ASDでACの妻と
アスペルガーのこども2人を持つ
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手記

ショッピングモールなどで疲れやすい│ASDソーシャルスキル

2014-11-11 Category:手記
大型デパート・ショッピングモールで疲れる
お祭りなどのイベントでパニック
以前からちょっとずつ、自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の特性に対し、こうした賑わう場所や雑踏での対応を紹介したりしていましたが、今回はそれらを【主導権がない・連れに理解を求められない状況】でも使えそうな対策をまとめてみます。

※あくまでわが家のASD当事者たちや、私の周囲からの情報を元にした素人のまとめです。ASDの個性の範囲は広く、ここで挙げている方法が効果的でなかったり、適切で無い場合があるかもしれません。

パニック・離人状態軽減

賑わう場所は音、色、光、気配、パーソナルスペースなどあらゆる情報が氾濫していますが、これらの要素にASD当事者が翻弄されやすくなるパターンは以下の様なものが見られます。
A・買う物や目的が明確に決まっていない
B・“何時まで”とか“終わったらどうするか”が決まっていない

C・立ち位置が“相手に合わせる”形でしかない

A】は“戸惑い”と“焦燥感”の原因になりやすいようです。どうするべきかを見失いやすくなるので、頭の中で“どうしよう”と、オープンクエスチョンを自ら投げかける事になりかねません。本来であれば【ぶらぶら見て歩くのを楽しむ】となるのが理想的かも知れませんが、実はこの理想自体が非常に抽象的な目的だったりします。
『今日はせっかくだから、マフラーでも見ておこうかな。買う買わないは別として』
『いいものが無かったら、処分品で千円くらいの部屋着に使えるシャツ』

『それも無ければ焼き菓子を見る』

など、相手の意向は抜きに、いくつかの無言の“自分がそこにいく理由”を設定しておくと、“何か”などの不確定な焦りが軽減できるようです。ポイントとしては【破れてもよい複数の目標】程度に抑えておくことがおすすめです。無言にしておくのは、意見がかち合った時に焦らないよう、『隙があったら突いておこうミッション』としておけば、出来なくてもショックは薄く・出来たら嬉しいから。
B】疲れてきた時などに、“いつまでこうしているんだろう”と、現在の不快感が自分で変えることのできない“普遍的な苦痛”に錯覚してしまうことがあるようです。こういった時にまだ次がある事を告げられたりすると絶望したり、相手の意見を変えようと無意識のうちに否定的な言葉が増えたりしてしまう事も。
『~~時くらいには帰ろう』
『ここを見終わったら、~~しよう』

『もう30分くらい見たら、今度は静かな所に移動する提案をしよう』

など、見通しを立てておくと、“普遍的な苦痛”への不安が軽減されるようです。こちらも【A】と同じく、【破れてもよい複数の目標】の様に軽めが推奨。こちらは相手に公開しておくとお互いに動きやすくなります。
C】上記ふたつの視点が欠けていると、常に相手の出方に合わせることになります。静かな場所で会話だけするのであれば、それでもある程度の余裕は確保できますが、賑やかで様々な情報刺激が溢れているシチュエーションでは消耗が激しくなります。疲れやすくなり余裕を失うことで、さらに上記ふたつの設定を固める要因になりかねません。
『相手に合わせる事以外の目標で、簡単な物を完了させる』
例えば【A】の目標を洗いなおして、今一番出来そうな物を選択し、実行してみる。または『化粧室で服装を整えなおしてみる』と言った、気分転換にその場を離れる方法でも構いません。何か一つ完了させて、次の目標を思い浮かべる起点にします。
また『今いる売り場で最も近い、座れる場所を目で確認しておく』という、何時でも休憩場所を視覚で把握しておく方法も有効だったようです。これは“休憩場所確保”という精神的な安らぎもありますが、実際の所、“見つける”レベルとしては丁度よい難易度で、結果に納得がいきやすいミッションであることが大きいかと思われます。
情報が多いということは、擬似的に『選択肢が多い』『処理する事柄が多い』と判断させられがちですが、多くの場合は【選択的集中(会話で雑音をカットしたり、対象以外の背景をカットする脳の自動処理)】で処理すべき対象にメモリを確保しています。対してASD当事者の場合、この選択的集中が精神状態によって上手く働かない事があるように思います。
上に挙げたA~Cの対策は、そういった膨大な目的の氾濫の中、最も自分の目線の高さにあった目標を探し出す事であり、その目的の重要度がどれだけのものか線を引く事が狙いです。最初に抱える問題数が少なければ、あふれる事も抑えられ可能性がありますので。
上記を踏まえて以下の3つをメモに書いてみるのも事前練習になります。

A・買う物や目的は?

B・“何時まで”か“終わったらどうするか”などの見通し

C・上ふたつのうち相談できる事ピックアップ

物欲パニック

混乱を生む要素として、溢れかえる商品に対して【何か探さなきゃ・何か決めなきゃ】という切迫感が、いつの間にか膨らみ焦りや不安感を起こしているケースがあります。
これも上記のA~Cに抵触していると起こりやすくなるのですが、ここから引き起こされるもう一つのパニックがあります。それは焦りが【何か買いたい・何か欲しい物はないか】という欲求にすげ変わってしまったり、それらを処理するためにメモリを奪われるなどです。場合によっては【欲=罪】などネガティブなイメージが想起されて不快になる場合もあるようです。
興味好奇心が強いものが集まる場所の場合や、A~Cの対策が取れない状態の場合は、思い切って【買い物を完了させる】のも手です。
最初に買うものを予約(決めて置く)

⇒それ以上に良い物がなければ、最後にはそれを買うと決めておく。興味好奇心が強いものが集まる場所の場合や、A~Cの対策が取れない状態。また子ども相手に有効。

おみやげを買っておく

⇒目的意識のないショッピングで、A~Cでは不十分な場合、最初にセール品などの中から、安くてある程度の納得がいく物を『おみやげ』的に買っておく。手にそれがある事と、ひとつの目的を完了させることで余裕を確保する。

などが有効でした。
ちなみに【欲】と聞くと、何処までが罪でどこからかケチなのか、特にボーダーもないまま通念として自己判断を求められることが一般的です。
この【欲】がいいのか悪いのかの判断が曖昧なことも、メモリを奪う要素の一つになることがあります。こういったボーダーについて自分がどう思っているのか、どう捉えているのかを実際に考えてみるのも良いかもしれません。

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  • 夫。30代。
    定型。フリーのデザイナー。
    自宅で仕事をするかたわら、家事・DIY・訪問営業撃退に勤しむ。 本人は定型だが、何かしら発達障害との縁が深い。
    心労と過労で3度倒れ、一時はうつ状態に。 ところがどっこい完治なタフガイ。

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