ASDでACの妻と
アスペルガーのこども2人を持つ
定型夫の研究帳を公開します。

Category:アスペルガーな娘

5歳:先生・親族・親の友人などの大人を試す│アスペルガー娘の距離感と依存度

2014-06-23 Category:アスペルガーな娘
家に友人や親族が来た時や逆に訪問した時、新しい先生が来た時などは、必要以上に気を引こうとしたり、あからさまに大人を試すような行動をとる。これらは不思議と、彼女自身のお友達のお父さんお母さんにや、近所の大人にはそういった行動はとろうとしない。
具体的にはふだん禁じられている事をわざとやったり、それを一緒にするように促したり。また、寂しいフリをしたり、必要以上に特定の人物に甘えようとしたりもする。
これらの行動はかなり目立つようにしていて、なんらかの反応がない限り自分から絶対にやめることはない。結果的にこういった集まりの時は、テンションを上げすぎて短時間で潰れるか、こういった試しに夢中になってしまう。
特に長期化・激化するのは、保育所の新しい担当の保育士さんや、親の友人などが泊まりに来た時である。
■今だから分かること
2歳後半くらいから始まり、4歳で激化。5歳で激しさはなくなったものの、最大効果を生むために上達しただけではないかと思うほど洗練されていきました。
こういった行動は定型(いわゆるふつう)の子どもでも行いますし、大人でもする人がいたりしますが、娘の場合は自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の特性も合わさって、頻度や程度が極端になりすぎる傾向があり問題になりました。
定型や大人のASDの場合でも、多少の違いはあれど、基本原理は同じではないかと思っています。

注意をひくための行動

大人が自分に対して、どれほど好意的で甘えられるかなどの直接的な試しが多く、ふだんはやらないような過去に注意された【いけないと分かっていること】を繰り返すことがよくありました。
ここで止めようとしたり、注意をしてこない相手の場合、今度は親の注目を引くための行動に利用されてしまいます。お決まりのパターンとしては、ふだん身体的な接触をそれほど求めてこない彼女が、その相手にベッタリとくっついて離れず、首に手をかけながらこちらをチラチラと誘うような演技が始まります。
逆に構って欲しいのに、あまり自分に興味を向けないタイプの大人の場合、こちらにベッタリになり、全く同じことを相手に向けて演技をしていました。
単純に多くの大人がいるにもかかわらず、自分に注目が集まらないことや、相手をしてもらえない事への自尊心の防御でもありますが、もうひとつ自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の特性も関わっていると思われます。
それは
1対1ならコミュニケーションが続くが、複数の場合は非常に疲れやすい
という部分と、
意味合いのある言葉が氾濫しているざわつきをカットできず混乱しやすい
といったところでしょうか。
この特性が引き金や増幅器のかわりになり、これらの行動を起こす原動力になっているような気がします。
おそらく本人も意識していないであろう心理としては、こういったものもあるのかもしれません。
“不快な騒音”に疲れ、特定の人物とのコミュニケーションに絞ることでストレスを軽減。もしくはこれらの騒音に関わっていたり、止められるであろう人物を独占することで止めようとしている。

複数の人間同士のコミュニケーションに入ることは不可能なので、注目を自分に向けさせ自分の会話に操作することで多対1の構図になり、なおかつ自分に向けられる会話になれば1対1と変わりがないので安心する。

距離感や自分の立ち位置を把握できる能力のある子であれば、自分に注意が向くものではないことやそういった状況ではないことを察知すると、子供同士の遊びに移行したり自由な過ごし方を始めます。
娘の場合はこの【距離感や自分の立ち位置を把握】できなかったために、何としてでもそこの環境で自分を置こうとあがいていたようです。無理な工作で頭をフルに稼働しているため、後半からの反動が激しく、必ずと言っていいほどグダグダになっていました。
また、『大人の話だからわからないよね。向こうでお兄ちゃんたちと遊んで来たら?』などと声をかけると【否定】ととらえられ、激しい癇癪を起こしたり止めどなく泣き続けたり。
結果、彼女のいる時は会話になりませんでした。
“子どものいる家では当たり前なのかもしれない……”と、諦めかけていた頃もあります。

新しい先生を試す

言うことを聞かなければならない関係にある場合、彼女の試しは過去に私に向けたのと同じ様な方法で、相手の能力を測りに行きます。
具体的には
・わざと怒らせる態度をとる
・見えるか見えないかの場所で悪戯などを行い、気がつけるかを試す
・自分がグズった時にどう出るかを見るためにわざとグズる
・意地悪な質問をして反応を見る
・隠れるなどして必死に探してくれるかを試す
……などです。
わざと怒らせる態度をとる
どれくらいの事で怒るのかを見るのと同時に、怒った時にどれだけ自分がリスクを背負うのかを測っています。この中には“分かっているけどわざと言うことを聞かない”のも含まれています。要は自分のリスクを把握しようとしている行為です。
見えるか見えないかの場所で悪戯などを行い、気がつけるかを試す
彼女にとって“ルールはその場所ごとに違う”というものと、“どこでもやってはいけないことはある”などの例外の関係が把握できていなかったため、禁止事項を隠れてすることが多かった背景がありました。
試しとして使っているのは、その自分にとって“どこまで見抜ける相手か”を探っている状態です。ここで見抜けない相手の場合、かなり下に見られる危険性があります。
“神様はいつでも見てるから悪いことはいけない”という言葉を非常に恐れていて、“いつでも見ている相手”に対して恐れるという特性も要因のひとつでした。
自分がグズった時にどう出るかを見るためにわざとグズる
特に嫌な気分でもないのに、突然不機嫌になったり、寂しいなどの態度を全面に表します。本当にそうである時と比べて、癇癪がないことや耳打ちをするような小声になるのが特徴です。
こうすることで自分が本当に困った時に、適切に動いてくれる相手かを試しています。
意地悪な質問をして反応を見る
わざと答えられないような質問やクイズを唐突に始めます。ここで見ているのはおそらく言語力です。彼女にとっては自分が納得できる話かどうかが非常に大きく、自分が納得できる説明を出来ない相手の言葉は、まず聞こうとしませんでした。言うことを聞くべき相手かどうかを見る時にかなり重要な要素であったようです。
隠れるなどして必死に探してくれるかを試す】のは自分をどれだけ大切に思い、守ろうとしてくれているのかを見ていたりします。これは彼女が過去に迷子になった際に親が必死で探したなどの経験が根強く残っています。
時折、疲れている時などで他の子どもの騒音に苦しんだ時など、逃げていることもありますが、お試しの時は自発的に行っているので、何度も繰り返したりします。
……が大きな意図だったと思われます。
こういった事を確かめた後、【昼寝は~~先生】【○○の時は~~先生】などの役割を作り出し、それが崩れるとパニックや癇癪を起こしていました。

わが家でとった対策

まず、大人の注意を引くための行動は、その演技が見えたらその場で『~~して欲しいんでしょ?』とクールに本音を指摘しました。彼女の場合はこれらの行動がどういった効果があるのかを理解した上で行っているので、真意がバレれば意味がありません。
真正面から『そういうことはしないで』などの指摘をしても、彼女の思う壺ですし、場合によっては癇癪泣きを起こしたり意地になって聞く耳を持たなくなります。
そのためにそれらの行動が無意味になる言葉を初期段階で浴びせてひるませ、人の言葉が耳に届く状況を作って、それらの行動が本当に意味のないことを伝えます。
具体的には
・これは子どもの分かる話じゃないから、他でいつも通り遊んでいて欲しい
・そうやって気を引いても、この会が終わることはない。邪魔するほど長くなるけどイイ?
・みんなで楽しむために集まったのであって、君だけのための時間じゃないよ
……など、キツイようですが彼女が納得したのはこれらの言葉でした。
優しい言い方やオブラートに包んだ表現は、当時の彼女にはまず通りません。明解にこちらが困ること、彼女がやるべきことを伝えないと通じませんでした。
他で遊んでいて欲しいと頼む場合も、何をして遊んでいたらいいのかまで指示する方が、こういった時は冷静を保っていられます。
これらの言葉が通じるまでに5歳までかかりました。まず会話から意図を理解できる辺りまで、衝動的な想いを違う方向に向けさせるのは難しかったのです。
それでもやはり最初にそういったことをしようとする癖は今でも残っていて、その都度指摘する必要はありますが、その瞬間に思い出して引いてくれているのでお互いに楽になりました。
新しい先生などを試す行為は、自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の特性も多分に絡んでいるので、全て解消するのは幼いうちは不可能だとも考えています。ただし、それでも以下の様なことは毎度伝え続けていて、それにより現在はだいぶ緩和されてきています。
【どの先生でも君がやらなきゃいけない事は変わらない】
【やらなきゃいけないことを人によって変えるのは大人じゃない】
【最初が肝心。こっちから信じて好きになった人は、最後まで好きでいてくれるけど、試して仲良くなった人には、最後は信じてもらえなくなる】
【試されるのが好きな人はどこにもいない】
……などです。
一方的にルール付けるのは後々危険と判断し、まずはどうやってもやらなきゃいけないことは変わらない事を示して、指示者を選択しようとする無意味さを伝えて来ました。
他の記事や具体策などでもちょこちょこ書いていますが、わが家の自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の当事者3人に共通しているのは、【意図を納得しないといつまでも自分のやり方にこだわる】点です。
逆に言えば厳しいようですが、【本人がそれに触れていれば、そのうち自分で分かってくれるだろう】と自発的な改善を望んでも、まずそれが起きる可能性は限りなく低いということです。
納得と認知がなければ彼らは動きませんが、納得と認知が備わった時は、定型では考えられないほどガラッと対応できるようになります。まるで今まで当たり前にそうしていたように、場合によってはその辺の記憶が薄かったりもします。
それにはひとつひとつに対し、淡々とやるべきことを納得できるように説明していくことが求められますが、時には本人の思い込みやコンディションで視界が狭くなっていて、耳を塞がれてしまうことがあります。
そういった時は、ハッと我に返るようなポイントを掴んでおくと、ぶつかるなどの無断遠回りが少なくなることがあります。
今までの言葉が後に発動することもあるので、わが家ではなるべく印象に残りやすいようなタイミングと言い方で、彼らにアンカーを付けていくようにしています。

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  • 夫。30代。
    定型。フリーのデザイナー。
    自宅で仕事をするかたわら、家事・DIY・訪問営業撃退に勤しむ。 本人は定型だが、何かしら発達障害との縁が深い。
    心労と過労で3度倒れ、一時はうつ状態に。 ところがどっこい完治なタフガイ。

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