ASDでACの妻と
アスペルガーのこども2人を持つ
定型夫の研究帳を公開します。

Category:定型な次男

次男

4歳間近:定型次男に見る自閉症スペクトラムの兄姉と母からの影響

2014-06-24 Category:定型な次男
軽度アスペルガーな長男の時と同じく、3歳の終わり頃から定型の次男も、考え方や性格の片鱗のようなものが見えてきました。長男の場合は、浮かんでくる衝動や感情・趣味趣向の振れ幅に突き動かされていることが多く、【0か100か】【好きか嫌いか】の両極的な受け入れ方しかできませんでした。
次男の場合はそこにやや【会話から新しい認識を得る】という柔軟性が見られ、代替案や提案を一度自分で考えてから判断している様子が見られました。
両極的であった長男と、ほぼ常に癇癪とパニックであった娘と比べれば、次男の場合はあまり手がかからずに成長してきたように思います。
ただ、冒頭のように、4歳になる辺りは“本人らしさ”のようなものが出てくる頃でもありますし、今まで勘違いして憶えていたことなどが少しずつ見えてくる時期でもあります。
今回はそんな次男に見られた“ASDの母親と兄姉がいるからこそ”と思われる行動の特徴と考え方、やや方向修正が必要となった部分とその対策をまとめてみたいと思います。
※これはあくまでわが家のケースです、自閉症スペクトラム症(アスペルガー症候群)の当事者全てに言えるものではありませんし、多分にわが家の特性によるものです。また、同じような特徴があるからといって、自閉症スペクトラム症であるという根拠にはなりません。
一般素人のおやじの日記だと思ってお読みください。

母親と上ふたりの関係

まず、次男への影響を説明するには、妻と上ふたりの関係についてまとめておく必要があります。
わが家の自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)当事者3人に共通して言えるのは、【自ら問題点を見つけて、今より改善しようとはしない】という特性が強く出ています。
そのため、次男が人間関係や親との関わり方を知る、最も影響が出てくるであろう時期に、母親は上ふたりに対し【注意・叱る・教える】などの教育的な立場をとれていませんでした。
この特性が妻の【母親としての立場】や【親としての指導】などへの積極性を阻害し、常に感じてはいても考えこむばかりで、自ら動くことはできませんでした。
これは弁護でもなく、うちと似たような構成の方が勘違いをされると、問題解決を阻む要素になる恐れがあるので最初に書いておきますが、本人は【誰かがやってくれるだろう】などの怠ける気持ちや依存があったわけではありません。
多くの場合は本当に気がついておらず、気がついたとしても今までにない概念なので分からず、必死に考えているうちに時間ばかりが過ぎ、そこに焦り出すために混乱している状態です(その違いをこちらが分かっているか分かっていないかで対応がかなり変わってくる)。
ここで【ちゃんとやってよ!】と指摘しても、パニックを煽るばかりか自己評価も下がり、それ以外の活動にすら影響が出てしまうのです。
しっかりと【○○の時は~~と声をかけるものだ】とか【こういう態度を取られるのは~~だと思われている証拠だから、△△をやらなきゃいけない】など、概念と取るべき行動をなるべく適切に伝えきる必要があります。
この特性は上ふたりも同じことで、概念と取るべき行動を聞けば理解できるのですが、母親はぞれをせず(できず)、是正するのは父親ばかりになり、父母のバランスと役割を失っていきました。長男と娘は私の前でだけ“いい子でいようと頑張りすぎる”状況になってしまうのです。
次男はまずこの兄姉の反応を見続けたために、彼も私に対して意識しすぎる癖がついてしまいました。しかしこれは癖のようなもので、本人も意味が無いことは理解しているため普段はほとんど起こしません。
過剰な意識を向けてくるのは、“具合が悪い・疲れている・機嫌が悪い”などのタイミングで、マイナスな感情に支配されている時です。
単純にこれらの状態の時は、定型(いわゆるふつう)の子でも、幼いころには機嫌が悪くなったり、いつもと違う様子を見せることがありますが、次男の場合は急によそよそしくなるので分かりやすくもあります。

母からの影響

妻に見られる特性として先にあげた、【自ら問題点を見つけて、今より改善しようとはしない】という部分は、子どもたちからの“甘えたいサイン”などの裏側に気が付けない事にもなります。
“疲れてきたらなんだか寂しいような気持ちになった”
“眠くて不機嫌になったから不機嫌な振る舞いをする”
“今凄く構って欲しい気持ち”
定型の子でもASDの子でも、こういった自ら説明できない感情の時は、たいてい幼い子供は気を惹くための行動にかたよったり、わざと親の手がかかるように仕向けてきたりします。
わが家の定型とASDの子どもの場合、この頻度とうちにある感情の振れ幅の極端さに若干の違いがあり、また満たされなかった場合の気持ちの切り替えが利かないなどの差があります。
妻はこういった“口に出せない想い”を汲み取れず、そこに問題意識を見つけられないために、【急に子どもが嫌なことばかりするようになった】【どうしてこんなことをするんだろう】などの地点で止まってしまいます。
このフォローがないことで、子どもが不機嫌で押し通す行動に終わりが来ません。反抗もせず、受け止めることも出来ないので、子どもたちはただただ不平不満の気持ちを、態度だけで表現しようとします。さらに叱られることもないので、その状況が来れば何度でもそれを繰り返すようになりました。
私から見ると、家族の関係性にいつも【終わりがない】ような、メリハリのない惰性ばかりの印象なのです。
この母親のスタンスが生み出す影響のうち、大きなものは次の2つでしょう。
・人に対してどこまで押し通していいのか、引き際が教えてもらえない
・一度気分の浮き沈みがつくと、終わりが来ないので不安にかられる
結果、次男は気分の浮き沈みが来ると、素直に甘えたり態度に出すことをせず、甘ったるい間延びした口調で、延々と要求や質問ばかりを繰り返すようになります。
また、疲れや体調の変化を感じると、不安な気持ちに支配されるため、余計に不機嫌になってしまう要因にもなっていました。
つまり“気持ちを言うのが苦手”なままの状態です。
自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の特性として、この気持ちの表現が苦手という点が言われていますが、この次男(定型)とわが家のASD当事者3人の関わりを見ていると、【気持ちを言えないのは、引き際と自分の立ち位置が分からないからではないか】と感じることがあります。
おそらく次男の場合はとくに認知行動療法のような、自分の認知を理解するための特別な療育は必要ないでしょう。自然にでも言葉と気持ちのつながりが強くなるのを待つばかりです。

兄姉からの影響

【是正役】の私に対して、その時の体調や機嫌で、緊張状態を作り出そうとしてしまう。これは先にあげたとおりです。
現在長男は小学校3年生で、対策も効果を発揮し、かなり自分の気持ちや体調の変化などが理解できていて、自分の気持ちも上手く表現できるようになってきました。また誰にでも優しい(攻撃的でない)ので、次男にもよく懐かれています。
ただ、年齢が離れているために、いつも対等に遊べるわけではありません。長男もさりげない切り返しを憶えたために、上手く断るすべを身につけました。結果、次男は娘といる時間が長くなり、遊び方や口調、親との関わり方などに強い影響が出始めていました。
娘は視覚優位で、自分の事よりも他人の行動に意識が行ってしまい、目についたものが全てになってしまう性質が強くありました(目入らない状態であれば過集中する)。また、自分と他人との違いが分からず、人と人との会話などでも、自分は一切関係ないのに部屋の向こうで相づちを打っている事もあります。
いわば【自分の事は認識できないが、他人のことには当事者意識をもってしまう】といった状態。
この娘の行動をマネていた次男は、段々と次のような影響を受けていきました。
・人の会話に入る
・人の会話に入るためにずっと聞き耳をたててしまう
・延々と質問攻めを繰り返す
・誰かが何らかの行動をとると『ぼくもー』とそれを見ずにいってしまう
人の会話に入る
幼い子供は定型もASDも関係なくよくやることです。“人の会話にはいらない”というのは、何度も教えられてようやく理解する、現代社会での通念やマナーなどと同じです。
娘がしょっちゅうやっているのを見て、次男も競うようになりました。何度も言い聞かせて止めさせると同時に、娘のこの癖を止めることも対処のうちに入りました。
人の会話に入るためにずっと聞き耳をたててしまう
娘の場合は特にこれが激しく、その時に興味ある人物に過剰な意識集中をする癖の元にもなっています。次男もこれに競う形で後追いしてしまい、やがて癖づいてしまいました。問題となるのは今やるべきことがあるときでもやってしまうので、自分の事ができなくなってしまうこと。
食事中にはじまると、娘と二人で茶碗と箸をもってボーっとしてしまう。

これも娘の癖を止めるところから始めました。次男にも理解できるように“なぜそれがいけなくて、どんな悪いことになるのか”、“そんな時は何を考えていればいいのか”など、是正のための話はもちろん【~~の時は~~を楽しくすることだけを考えていればいい】など、物事の意図をいちいち説明しています。

延々と質問攻めを繰り返す

娘が非常によく繰り返すことです。分かり切っていることを質問して、大人が反応してくれることを“構ってくれている”と感じる行為。これは言葉を『これなぁに?』を覚えた辺りの年齢から当たり前のことですが、娘の場合はこれ一辺倒になります。片っ端から目に入っているものや、知っているものを聞くことで、大人を独占しようとします。
次男もそんな年頃ではあるのですが、姉がよくやっているのを見ているために、機嫌が悪い時などは一日中こればかりになってしまいます。
・『え? それって前に教えたよね? 憶えてないの?』
・『大人は何度もおなじ説明をするのが嫌いです』
・『知ってることは聞かなくていい』
・『それにいちいち答えていたら遊ぶ時間なくなるけどイイ?』

本当に構って欲しくてやっているのではなく、反応を見て楽しんでいるだけの時は、こんな感じで指摘し目的を意味のないものにします。真意をつかれるような返答をされると、本人も恥ずかしそうに戻っていきます。
構って欲しくてやっている場合は、『よーしよし、構って欲しいんだな?』と抱き上げるか、『ちゃんと自分で言うのも大事だよ……遊んで欲しいんでしょ?』と、たまにはモロに聞き返しておくのも後につながりやすくなります。

誰かが何らかの行動をとると『ぼくもー』とそれを見ずにいってしまう

これも小さいこどもならありがちなことなのですが、娘の頻度がハンパじゃないのが大きな問題になります。人のことばかりになり、今自分が何をやっているのかもわからなくなっていくのです。
流石に次男はそこまでは行きませんが、体調や機嫌が悪い時は、ぐずりながらこれを繰り返してしまうので、近くで何かすることもはばかられる状態になります。
本当にそれがしたいのではなく、それに気がついたから反射的に首を突っ込んでいるだけなのです。これが激しい時はどんどん物の扱いが乱暴になっていったり、物事に集中することができなくなってしまうために調整が必要になりました。
・新しいおもちゃで遊びたい時は、今のおもちゃを片付けてから
・ごはんのおかずや調味料を追加するのは、おかわりしてから
・大人が家の仕事をしている時は近づかない

まだ幼いので毎回注意して教えるのも大事なのですが、全体に関わる大まかなカテゴリーごとのルールを作って予防するのも必要かと。明確なルールを敷かれると、ふっと思いつく度にそれを思い出して踏みとどまりますし、何より複雑化しないで済むのが利点です。

定型夫の気持ち

今までが今までだった分、どうしても次男が不安定になると、“もしかして次男も……”とよけいに不安になることがあります。また、上ふたりに比べ、恐ろしいほど教科書通りに発達していく彼を見ていると、分かっているつもりでも要求が高くなってしまいがちになることだけは気をつけています。
私の持論としては“心理は仕草に現れるが、仕草も心理を作る”というパターンがあり、ちょっとした行動などでも行動は心理や思考に影響を与えていると考えています。ただの真似っこが感情や心理に影響することもよくあることです。
次男はまだ3歳。
情緒や強さを生み出すために必要な【愛情】も、その受け取り方や意図が分からなければ、ただの重たいルールになりかねません。これは定型もASDも共通して言えることだと思います。【愛情】の捉え方は年齢に応じて変化していくものですが、年齢的にも非常に重要な時期でもあるのではないかと思っています。
色々とスタートにまごついてしまったわが家なので、家族同士がより認識を共有できる部分を考えていくのは、今私にしかできないのだなぁと使命感にちょっと孤独感を持ちながら構えていたりします。

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  • 夫。30代。
    定型。フリーのデザイナー。
    自宅で仕事をするかたわら、家事・DIY・訪問営業撃退に勤しむ。 本人は定型だが、何かしら発達障害との縁が深い。
    心労と過労で3度倒れ、一時はうつ状態に。 ところがどっこい完治なタフガイ。

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