ASDでACの妻と
アスペルガーのこども2人を持つ
定型夫の研究帳を公開します。

Category:アスペルガーな娘

6歳:人の話が聞けない・理解が出来ない理由│アスペルガーな娘の認知力

2014-09-09 Category:アスペルガーな娘
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例えば保育所でこれからやることを先生が説明している時、彼女はニコニコと時折うなづくようにして話を聞いていたにも関わらず、いざそれを始めようとすると困惑している。どうしたのかと尋ねられると『何をすればいいのかわからない……』と、再度説明を求めたりする。
また、何か問題があった場合などに、ちゃんと一から分かりやすいように説明しようとすると、まずニコニコとこちらの顔を見つめてくるが、やや頭は左右に揺れ、目はどこかうつろ。
私『ああ、聞くふりはいいから、分かろうとして聞いてくれるかな?』
娘『あっ、はい』
途端に目が変わり話をしっかりと聴き始めるが、しばらくすると
娘『ああ、それは~~ってこと? ~~とかと同じ?』
などの正解の範疇に入る例を挙げてくる。
確かに正解だがよく見ると、また頭は左右に揺れ、笑っているのに目はややうつろ。
私『ああ、正解ごっこもいいから、自分のことを分かろうとして聞いてくれるかな?』
娘『あっ、はい』
どうも“人の話を聞く”という行動に、いくつかの境界線が存在しているようだ。
■今だから分かること
冒頭の例は4歳くらいから見られ、5歳後半はかなり激しく起こっていました。この時に彼女が足を取られていた事に気が付かずに話を進めると、理解してもらえることはまずありませんでした。
実はここで起きていたことは、妻や長男にも起こっていて、その中で起きている反応や心理は、自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の特徴として上げられるいくつかの説明になりそうだと考えています。
ざっくりと彼女との会話を解説すると
最初にニコニコうつろで聞こうとした時
【お話を聞くときは相手を見る】を意識し、しっかりと“お話を聞く”カタチを作ろうとしています。しかし、そこに意識がとらわれた所から始まったために、この時点ですでに“お話”は“音”になっていて、その場で理解しながら聞く状態にありません。ただ、後でヒントがあればまるっと思い出すことは出来たりするので、【聞いていない状態ではない】というのも正解です。
【聞くふりはいいから~】の突っ込み
ここで“聞いて話を分かろうとしよう”に切り替わります。この切替は一時、何かを説明する際に重点的に『自分を直そうとか頑張ろうと思わなくていいから、今からする話をただ分かろうと思って聞いてみてくれるかな?』と前ふりを置いて繰り返した事で獲得しました。
正解の範疇に入る例を挙げてくる辺り
話を理解することに集中し、実感として答えが自分に湧いてきたことで、それが正解であることを確かめることに興味津々です。しかし、それが“全て”になっているので、やはり話はこの辺りから実感を持って聞こうとは出来ていません。
【正解ごっこもいいから】の突っ込み
謎が解けたり不安が解消された瞬間に気を抜かれると、その後の“しっかりとした正解”を認識するまでにいたりません。“わかった!”という思いに駆られているだけなので、再度【分かろうとする】に引き戻しています。
……と、言うように、聞いていないのでも、理解できないわけでもない状態です。では、なぜ彼女が途中途中、こういった状況対処になってしまうのでしょうか?
わが家では、対処の方法論の構築に、ASD当事者としての特性が独特に絡んできているのではないかと考えて対策をとりました。

人の話が理解できなくなるパターン

まず、一つ目は【パッと思ったことや連想したことだけになってしまう】パターン。話の始まりや途中で、はたと【これをやればいい】などの話の決着になる様な事柄が頭に浮かんでしまった場合です。これはある程度の興味関心や、話し手への思い入れが良くも悪くも大きい時に起こりがちな気がします。
すでに本人の中では決着がついてしまっているので、その後の会話に対して拾っていく意義がなくなり、心ここにあらずな態度を取ってしまったり、聞く耳を持たない姿勢になったりも。この状態は会話の焦点を見失っているため、本題からそれた質問に終始したり、場にそぐわない質問が出てきたりする原因になります。
自分の中では早い段階で決着が付いているので、ちょっと余裕たっぷりに見えることもあります。
二つ目は【話を聞く以外の事に気を取られている】時。テレビや音楽、雑音やギラツキなどの意識を奪われる刺激があるときはもちろん、“相手に合わせる”などの関係性の維持に目的が傾いている場合です。メモリが奪われているため、どこか気がそぞろというか、眉間が固まるような訝しげな表情をしていたりします。他に未解決の問題を抱えている時や、体調の変化が起きている時も起こりがちです。フリーズに近い状態。
三つ目は【理解する事が念頭にない】時。実はこれが問題を長期化させたり、学生時代は良かったが、社会に出たらパニックを起こしやすくなったなどの原因になっているのではないかと思ったりしています。相手の話を聞きながら理解していこうと最初から意識しておらず、周りの動きに合わせて行けば、何とかなる経験を繰り返した場合に陥ります。
その場で話を聞く姿勢を取るなどの行動を、状況に合わせてとれているので、耳に音は残っていたりします。しかし、その耳に残った知識と現実に結びつけるのは、非常にバランスを求められる感覚的な作業のため、その段階で困惑してしまいます。わが家で猛威を振るっているパターンです。
四つ目は【最初から興味が無い】時。これは定型。ASDに関係なく、よくあることです。生返事が増えますし、途中から聞く姿勢すら取らなくなりますが、自分本位な態度かといえば、頭ごなしに『興味ないから聞きたくない』と拒否するよりは、関係性の持続に意識が残っています。
これはどちらかと言えば話し手側の落ち度が大きいわけですが、“そういうの含めて合わせるのが社会性”と、ヒステリックに構えてしまう人が多いのも世の常です。こういった時は毎度段階的に話しの場から去っていくカタチを取るのが無難で、知らず知らずにそうしている人も多いのではないでしょうか?

娘に取った対応策

私の場合、どういった感じで人の話を聞いているのか、彼らの行動と合わせて考えてみると、思いの外多くの事を同時にこなしていたのだと気が付きました。
無意識での【聞いてます】の仕草の維持
話の5W1Hを短期に予測し、でも確定せずに話しを聞く
自分の予測とズレた部分は、質問なり注意深く聞こうとする
会話の必要な部分と不必要な部分で集中に緩急をつける

時折相手のに対し、【聞いてます】の仕草のバランス調整

……どれも今の年齢の娘には、説明する所から無理そうです。
しかし、いきなりこれらをマスターは難しくても、いくつかかいつまんで、獲得できるものを練習しておけば成長に合わせて追加できるのではないかと考えました。
以下、対策
1:話を聞く仕草
冒頭で問題になってましたが、まずはこれの獲得からでした。相手の目にとらわれないように、ある程度表情が観察できるよう、視線は顔のあたり。楽しい話で余力があれば4~6秒目を見て、2~3秒相手の服などに目を逸らさせるなども挑戦。
2:理解する練習
聞いてるふりが出来てきたら、次は理解する練習。ちょっと大事な話の時に、目を逸らさせたり隣りに座って顔を見ないようにさせ、【今から話すことを“分かろう”と頭の中で浮かべてみたり、想像してみて】とか『自分を直そうとか頑張ろうと思わなくていいから、今からする話をただ分かろうと思って聞いてみてくれるかな?』と、話を聞くことだけに集中する時間を作り、話し終わったら【で、どういうことだろう】と説明をしてもらいます。
3:話を聞く時の距離感
話を聞き始めると、すぐに【目を見る】【聞いてる演出】などに集中しすぎてしまい、どんどん近づいてしまう傾向がありました。そうなると相手との精神的な距離感や、音を拾うなどの作業に過集中してしまうため、【相手の頭の先と、肘くらいまでがいっぺんに見えるくらい】の距離を、話をする度にとれる様に練習しました。
この方が話しやすいこと、うれしい時などにオーバーなリアクションをしてもぶつからないこと、相手の顔の一部などが気になってボーっとしなくなるなど、利点をちゃんと説明するとすぐに飲み込めたようです。
4:一度理解してから話を返す
これはトランシーバー遊びがもってこいでした。某激安子ども服チェーンのおもちゃ売り場で千円程度のもので十分です。簡易なトランシーバーは、相手が話しているときはボタンを離して聞き、自分が話す時にボタンを押すと言う仕組みです。さらに話の終わりに【ど~ぞ~】と区切るのが分かりやすかったようです。
相手の話を理解しなければ遊びが成り立たないのはもちろん、話の終わりをある程度予測したり、オチを見つける訓練になります。
5:注意やアドバイスの適切なとらえかた
生活していれば何かしら指示を出したり、“こうするといいよ”などのアドバイスは出てきますが、娘や長男の場合はこれがネックで、自分に是正の必要性を感じると、一気にしょげたりショックで無躁状態に。それを軽減するために、どんなに些細な是正や励ましなどでも、【君を否定したり、君がダメだって言うわけじゃないからね。もっと楽になる方法があるんだけど】と、自分の評価に結びつけて話を聞く習性にワンクッションを置く練習を続けました。
会話から流される情報に対する緊張感が薄れるため、話を聞くことに余計な切迫感を持たなくなりました。
これらは話を聞くためのテクニックではなく、話を聞くために無駄を排除するための、いわば習慣付けです。新しい概念の開発ではないので、それほど時間は掛かりませんでした。娘の場合は反復練習が必要でしたが、妻の場合は何度か話をして、ちょっとその場で実演してみたところすぐに越えました。
こうしてみて実際に感じたのは、彼らの理解力が低いわけでも、自分本位な訳でもなく、【話を聞いて理解する】部分への意識の持ち方が曖昧になりやすいのかなぁというところです。
話から何を得るのかの意図を見失うと、定型の場合はボンヤリとその会話の内容の周辺で予測しようとする、【この辺りかな?】という固まりの発想が出来ますが、わが家の当事者3人に感じるのは【なんかないか?】と、エリア外を含めた広範囲を見始めてしまいながらも、妙にピンポイントな断続的な発想です。

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  • 夫。30代。
    定型。フリーのデザイナー。
    自宅で仕事をするかたわら、家事・DIY・訪問営業撃退に勤しむ。 本人は定型だが、何かしら発達障害との縁が深い。
    心労と過労で3度倒れ、一時はうつ状態に。 ところがどっこい完治なタフガイ。

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