ASDでACの妻と
アスペルガーのこども2人を持つ
定型夫の研究帳を公開します。

Category:軽度アスペ・ACな妻

アスペ妻の記録~渾身の弱音~

2014-07-04 Category:軽度アスペ・ACな妻

消極的の裏側

例えば上司が新しい事業の模索をしていて、
この中に~~を分かりそうな者はいるか?
と、社員全員に聞こえるように尋ねたとして、
そこにいた誰もが、一度は耳にしたことがある程度の知識しかなかった場合。
そこで前に出る者は大きく分けてふたつだろう。

A“なんとなく知っている”ことを、“分かる”と感じて見切り発車するタイプ
B“よくは分からないが、調べれば出来るかも知れない”と可能性を考えるタイプ
A】は途中で周りを巻き込んでいくか、挫折する方向に進みやすい。なぜなら自分の力量や“分からない”場合の想定が抜けているからだ。自己主張が強かったり、評価の先を自分の人間性に求めるタイプかもしれない。行き詰まった時に投げ出す可能性が高いが、責任を棚上げする傾向にある。
B】は卒なくこなす可能性が高い。“出来ないかもしれない”という観点もあるため、行き詰まった場合にも押しつぶされにくい。自分の価値を他人に評価してもらうのではなく、目標を進行させることとしているため、失敗しても自らの評価を貶めることが少ない。責任は責任、自己評価は自己評価ととらえているので、反省しつつ後ろめたさも持たない。
逆に手を前に出ない者の方が、職場という性質上、比率的に多くなるものだが、そこには大きく分けて3つのタイプがあるのではないだろうか。
C“たぶん分かるだろうけど、その面倒臭さと責任の重さ”から黙っているタイプ
D“ちょっと考えても分からないから”や“苦手だから”と自制するタイプ
E今、“分からない”という事実を責任問題のようにとらえてしまうタイプ
C】が圧倒的に多いように思う。仕事全般にも言えることだが、“勤めていく”ことに卒なくこなしていけるタイプで、実際に任されたとしても、抱え込まずに柔軟に対応していく事が多い。ただ、それ以上のことも目指さないので、経営方針によっては良くも悪くもなる人物。Bと同じく、責任は責任、自己評価は自己評価ととらえている。
D】もCに次いで潜在人口が高い。リスクへの察知能力があり、維持していくことに能力を発揮するタイプが多い。やや責任に対して自己評価が噛んできていたり、人の目を気にする傾向があるので、責務の変化を嫌うことが多い。責任と人そのものの評価が近いので、自身が責任者になった場合は、他人に厳しくなることがある。
E】Dと似ているようではあるが、責任などのとらえ方を極端に人間性に絡めて考えてしまう。物事の成功や失敗、出来るできない、持っている持っていない等の両極思考が強く、“同じかそうでないか”へのこだわりも強い。そのため責任の発生や責務の変化に対して動揺しやすく、そこへの反応も“受け止めすぎるか、全く他人事か”の両極に走りやすい。
極端な例での極端なまとめ方といえばそれまでだが、“参加すること”ひとつ取っても、人によってどこまで責任と感じ、自らの価値と比べているかが大きく違うことには変わらないだろう。
妻は【E】のタイプに属している、長男と娘は【E】に【A】が入ってくるが、これは幼いゆえの状況認識の甘さが強いため、それほど問題視はしていない。
なぜわざわざこんな心理テストのまがい物のような例を上げたのかといえば、この【責任】と【自己評価】のあり方と影響が、わが家の止めどなく続く停滞の原因を紐解くことになったからである。

夫の抱える無力感と焦燥感

思えば娘が生まれた辺から、まさに怒涛の時間だった。
文章に起こしたものを、人がさっと目を通して行ったのなら、それは妻と長男・娘の自閉症スペクトラム症(アスペルガー症候群)の性質に対して、順調にアプローチしているように映るかもしれない。
では、私は前向きな心で立ち上がってきたのかと言えば、それも正確ではない。
そんな事を考える余裕もヒマも、波状で繰り返される問題の前には持てず、ただただ火消しに走っていたようなものだった。
家族5人のうち3人がその特性を持ち、定型者が私と3歳の次男だけとなれば、それはほぼ自分一人で家族全てのフォローに回る状態になりかねない。
これは苦労自慢などでもなんでもなく、実はわが家のあり方そのものとして、その将来性に関わる問題でもある。家族の過半数以上がASDの傾向があるのであれば、その進む方向性として取るべきは【彼らが最も理解し合える場所】なのか、【彼らが安定していられる場所】なのか、それとも【定型社会で生きることを獲得出来る場所】なのか、はたまた【定型家族を再現する訓練の場所】なのか……。
一般的な将来設計の立て方として、長期的な目標と中期的な目標、そしてその間を埋めていくべき日々の目標設定が出てくる。そのためには現状をある程度正確に把握することが、その精度に関わってくる大きな要素になる。
しかし、それを考えようとする度に、私はこの“家族の進むべき方向性”で立ち止まり、わが家が“キメラ”のような世にも稀有であやふやな存在であるような不安感に苛まれていた。
子供もまだ小さく、自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の性質から言えば、幼少期は非常に先を予測しにくい。だから今、“家族の進むべき方向性”を考えても仕方のないことだと、先延ばしにしようとすれば、【ただ日々の対応に知恵をしぼるだけ】になるような状態に陥る。
───30代の焦燥感。
もしかしたら、一言で言えば私の悩みの正体など、そんなものなのかもしれない。
しかし、【20代で土地を耕し、30代で種をまき育み、40代で収穫に入り、50代でその知恵を資本にする】といった、一般的なストーリーから離れていくことは、長い一本道を地図も標識もないまま一人歩き続けるような、不安と虚しさを抱えることに似ている。
私は焦っていた。
先を決断するための要素があまりにあやふやすぎて、進むことも立ち止まり休むことも叶わない、このどっち付かずな状況に。
仕事も家庭も、その軌道に乗りかける度に、家族の誰かがパニックに陥りそれどころではなくなっていた。どこの家もそういうものだと言われれば、それだけのことかもしれない。
しかし、10年近くそれらに週に2~3回のペースで、ことごとく水の泡に帰するような事態に翻弄され続けていれば、どこにも逃れる道のないような閉塞感に苦しむことになる。
この生活の中で最も大きな苦しみは、ほんの些細なことで妻が立ち止まり、パニックに陥りだすと仕事も将来の夢も子供との関わりも巻き込んで、大きな問題に直面するまで沈み続けてしまうことだ。
それは【同じパターンでの間違い】が多く、一度対策を打って乗り越えたものでも、数カ月後にちょっとしたことから再現されてしまった。もちろん前回の対策を呼び起こせば良いのだが、そのレールに彼女を戻すためには、まずパニックを解消してからではないと何の効果も発揮できない。
パニック解消には毎度数日が費やされ、その頻度もこの2~3年は減りつつあるが、一度問題化しないと元に戻れない状態は変わらない。そしてそれは、わが家の家族構成上、非常にロスが大きい。
そして、実は今もまた、妻が明らかに反応が鈍く、無口になる停滞状態の入り口が見え始めていた。わが家は全員が安定している状態で、一ヶ月そろって暮らせたことは、今まででただ一度もなかった。

娘からのヒント

その日、私は妻と作戦会議を開いていた。議題は【娘のたどたどしさの復活】である。
ある夜から急に娘が私に対して激しく抱きついてきたり、部屋に入るなり満面の作り笑いで追い回してくるような、【距離を詰める意識】に没頭し始めた。
私がいる限り常に私を意識し、生活の全てが私と関わりのあることであるかのような、何をするにもこちらの注意を引こうとする状態。
これは今までの経験上、遅かれ早かれ意識のし過ぎで疲労し、逆に父親を恐れるように避けながら、その裏で父親から離れたことに不安を感じるという彼女独特のジレンマに突入していくのが目に浮ぶ。
何度かやんわりと【家族はいるだけでいいんだよ】と、その意識を解こうとするも、結局彼女は抗えず夕方過ぎには顔面蒼白で、歩き方すらぎごちなくなっていた。
(やっぱりダメか、娘の安定も私の勘違いだったのか……?)
そんな風に気持ちが暗くなり始めていたその夜、子どもたちの寝る時間が差し迫った時、娘はそそくさと準備を済ませた後、震えるような声で妻に声を掛けた。
娘『……お、おかあさん? わたし、さきにねてていい?』
そして、私を避けるように目を伏せ、部屋の反対側の壁を擦りながら、部屋を出ていこうとする。
私『娘……ちょっと待った』
顔面蒼白で振り返る娘。目は怯えきったように濁り、首はかすかに左右に揺れていた。
明らかに緊張状態が起きてる。しかし、このパターンもすでに学習済み、私はその理由が分かっていた。
私『体温計を持ってきて。お熱を測ろう』
ぎごちない動作で体温計を取りに行き、自分でセットして測りだす娘。
私『頭が痛い、お腹がいたい、足とか腕にジーンって痛みはあるかな?』
娘『……んー、ここのあたりがヘン……?』
胸とみぞおちの間辺をさすりながら答える。
ちょうど体温計も測定終了のアラームを鳴らした。
私『ん、37.6度ね。ちょっと熱があるよ。このところ具合が悪かったんだね。みぞおちのあたりが変な感じがするのは、これから熱を上げるための準備なのかもしれないから、気にしないでいいよ』
娘『おねつがあるの?』
私『うん、たぶん風邪だろうね。そんなことよりも、具合が悪くなるとグズグズしちゃうのを、自分で気にしすぎなかったかな?』
彼女の顔が一瞬にして生気ある色に戻った。
娘『うん。悪い子になる……から? はやくねたかった』
私『ははは、えらいな娘は。そこまで考えてくれたんだね。でも、そういう時は具合が悪いって言っちゃった方が、君もお父さんもみんな楽になるよ。具合が悪くて辛かったのはちゃんと分かったよ。後は安心してゆっくり寝よう』
満面の笑みを見せた後、嬉々として寝室に駆け上がっていく彼女の背中を見て、またひとつの謎が解けた。
私『……子どもたちを寝かせたら、ちょっと話そう』
次男の寝間着の準備を終えて、リビングに顔をだした妻は、入ってきた時の固い表情のまま首をかしげた。

全力の弱音

妻が硬い表情になっていた理由。それは以前、彼女のコンディションの悪化から頓挫していた、ひとつの仕事の進行についての不安だった。
妻『……なんとかしなきゃなぁって。あと、他にも進めなくちゃいけない仕事もあるし……』
彼女は放置していた仕事のことに心をとらわれ、今の仕事が進まない状態に心痛め、それらに気を取られて娘の変化に気が付けない自分を責めていた。
すでにそこに足を取られてから数日、すぐに相談してくれればと思うものの、彼女自身頭の中が氾濫していて、自分が硬直していることにすら気がついていなかったのだ。
私『娘はさ……、具合が悪かっただけみたい。具合が悪くなるとグズグズになって、自分が悪い子になるのを必死でなんとかしようとしてたみたいなんだ。
俺の顔色をうかがいながら、嫌な気分そのまま表に出してた頃と比べれば、もの凄い差だと思わない?』
妻『……あの娘が? そうなんだ……』
私『でもね、顔は前の時と全く同じまま、何処か怯えたようなうかがうような顔のままだったよ。取ってた行動もほとんど同じ。考えてることは違うのにね。……うん、進んではいたんだよね』
妻『………?』
疲れが溜まってきていたのかもしれない。今までの事が頭の中を駆け巡りだして、胸がいっぱいになっていた。
私『……上手くは言えないんだけど、ずっと不安だったんだよ。同じことの繰り返しで、何度も何度もやり直したり頓挫したりしながら、この家がちゃんと進んでるのか、本当に不安だったんだよ……』
妻『………大丈夫だよ。ちゃんと……進んでるよ……?』
私『いや、このまま間に合うのかって。進んでるのは分かるよ。君たちの成長は凄いんだ。それは分かってる……。でも、ごめん、俺が焦っているだけなのかもしれない……』
本心を、弱音を彼女に吐くのは、さらなるパニックを生むのではないか?
そんな不安を抱えながらも、今、何か伝えなければならない気がしていた。
私『君はよくやってくれている。本当によく頑張ってくれてる。君がいないとこの家はもたないし、俺にも生きる意味は今その他に見当たらないよ。
……でもね、これはワガママかも知れないが、もう少しだけ俺を信じてはくれないだろうか……?』
妻『……なにいってるの? 信じてるよ! 本当に信じてるよ!』
手で妻の言葉を遮った。
今、一気に言葉にしないと、また得も言われぬ不安の中に流されそうな気がしていた。
私『信じるっていうのは、たぶん君の考え方とちょっと違うのかもしれない。俺が望む“信じる”っていうのは、“自分が無理をせず、自分らしくいられるように、胸にためた気まずさも預けられる”そんな関係のことなんだよ。
君が何か不安を抱えた時に、言い出せなくなるほどパニックにとらわれていることも分かってる。だから今までも、君が口をつぐんでしまう状態になる前に、自分からヘルプを出せるようにバカバカしいほど分かりやすくルールを敷いてきただろ?

でもね、こうやって毎回、君の内部で生み出された、ほんの些細な原因でのねじれに気がつけず、後追いになり続けるのが……それで数日無碍に終わったり、勢いづいてきた流れを止められるのは、お互いの人生の中で凄く貴重な時間を浪費しているような気がして怖いんだ』

妻は静かに聞いていた。私の言葉でショックを受けたり、心を痛めて悪い方向に行く素振りはなく、じっとしっかり耳を傾けてくれているようだった。
私『俺の場合だけど、何か分からない事とか、手の付け所が分かりにくいような問題があった時はさ、とにかくそれを調べようとしたり、触れる部分を触ってみたりしてるよ。

そうすると、やっとなんだか問題がどんなものなのかが分かったりするんだ。
君の場合は自分の頭の中で、問題を把握しきれないと動いてないんじゃない?』

妻『………うん。そう……してると思う。止まってる時は特にそう考えてる』
私『じゃあそれ、頭の中に、手の内の中に、答えが無い時はどうするつもり……?』
妻『………!』
妻は自分の今までのフリーズの正体の一部を見つけて驚き、私は勢い任せの口任せで、自分の論点が落ち着いたことに驚いていた。
それが突破口になり、一気に問題点が見え始めてきた。
私『君が止まってしまう原因の一つはそういうことなのかもしれない。それともうひとつは多分自己評価の置き方なんだと思う』
妻『……自己評価?』
私『そう、ふつう何かの問題にぶつかった時、人はその時の行為や行動に対して失敗したと考えるんだよ。でも、君の場合はどんな些細な問題にしても、出来なかった自分の問題に考えていやしないか?

もしそうだとしたら、ちょっとした相談だって、自分で解決しなくちゃいけない気持ちになるだろうし、自分の落ち度を自分で認めた上で、他人に寄り添うこと自体が気まずくならないわけがない』

……図星だったようだ。妻の顔に瞬間的に生気が戻る。
妻『だから“信じてない”って……こと?』
私『……結果的にそうなるよね』
妻『ってことは~~の~~が…………』

今妻は自分の硬直や不安の正体を知って、急に軽やかな口調でしゃべり出していた。

今まで娘の行動や考え方の“キツさ”ばかり目についていたため、対照的な妻と似ていると感じたことはなかった。しかし、娘の本心を知り、妻の本質を知った今なら言える。
……こいつら本当にそっくりだ
つまり妻と娘、いや、長男も合わせて3人共、表への出し方はそれぞれ違うのに、つまづく場所もハマり込む場所も同じだったのだと、この時はっきりと理解した。
この時の理解が後に
子供の問題解決=妻の問題解決
の図式を成り立たせていくことになる。
そして同じことを繰り返してしまう理由とサイクルについても、
理解していく足がかりとなっていった。

【つづき】⇒アスペ妻の記録~すれ違いの本質~

スポンサーリンク
拡散のために
▼ランキングサイトに参加しています。クリックすると、順位が上がる仕組みです。お帰りに読んだよーの1ポチおねがいします。
にほんブログ村 発達障がい児育児人気ブログランキング
いつもありがとうございます。
アスペ妻の記録:目次
コメントを残す

コメントの方法
1:コメント枠クリックで名前記入欄が出てきます
2:名前記入欄クリックしてメアドと6文字以上のパスを記入(DISQUSなどに登録する必要はありません)
3:記入後、右の矢印をクリックで準備完了
4:コメント書き込み後、右下の『~名前~投稿』クリックで完了
5:Twitter、Facebook、Google+、DISQUSのアカウントで投稿もできます

※メアドは公開されませんのでご安心をば。
※スパム防止のため認証制にしていますので、表示されるまで時間が掛かります。ご了承ください。

comments powered by Disqus
SWITCH! 生きるのが辛い時のラクになるメソッド

ご案内

サイト内検索

中の人

  • 夫。30代。
    定型。フリーのデザイナー。
    自宅で仕事をするかたわら、家事・DIY・訪問営業撃退に勤しむ。 本人は定型だが、何かしら発達障害との縁が深い。
    心労と過労で3度倒れ、一時はうつ状態に。 ところがどっこい完治なタフガイ。

Mail

※キャリアメール(ezwebやdocomo等の携帯メールアカウント)には返信ができないことがあります。
  • お名前 (必須)
    メールアドレス (必須)
    題名
    メッセージ本文
    画像に表示された文字と数字を入力して下さい。
    captcha