ASDでACの妻と
アスペルガーのこども2人を持つ
定型夫の研究帳を公開します。

Category:手記

手記

常にパニックだった頃を振り返ってみる│インタビュー・ウィズ・アスペ妻

2014-11-27 Category:手記
質問:パニックが起こっていた頃はどうだった?
妻『まず、自分がパニックになっていたと思っていなかった。“なんでこんなに私は疲れやすいんだろう”と思っていた』
質問:疲れやすい?
妻『暑いと潰れる、寒いと潰れる。人と会うと潰れて、季節の変わり目に潰れて、何かを考えようとすると潰れて……。いつも何でこんなに疲れているんだろうと思っていた。潰れる時は考えも浮かばないくらい参っていた』
質問:疲れではなかった?
妻『そう。というよりも、夫に言われるまで、自分のこの感覚が【本当に疲れか】なんて疑いもしなかった。違うもの何だって分かると、それに関しては潰れなくなるのを実感した。たぶん、【疲れたような感覚に気持ちが全部いってた】のだと思う。正しくは困惑していたのかもしれない』
質問:どうやってそのズレを理解できたのか?
妻『夫に最初に指摘されたのがひとつ。【それは疲れじゃなくて、終わって気が抜けたんじゃない?】って。他にも【暑くてダルい感じを、肉体的な疲れと一緒にしてないか?】という指摘で気がついた。
この発想がハァ~ってなった時に、【この疲れに感じた物は、何が原因で体に起きたんだろう?】って、飲み込まれずに一歩踏み止まれるようになった。そうしてると、段々自分でも【これは~~だからだ。潰れることじゃない】って分かるようになった。

それに運動をして、体の疲れを感覚としてちゃんと憶えようとしたのも良かった。体の疲れと思い込みの疲れと違いが分かるようになった。』

質問:自分の中で大きいと思っている意識の変化は?
妻『意外と【疲れたな⇒疲れたな、疲れたな……】じゃなくて、【疲れたな⇒よし、~~まで頑張ろう】って言う根性論が効いている気がする。
自分の中で凄く印象に強いのは、たくさんやらなきゃいけない事がある時とかに、無意識に【◯◯やるなら、まず~~を終わらせてゆっくりやろう】と、重要でないけど苦手な物を先行する使命感に追われてたと気がつけた事。

そこから【今、一番何をしなきゃいけない時間なんだろう?】ってシンプルに考えるようにして、他を切り捨てられるようになった。前は使命感に追われながら、他の物事まで段取りに組み込んでてハングアップしてたから。実はその時すでに疲れを感じていたんだと思う』

質問:疲れなくなったとか、楽になったのを実感した?
妻『疲れと混同してた感覚が、【これは疲れじゃない】って気がついて、視界が晴れた時は驚いた。その後にも色々とそう言う晴れていく感覚を受けたけど、その前は本当に世界がぼやけてたような印象がする』
質問:これは効果的だったと思うものはある?
妻『たくさんある。ジョギング(※1)も良かったし、スケジュール帳の色分け(※2)も良かった。自分が知らない間に抱え込んでた事を気づけたり、極端にとらえてた事に気がつくには、本当に色々やってみなくちゃいけなかったんだと思う。
で、実は一番パニックの原因になってたのは、子どもとの関わり方と、自己評価の置き方だったと思う。子どもの行動とか、考え方とかを曖昧なままにしないでちゃんと理解しようとした事と、子どもが起こした問題を【私が悪いんじゃない】って、まずちょっと考えるのを繰り返したのは、焦りを凄く少なくしたと思う』

(※1ジョギングについての過去記事⇒18:アスペ妻の記録~最低限の体力~
(※2スケジュール帳についての過去記事⇒55:アスペ妻の記録~問題の先送り~

質問:その他に何か要素はありますか?
妻『……理解する事で変わっていく物はいいんだけど、ズレとか思い込みから起きてたことは、優しく言われていただけではダメだった。聞いていて、納得もしているんだけど、どこか【ふうん、そう言う考えもあるのか。でも私の考えも今最善だと思ってるんだよ】って思っていた。
キツく言われて、【これは治すべきなんだ】って気が付かなきゃいけない時は、今思うと情けないけど【提案】では無理だった。

その時は【人間やめたい】って思ったりもしたけど、その後に【これで失敗してたんだから変えなきゃ】って気がついて、変えてみるとその通り楽になっていくのを感じた。ある時から楽になる事の方が実感が強くなって、そこまで抱えなくなった。この辺りは今だから思うけど、本当に長男と娘と似ていたと思う』

質問:以前の自分に言いたいことはありますか?
妻『……【いいんだろうか?】なんて考えてないで、勇気を出しなさい』
質問:感覚過敏などへの影響はありましたか?
妻『眩しいのは今でも苦手だけど、もう、それが直接ダウンさせるようなものにはなっていないと思う。眩しい時の不快感が、眩しいから不快だと分かるから、対策が取れる。そう言う時の対策の引き出しがあるから、安心出来るようになった。
人混みと音も、自分がどれだけ苦手だったのか、分かるようになった。前までは特に、子どもを連れている時にそういう所に行くと潰れてしまったが、今は子どもを連れている時に持つ、負の気持ちとかを自覚しているから、辛くなっている原因をつかんでいられる様になった。

不思議と“こういう時に私は不快になるけど、それはこういう風に感じていたからなんだ”と分かることが増えてきたら、耳栓とかがなくても少しずつ平気になってきている』

夫から見た視点でまとめ

毎週の様にパニックを起こしていた時と比べ、妻に余裕が出来たのはもちろん、私が一番驚いているのは、こうして自分の感情の話をしっかりと話せるようになった点です。
以前は本当に大切な意思表示以外はどこか濁していたり、会話していても掴ませないようにする傾向があり、どこか自信がなさ気でした(ちゃんと掘り下げて聞くとしっかり意思があるが)。
途中、さらっと流していますが、彼女が本当に安定したのは、やはり子どもとの関わり方が大きかったと思います。
ここまでは、【どこからどこまで】とか【こういうのはどうするべきなんだろう】とか、そういったちょっと曖昧でメモリを奪いそうな事を、しっかりと言葉にできるガイドラインを引いていき、データベースを構築していくのが基本型。
なるべくメモリを確保しながら、やるべき事を見つけ出せる様に、シンプルな思考を取り入れてワンクッションをいれたり、切迫感を生み出す思考のパターンをとことん分解していったりの繰り返しでした。
今、生活への実感力や自己評価を上げてきている妻は、夫婦の仕事とは別に新たな道などへも挑戦を始めています。ここでもスケジュールや大事なことの見つけ方など、様々なポイントがそのまま活用できているようです。
ひとつ誤解されたくないのは、私たちが目指したのは【定型の生活】ではないという事です。しっかりと5人が生活を回せて、パニックや自己評価の低下に陥らない様にするために、ひとつひとつ向き合っていった結果です。
【将来はこういう家族に】とか【こういう生活がしたい】と理想論に向かっていった訳ではありません。どちらかと言えば、見えてきた問題に行き当たりばったりで、明るい方向に向かっていったという方が正しい気がします(そんな余裕もなかったし)。
だいたい、わが家が【定型(一般)の生活】というには、経歴も生活基盤もあまり一般的では無い方に流れているので、そもそもが【変わり者一家】だとしていた方が精神衛生上でも楽だったりします。

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  • 夫。30代。
    定型。フリーのデザイナー。
    自宅で仕事をするかたわら、家事・DIY・訪問営業撃退に勤しむ。 本人は定型だが、何かしら発達障害との縁が深い。
    心労と過労で3度倒れ、一時はうつ状態に。 ところがどっこい完治なタフガイ。

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