていく。
妻は私に小言を言うでもなく、妻は子どもたちを保育所に送り、洗濯機を回し、細々とした家事を済ませる。
それは私が一日起き上がれなくなっても、何も変わらなかった。
気が付くと、仕事への不安も膨れ上がっていた。
それが追い打ちとなり、余計に惨めな気持ちになる。
飲まないと考えてしまう。飲むとその時は辛くない。
起き上がれない。
時折動ける日に気力を振り絞って、一気に仕事を終わらせる。思考力がいつもの6割も働いていない。そして終わればさらに沈んでいく。
それでも妻は変わらず、子どもたちを保育所に送り、洗濯機を回し、細々とした家事を済ませる。
ふと、妻に聞いてみた。
『どうして俺を起こさないの?』
妻は困ったように首をかしげ、
『……つらそうに寝ているから』
分からない。もう、その言葉はどんな意味で言っているのか分からない。それ以上はただ困ったような顔で口を閉ざし、語らなかった。
私がつらそうで心配しているってことか? 私がつらそうにしているを触れにくいってことか?それとも、本当はずっと寝続けても構わないんじゃないのか?
いつも通り彼女の言葉は足りなかった。
ある日、深夜にひとり飲みすぎて意識を失い、翌朝冷たい床で目を覚ました。
不安そうな長男の顔、私がいることで青ざめながら顔をそむけて、もう演技なのか本気なのかもわからない表情でたたずむ娘。長男がつぶやいた。
『おとうさん、だいじょうぶ?』
今何時なのかと、近くに落ちていた携帯を開く。
そこには昨夜に検索していた、あるサイトのページが開かれたままだった。
『……だいじょうぶ』
携帯を長男から隠すようポケットにしまい、寝室に逃げる私。それと入れ替わるように、妻がリビングへと向かっていった。
妻は子どもたちを保育所に送り、
洗濯機を回し、細々とした家事を済ませる。
私の頭には『息子にまで迷惑を掛けてしまった』と巡っていた。

心の風邪

今、自分を襲っているこの虚無感は何なのか。私はその名前をよく知っていた。
耳鳴り、視界の狭い感じ、朝の耐え難いだるさ、歩き方の変貌、気が付くとうなだれる頭、酸素が頭に入っていかない様な、延々と続く頭の重たい感覚。突如涙が止まらなくなったり、布団の外に不安しかないような恐怖感。
うつ─。
それは今までの人生で、身近な範囲の中、軽いも重いも合わせて何人も見てきた。そしてそのうち、私の周りから3人の命を奪った病の名前。
その3人の共通点は自殺だった。
分からないはずもない。彼らから聞いていたのと同じ感覚、ふと鏡に写った時の表情と目、人に相談しようと思うとそれすら手の付け所がなく感じるような不安。彼らに聞いていた通りじゃないか。
そして連日深夜、私が酩酊状態で検索し続けたキーワードは
自殺
楽になりたい気持ち、ふっとどこかに行きたい気持ち。でも、どこに行ったって、この家族から逃げたという自責からは逃れられないという拘束。少しずつ確実に、思考がすべて『自殺』への決着に向けられていく。ポジティブでもネガティブでもなく、それしか答えがないように思えてくる感覚。
そこに触れている状態が『心地よさ』でも『安心感』でもない、『逃げ』でも『隠れ』でもない、長く逃げ続けた罪で裁かれる『あるべき形』に戻るような安定感。
よく、自殺を甘えだとか間違いだとかの観点だけで止めようとする人がいる。私もかつてはそうだった。論破しようとしたり、筋道だてた話術で現実に引き戻そうと、相手に向かったことがある。
今なら分かる。それらは全て意味がなかった。
例えば生まれて初めて風邪をひいて混乱している人に、鼻水が出ていることが健康な時と比べておかしいと伝えて何になるだろう。『体に菌が侵入したアレルギー反応として鼻水が出ている』と理解させてやればあるいはわずかな安心の材料になるかもしれない。
『自殺』にとらわれる者は、思考の終着点を持って行かれているのだ。その答え自体の正誤ではなく、そこにしか終着がいかない状態になってしまう錯誤。だから『自殺』をどんなに否定しても、その人には響かない。いかなきゃいけない先が、どれだけ汚れた場所なのかを教えられているだけ。その辞令には変わりがない。
なぜ『自殺』にとらわれているのか、錯誤を自覚させてあげればいい。それは心の風邪の症状の一部なのだと。そうすれば少しは錯誤という本当の敵の存在を認識できる。
その『とらわれ』から外れるには、周りがそう諭さなくても、ふと自分で何かしらの決着が着いたり、その錯誤を飛ばすようなショックがあると我に返ることがある。
そう、私はその時、『錯誤を飛ばすようなショック』を受けたのだ。
涙と鼻水でベタベタになりながら閲覧していた自殺サイト。結局自分と同じような悩みの人間などいるはずもない、ところがある日、そんな中に一人自分と似たような悩みで書き込んでいる人を見つけたのだ。
【妻は私も家庭にも無関心、子供が障害で悩んでいて、うつになり仕事も失った─。】
その書き込みは古く、すでにレスのつけようもなかった。本人はどうなったのか確認も取れない。
しかし……、障害? 赤ちゃん時期は自閉症を疑ったことがある。3歳後半からは精神を疑ったことがある。しかし、そのどちらも一致することはなかった。
その頃まで、私は娘の行動の検索を
『◯歳 子供 なつかない』
『子供 癇癪』
『子供 しつけ うまくいかない』
などのキーワードで検索していた。
その時、私は障害という観点も含めて検索を掛けた。娘に近い検索結果が徐々に増え始める。
そこからついに私は娘を【説明】できるキーワードに辿り着いた。
アスペルガー症候群
そこに私の娘がいたのだ。

【つづき】⇒~娘の診断結果~

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中の人

  • 夫。30代。
    定型。フリーのデザイナー。
    自宅で仕事をするかたわら、家事・DIY・訪問営業撃退に勤しむ。 本人は定型だが、何かしら発達障害との縁が深い。
    心労と過労で3度倒れ、一時はうつ状態に。 ところがどっこい完治なタフガイ。

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