ASDでACの妻と
アスペルガーのこども2人を持つ
定型夫の研究帳を公開します。

Category:アスペルガーな娘

6歳:人に合わせる事と人間関係への疲労感

2015-03-14 Category:アスペルガーな娘

娘もいよいよ保育所を卒業する。最近は連日卒業式の練習が続いていた。

本人は非常に安定している状態で、姿勢の良さや返事の大きさが褒められることが多く、『ほめられた~』と帰宅する度に教えてくれた。

『娘ちゃんの姿勢はすごくいいね、みんなお手本にしましょう』

そうまで言われ、彼女は非常にやる気を見せていた。

状況的には自分のやるべき事も理解していて、かつ、努力もしている。親としては褒めるべき案件の様ではある……ただ、そこでひとつだけ気になる点があった。

家での仕草や言動、返事に関してもどこか演技がかった様な、意図的な何かを感じられる様になっていた。

内と外とのズレ

よく自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)を理解されていない方からは、こうして娘がそとでハキハキと返事をしたり、周囲と同じ行動ができているのを見て

『全然そうは(自閉傾向があるとは)見えないですけど、なにかの間違いでは……?』

と言われることがあります。確かにそこでは褒められるほどの行動をできているし、本人も努力しているわけですから、違和感に気づくことはないでしょう。

一般的には自閉傾向自体、“物静か・しゃべらない”だと思われている方も多いので、よく間違われるのです。自閉症スペクトラムは【自閉症と連続(スペクトラム)している障害】ですので、ここを取り違えられていると大きく誤解されてしまいます。

【脳の一部機能の障害によって、社会性になんらかのズレや停止が起こる】と考えた方が分かりやすいかと思います。

今回の娘の場合も、家族以外では何が起きているのか、まず気が付ける人はいないでしょう。

実は彼女はこの時、疲弊していく一方の坂道を転がりだしていた状態です。以前であればそこが解らずに、1週間もしないうちにフリーズしていくばかりの彼女に頭を抱えることになったと思われます。

人は好き、でも人間関係が苦しい

わが家では娘と以前までの妻によく起こっていました。一見上手く立ち振る舞えているようだし、本人もそこに加わろうとするので安心していると、その後に激しく疲れていたり余裕を失ったりしてしまう。

言動も大きくズレているわけではないし、無理をしている様子もない。むしろ楽しんでいる様なのにどうして?

ここがなかなか分かり難い点でしたが、今まで彼女たちの特性を見てきて、また妻が乗り越えていく姿を見て色々と分かるようになってきました。

今回の娘の場合もここに起きていたズレについて、本人に幾つか確認しただけで抑えられたのです。

人間関係に苦しくなってしまう原因として、一般的な定型発達者も陥るポイントがあり、彼女たちの場合はASDの特性としてそこに大きくとらわれて問題となっていたようです。

この疲弊の原因は努力に関わる方向性が、対人に向けられ過ぎている事にあります。

人をコントロールする

人は自分の欲求に対して、どう行動するかでその社会性に個性の出現や対人問題などが起こっています。

そのほとんどが
【自分がこうしたら相手はこう動くだろうと思って行動した】
という欲求へのアプローチに、相手が思い通りに動かなかった時に起こるものだと言っても過言ではないでしょう。

今回の娘の場合は、卒業式というイベントに対して、他の子と同じ行動をさらに上回って頑張っているように見えていますが、彼女の狙いは他の子とは違っていました。

【姿勢よく、元気に返事をしていれば褒めてもらえる】

ここにばかりとらわれ、自分の卒業式というものに対し、実感すら持てていない状態でした。彼女の努力は、ただただそこにいる大人に“褒めさせる”というコントロールにとらわれていました。

こうなると思い通りに褒められなかったり、他の子が褒められた場合に彼女は焦り、“自分の方が!”とパワーゲームに陥ってしまったり“これだけやってもダメだった”と自己評価を下げる事につながる可能性が非常に高くなります。

問題は自分が行うべき行動の本懐ではなく、そこにいる周囲と自分の関係性に注意が向けられていることにあります。

これは一般的な子どもでも起こりがちですし、大人でも起こりうることですが、彼女の場合はその表面思考が災いし、“それだけ・それが全て”になり、自己評価に結びつけてしまうのです。

目的と選択

上記のコントロールで考えれば、【人の目ばかりを気にする】という個性は、性格や生まれつきの物ではなく、自身の創りだした【選択】だと言えるのではないでしょうか?

性格や個性は治すのは難しいですが、その選択を改めるのであれば大したことではありません。

彼女との会話は次のように行いました。

私『最近、保育所で卒業式の練習頑張ってるんだって?』

娘『うん』

私『姿勢がいいって褒められたりしているんだよね』

娘『うん、きょうもほめられた!』

私『じゃあ、これから話すことも、君がダメだとか君が間違ってるっていうのではなくて、もっと楽になる方法があるから聞いて欲しいんだけどいいかな?』

娘『うん』

私『今、練習で姿勢やお返事を頑張ってる時、先生に褒められることだけ考えてない?』

娘『あ、うん。えへへへ……』

私『練習ってなんのためにやってるんだっけ?』

娘『うーん、じぶん……のため』

私『(あ、分かってねぇな)うん、そうだね。自分が卒業式のその時に、間違えたり次やることが解らなくて不安にならないようにするためだね』

娘『あ、そっか』

私『(やっぱりか)練習はだいたいどんなものでもそういうものだよね。間違えないように上手くなるように、解らなくて不安にならないようにするためにするんだよね』

娘『うん』

私『そこでさ、褒められることばかりになってたら、卒業式本番で緊張しちゃって“次どうしよう”ってなっちゃいそうじゃない?』

娘『うん、すごく。こまる』

私『そうだね、だから今は褒められることじゃなくて、“自分の卒業式を大丈夫にするんだ”って思って、先生の話をわかろうとしたり覚えようとすることに頑張ったほうが良くない?』

娘『うん!』

私『うん、そうなると緊張しちゃっても大丈夫かもしれないね。あと、ついでになんだけど……』

娘『うん?』

私『最近その“褒められよう”って保育所で頑張るようになってから、お家に帰ってきてもそのままになってない?』

娘『……!』

私『お家は何するところだっけ?』

娘『らくにするところ。やすむところ』

私『うん。だから君は君のまま好きなことをして、心を楽に休んでいればいいんだ。褒められようとする意味はあるかい?』

娘『ない』

私『自分の事は自分の事。人に褒めてもらう(評価される)ように考えない方が楽だよね』

……といった感じです。
【卒業式の練習をする】
このテーマに対し、通常であれば

目的:自分がしっかり行動を取れるようする
選択:憶えることに集中し、自分の行動を意識する
となる所が、娘の場合

目的:先生に褒められること
選択:褒められる行動を見つける

になっていたわけです。これは少しでも思い通りにならなければ、他力本願なため自力で満足は得られません。その憤りを抑えるために正しい目的と選択を意識させるようにした形です。

途端に家でも引きずっていた違和感が解消され、肩の力が抜けたのが確認できました。

この形は他のイベントにも有効ではないかと思われますし、何度も繰り返すことで自分でも本懐を意識出来るようになる可能性があるのではないかと考えています。

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  • 夫。30代。
    定型。フリーのデザイナー。
    自宅で仕事をするかたわら、家事・DIY・訪問営業撃退に勤しむ。 本人は定型だが、何かしら発達障害との縁が深い。
    心労と過労で3度倒れ、一時はうつ状態に。 ところがどっこい完治なタフガイ。

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