癇癪が酷く、言葉が一切通じない日々。ふつうに話しをしても、聞いているのかさえわからない。やらなければいいことに首を突っ込み、勝手に癇癪を起こし、泣き止むまでに数時間を奪われる。
離れていれば何をするか分からない。
近くにいたら何をするか分からない。
近くにいたら何をするか分からない。
言葉はいつもキツかったり、心ない発言が続く。それを注意すれば、フリーズして一切話しを聞かなくなるか、獣のように喚き散らす。
どうしてこの子はわざわざ怒らせるのか?
どうしてこの子はわざわざ不幸を望むのか?
どうしてこの子はわざわざ不幸を望むのか?
そう言えば、この子と笑って話したことなど、記憶を辿っても見つからない。知性に遅れはないのに、ただ『話を聞く』をまともにしないから、未だに消防車と救急車の違いすら分からない。
気が付くと、娘がいると思うだけで笑顔が消える─。
手を出してしまった後、とてつもない罪悪感と喪失感が襲う。しかし、もうそうやってショックを与えないと、彼女は耳を傾けようとすらしない。
『自分の子がうざい』
ある時、掲示板でのそう言った書き込みに、目を奪われた。よかった、自分は異常ではないのかもしれない─。
その安堵の反応にまで、罪悪感が押し寄せる。
■今だから分かること
自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)にかぎらず、また、親子関係にかぎらず。
認識にズレがある関係は、非常に困難な問題を生むことがあります。
認識にズレがある関係は、非常に困難な問題を生むことがあります。
それが我が子ともなると、距離を作ることも出来なければ、対話で理解できない時期が長期に渡ることもあります。さらに『親は子を無条件に愛するものだ』と言う言葉が、重く重く【戒律】の如くのしかかることもあります。
ただでさえ、親は自分の子どもの問題に関して、負い目を感じやすいものです。
表面に出さなくても、その負い目に縛られた行動を取る方は多いわけですから。
(例えば避けようとする人は、その事実があるから避けているとも言える)
表面に出さなくても、その負い目に縛られた行動を取る方は多いわけですから。
(例えば避けようとする人は、その事実があるから避けているとも言える)
過ぎてしまえばあっという間の五年でも、毎日が辛い状態で追っていると、いつまでも続くのだと思い込んでしまいがちです。
だからこそ一般的な子育ての方針を耳にすると、その違いに打ちひしがれたり、そう出来ないことに焦ってしまいます。そんな時こそ、『正論』や『一般論』などは、聞きたくなくなるものです。
すでにこちらは苦しいほどに認識しているのですから。
すでにこちらは苦しいほどに認識しているのですから。
定型の次男が生まれてきて再認識したことは、本来なら『ここまでやったらアウト』な引き際が、当時、わが家の娘には完全に欠落していたこと。
むしろ、何度叱られて痛い目を見ようが、こちらが引かないことに娘は混乱し、癇癪を起こしていたくらいです。
むしろ、何度叱られて痛い目を見ようが、こちらが引かないことに娘は混乱し、癇癪を起こしていたくらいです。
自分と他者との境界が薄いことが、大きな原因だったのかも知れません。
自分の考えは、当たり前に相手もそう考えていると思っていたり、そうしてもらえないことが彼女にとっては理不尽に他ならなかった訳です。
自分の考えは、当たり前に相手もそう考えていると思っていたり、そうしてもらえないことが彼女にとっては理不尽に他ならなかった訳です。
人の表情から気持ちを汲み取れないことと合わされば、ここで彼女がブレーキを踏むタイミングがどこにあるのか、逆に見当たらなくなるのも当然です。本人も辛かったことでしょう。
かつて私が毎晩大泣きする長男に疲弊していた時、思わず『何が悲しくて泣いてんだか、このウンコマンは……』とつぶやいた瞬間、ほんの少しだけ人間味を取り戻せた瞬間がありました。
なっさけなく聞こえるかもしれませんが、本当に当時は自分の口からこれが自然に出たことで救われたのです。『親は子を無条件に愛するものだ』という【戒律】に呑まれていたのでしょう。
現在娘は6歳、この頃と比べればまるで別人と言えるくらい、対話が通じますし、今までを取り戻すようにどんどん吸収していっています。
過去を振り返れば、彼女と私達の衝突は『ほんの些細な認知のズレ』が重なったものでした。
そのひとつひとつは『え、そんなこと考えてたの?』と、一言で指摘できてしまう内容だったりします。それでもそれらが重なり、毎日続けば『一生続く不幸』の様に思えてしまいます。
そのひとつひとつは『え、そんなこと考えてたの?』と、一言で指摘できてしまう内容だったりします。それでもそれらが重なり、毎日続けば『一生続く不幸』の様に思えてしまいます。
『ウンコマン発言』に近い、戒律の外の考え方は、娘が5歳になり、他者との距離を言葉に頼らず、脳の発達により概念を理解したことでつかめました。一定の時間が必要だということかもしれません。
ある意味、子の成長を待たなければ改善が見込めない、『待ちの一手』しかない時期であれば、親の耐性をケアするしかありません。
わが家では、それには『いつまで』や『どれだけ』などの先が分かることが一番でした。
具体的には、子どもの年齢と発達状況からみて『ああ、これは~歳じゃないと無理だな』など、今問題になっているズレを正確に知ろうとすることです。それで『今は無理』と判断したものは、そこから遠ざける方法をとりました。
例えるなら、自分でできるようになって、正確に認識できるようになって、初めて体験させる『取捨選択』のスタンス。よそはよそ、うちはうちの精神です。
今でも時折、彼らの認識のズレは、成長に合わせて他者との関係に現れる事があります。
しかし、この取捨選択のスタンスがあることで、冷静に対策を立てられる状況に持って行けています。
しかし、この取捨選択のスタンスがあることで、冷静に対策を立てられる状況に持って行けています。
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中の人
夫。30代。
定型。フリーのデザイナー。
自宅で仕事をするかたわら、家事・DIY・訪問営業撃退に勤しむ。 本人は定型だが、何かしら発達障害との縁が深い。
心労と過労で3度倒れ、一時はうつ状態に。 ところがどっこい完治なタフガイ。
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