人が何かしていると
娘『ああっ! わたしも! わたしもやりたい! やらせて!』
娘『ああっ! わたしも! わたしもやりたい! やらせて!』
人が何か持っていると
娘『ああっ! わたしも! 貸して! 貸して!』
娘『ああっ! わたしも! 貸して! 貸して!』
大人同士で出かける場所の話をしていると
娘『ああっ! わたしも! わたしも行く!』
娘『ああっ! わたしも! わたしも行く!』
外食時に誰かがトイレに立つ度に
娘『ああっ! わたしも! わたしも行く!』
娘『ああっ! わたしも! わたしも行く!』
人の行動に敏感に反応して自分もやりたがるが、【わたしも】と反応しているだけで、実際は意味もよくわかっておらず、説明も聞かないことがある。叶わなければ泣きわめくか、青ざめたように挙動不審になり、夕方~就寝直前あたりで癇癪を起こすまで、延々と思考をリピートさせる。
しかし、ふだんのお着替えやおかたづけ、歯磨き・出かける準備などのやるべき毎日の動作は、極力サボろうとしたり嘘をついてでもやったふりをして誤魔化そうとする。
■今だから分かること
自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)や発達障害に関わらず、子どもは親のやっているものをやりたがる時期があります。特にそれは3歳児ごろから5歳くらいまでによくあることなのですが、わが家の上ふたりの頻度は【一緒にいると、ちょっと動くのも億劫になる】くらい激しいものでした。
『子どもの好きなようにやらせてあげればいいんじゃないの?』よくある育児の考えではそうなりますが、わが家の長男と娘の場合は何かが違います。あまりに無軌道であること。そして、それらはやらせてもやらせなくても困惑するのです。まるで“それをやりたいと思った自分が理解できない”といった風に……。
定型の次男の場合はどうかというと、首の突っ込むパターンに彼なりの趣向があり、こちらも予測がつくので対応がスムーズに出来ます。
定型の次男の場合はどうかというと、首の突っ込むパターンに彼なりの趣向があり、こちらも予測がつくので対応がスムーズに出来ます。
この頃の娘は、私との距離感が分からず常に過剰に意識し過ぎ、私といるだけでパニック状態になっていたのですが、この反射的に首を突っ込もうとするクセは顕在でした。とは言っても、元気がある時はとにかく首を突っ込み、パニックやフリーズ時は思いついた端から【どうせやらせてもらえない……】とマイナス方向にひた走り、情緒が急降下していくスイッチに。
これは人が動いているのを認知する度、日に何度でも起こるため、やがて一人にする時間を与えないと通常の生活もままならない状態にまで陥りました。何にでも首を突っ込みますが、説明をろくに聞かないままやろうとするため、全てに置いて時間が取られてしまいますし、拒否すれば癇癪から数日間のフリーズまで一直線のために打てる手がありませんでした。
しかし、ちょっとした発想の転換で『なんでもやりたがり』は止めることに成功しました。
【それは“気がついた”って気持ちであって、“やりたい”じゃないんじゃない?】
という投げかけを、感情が揺れ出す前に返す───。
この“気がついた”他にも“知ってる・思い出した・見たことがある”などの、瞬間的にそれを認識した時の【ハッ!】とした感覚が【欲求である】と勘違いしている可能性に気がついたのです。これは3歳の次男がおもちゃを持ってくる度に、すぐに【貸して・やらせて】と奪い取るように立ちふさがっていたのを見ていて、ふと思い浮かびました。
自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の視覚優位は、認識だけではなく気持ちや欲求にも強く影響することがあるようです。
例えばそれまで喉が渇いたとも思っていなかったし、人から言葉で促されても従わなかったのに、人が水を飲むのを見たら急に喉の渇きを思い出すなど、他人の行動の後追いになるような性質(その他に寒いから上着を~とか、トイレに行きたい時など似たようなケースはたくさんある)。
これは、普段自分の体感覚や欲求の振れ幅が小さいとそれに気が付けず、視覚的に認識した時に視覚からの刺激に敏感なために突き動かされて、ようやく自分の欲求を認識したわけです。最初に言葉をかけられても反応しなかったのは、音に対して耳に入ってい入るが、認知していない状態。つまり感覚的に鈍かったからと言えます。
これは、普段自分の体感覚や欲求の振れ幅が小さいとそれに気が付けず、視覚的に認識した時に視覚からの刺激に敏感なために突き動かされて、ようやく自分の欲求を認識したわけです。最初に言葉をかけられても反応しなかったのは、音に対して耳に入ってい入るが、認知していない状態。つまり感覚的に鈍かったからと言えます。
彼女は視覚刺激で“気がついた・知ってる・思い出した・見たことがある”などの認識が強く大きくクローズアップされ、それが【欲求】と取り違えてしまったために、毎度大きな情熱とともにそれを渇望していました。だからそれを『ダメだ』と否定されれば、その思いが錯覚であるにもかかわらず、絶望していたわけです(その割に、頻度に対してダメージ蓄積が少ないことから、この絶望も錯覚である可能性がある)。
ではお着替えやおかたづけ、歯磨き・出かける準備などの【やる必要のある毎日のこと】はなぜやりたがらないのか?
これもこの理論で考えると説明がつきました。
まず、普段の事なので感覚的刺激や、認知にショックが無いため、出来事としては非常に薄いものになってしまいます。そのために使命感もなければ、“なんのためにやるか”の意図すら影を潜めてしまっているようでした。つまり、【サボろうとする悪意ではなく、それをやるための大義がないから動く発想もしくは原動力が起こらない状態】ではないかと。
まず、普段の事なので感覚的刺激や、認知にショックが無いため、出来事としては非常に薄いものになってしまいます。そのために使命感もなければ、“なんのためにやるか”の意図すら影を潜めてしまっているようでした。つまり、【サボろうとする悪意ではなく、それをやるための大義がないから動く発想もしくは原動力が起こらない状態】ではないかと。
結論としてわが家でとった対策はこうです。
【それって、なんのためにやるんだっけ?】
このように動かない時はこちらから大義や意図を思い出させます。
私がわが家のASD当事者3人に対して、共通して一目置いている点があります。それは記憶力の正確さと、再現への正確性への執着です。この時の娘も確実に日々やることの【大義や意図・理由】を、必要以上に正確な言葉で覚えていたはずです。しかし、認知に【刺激が弱いために重要ではない】とする脳の勘違いがあるため、そこに目が向いておらず思い出す発想が浮かばないだけです。
結果、大義や意図を思い出すと、はっとした表情の後に真剣に打ち込もうとします。
ここで中途半端にすると、途中ですぐに忘れてしまうため、指摘する際はしっかり顔が変わるまで。
ここで中途半端にすると、途中ですぐに忘れてしまうため、指摘する際はしっかり顔が変わるまで。
ただ、娘の場合は“判を押したように同じ対応”をすると、すぐに【これをしてさえいればいい】などの、一辺倒なパターンに持ち込もうとするため、“大義を思い出すのではなく、諦めればいい”と持ち込もうとしてしまうため、表情を見ながら指摘する必要があります。その時はもう一度しっかりと説明をしてあげています。
これを続けて現在1年ちょっとが経ちましたが、相当に気分の上下がある時や、メモリを取られることの多いイベント時以外は、自分で【これは“気がついた”だけだ】と止まれるようになっています。彼女の特性が強く出ていた認知を、習慣付けで本人も周りも楽にいられるようにできた例のうちの一つです。
これは後に同じく実施した【10秒ルール】も大きな成果につながっていると思われますが、それはまた後ほど。
これは後に同じく実施した【10秒ルール】も大きな成果につながっていると思われますが、それはまた後ほど。
【関連記事】
⇒10秒ルール
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中の人
夫。30代。
定型。フリーのデザイナー。
自宅で仕事をするかたわら、家事・DIY・訪問営業撃退に勤しむ。 本人は定型だが、何かしら発達障害との縁が深い。
心労と過労で3度倒れ、一時はうつ状態に。 ところがどっこい完治なタフガイ。
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