上手くいき始めの壁
上手く行き始めていたのに、ちょっとした事で混乱し、せっかく上手く行き始めたものが失敗に終わってしまう。
そうなることを避けていたので、なおさらショックは大きく、取り戻すのに大きな時間がかかってしまう。
娘の自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の診断がつき、その対応に進みだした頃。また、妻にもその傾向が強いことが分かり、その対応を始めた頃によくありました。
今まで思考や行動を阻んできた、小さな認知のズレを解消しつつ、上手く行き始めた時に突如元に戻るような事が繰り返されたことがあります。
娘の言動やクセ、いたづらのぶり返しなどもそうですが、妻の家族との関わり方・仕事への取り組み方なども、同じくサイクルの様なものがみられたのです。
今回はこれらのサイクルから抜け出したり、つまずいた時すぐに復帰できる様になった流れをご紹介したいと思います。
失敗するパターン
まず上手くいくように望み、動き出す時は多くの確認事項や、注意事項の再確認の繰り返しが多くなります。
今までと流れを変えるのは慣れるまでが大変だからです。
しかし、それら確認事項が功を奏して物事が進み始めると、今までいちいち確認していたものに、それほどの注意を必要としなくなってきます。流れに余裕を持てている時期です。
こうして確認事項がそれほど必要としなくても、上手くいっているうちはいいのですが、ここで小さなミスや予定変更が置きて、今までの流れに変化が起きた時に問題が起こりやすくなります(幼いうちは上手くいったとたんに有頂天になり、その段階で確認をやめることも多い)。
慣れた頃が危ない。
この小さなミスや予定変更の時に、どう反応するかで大きく分かれていきます。
特にわが家の自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)当事者たちに見られた分岐点は、【もう一度確認から】に戻れるか、【上手く回せない自分を責める】かです。
失敗のサイクルと自己評価
【もう一度確認から】はベテランであればあるほど、余裕がある人であればある人ほど、自然に要領よくこなしている気がします。
確認事項も少なくなるよう、ポイントを絞って確認作業自体のコストを下げていったりします。
しかし、【上手く回せない自分を責める】場合はちょっとややこしくなります。わが家では妻と娘によく見られましたが、こうしてミスした時にすぐ『できていると思って調子に乗っていた』とか『どうして私はミスをしてしまうんだ』と、自己評価を下げることに直結した思考に陥ることです。
そしてこれは大きなミスが起きていなくても、忙しくなったり手順が変わり、上手く進んでいないと焦りを感じた段階で思いつめてしまうことがあります。
ここに至ると、『何が悪かった』などの自分の至らなかった表面的な部分に、考えを集中させたような言動が多くなります。いくら思考しても現実は変わりませんし、納得の行く答えが見つからない限りは動き出せない状態に陥ることにもなりかねません。
問題に対する不安感も大きくなりますし、自分の中に失敗の答えが見つからないので『相談』なども難しくなってしまいます。
……かえって分かり難いわ! となるかもですが、なんとなくまとめてみました。
ずっと上手く言っていた時の流れのままだったら良いのですが、現実はそうも行きません。予定の変更・作業の増加・行程の前後・他との兼ね合いでのタイミング待ち……などなど。
ここで感じた不安は、自分ができていないという責め苦になりやすく、またそうした精神状態だと【どうして上手くいっていた時みたいにできないんだ!】と焦りも生みやすかったようです。
ベーシックな確認手順を設定
ふだんの生活の流れ・家族や他人との接し方・仕事の回し方、それらのどれにも単純な確認作業としてシンプルにできる部分があります。
ふだんのルールを明確にしておく
ルールにグレーで迫られたら『イヤ・困る』と本心を言う
上手くしようとはせず、『して欲しいこと』と『自分の気持ち』を比べて考える
こういった明確で初歩的な確認事項を、ルーティンとして何かの始まりの前や、予定の変更などでペースが乱れた時に、ホームポジションとして戻るようにします。メモ書きや付箋などで、いつでも眼に入る所に張っておくと、普段から意識するクセがつくので良い影響が出ていました。
こぼれ話ですが、子供用にもホワイトボードに予定や確認事項を書いていますが、書いている妻自身の安定につながっていた事もよくあったようです。
これらは仕事でも勉強でも当てはめられます。確認事項をシンプルにしてルーティンに組み込んでしまう、流れが変わり始めた時に確認するクセを作ると良いようです。
あまりに混乱が激しい時は、今目の前に積み重なっている物事をメモに書き出して、『なにをどれから……』という決着のつかない物事を文字にして視覚的に確認します。
今抱えていること
頭の中にある気になっていること
よく分からないと思っていること
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中の人
夫。30代。
定型。フリーのデザイナー。
自宅で仕事をするかたわら、家事・DIY・訪問営業撃退に勤しむ。 本人は定型だが、何かしら発達障害との縁が深い。
心労と過労で3度倒れ、一時はうつ状態に。 ところがどっこい完治なタフガイ。