長男
書いてある内容をちらっと
問題が見えにくくなる
1年生の頃に見られた、ひとつの事に夢中になって他に遅れたり(過集中・シングルフォーカス)、逆に色んな事が気になって興奮が治まらない(転動)などはかなり解消されました。成績も良く、授業にも積極的な姿勢があると評価されていました。
時折、休み時間の楽しい気分を切り替えられず、授業中に【何か楽しいことをしてやろう】といったウズウズの行動があった様です。それも妨害というものではなく、どちらかと言えば良いムードを作ることも多かったとか。
しかし、その裏で彼の本来の性質が、静かに強調され始めていました。そしてそれを見えにくくする彼独特な習性が余計に問題を長期化・難化していきました。
【全てを人に合わせる事で社会性を保つ】という受動的な性質
【合わせている事を悟られないようにする】という問題化しないための習性
これがいじめ問題や、突然の緊張、他とズレて自己評価が下がることでのストレスを生み出して行くことになります。
いじめ問題
2年生で最も大きな事件でした。問題は1年生の頃からあった(作り出していた)訳ですが、周囲のクラスメートの成長や、本人の【合わせる】性質が悪い方向に進んでしまった形です。
叩かれようが仲間はずれにされようが、相手がニヤニヤしていれば『冗談か』と、問題から目を逸らし、自分もニヤニヤとしてしまう。本人にそれは『いじめられている』という意識が無いために、自らもそういった方向の遊びになるような誘い方をしてしまうのです。
さらに周囲の暴力性を引き上げていたのが、そこで発揮されてしまう【刺激を求める・煽る】という彼の特性でした。想定外の状況や、興奮を煽るような状況に直面した時、自分の気持ちなどを実感する力が薄れ、『もっと、もっと』と刺激を求めてしまうのです。
結果、本人にも自覚のないまま、自ら暴力が起きやすい状況を作り、他を煽りながらもニヤニヤと合わせることで相手に『悪いことだ』とは思わせないようにする仕組みが出来上がっていたのです。
(※その時の詳細はこちら⇒小学2年生:受動型のいじめ問題と『そこにいない感じ』│アスペルガーな長男)
そこにいない感じ
先生が前でみんなに対して話す。もちろんこれは【みんなに】なので自分にも関わることです。しかし、彼はこの【みんなに】が自分に関係する事だと、あまり意識が出来ていなかったようです。
だから先生の話を自分の事として理解しようとしておらず、結果他のクラスメートの動きに合わせて自分の行動を取るため、いつも後手に回ったり不完全な作業が続いてしまう。そうして自分の意思がない時間が続き、生活に対して実感や現実感が非常に薄れていたのでは無いかと。
また遅れることで、静かに劣等感を抱いたり、不本意な状況が続くことにストレスを感じるようになっていました。
【先生が前でみんなに対して話すのは、自分も含まれている】これをわざわざ説明されることは、一般的にまずないでしょう。しかし、彼はそれに対しても何となく曖昧なとらえ方にしたまま、話が理解できなくて困っても、表面的な【分からない】だけを問題視し、根本的な問題には気がついていませんでした。
【みんなが意識なくやっていて、一般的にそれを説明する言葉が曖昧】
上記のような“分かり切っているから、わざわざ説明するまでもないだろう”とされる、社会性に関連することには非常に多くあります。わが家の自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)当事者たちが、正体不明のやりづらさに苛まれている時は、これをしっかりと言葉にして、的確な概念を示すと解決の近道になることがよくあります。
直面している問題以前の、姿勢としての【分からない】が、不安感を作り出している例でもあります。こうした本人にとって出処不明の不安感が重なると、常に小さなパニック状態を起こしたり、離人感を引き起こして【そこにいない感じ】を引き起こすことがあるようです。
合わせる性質の罠
【痛いのはイヤ・意地悪はイヤ】などの自分の心の動きや、それへの対応を理解した彼は、いじめ問題自体はクリアしました。しかし、【合わせる】性質自体が解消されたわけではありませんでした。しかも【合わせているのがバレると注意される】事を本能的に理解し、【失敗=悪・罪・否】と極端な思考を持っている彼はさらに巧妙に【合わせる】様になっていきます。
そうして彼は、自分の気持ちが分からなくなっていきました。
元々自分の感情を自覚するのは苦手な方でしたが、そこに拍車を掛けてしまったのです。彼は気持ちなども相手に合わせたり、その場の空気に合わせて正解を口にする事に集中してしまうため、本当の気持ちも本心ではガマンしている事も無視してしまいます。
結果、人といる時間に無自覚なストレスを募らせたり、合わせていた状況が崩れるとフリーズするようになります。また、選択を迫られる時などでも、自分の気持ちが分からないため、激しい緊張状態と共に、思考停止状態に陥る様に。
元来、人との摩擦やズレを生まないための策だったはずが、そこに特化していた事で、自分や他人の心の動きを理解するチャンスをことごとく見過ごし、策が通用しなくなった時にお手上げ状態になっていたのです。
外と家での様子
いじめ問題以降、彼が外で問題行動を起こすことはほとんどありませんでした。基本的に合わせていた事が裏目に出ていた以外は、パニックを起こしたり癇癪を起こすなどがなかったのです。
手がかからないようでいながら、実際は【分からない】事を悟らせない様にもしているため、逆にこちらが【分からないであろう事】を想定して打診していくしかありません。具体的には、今学校でやっている事などを聞いてから『ああ、そういうのやってる時って、~~に困ったりしない?』など、なるべく軽い感じで投げかけます。
ちょっと困っている事を悟らせないようにしていそうな時は『~~に困ったりしない? お父さん、そういう事あったわ、子どもの頃』など、本人が感じているマイナスを【あるある化】する事で、【合わせよう】とする彼から本音を聞き出せる事がよくありました。
家でも基本的に合わせてくるので、どちらかと言えば仲のいい親子関係です。しかし、ここでも彼が合わせている事には違いがなく、どこか距離を感じる瞬間が点在します。
なんとも言いようのない乾いた感じです。この感覚は言葉で表すにはなかなか的確な表現がみつかりません。当時、これはどう表現すればいいか分からず、誰にも相談できませんでした。そして彼自身が何らかの問題を抱えていたり、パニックを起こしかけている時は、このバランスがあっという間に崩れ、今までの関係が嘘のように激しい緊張状態を作り出します。
この頃はまだ、彼が【人に全てを合わせている】と言い切れない時期で、他にも様々な可能性があったため、この手のひら返しや乾きの真意は分かっていませんでした。本人にも自覚はないため、確かめようが無かったのです。これは三年生の夏休みで問題が露呈し、解決することになります。
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中の人
夫。30代。
定型。フリーのデザイナー。
自宅で仕事をするかたわら、家事・DIY・訪問営業撃退に勤しむ。 本人は定型だが、何かしら発達障害との縁が深い。
心労と過労で3度倒れ、一時はうつ状態に。 ところがどっこい完治なタフガイ。
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