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手記

これからアスペルガーの家族との関わり方を学ぶ人へ

2014-10-12 Category:手記
自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の家族と、その特性について向き合っていく場合、いくつかの独特な“何か引っかかる”パターンがあったりします。それらは実際は些細なズレだったりするのですが、本人や周囲の捉え方の違いによって、思わぬ難問になってしまうことがあります。
今回は私が今まで見つけてきた、家族としてASD当事者と関わっていく場合に、お互いに知っておくと気持ちが少し楽になったり、問題が見やすくなるいくつかのポイントを纏めてみたいと思います。
すでに診断済み、または未診断だが明らかにそうなのではないかと思われる場合も含め、これらのポイントは自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の当事者との関わり合い方に限らず、一般の人間関係でも視点が違う相手の場合に有効かもしれません。

何が問題か把握

これは最初に向き合っておくと、グッと楽になるポイントのうちの一つです。まず最初にASD当事者(または対象者)の行動のうち、引っかかる言動などでパターンがはっきりしているものを書き出していきます。
具体的には
出かける時はいつも不機嫌
週末に体調を壊しやすい
特定の言葉の選びがズレている
人の言葉や体験を自分の事のように話す

怒りどころが不明だが、大抵は意見が異なっただけの時

などです。
なるべくパターン化されている物を明確に書き出しておくと、後々に本人ならではの特性が分かってきた時に、思っている以上に特性が絡んでいて、スッと対策が取りやすくなることがあります。
と、言うのも“引っかかる言動”の多くの場合、本人の独特な【認識のズレ】や【極端なとらえ方】、【苦手意識】や【不安感】、もしくはこれらを連想・想起させる事柄が根本的に関わっていて、さらにそこで本人がそれを
必要以上に不安や劣等感を持っている
理解できないための先延ばし

理解していると思っていながら非常に浅い地点で止まっている

といった処理の仕方になっている事が多いです。
ここで生じる“不安・恐怖”が、自分の方法を見直す事への強い抵抗感になったり、他の意見を否定もしくは聞き流すと言った、“それ以上の精神的ショックを作らないための防衛反応”になったりすることがある様です。
簡単に流れにするとこういった感じかもしれません。
1:【本人の苦手や不安、とらえ方のズレがある】
2:【それらネガティブな感覚への極端な感じ方が潜在】
3:【そこに関わる事柄を振られると、無意識に“2”が不安感・劣等感を煽る】
4:【それらに対向するための極端な言動もしくは離人感的な逃避】
【1】を根本から直したりすることは難しいですが、【1】~【4】を一つ一つ自覚して行ったり、【2】に関わる部分を正しく認知、または【4】を具体的に正当な方法で示す事が、家庭でも取れる対策となっていきます。
ちなみに上記の引っかかる言動のパターンに、ありがちな特性の関わり方と対応を挙げるとすれば
出かける時はいつも不機嫌
⇒状況への適応不安から、騒音や視覚情報などに敏感になり、疲れやすくなったり小さくパニック状態になっている。出かける場合はスケジューリングや流れをしっかりと目に見えるメモなどにして、ひと目で確認出来るような措置を取る
週末に体調を壊しやすい
⇒人間関係や環境に対し、何かしらの【極端な構え方】をしていたり、特定の苦手意識が存在していて、消耗が激しくなっている。本人が何に対して疲れやすいのか、何が原因になっているかを突き止めると、対策が取れるのはもちろん、それだけで楽になることもある
特定の言葉の選びがズレている
⇒様々な言い回しが存在する中、ひとつの言葉で表現しようとしていたり、極端な言葉で全てを兼ねようとしていたりなど、【これさえあればいい】で済ませようとしていることがある。場合によっては、自らの言葉で正確な度合いの認知をズラしてしまうことがあるので、そういう場合には正確な言葉をそれとなくこちらが強調して繰り返して誘導を測る。もしくは関係的に指摘できるのなら、理由を明確にして是正する。問題がなければそれほど気にしなくてもいいが、特性上、自身で治していくことはなかなか起こらないと考えた方が良い。
人の言葉や体験を自分の事のように話す
間の前の事や思い出した事など、今意識している事柄が【全て】になってしまいやすく、また立場を変えたりなどの視点の切り替えが苦手な特性を持っている場合がある。ふと思い出した会話などが頭の中で強い事実になり、それをそのまま伝えてしまっている時に起こることがある様子。興味の強い会話であったり、相手に執着が強い場合などで、“その会話に最もマッチしている事”を挙げることに全力になっていると考えると分かりやすい。
怒りどころが不明だが、大抵は意見が異なっただけの時
パワーゲーム思考(何かしら上を取りたがる)が出ている場合もあるが、単純に自分の考えを揺るがすことや予定が変更になる事への不安が強く、これ以上の不安が起こらないように自分の意見のままであることを欲している。そのため、ほぼ無自覚で相手の意見を否定にかかっていたり、自分の意見を通そうとしている。【分かっていないこと事を指摘された時に怒る】のは人類共通ではあるが、小さなことでもその度合を見失いやすいASD当事者の場合は、その頻度が高くなりがち。
といった様に説明がついていく事があります。
説明が付いてくると【本人に悪気がない】事がほんとうの意味で理解でき、関係性に対しての不満や含みがあったりするわけではない裏付けになるので、周囲の安心につながることがあります。そして、対策を立てるための最も重要な情報になります。

自分はどう感じているか

わが家でよく陥っていた“お互い自信をなくしていく”構図は、多分に相手の考えを取り間違い、それに対して自分の立ち位置を設定し誤った時に起こっていました。
原因としてはASD当事者自身が上記の様に、不安や恐怖に余裕を失い、対応が極端になっていることを、こちらが一般的な“こういう風に思っているだろう”と想定して、本人に確認しないままこちらの出方を調整したためにズレたままになり、ちぐはぐな距離感のままお互い不安感に呑まれていたのではないかと考えています。
関係がちぐはぐになり、立ち位置をずらしたままにすると、スレ違いが多くなり勝手に“価値観の違い”や“心が離れている”と錯覚しやすくなります。
こういった時に最も危険なのは
うまくいかないのは自分が悪いからではないか
と、一方的に自分の不手際を考えることで事態の整合性を保とうとしてしまうことです。
人間は何かしら物事のバランスを測ろうとしてしまう生き物なので、原因が不明なままそこの環境に適応できない場合、自分を責めることで埋めようとしてしまうことがあります。こうなると、今自分が感じている正当な気持ちすら疑うようになり、否定的に感じることが罪に感じてしまう事があります。
そこに陥ると、自分の気持ちをありのまま受け入れることが難しくなり、相手とのズレの原因に目を向けられないまま闇雲に自分の落ち度をあら捜しするようになってしまう危険性があります。こうなるとなかなか自分の視点を切り替えるのが難しくなってしまいます。
まず、自分がどう感じているのかを、“夫だから、妻だから、親だから、こう考えるのは不謹慎では”などと考えず、【現実、○○されるのは一人の人間として、こう感じている】といった様にストレートに認識しておくことが問題をあやふやな物にしないコツかもしれません。
これらを直接伝えられるような関係になるのは、それこそ最終目標に近い状態ですが、これを伝えられるには相手の何がネックになるのか、どんな反応をされるかを想定することは、出来るできないを抜きに“自分がどうしたいのか”を明確にするためにも必要な事だと思います。
同時に目標に向かうために当面何が問題なのかをハッキリさせるためにも、自分を明確にすることは役に立ちます。

表に出る言動の原因は一つではない

何かの“苦手・不安”が原因で起こっているであろう、問題行動や独特な言動は、それを解決したり向き合ったからといって簡単に治らない事もあります。そこへ多分に期待していたり、それ以外にないのだと踏んでいると、お互いに大きな痛手になりかねません。
例えば特定の物事への接触を必要以上に拒んでいる場合。過去に何らかの失敗や不安を感じた事が原因であったと分かったとして、それを薄める対処をしても苦手意識は変わらないことがあります。
そうなるともう“生理的にこの問題は苦手なんだ”と結論づけてしまいがちですが、実は本人も自覚がない部分で、その他の事が苦手意識の引き金になっていることがあります。
例えば“騒音や光のギラツキなどの他の要因がある”、“自分がそこでどうしていればいいのか明確でない不安がある”、“そこでの自分の立場が不明瞭”などの、自分のやるべき事や対応が宙ぶらりんので、意識の集中ができないためにいわれのない不安感をもっているなど、潜在的に自己肯定するための手段を失っている場合などがあります。
今まで私が周囲の当事者と関わっていて、彼らが苦手であった事をクリアする時は、以下の様なイメージがある様に思います。
ひとつの要因を解明し、グッと不安行動が減るが、関わる問題が他にもある場合は、後にじわじわと小さく再発し、そこでようやく全ての問題が分かるようになる
関わる多くの問題をいくつも解決していったが、どこか本人が自発的に動く様子がなく、こちらが不安に陥るが、一定の条件が溜まり、本人に納得がいくと突如あっさりとクリアする

全く手のつけようがない問題に見えていたものが、そこに関わるたったひとつの言葉を言い換えただけで、今までが嘘のようにクリアする

表面的に出てきている言動は、誰しも対社会用にフィルターが掛かった物になっている物ですが、ASD当事者の場合はそのアウトプットが極端になってしまい、自他共なにが問題なのか分かりにくくなることがあります。こうなると問題が複雑怪奇で困難な物に思えてきてしまうのですが、治りにくい物には本人の特性が何層か関わってきていると構えていると、混乱しにくくなります。

用語を調べる

私が一番アスペルガー当事者の家族たちを理解するのに役立ったのは、関連用語を調べる事でした。他動と転動の違いや、ごっこ遊びと再現遊びの違い、シングルフォーカス、視覚優位、感覚鈍麻……などなど。用語を調べていく事で、家族の行動に名称のある事なのだと分かると、検索の精度が一気に上がります。
例えば特定の会話になると生返事が増えたり、急に聞いているのか聞いていないのか分からない、そこにいないような感じになっている時の状態が、フリーズや思考停止などの言葉に当てはまりそうだと思ったら、【自閉症スペクトラム フリーズ】など組み合わせて再検索です。
ネット上では様々な情報があふれていて、中には偏った情報なども転がっていますが(うちみたいに)、ひとつの用語でも複数のサイトを見比べて見たりすることで、公約数を取れたり新たな視点を得ることが出来たりします。また、ピンポイントな内容の書籍などにも行き当たる確率が上がるので、完全にではなくても関わる用語は学んでおくに越したことはありません。

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    定型。フリーのデザイナー。
    自宅で仕事をするかたわら、家事・DIY・訪問営業撃退に勤しむ。 本人は定型だが、何かしら発達障害との縁が深い。
    心労と過労で3度倒れ、一時はうつ状態に。 ところがどっこい完治なタフガイ。

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