ASDでACの妻と
アスペルガーのこども2人を持つ
定型夫の研究帳を公開します。

Category:アスペルガーな娘

4歳:アスペルガーな娘まとめ

2014-04-22 Category:アスペルガーな娘

4~5歳の最大級の衝突

近くに来るだけで動悸がする……。
わが家の娘の最も激しい時代の突入でした。知能指数は高い方ではあるが、まずまともに会話は成立せず。しかもそれは家庭内でのこと。外では大人しく従い、『いい子』や『正義感』を演じるので、年齢上設定できる問題行動はほとんどありませんでした。
実際は自閉傾向がやや強く、『人といる事』や『人の意見に合わせる』ことに激しく消耗し、家に帰るとそのフラストレーションが爆発していた様子がありました。
家にいる間は親が『自分とちがう考え』を持っていることを受け入れられず、ちょっとした声がけも、正しい知識も、彼女の瞬間的に考えたものと違っていれば即、癇癪につながっていました。そしてその『ちがい』は『親も知っているはず』なので、彼女にとってはその気持を相手に説明する事自体、発想にありません。
つまり、一緒にいる間は常に衝突です。
自分の考えと違うものは一切受け入れようとしない状態】でした。
やがてそれも長引きすぎて自分の考えすら分からなくなってしまう。
これは『自分と他人との距離がゼロに近い』彼女ならではの、防御策だったのかもしれません。しかし、周りはその距離感の概念が無いことなど分かるはずもなく、非常に困惑しました。
定型の子どもの場合は『イヤイヤ期』と言われる2~3歳くらいの間に、この『他者との違いや距離』を理解していくわけですが、わが家の娘の場合は混乱に混乱を重ね、自分のズレを必死で隠そうとしていた感じかもしれません。

他者を受け入れない時のパターン

癇癪型
自分の行動を制限されたり、思い込みを変えられそうになると起こる。怒りの感情を露わに、泣き喚き相手の話をこれ以上聞かないようにします。パニック状態。感情は外に向いている。
空泣き型
説明がわからない時や、理解しようとしていない時に起こる。『えー…ん』と涙もなく、あからさまな嘘泣きをしながら顔をそむけて、それ以上の情報を受け入れようとしません。許容量を超えたフリーズ状態。パニックに似ているが感情は外に向いていない。
シャットアウト型
癇癪を起こす程でもないが、考えるのが苦手な分野であったり、想像がつかないと放棄した時に起こる。ポイントは完全に理解できないのではなく、受け入れたくない時に起こる傾向が強いということ。
目が虚ろになり、やや上体を揺らすようにしながら殻に閉じこもる状態。
これは『質問に完璧に答えよう』と、完全にそこに意識を持って行かれた時にも同様なフリーズを生み出すことがある。
全否定型
『はぁ(笑) 何いってんの?』『違うんですけど!』などのTVなどで聞いたキツイ言葉を多用し、どんなに自分が間違っていても、相手を馬鹿にする上から目線を崩さない状態。これは比較的、自分の中で信頼度の低い人間にみられる(兄・弟・先生以外の大人など)。反論されると癇癪型に移行する。自分の地位向上をはかったり、プライドを守ろうとする時によく見られた。
他を落とす型
『でも次男はできてないもん』『~~くんもできてないもん』と、他者で同様にできていない者を例に上げ、盾にする方法。非常に余裕がある時に出る。この『できてない』はかなり前の話だったりするので、参考になることはない。
おべっか型
状況が悪くなると急に、その場で最も権威ある人間にベタベタとこびを売り、逃れようとする。
保育所などで褒められることがあった日や、気分が高揚している日に起こる。露骨に打算的なパターン。なにかの説明を受けている時に『へえー、ふぅーん、なるほどー』など、あからさまに演技がかった『私はわかってますよ』など、見せ方に夢中になり、何も聞いていないこともある。
オンナ型
『お父さんは私の事すきだもんねー?』など、突如、【私はあなたにとって大事な存在なのだから、嫌なことは言わないよね】と、関係を盾に取ろうとする。これは前後の関係ややり取りが一切ふくまれていないので、いきなりされると『この子は一体なにをいっているんだ?』と呆れることになる。
……などのパターンが見られました。
さらっと書くと、一見、バリエーション豊かな賢い子の様に見えるから不思議です。
内情は
外では基本『全否定・他を落とす』ですが、そう言った波の時以外は無口で、むしろ隠れたり閉じこもったりするタイプ。
一転、家に帰ると『癇癪・空泣き・シャットアウト』。『おべっか・オンナ』が月に1~2度突如現れるという感じでした。つまり外では殻に閉じこもり、家族といる時間は全てこういった行動で拒絶していたことになります。

通常の『違い』も受け入れないことでの遅れ

『他者との違いを受け入れない』のは、どんな些細な事でも起きていました。
例えば救急車・消防車・パトカーの違いが理解できず、一番最初に『色違い』だと思い込んだ彼女は、教えてもぼーっとしていて生返事か無反応でそのままシャットアウトになります。
ただでさえ、比較的機嫌の良い時(年に数回)でないと『一般常識』が伝えられないのですが、彼女の場合は機嫌が良い時は『おべっか型』か『オンナ型』になってしまうので、まともにキャッチボールになりませんでした。
彼女がこれらの違いを聞き入れられたのは、5歳の頃。
それまではズレた常識を治せないどころか、危険なイタズラや悪いクセなどがなんどでもぶり返していました。一度ぶり返すと意識してしまうため短期間に集中的に繰り返し、余計に強く刻み込まれるのか、再度ぶり返すための要因になってしまいます。
もう、なんでもかんでも悪循環……。
結果、未だに『常識がない』ところや、『斜め上な覚え方』が点在していますが、プライドが高くあやふやな知識の分野での会話をしようとしないため、対応に時間がかかっています。
専門機関に相談してみたところ、
【耳を塞いできたのは本人なので、親は責任を感じる必要はない】
【これからも驚くような常識のズレがあるかもしれないが、当然のことと構える】
とのこと。
現在は生返事や表情の変化にもパターンが出てきているので、それに合わせて確認を取ったり、【わからないことは聞く】などの【たすけて】が出来るようトレーニング中です。

気分障害に酷似した『波』

もともと夕方に向かうと『たそがれ泣き』がとまらない娘でしたが、この気分の波が1週間のスケジュールや、年間の季節の移り変わりごとにも現れるようになります。
私が彼女の二次障害を疑い始めたのもこの頃で、関係機関に相談しましたが、年齢が低く対応できないところが多く、なんら情報も得られませんでした。
現在、この波の正体もわかり、落ち着いたので言えることですが、これには理由がありました。
単純に自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の子どもの場合、保育園や幼稚園、学校などの行事に順応・対応しきれず疲弊、それにより通念決まったタイミングでの波がある傾向がしられています(定型の子でも起こりがちだそうです)。
わが家の娘の場合、さらに『疲れ』と『不安・苦痛・恐怖』の混同があり、通常のぐずつきで済まなかったこと、『他者の意見の拒否』があったため、親からの状況のフォローすら届かなかったことが激化した原因だと思われます。
さらに嫌だったことなどを『時間の連続で考えられない』ため、過去の嫌な体験を今の事のようにかぶせて思い出して余計に怯えることも。そして、その観念にとらわれてしまうため、避けるどころかなぞるように行動して『再現』しようとしていました。
結果的に『お休みの日はこうなる』『月曜日はこうならなくてはいけない』と、現実を見ることなく、自分の思い込みの世界で右往左往していたようです。彼女の手の内だけで生活が営まれていたために、社会とのスケジュールに対応できていなかったということでしょうか。

わが家での対応

正直、この頃の娘に効果的な対応などできませんでした。
ようやく子どもに関わろうとし始めた妻(アスペルガー・AC)も、癇癪の手がかりすらつかめない娘に困惑し、常に弱腰な態度に。これがまた助長していたようにも思えます。
よくこういった子どもへの対応のひとつに『相手にしない』がありますが、知性の高い彼女には『このやり方では足りない』などと認識されてしまい逆効果。『別室に隔離』なども彼女にとっては何のペナルティーにもなりませんでした。
『褒めて伸ばすところを見つける』などのABA的発想も、会話の通用しない彼女には成果が無いどころか、調子に乗るとともに上機嫌の波が激しくなり、結果2~3週間の落ち込みにつながってしまいました。
結局、わが家で下した判断は、『別室に隔離』。
平日、保育所から帰ってきてから10分間の様子で判断し、『これは明らかに荒れる』場合は軽食を取らせてすぐに寝室に。休日も朝の様子から判断し、場合によってはとにかく寝かせて起きました。
受動型の子だと『引きこもり癖』がつくので時間を聞けるべきであると言われています。わが家の娘の場合、外での問題よりも中での問題が大きく、かつ他の兄弟に影響を与えること、本人の思い込みで追い詰められてしまうことを考えて隔離しました。
……今思うと、これが実は唯一無二の彼女への対応だったのかもしれません
『他者と自分の距離』の認知と、年齢相応の体力を得た現在では、激しいイベントや余程のことが無い限りは隔離するまでには至っていません。

家族への影響

長男(アスペ):
基本はマイペース、しかし本人も不調な場合、不安症状が誘発される。
次男(ふつう):
言動などすぐに影響されてしまう。一時、姉の行動をマネしていた所、同様な父親への緊張状態が起こり1週間で自壊。無気力状態で立ち上がれなくなる。一時的な娘からの隔離で回復。行動が精神に影響することを身をもって証明した。
妻(アスペ):
結果が伴わない不安から、発言も行動もできなくなる。不安から反応が鈍くなり、悪循環を生むことに。
私(ふつう):
妻へのカサンドラ症候群と、娘の影響からの二次障害(うつ・ストレス症)でダブルパンチ。
免疫力が激しく低下し、蕁麻疹、肌荒れ、大腸炎、肝機能低下など、グレー◯義太夫ばりの満身創痍に。
なにより衝突で生まれるストレスが大きく、その場でできる解決策もなければ、相談できるところが極端に少ないために追い込まれがちです。一般的な発想でいけば、多感な4~5歳の頃の隔離は避けるべき手段と取られがちですが、様子を観ながら行うことでわが家の場合は娘の余裕の確保などの好影響につながりました。

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  • 夫。30代。
    定型。フリーのデザイナー。
    自宅で仕事をするかたわら、家事・DIY・訪問営業撃退に勤しむ。 本人は定型だが、何かしら発達障害との縁が深い。
    心労と過労で3度倒れ、一時はうつ状態に。 ところがどっこい完治なタフガイ。

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