正直、3歳までの次男の子育てについて、あまり思い出がありません……。いえ、楽しい記憶はありますし、ふつうの子育ての苦労はありましたが思い出そうとすると、あまりにステレオタイプ過ぎて、彼の個性を子育ての観点からは語りにくいのです。
現在3歳の彼は、やはりふつうに手のかかるイヤイヤ期ながら、同時期の兄姉と比べ『ヒントが多くてイヤイヤに見えない』状態です。
つまり上ふたりで観察眼がつき過ぎてしまったわけです。それほど彼らの場合は大変でした。
正直、次男にとって、これはこれで親との適度な衝突が足りず、何かしらの認知不足が生まれるのではと考えてしまうこともあります。
上手くいかないことが成長を促すこともよくありますので……。
今回はそんな定型次男と自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の兄姉の違いから、イヤイヤ期の裏側で起こっている事のポイントをまとめてみたいと思います。
意外と子どもの問題行動は、その理由がわかるだけでも親の気持ちは一気に楽になることがありますので。(まあ、大人同士でも同じことですが)
意外と子どもの問題行動は、その理由がわかるだけでも親の気持ちは一気に楽になることがありますので。(まあ、大人同士でも同じことですが)
思い通りにならない時の癇癪
イヤイヤ期の場合、この『思い通り』自体がまずあやふやな事がよくあります。
『あれがしたい、これが欲しい、それ食べたい』などが、その場の状況の判断なしでいきなり全力なのですから仕方がありません。その時に他のものが目に入れば、またそれが欲動になるので、対比したり同時進行したりで処理し切れなくなります。
そこで癇癪を起こせば、今度は癇癪を起こしている事に全力で進むので、下手をすると『何に怒っているのか分からなくなってる』こともあります。
ここに『親がどこまで許してくれるか』などの【試し】が加わったり、理解が出来ない事へのフラストレーションが重なるので、余計に親はイヤイヤの理由が分かりづらくなります(もちろん本人も)。やがてこの癇癪や衝突から、『癇癪しても叶わない』や、『こうしたらこうなる』などの試しを終え、多くの物事との【マルとバツの境界線】を憶えます。
これらとは別に【上手くしゃべれないストレス】での捨て鉢な行動もあります。
たくさんの興味好奇心、本能的欲求が渦巻く中、常識やシステムが理解できない上に、話せないのは相当にストレスであろうとも考えられるということです。
たくさんの興味好奇心、本能的欲求が渦巻く中、常識やシステムが理解できない上に、話せないのは相当にストレスであろうとも考えられるということです。
この知識と経験を積む一方で、脳は同時に発達を遂げて、一定年齢で急に楽になる事があります。(子育てサイトや掲示板なんかでもそういう報告が多い)
ここまでは定型も自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)も共通ですね。
ここまでは定型も自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)も共通ですね。
わが家の上ふたりの子どもは、ここでの意識『目に入った』『思い出した』などが、『やりたい』『ずっとやりたかった』に置き換わるなど、その感情の範囲も大きなズレや極端な捉え方になりました。
これは定型の子どもでも起きますが、その頻度と重さ、そしてその継続時間が違います。また、そういった認知のズレもなかなか自分の力で理解するのが難しく、いちいちわかるまで教えるくらいがちょうど良かったりもしました。
しかし、定型次男の場合は、兄姉たちと同じ力でいくと『飽きる』ので、浅く短く分かりやすくで一定期間続ける方が向いています。
『定型は細かい事を同時にバランスよく、ASDは大きなことを長く深くにむいている』と、過去に記事で何度か書きましたが、こういった所にも感じることがあります。
『試し』の狙いと対処
イヤイヤ期は、親が怒るか試すような行動を繰り返すことがあります。
例えば前に注意されたことに近いことを、分かっておきながらチラ見しつつ、親の反応を見ながら試すなど。
例えば前に注意されたことに近いことを、分かっておきながらチラ見しつつ、親の反応を見ながら試すなど。
単純に善悪の判断のみの場合もあれば、反応が欲しいだけだったり、親が受け入れてくれるかどうかの試しの場合もあります。
ちょっとややこしくなると、善悪関係なく、思い通りのリアクションが欲しい時。過去の事をリアルに思い出して、知らずになぞっていたり……。
つまり、文字通りの『試し』と『再現』のためのパターンがあるようです。これは多分、個性ごとにもっとたくさんのパターンがあると思われます。これも同じく定型とアスペルガーのどちらにも見られますし、大人でもやる人はやります。
わが家の次男もこういった『試し』を行います。どちらかと言えば『かまって欲しい』の意味合いが強いです。特に疲れてきたり、なにか不安がある時に頻発することが多く、そんな時はいつもより早めに休ませます。時折、『なんかエライしつこいぞ??』と言う時は、高確率でその後発熱したりするので、非常に分かりやすかったりもします。
長男の場合は『善悪の判断』が多く、『いいのかな?』とうかがう感じが濃厚でした。こういった時は目をそらしがちで、挙動不審な様子。
娘の場合は全てがごっちゃでどれがどれだか分かりませんでした。ただ、一度しっかり親がリアクションをとった時に因果関係を把握すると、延々とやり続けました。やがて自分の『試し』に『思い通りならない・再現にならない』と癇癪を起こしたり、パニックを起こすように……。
『再現』されることに喜び(と、言うより決まったことが起きる安定感)を感じていたのかもしれません。それを通常の『再現』と同じやり方で行っていたり、同時進行でいくつかの要求をしていたので、本人も混乱していたのではないでしょうか。
結局は何も思い通りにはなっていないので、不満が渦巻き、その不満にまた心奪われる状態。もう、錯乱です。これはひとつひとつの認知を完成させていかなければならないので、本当に慎重な観察が要求されました。
わざと怒らせる
4つの理由に分かれていると思います。
⇒注意をひきたい時
『試し』に似た感情ですが、もう少し不満寄りです。これは親への不満ではなく、疲れていたり、具合が悪い、思い通りにならなかったなどの自己解決できない不満がある時に起こしがちな気がします。『も゛ぉい゛ぃ゛よぉおお(訳:もういいよ! =捨て鉢)』な感じ。
もちろんこちらへの不満がある時もあります。『もう、どうして分かってくれないの!』と言う時ですが、その要求は大抵本人にしか分からないものであり、それを言葉に出来ないことで怒っていたりもします。
⇒終わりにしたい時
『眠たい』『疲れた』『辞めたい』など、終わりにしたいと考えた時に、自分では『さて、寝よう』『ちょっと休むか』『や~めた』と変換や対処ができない時、【相手を怒らせる】ことで終わらせようとすることがあります。
これは以前にマイナスな発言や、悪い子の態度をして、【じゃあ、もう止めようね】と助け舟をだされた事を学習したのではないかと思われます。
⇒繋ぎ止めたい・気をひきたい
例えば怒った親に置いて行かれそうになったり、距離を置かれそうになった時。もう一度怒らせることで相手が振り返るのを待ちます。これは注意をひく行為に対し、もう少し必死な状態で起こしています。
⇒どうなるか見てみたい
好奇心です。物凄く怒らせてしまった時などに、『もうちょっと怒らせるとどうなるんだろう…?』と考えてしまい、気が付くとやっているケース。『同じ事で叱られる』などの、その状況に慣れてきた時に起こりやすい気がします。
ちなみになんてことのない会話の途中で、『今ここでこの人叩いたらどうなるんだろう?』とか、運転中に『ここでブレーキ踏まなかったらどうなるだろう?』と考えてしまうことは無いでしょうか? もしかしたら危機回避の為の想定練習なのかもしれませんが、そう言った感覚に似ているかもしれません。
わが家の上ふたりは『注意をひきたい時』と『終わりにしたい時』が頻発していました。
特に娘の場合は『試し』と合わさり、一日中・365日コースを歩む状態でした。
特に娘の場合は『試し』と合わさり、一日中・365日コースを歩む状態でした。
次男は時々、母に対して『注意をひきたい時』を行うことがあるようです。
【どうしてこの子はこんな事をするんだろう!】
て時は、意外とこういった理由でいくつか別々に発生していて、頻度が高く感じていることもあるかもしれません。
【どうしてこの子はこんな事をするんだろう!】
て時は、意外とこういった理由でいくつか別々に発生していて、頻度が高く感じていることもあるかもしれません。
華麗にスルー
・注意した途端に顔をそむける
・注意した途端に聞こえていないふり
・注意した途端にとなりの部屋へダッシュ
・ストレートに『やだー♪』と流そうとする
・注意した途端に聞こえていないふり
・注意した途端にとなりの部屋へダッシュ
・ストレートに『やだー♪』と流そうとする
こういった親からの干渉をいなそうとする時は、状況を理解していることが多いです。ただし、どちらかと言えば『気まずいから見ないことで、なかったことにならんかなぁ』と言う逃避型の反応ではないかと思われます。
これは『あっそう、じゃあいいわ。じゃあね』が物凄く効果的なことがあります。
隠し通せない現実で目を覚ます感じでしょうか?
隠し通せない現実で目を覚ます感じでしょうか?
イヤイヤ時期の終わった時期
まず長男の場合ですが、まとめるとこんな感じでしょうか?
・基本的には【うまく喋れない】ことがストレス
・思ったとおりにならないことがストレス
・湧いてくる疑問が分からないことがストレス
・上手く出来ているか分からない不安
・不安が不安と分からない不安
・注意や叱られは完全な拒絶と取り違えてパニック
・体感覚が分からず全てが異変と不安
・思ったとおりにならないことがストレス
・湧いてくる疑問が分からないことがストレス
・上手く出来ているか分からない不安
・不安が不安と分からない不安
・注意や叱られは完全な拒絶と取り違えてパニック
・体感覚が分からず全てが異変と不安
2歳~3歳中頃までは癇癪とふてくされ。
3歳中頃~3歳いっぱいまでこれらとぶつかりながら、少しずつ理解を重ね。
4歳で理解していながら、見ないようにしていた部分で親と激突、距離感を理解して卒業。
3歳中頃~3歳いっぱいまでこれらとぶつかりながら、少しずつ理解を重ね。
4歳で理解していながら、見ないようにしていた部分で親と激突、距離感を理解して卒業。
娘の場合は
・思ったとおりにならないことがストレス
・自分の思ったことを他人が分かっていないからストレス
・他人が思った通り一言一句同じに再現しないのがストレス
・常に注目が無いことがストレス
・不安が不安と分からない不安
・注意や叱られは完全な拒絶と取り違えてパニック
・体感覚が分からず全てが異変と不安
・自分の思ったことを他人が分かっていないからストレス
・他人が思った通り一言一句同じに再現しないのがストレス
・常に注目が無いことがストレス
・不安が不安と分からない不安
・注意や叱られは完全な拒絶と取り違えてパニック
・体感覚が分からず全てが異変と不安
1歳後半~2歳までは癇癪
2歳~3歳までは癇癪と大暴れ
3歳~4歳中頃まで癇癪と大暴れと引きこもり
4歳中~5歳まで今までの再現への固執とパニック
5歳~5歳半までパニック・引きこもり
2歳~3歳までは癇癪と大暴れ
3歳~4歳中頃まで癇癪と大暴れと引きこもり
4歳中~5歳まで今までの再現への固執とパニック
5歳~5歳半までパニック・引きこもり
おそらく多くのイヤイヤのハードルは、4歳中頃でクリア出来ていたと思われます。
そこからは状況の変化や、受け入れるべき事に耳を塞いできたことが、イヤイヤ期と同じ様な行動を引き伸ばしたとも感じました。
そこからは状況の変化や、受け入れるべき事に耳を塞いできたことが、イヤイヤ期と同じ様な行動を引き伸ばしたとも感じました。
彼女の場合、長男の4歳で起きた距離感の認知を、5歳半でようやく受け入れ(言い回しの妙で理解した)一気に好転しました。ポイントは距離感なのかもしれません。
次男は現在3歳終盤突入
・基本的には【うまく喋れない】ことがストレス
・湧いてくる疑問が分からないことがストレス
・思ったとおりにならないことがストレス
・疲れた時や夕方のちょっとした不安でかまって欲しくなる
・湧いてくる疑問が分からないことがストレス
・思ったとおりにならないことがストレス
・疲れた時や夕方のちょっとした不安でかまって欲しくなる
1歳後半~2歳までは【しゃべる】ことが恥ずかしくて全て1語に
2歳~3歳ややイヤイヤするが、理由を分かるように話すと納得
3歳~3歳半ややかまってちゃん
2歳~3歳ややイヤイヤするが、理由を分かるように話すと納得
3歳~3歳半ややかまってちゃん
正直、言葉を面倒臭がったこと以外はイヤイヤも目立たず、会話からヒントを得る速度は目を見張るものがあります。これが逆に不安要素であった時もありますが、全体的に見て問題ない範疇です。直感力の強い子・空気読みが得意な子と言った感じです。三人目によくいる要領のいいタイプかもしれません。
冒頭で【親との適度な衝突が足りず、何かしらの認知不足が生まれるのでは】と不安を書きましたが、実際のところ質問攻めなど、他の行動でやーやーしてますので大丈夫だろうとは思っています。
親とぶつからない分、姉との骨肉の争いをよく繰り広げています。
(次男の絵に描いたような挑発、娘の絵に描いたような巻き込まれ)
(次男の絵に描いたような挑発、娘の絵に描いたような巻き込まれ)
イヤイヤ期の子育ては本当にいろいろありますが、よくよく見ると問題はその子の持っているハードル以上には、あまりないと思った方が良いかもしれません。【終わらない問題が無限に延々と押し寄せてくる】と感じると、意外と小さなヒントを見過ごしてしまいがちですし、終わってみれば『くそっ、あの時のイヤイヤ舞踊、録画しとくんだったぜ!』と言う余裕が生まれることもあります。
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