書いてある内容をちらっと
娘(アスペルガー症候群)が2ヶ月間、7種類の言語のテストを受けてきた結果が出ました。
WISC-Ⅳ(ウィスク・フォー:知能テストの一種)の結果を受け、低目に出た言語理解の項目が、なぜ低く出たかを確かめようとしていたのです。今回はその中で特徴的だったものを抽出してまとめてみたいと思います。
全体的な言語能力
“理解力・表現力・語彙力ともに年齢相応の能力あり。推論をしたり、イメージ豊かに言葉を表現できる。視覚からの意味理解が強い。ただ、問題によって質問の意図理解がズレ、本人の解釈で答えるケースがしばしば見られる。”
非常に的確な結果です。娘はどちらかと言うと会話をしていて、驚くほどの理解力を見せたり、大人びた論法を展開したりと、言語の能力は高い方だと思います。しかし、WISC-Ⅳの結果では言語理解が低く出ています。問題の相性もあったのかもしれませんが、私と妻の考えとしては【第一印象での誤解や、出題を理解しようとして聞かなかったのではないか】でした。
“問題によって質問の意図理解がズレ、本人の解釈で答えるケースがしばしば見られる”の部分は、まさに彼女がふだんよく見せる反応です。こういう時は明らかに非常識・不条理なものになってしまっていても、何の疑問も持たなかったり、疑問を持ってもそれを確かめようとはせずにそのままにしてしまう事が多々あります。
質問応答関係検査
質問応答関係検査は、会話から言語理解や表現力を調べる検査。
聞いた言葉から想起したり、様々に思い浮かべるのは得意。長い文章表現やイメージを持たせることが出来る。失敗時、その失敗をあれこれと考えようとする部分あり。
【なぞなぞ】などの比喩的な表現に対しては、復唱をするものの語を失う。応答時に余計な情報を付け加えてズレていく傾向あり。また、相手の質問意図を汲み取れれない傾向もあり。
LCスケール
LCスケールは、絵や特定の設定のイラスト等の理解力から、言語能力の様々な面を調べる検査。
絵やイラストからの理解力が高く、この場合は登場人物の心象や、それぞれの人物の視点が理解できる。長い文章などからも理解でき、不合理な点も指摘できる。
課題により、前の課題の設定を引きずったままだったり、先入観から出題を理解できなくなる傾向あり。
ITPA
ITPAは、言葉を受けて言葉で返す能力や、視覚情報から体での動作表現ができるか表現力を見る検査。
言語に比べて視覚からの理解の方が強い。記憶して答える課題に弱い傾向あり。注意が逸れやすい。
WPPSI
知能検査の一つ。今回はこの内の【文章】に関わる部分を使用。会話の最中に復唱する際、意味は合っているが言い方を変えて返す事が見受けられたため、文章を形通りに憶えられるのかを検査する目的で実施。
『昨日の晩、大雨が降ったので、バスが遅れました』を『昨日の夜、雨が降ったのでバスが遅くなりました』など、聞いた文章から独自に解釈しなおして復唱するが、意味は合っている。
※これも凄く彼女らしい特徴。3~4歳の頃はこれが多く、またもう少し言葉の正解率が低かったので、『なんでいちいちわざわざ間違えた事を言うんだろう』と思っていました。そういう時、ちゃんと聞いてみると意味は理解していることが多かったのも特徴でした。
絵画語彙発達検査
『国会』のイラストを見て、『政治』の言葉を選ぶなど、語彙力を測る検査。
小学校低学年程度の語彙力あり。
※ちょっと驚きました。でも確かにテレビを見ていて、大人の教養番組やニュースなどから、ほとんど観てもいなかったはずなのに、その単語と意味を何となく記憶している傾向はあります。
グッドイナフ人物画検査
自画像を描き、体の形のイメージが正しいか、それを絵で表現できるかを検査。
発達年齢は実年齢よりやや高い。その日着ていた自分の洋服を、模様まで書き込んでいた。
フロスティッグ視知覚発達検査
『目で見て理解・再現する力』を把握するための検査。年齢を考慮して、その内の一部のみ実施。
視知覚は年齢相応。
WISC-Ⅳと合わせての総合的な判断
全体的には平均値にすると年齢相応ですが、視覚からの理解などで一部分高めに出ている項目がありました。
WISC-Ⅳは全体的に平均で、【知覚推理と処理速度が高いので、ぱっと見たものや浮かんだことに関してすぐに処理できるものの、言葉からの情報には弱い】と言った特徴があり、言語能力のテストに関しても、共通した結果となっています。
言葉から意味を受け取る力に関しても、実際は平均的な能力値ですが、思い込みやパッと思い浮かべた独自解釈で突っ走る傾向があるということはこれでハッキリしました。
おそらく、この突っ走る特性を消すことは出来ないでしょう。しかし、衝動性を抑えた時のように、彼女に響きやすいキーワードを探すことで対応はできると思います(※関連記事⇒衝動対策以外にも有効な子どもへの鎮静方法【10秒ルール完全版】)。
今後考えられる問題と対策
ここまでの結果と合わせて、今後の対策を相談しました。まず考えられる問題は、小学校の授業で【問題意図が理解できなかった時のパニック】です。
・問題慣れしておいた方が、パニックの振れ幅も少なくなるのではないか
様々なタイプのドリルがある中、同じ出題傾向を何度も繰り返す様なタイプより、複数の問題が入れ混じったタイプを選択。すでにこれは進行していて結果が出始めていたので、小学校入学まで続行決定。
また、わが家で行っていた『マルな事バツな事一行日記』が、自分の傾向を知りながら、文章表現も養えるので理想的であるとのお墨付きを頂いたのでこれも続行決定。
その他にも、娘に対して行っていた『人の会話に聞き耳を立てるな』という、社会通念の曖昧表現に対し、明確な説明に置き換えていく作業は、彼女のテストの応答での様子を見ていても、理想的だろうと言うことでした(褒められちった、テヘ)。
もちろん、【何に対してパニックが起こるか・それはどうして起こるのか】など、社会生活に必要なメモリをなるべく残すための、認知のズレの発見は同時進行していくべきでしょう。ここまでで感じてきたズレ等が、思い過ごしや先入観などでは無かった裏付けとなったことで、非常に安心感を持ちました。
【関連記事】
⇒【WISC-Ⅳ】アスペルガーな娘が知能テストを受けて分かったこと
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中の人
夫。30代。
定型。フリーのデザイナー。
自宅で仕事をするかたわら、家事・DIY・訪問営業撃退に勤しむ。 本人は定型だが、何かしら発達障害との縁が深い。
心労と過労で3度倒れ、一時はうつ状態に。 ところがどっこい完治なタフガイ。
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