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Category:軽度アスペルガーな長男

長男

小学2年生:イベントや環境変化によるフリーズ・パニック対策│軽度ASな長男

2014-10-28 Category:軽度アスペルガーな長男
一年生の頃は運動会、持久走、なわとび大会などイベントがやって来る度に余裕を失い、フリーズ・パニック状態に陥るのが常態化していた長男。本人はまるで不安症に突き動かされているかのようにイベントで自分が“上手く立ち回れるかどうか”ばかりを心配し、体調を崩すまでクヨクヨ悩む事を続けていた。
さて、2年生ともなれば本人もこちらも去年のデータがあるので、ある程度は先回りした手が打てるだろうと考えていたが……。
成長というものは恐ろしいもので、彼は去年とは違うステージで悩み、そしてそれが何なのか分からないままフリーズに陥ろうとしていた。
まずは落ち着きがなくなる時期が始まり、だんだんと反応が鈍くなりだす。やがて家でもジッとしながら親の動きを観察している様な“うかがう態度”と、よそよそしい態度が始まる。そうしているうちに不安症状は悪化し、胃腸の動きが低下。突発的な仙痛や嘔吐を繰り返すようになる。
まずは本人が“何を不安だと思っているのか”を正確に把握することからスタートすることとなる。
■今だから分かること
長男のイベントでのフリーズ・パニック完結編です。
まず、一年生の時に彼が困惑し、フリーズするに至った理由は、イベントの練習によって、通常の授業や学校の雰囲気が変わる【環境の変化への対応の遅れ】があり、さらに【どこまでやればいいかの境界線を見失い完璧主義になる】という二つが大きな要素でした。
一年生時ではこれらに対し、まだ初めての事が多すぎる事と、本人が言葉から意味やイメージを汲み取る能力が追いついておらず、会話で“気持ちを探る”などの形のないものへの働きかけが出来なかったことがネックとなりました。
それでも最終的には落ち着かせることには成功しましたが、似たシチュエーションが来れば再発するので、完璧とは言えない状況が続きました。
一年次に有効だった対策は、【そのイベントをやる意図(プロになるためとか優劣じゃなくて、その運動を楽しめるようになって欲しいのが目的など)】の説明と、【どこまでやればいいか(頑張る~苦しくなる範囲までが理想、でも基本的にそのイベントをちゃんとしたやり方で楽しむことなど)】と線引をすることでした。
二年生になって伸びたのは、言語から自分の考えていた事と結び付けられるようになったこと、文字の読み書きが上達し、読み取ることが特別な作業でなくなったことによるイラストイメージの浸透力の向上。去年の記憶も残っていることから、対策は簡単になると読んでいたのが見事に外れ、彼は家庭では完全にフリーズ状態に陥り、学校では落ち着きがなくなったり情緒がやや不安定になるといった状況に陥りました(授業などはしっかり受けている)。

一年次と二年次の違い

何が原因なのかを【~~って思ってる?】などの当たりをつけながら、少しずつ探っていて分かったのは、“なぜ、一年次はある程度簡単に乗り越えていながら、クリアには至らなかったのか”ということでした。
彼は意図を知ることなどでかなり落ち着きを取り戻してはいましたが、実際に自分が実感を持って振舞っていた訳ではなく、表面的に【周りからのアドバイスや、その時の相手のテンションに合わせていた】状態でした。
その時、彼の中では未消化の問題があり、それはもやもやとメモリを奪っていたにも関わらず、そこへの意識も未熟であったため、“合わせる”事でも対応がとれていたということです。
しかし、1年の成長は彼の問題を捉えるアンテナの精度も上げてしまったようです。
つまり、“合わせている”だけでは、モヤモヤとした未解決の問題への不安症を無視しきれなくなっていたのです。この片方が上がればどこかが引っかかるような、チグハグなバランス感覚は娘や妻にも見られたものです。

対策:本音と建前

まず急務なのは【そのイベントはなんのためにやるのか】という意図の摺り合わせです。多くの場合は【そのイベントでみんなで頑張ることで何か得る】的な曖昧目標だけだったりします。この曖昧さの正体は単純にイベントを子どもに参加させるにあたり、意図に【本音と建前】があるため、白黒言い切りにくい所にあるでしょう。
建前:【全力で取り組み、達成する喜びや能力を得る】

本音:【勝敗、成否にこだわらず、柔軟に楽しんで参加できれば良い】

シーンによって様々ですが、こういう感じだと思います。要はその子どもによって求めるべき達成は異なり、言い切ることで矛盾が生まれてくることを防ぐため、方向性のみを含ませて本人たちに整合性を持たせる言わば社会通念の様なものです。
これは通念や曖昧な目標を苦手とする長男にとっては難解なもの。
彼には以下の通りに説明しました。
1:先生や大人の言う建前の明文化
2:先生や大人が彼に思っているであろう本音
3:その本音では“だいたい何処まで出来れば御の字か”

4:それが出来なかったとして、そのイベントが嫌いになられたら大人の失敗

意外と建前と本音を並べて文字にしただけでも、彼には見通しが立ったようです。表情が明るくなり、明らかにフリーズ状態が薄くなってきたのを見計らい、次の説明に入りました。

対策:完璧主義・両極思考の対策

イベントでも特に順位があったりするイベントは、彼にとって非常にメモリを食うものだったようです。それには周囲の期待に応えたいという想いもあったのでしょう、本音と建前の説明でもかなり軽くはなったようです。
その上で彼が陥りやすい【成功か失敗か】などの“0か100か・全か無か”の両極思考へのアプローチに入りました。まず、練習で1位2位になった子、真ん中くらいだった子、ビリだった子の名前を思い出してもらい、一本の線の上へ、順番にそれぞれの一に合わせて並べて書きました。
私『君はいつも順位を気にしたり、順位が上がってもクヨクヨ不安がってるから、じゃあ、ちょっと極端な話をするね。ビリの子は学校でいっつもそれをバカにされて生きてるの?』
長男『……いや、それはないよ。~~くんは優しいから人気だよ』
私『じゃあ、ビリだからってダメになったり、嫌われたワケじゃないよね』
長男『うん。そうだね』
私『でもさ、実はビリってそこから先は落ち様がないから、場合によっては安心ってこともあるんだよね』
長男『……! ああっ、 そうだね!』
私『1位の~~くんは、2位の~~くんに負けた時どうなるんだろうね、今までの1位は全部無かったことになって、みんなにバカにされたりするのかな? ビリの子と同じなのかな』
長男『それはないよ。でも負けたら悔しいだろうね』
私『そうだね。でも2位になったとして、それは完全に“ダメ”って言えるの?』
長男『……うーん、1位には負けてるけど……2位かぁ』
私『じゃあさ、真ん中くらいだった子より上だった子たちは凄い子で、その下の子はみんなダメなのかな』
長男『えっ!? ……いや、それは…』
私『じゃあ、どこから上は凄い子で、どこから下がダメな子なんだ?』
長男『……わかんない』
私『うん。わかんないし、正解はないだろうね。だから君はどこまでいっても正解がなくて不安なんじゃない?』
長男『あ』
私『例えばビリだった子は、ビリだったけどいじめられてもいないし、優しくて人気があるんだよね。じゃあ30位程度だった君がそこから2位落ちたとして、君はいじめられたりするの?』
長男『うん、それはない』
私『お父さんから見るとね、君が単純に勝負に負けたことを悔しがっていると言うより、どれくらいであればいいのか分からない不安の方が強いと思うんだけど。勝っても上がいたら不安、負けて下がいても不安。ずっと不安。ところで、こいつにだけは負けたくないとかあるの?』
長男『あー、ない…ね。~~くんと同じくらいだと嬉しいけど』
私『ふぅん。で、君はこの道のプロとして一生暮らしていく気があるかい?』
長男『それは全くないなぁ』
私『じゃあ、その~~くんとやらと同じくらいだったらいいんじゃない? でも、それで負けてもさっきの順位の話みたいにどこが“凄い・ダメ”は引けないんだから、気にすることはないわな』
長男『そうだね(当然の様な顔)』
私『最後に言っておくけど、悩む程順位に悔しがって意味があるのは、日頃から必死に練習していて、絶対にこの目標を超えるんだって決めて信じていた人だけだよ。君はそうなの?』
長男『あー、ぼくちがうなぁ』
私『うん。だいたいの人も違うだろうね。みんな1位になれないんだし。だったら参加することを楽しむか、自分の記録を楽しむってやり方もみんなしてるんじゃないかな。』
だらだらと掛け合いを書きましたが、結局何をしていたかというと、自分で合格ラインをどこに引いていたかの確認と、色んな見方ができる順位の捉え方などに持っていそうな、彼の極端な考え方を探っていたのです。
どちらかと言えば目の前の勝負に一喜一憂というより、何処までやれば良いのか分からず、また今自分がどんな評価なのかも分からず。目標も意図も曖昧なままただ努力を求められるような状況にあったことがパニックにつながっていたのではないかということです。
元々の完璧主義なのではなく、結果的に完璧主義のようになっていたということでしょうか。

対策の結果とケア

他の対策でも言えることなのですが、長男をはじめわが家の自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)当事者たちは、問題そのものを理解するというよりも、そこに関わってくる他の目線があることを意識した時、急に視界がひらけて余裕を取り戻すことがあります。
他でも書きましたが彼らがフリーズ・パニックに陥るときの条件として、問題自体の難しさより『なにが問題か分かり辛くしている、意識外の要素がある時』が強いのです。
一年次にはここまで踏み込んで意識について話すことは、年齢的にも不可能だったので先送りにしましたが、この時はイラストや図など視覚に働きかければ行けそうだったので踏み切りました。
この時の彼にとっての『意識外の要素』とは、曖昧な意図と目標、自分の立ち位置の置き方が不明瞭で、それが問題だと気がついてもいない状況がそうだったのかもしれません。
以降、イベントで困惑するどころか、楽しんで参加する事が増えていきました。
結果が芳しくない事があっても、『~~は出来た!』と可能性を見つけられるようになったのは心強い変化でした。負け癖がついたらどうしよう……なんて心配もちょっとありましたが、現在小学3年生。むしろ集中できているのか、全体的に結果は上がっていく傾向にあるので安心しています。
今でも時折順位を競うようなイベント前には、こちらから声がけをすることがありますが、それはどちらかというと、彼が何を楽しもうとしているかを聞いてみたいという、ただの私の好奇心だったりします。

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  • 夫。30代。
    定型。フリーのデザイナー。
    自宅で仕事をするかたわら、家事・DIY・訪問営業撃退に勤しむ。 本人は定型だが、何かしら発達障害との縁が深い。
    心労と過労で3度倒れ、一時はうつ状態に。 ところがどっこい完治なタフガイ。

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