ASDでACの妻と
アスペルガーのこども2人を持つ
定型夫の研究帳を公開します。

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手記

母子アスペルガーだからこその親子の関わり方│自我発生ダイジェスト

2014-10-27 Category:手記
妻と長男、娘が自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)であり、次男と私が定型であるわが家はある意味でちょっとしたASと社会との縮図のようになってたりします。さらにASD当事者の彼らも、自閉傾向やこだわりが強目で積極奇異的な娘、受動的傾向が強く自閉的傾向が薄い妻と長男と段階があります。
次男が成長してきて自我を持ち、本人らしさが出てきた今、この家族構成だからこその独特な親子関係が見えてきました。
もしかしたらこの関わりの根底にあるものは、ASD以外の親子関係にとっても何らかのヒントになることがあるかもしれません。ちょっと備忘録的に今の私の感じている事をまとめてみようと思います。

子どもの気持ちとフラストレーション

幼い子どもは言語を上手く操れませんし、自分の気持ちを理解できるほどに、物差しとなる経験がありません。全員がそうとは限りませんが、小学3年生くらいになって、ようやく自分の言葉で自分の気持ちを伝えたり、表現しようとする素振りが見えてくるくらいでしょうか。
特にコミュニケーションとして言語を獲得し始める2~3歳頃は、子どもにとっては気持ちを伝えられない事へのフラストレーションが多く、また他人と自分との境界線が曖昧なために【親が自分を理解していない】事自体が憤りになります。
ここである程度、親や大人が“当たりをつけて声を掛ける”事が重要で、【~~じゃない?】【~~なのかな?】など、正解を導こうとするプロセスがお互いに気持ちを理解するための練習になったりします。
ただ、わが家の長男と娘はそのフラストレーションの多い時期、ASとしての特性も強く出ていました。“当たりをつける”では許されず、ピンポイントで正解でなければすぐに癇癪を起こすタイプだったのです。
彼らはわずかなズレでも容認できず、またどこか【正解=全/善・不正解=無/悪】といった様に、グレーの存在しない【0か100か・全か無か】の両極思考が強く、何かしら善悪バッサリと分ける傾向にありました。それも、認識する全てのことに善悪、白黒を意識してしまうため、もう何に対して否定しているのか、本人すら分からない状態でした。
長男『ちゃーい(違う)』
娘『イヤイヤ、イヤイヤ、イヤイヤ(一定のリズムで否定を繰り返し続ける)』
言葉の練習も全ては【意識外】なので、全てが不正解とばかりに、彼らはこのそれぞれの否定の言葉を繰り返し、少しでも強制の気配がすれば癇癪を起こしていました。これらは反応しているだけで、決して【気持ちを言っている】状態とは言えません。確かにその時の反応で拒否しているので、本人の気持ちであることには違いないのかもしれませんが、出来事を受け入れて吟味した後に出た答えではありません。【正誤】以外の自分の気持ちに触れた判断ではないのです。
私たち夫婦は、子どものこういった行動に対し、まず【正誤の範囲にあそびを作る】事が求められました。そうでなければ全てが否定で終わってしまうためです。それには今やっていることと同じ仲間の物事は何か、今触れている物と同じ仲間は何か、“かもしれない”という言葉や“~~と同じ”などの【範囲】を表す言葉を認識させることが近道でした。

気持ちがない長男と娘

少しずつ範囲を理解し、正誤に余裕が出てきた二人でしたが、その後、【正誤の判断を自分で下すより人に下してしまった方が速く安全である】と考えるようになってしまいます。同時に、ASとしての特性や衝動性も強く、目の前の物事に飛びつき、それが“全て”であるかの様に反応する事も増えていきます。
【気がついた/思い出した=やりたい/やりたかった】
この反応に支配され、目の前の情景にばかり気を取られ、自分の気持ちを見失っていきます。例えば誰かが遊んでいるおもちゃに目が行くと、もうそれで遊ばないと気持ちが許されず、それを手にしても他の子が遊んでいる姿を目にしたら、それを追わずにはいられない。
この転動を中心とした衝動性に突き動かされながら、それらの刺激がない環境では、依存先の親や人物に自分の気持ちを合わせるようになります。
ここで【当たりをつけて声を掛ける】などは完全に裏目に出るようになりました。
自分で自分の気持ちを持たないようにする事が、最も安全で失敗が少なく、楽なものであると理解してしまったのです。ここから彼らが否定するのは【理解が及ばない物事】になり、少しでも最初に聞き逃しや難しいと思った瞬間があると、聞き流しや完全否定するパターンが明確になっていきます。
特に娘は転動・両極思考・パワーゲーム思考が強かったために、自分の理解している一握りの事実しか受け入れず、他に関しては離人したように受け流し耳を塞ぐ状態が続きました。つまり、現実で起きている出来事のほとんどを、彼らは自分の気持ちと合わせ、理解するとい認知の行程を拒否していたことになります。
こうした認知のプロセスは、人間関係や距離感、謝罪や申し入れ、交渉や比較などの材料にもなるため、その後彼らはこれらに関わる問題にことごとくぶつかることとなりました。

母親の特性

こうした子供たちの【自分の気持ち】の問題は、妻にも潜在していました。子どもと親との関わりに問題が出ていると、それは彼女にとって【親子問題】であって胸を痛めていますが、それについて【自分はどうしたい・どう思っている】が非常に希薄でした。
これはわが家のASD当事者3人共通で言えることですが、彼らが問題に対し重篤なフリーズやパニックに陥るのは、その問題が難解だからではありません。【問題を分かり辛くしている、意識外の要素がある時】に思考停止や逃避する状態に陥ります。
【意識外の要素】とは、他に気になっている事があり、忘れているようで未解決のために流しきれていなかったり、今現在に雑音やギラつき、体調の変化など思考力を下げる何かがある時です。問題自体が難解な場合はストレートに回答できるためにそれ程問題にはならないのです。
今でこそ子供たちが【気持ちのない状態】に進んで立とうとしていた事は明確に分かりますが、当時は子どもとの間にモヤでも掛かっているかの様な、言いようのないピントずれを感じ続けていたわけです。同時にその頃妻は、自身の特性なども知らなかったため、些細な体調変化や雑音などに意識を奪われつつ、しかしそれがどういう状態なのかを把握できていなかったのです。
つまり、妻は子供たちとの問題に、【意識外の要素】を複数抱えていたわけです。
結果、彼女は子供たちと【気持ちのやりとり】が生まれるような状況では、常にパニックやフリーズなど離人状態が激しく、またその感覚は【失敗】を暗示しているために、そんな場面の気配を感じると、無意識的に避けようとする様になりました。
妻自身も物事に対し手がかりや物差しになる【自分の気持ち】がないためにこうなっていた訳ですが、問題に対しては使命感を持っているために、どこか犠牲になろうとしてでも関わる姿勢を持ちながら、体が拒否している状態になっていました。
この実感と現実の距離感が、彼女の現実感をさらに掴みづらくしていて、気持ちは真摯であるのに言葉の端々が【どこか他人事】といった、当事者意識がないことを疑われる独特の立ち位置を持つようになりました。

長男と娘との親子関係

妻は上ふたりとの関係に、その物差しとなる【自分の気持ち】を持てず、また現実に起きている親子の距離感などの問題を【意識外の要素】で難問化されていたために、そう言った関わり方を避け、また関わる場合はフリーズするようになってしまいます。
結果的に子供たちの気持ちを判断していくのは私に偏っていきますが、それは子供たちの依存を私に集中させる事でもあります。全ての意思決定や行動権限を私に求めながら、そこで自分の意思との矛盾が生まれると一気に距離感を失い、父親に対してフリーズや癇癪を起こす。
妻は当事者意識がないようでありながら、本質は罪悪感が強いので、顔をそむけながらも傷つき続けるという自己矛盾に陥っていました。
この頃はまだ、子供たちの気持ちを一緒に考えられるほどにお互い成長してはおらず、問題に対して対処療法的な行動しか取れませんでした。

子供たちの【距離感】の獲得

“あなたは自分ではない”当たり前の様でありながら、私たち親子関係を蝕み続けた幼子ならではの問題でした。この他人との距離感の希薄さは、様々な接し方でズレを生み、そのズレに癇癪を起こす毎日でした。
人に気持ちの全件を委任しておきながら、自分の考えとズレていれば【分かっていて当然なのに!】と憤りになっていたのですから当然です。
この違いをあらゆるルートで説明したり、イラストを作ってきた訳ですが、ふたりとも最終的には【逃げ場を失わない限り進まない】状態になっていました。全ての材料が整い、本人が【分かっているけど……つい】と言えるくらいになったのを見計らい、本気でぶつかって逃げ場を失う状態を作り、ようやく私との依存の距離を解消し、自身の在り方を模索する姿勢を持ち始めました。
ここから【自分の気持ち】を言わせるようにしたり、意識させる練習に応じるようになります。それまでは何か契約でも存在するかのように、口を閉ざして割りませんでした(笑)
恐ろしい話、ここまで来てようやく長男と娘が、私用の仮面を被っていたことをハッキリと理解します。それまでは【何か演技がかった家だな】と地に足がついていない感覚だったのですが、【長男=優しいが計算高く、実は体育会系】【娘=強気な口調が多いが、実は物おとなしく世話好き】という新たな一面を認識することになります。
この段階から【○なこと☓なこと一行日記】を導入し、自分の気持ちを認識するための具体的な積み重ねをスタートさせました。

次男の存在

上ふたりに対し、早くから自分の自我や気持ちを元に選択をしたり、欲求を交渉して来たのが次男です。会話も話の前後を組んで判断してくるため、会話の理解力が高く、【1を聞いて10を理解】といったような、積層型の思考や推理が出来ました。
しかし、兄姉二人が自分の欲求を伝えたり、交渉に持ち込んだりする際、ストレートに表現せず【大人に当たりを付けさせる】事で、失敗を踏まないようにするという方法論を目の前で見てきたために、徐々にそのやり方を踏襲するようになります。ただし、普段からというのではなく、疲労が溜まってきた時や具合が悪い時など、自分に余裕が無い時にこの出方を利用するのです。
この彼の行動の使い分けは、非常に様々な事を考えさせられるものがありました。
【長男や娘は常に余裕が無かったから、常時このやり方だったのではないか】
【子どもとは余裕がない時は、そうやって対処するもので、上ふたりは度が過ぎていただけではないか】
【子どもが三人共こういった出方をするということは、私たち親に何かしらの原因があるのではないか】
ここでも彼の行動を整理することで少しずつ理解が進んでいきました。まず、彼は基本的に交渉事に持ち込む際、特定のおもちゃに関する欲求など、言葉を選ばずに済むものであれば非常に鮮やかな交渉に出ます。しかし、自分の気持ちを言葉にする事や、単に甘えたいなどの気持ちがある時、自分の言葉で気持ちを表現せざるを得ない時に、【大人に当たりを付けさせる】方法をとっています。
彼は自分の気持ちをさす言葉を構築する自信がなく、また微妙に間違いを恐れる子どもながらのモジモジが緊張と同様の抵抗感と錯覚し、そこから進む一歩を恐れていました。一時この緊張が長引き、気持ちを全く言えなくなり、しかし、親との関係に気持ちの強い彼は近づき方を見失い塞ぎこんでしまった時期があります。
彼にこれを説明するのは簡単で、人物イラストに気持ちを表す吹き出しと、言葉を表す吹き出しを描き、両方共に“あそんで”と記しました。
1:言葉の吹き出しを隠しながら、【あそんで】と書かれた気持ちの吹き出しをさし、『“あそんで”って思ってるのに、こうして言わないでいたら、いつまでも相手は分からないから、君はガマンしていることになるね』
2:『“ダメ”って言われたら悲しいかもしれないけど、言わなかったらずっとガマンしてるしかないよね』
3:今度は気持ちの吹き出しを隠しながら、『でも、“あそんで”って気持ちがなかったら、別に何にもいうことはないから、好きにしてていいよね』
4:『お父さんと君の頭は別々で離れているから、話さなくちゃ分からない。話さなかったらずっとガマンすることになるんだよ。その方が辛くなるし、色んな話し方を諦めちゃってるから、どう話していいかどんどん難しくなる』

5:『“して欲しい”ことこそ、ちゃんと言葉に間違えてでもいいからしていかないと、お願い出来ない人になる。お願いがちゃんとできて、みんなに助けてもらえたり、優しくしてもらえるほうがいいよね?』

八の字眉で沈み続けた数日間が、たった10分程度の説明で解消された瞬間でした。
なぜ、彼が困っていることが分かったかというと、長男と娘との親子関係には向かなかった物が、今度は次男にとって不足している事だと理解できたからです。
【当たりをつけて声を掛ける】
彼に必要だったのは、こうして親が一緒に自分の気持ちを言葉に変えていくための、実践的な練習時間でした。私たち夫婦はなるべくひとりひとりの子どもに合わせて接していたつもりでも、次男との関わりに上ふたりの子どものタブーを挟んでしまっていたのです。
この発見は親として、子どもに関わるために重要な部分を指し示した気がします。
どこまでの距離を取ればいいのか、何処まで手を差し伸べればいいのか、次男との関わりを通して上ふたりの思考を読み解くヒントになりました。こうした長男・娘の真意がわかる時は、ほぼ確実に妻の心理にも共通点があったり、同じ仕組が働いていて、子供たちから認知の逆輸入が起こることがあります。
さて、長男と娘が距離感を持ち、自我を持てるようになった時に印象の変化があったと先述しましたが、妻にも同じく変化が起こりました。
【妻=天然じゃなかった。意外と経営者肌やった】です。
……いやぁ、し、新鮮だなぁ(震)

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  • 夫。30代。
    定型。フリーのデザイナー。
    自宅で仕事をするかたわら、家事・DIY・訪問営業撃退に勤しむ。 本人は定型だが、何かしら発達障害との縁が深い。
    心労と過労で3度倒れ、一時はうつ状態に。 ところがどっこい完治なタフガイ。

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