ASDでACの妻と
アスペルガーのこども2人を持つ
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Category:アスペルガーな娘

5歳:他の子どもの声がうるさい・些細な事が不快│アスペルガーの感覚過敏と認知

2014-06-12 Category:アスペルガーな娘
※5歳の自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の娘を元に書いていますが、もう少し大きなお子さんの学校生活や、大人の会社環境で想像しても共通することがあるかもしれません。
家庭内でのよそよそしさと同時に、年中になってからの娘は、徐々に保育所でも問題行動が増えだした。他害(他の子を叩いたりなど)こそはないが、突如泣きだして止まらなくなったり、何も言わずにどこかに隠れてしまったり。
理由やきっかけは
【みんなでやらされる泥んこ遊びが不快だった】
【先生がお休みで違う先生になった】
【みんながうるさいから】
【どうしてこどもってぶつかってくるの?】
【朝、次男にバカっていわれたから】
……など。
しかしこれらは今までだって平気で起こっていたこと。
本人は特に気にしていた様子もなかった。
保育所でそういうことがあった日は、帰宅するなり顔面蒼白で、微妙な作り笑いを浮かべたまま硬直。少しでも刺激があると、自分のことではなくても自分のことと思い込み、完全にパニック状態か癇癪に陥ってしまう。
これが年中になってから5~9月頃まで、家庭でのパニックはほぼ毎日、保育所では何か新しい事が始まる度に起こっていた。
■今だから分かること
自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)に限らず、幼児の場合は年度が変わってからしばらくは、不慣れな環境や空気の変化に疲れ、体調不良や気分の低下などが起こる子がいます。
わが家の長男の場合は小学2年生まで、次男も多少の気分の変化が見られます。しかし、この頃の娘の不安定さは最大級で、まともな会話が全くできない状態にまで陥りました。
当時娘はパニックになることが多すぎて、自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の特性などでは推し量れず、最早なにが原因で癇癪を起こしているのかも分かりませんでした。親の感覚としては、1歳の後半から続いたイヤイヤ期が、4歳でやや大人しくなったのに、5歳になってから手の付けられないレベルで復活したようにしか思えませんでした。
外に向ける【不快感】の訴え方が、それまでのイヤイヤ期と同じ、不快な行動をとったり感情的になるしか出来ず、また【理由は言わなくても分かっているもの】とか【どうして私の考えがわからないのか】と、彼女独特の距離感の問題があったため、会話でのやり取りも通じず理由すら判別できません。
結局、この時のバタバタは距離感(“話さなければ相手はわからない”など)を理解した上で、言葉による気持ちのやり取りが可能になり、本人も落ち着いてきた頃になってようやく全容が把握出来ました。
これらの【不快感】を表す行動と、【パニック状態】の原因は様々ですが、ひとつひとつ拾っていくと次のようになります。

1:子どもたちの声

元々騒音、特に言語情報の含まれている人間の声のざわめきは、焦点が当てられず不快な騒音に聞こえていた。しかし、普段からそれが不快だと感じているのではなくて、自身に気持ちの余裕や考えるメモリが足りない場合、突如大きな不快感にとらえられていた。

2:物理的・心理的距離感の戸惑い

コミュニケーションに対し、人が物理的に近いことや、詮索されるなどの心理的テリトリーに対する感覚が過敏であった。ただし、これも普段から過敏なのではなく、【1】と同様にメモリ等が不足している時に、突如不快感に変貌を遂げてしまう。普段はどちらかと言うと、彼女自身がこのテリトリーに対しては近すぎるタイプなため、感情的に彼女に距離感の近さへの不満を受け入れて対応していると、今度は【拒否された・避けられた】と感じてしまう。

3:先生の変更やお遊戯時間のイベントなど【変化への過敏】

元々、自閉傾向を持っていながら、興味関心は定型のため、新しいことを望み新しいことに不安になるというジレンマを持っている彼女(関連記事:興味自家中毒)。ただ、判を押したような生活が続くことにも不平を持ちやすいので、多少の変化を与える必要がある。この時は様々な要因から、著しく余裕がなくなっていたため、上記【1・2】への不安感が激しく、余計に変化を受け入れる事ができなかったと思われる。
また、元々彼女は初見の大人に対して【どこまでやったら怒るか?】の試し行為が激しく、一見信頼できる大人を求めているように見える。しかし、その実は大人に求めているのは“解決・隔離・保護”などの対応への依存が強く、試し行為は単純に相手の許容量と位置関係を確かめるため。
担任の不在に対しては、特にその“解決・隔離・保護”の依存先の消失が大きな不安となっていた。余裕のある通常時は、それらの対応の必要性を感じていないので、特に問題視されない。

5:人との違い・距離感を受け入れる過渡期

本人が【他人は私とは違う】【私の考えは他人も考えてるわけではない】など、人との違いを少しずつ理解しながら、同時に【これさえやっていればいい】などの自らの手の内だけで何とかしようとする段階から、【本当はこうしなきゃいけないのかもしれない】など、薄くても前回の出来事などの記憶から“時間の連続性”を予感し戸惑っていた時期。
実際、人との距離感は主に親などの関係性や、人との関わり合い方で獲得していく。時間の連続性は“前はこうだったしなぁ……”や“これやったらこうなるだろうな……”など、前後関係を考えながら少しずつ認知していくもの。しかし、自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の特性でも、これらに関わる部分が特に薄かったわが家の娘の場合は、自分の経験から学び取ることが出来ず、ただの違和感や不快感で終わってしまっていた。
と、だいたいこれらの要因が当時の彼女の中で、理由も分からないまま不安や不快感を生み続けていたのだろうと思われます。
だから普段はなんとも思わないようなことが不快になり、また、自分がなぜ不快になっているのかも分かっていないので、理由を聞かれた時に浮かぶ事柄を挙げてしまい、時折すっとんきょうな答えが返ってくることもありました。
複数の要因が絡むと、塞ぎこむほどに余裕がなくなっていくのもわが家のASD当事者3人に共通する特徴です。この時も完全に自失している状態で常に【離人症(自分が自分じゃない感じ、自分が遠い感じ、望遠鏡を逆さから除いた様な世界観)】状態だったようです(本人の証言とも一致)。
彼女の場合は、ここではもう何を言っても無駄だと判断し、余裕を取り戻すことを優先しました。
わが家でとった対策は
とにかく一人の時間をつくる】。娘の場合は結構弱っていたので、いきなり2週間ほど休ませ、“こだわり”ではなく本心から“保育所に行きたい”という気持ちが出てくるまで一人の時間をつくることにしました。家にいる間も自室で休ませ、関わるのは必要最低限に抑え、少し元気が出てきた頃から幼児用ドリルやひらがな練習帳などの、簡単に正解を導き出せるものをこなしてもらいました。
その間、余裕のある時を見計らい、保育所であったことを思い出せたら“楽しいこと”と“嫌だったこと”に分けて話してもらい、全てに説明をしていきました。
表情の安定が1日続くのを待って、登園再会しました。その後も帰りに少しでも疲れた様子があれば【疲れているかどうか】を聞き、本人が【疲れた】と言えば自分で自室に行きたいと言うように仕向けました(完全受動を避け、自分でも言える様にするため)。
これはこの後にイベントの少ない時期に突入してしまったので、直接的に効果があったのかは分かりません。ただ、保育所でのひとりはぐれていくような行動は少なくなり、進んで参加していく様子が見られるようになったと、保育所からの連絡をうけたのでよしとしています。
ちなみにこういった娘の行動のこまやかな報告は、自閉症スペクトラム症の診断を受けた時、保育所と打ち合わせ
こういった傾向の行動があると思われるので、気になる行動や引っかかるポイントなど、なにかあったら事の大小を問わず教えていただけると助かります
と、だいたいの娘の特性による傾向を伝えて、お願いしておきました。
一般的には発達障害に関わるような行動などは、保育所側からするとデリケートな問題として、小さな事は黙っていてくれたりするのですが、わが家の娘の場合は理解するのに必要だったので率直に意見を頂いていました。スタンスとしては娘に問題が見えてきた時に、相談もしくはこちらから対策を提示といった感じで連携しています。
プロの保育士さんと連携しあうことで新たな視点もいただけますし、家と保育所での統一した対策がとれるので、お互い非常にスムーズに進んでいます。

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  • 夫。30代。
    定型。フリーのデザイナー。
    自宅で仕事をするかたわら、家事・DIY・訪問営業撃退に勤しむ。 本人は定型だが、何かしら発達障害との縁が深い。
    心労と過労で3度倒れ、一時はうつ状態に。 ところがどっこい完治なタフガイ。

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