ASDでACの妻と
アスペルガーのこども2人を持つ
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手記

【セルフオープンクエスチョン】自問自答で陥るフリーズ状態の対策│ABAの応用

2014-06-15 Category:手記
※本文内で通常のフリーズと比較するにあたり、便宜を図り、造語として“セルフオープンクエスチョン”としています。学術的な用語ではありません
自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の特性として挙げられる、【最近どう?】などの、複数の回答や意図を内包するオープンクエスチョンへの困惑。
オープンクエスチョン以外にも、そう言った複数の意図や曖昧表現・曖昧指示を避け、具体的な指示、ピンポイントな表現が必要なことはよく知られています。
これらは【言葉からその場に合わせた意図を汲むのが苦手】という表現が当てはまりますが、実はこの状態は本人の頭の中で思い浮かべたものや、口から発せられた言葉でも、本人を困惑させていることがあるように思います。
例えば人がせっせと作業をしているのを見て、“自分も何かしなきゃ”という考えが浮かんだ時、その曖昧な表現である“何か”にとらわれて、複数同時にもやもやと懸案を思い浮かべてしまい、フリーズしてしまう。
つまり、自問自答する時に浮かんだ言葉が、そのまま自分へのオープンクエスチョンになってしまっている状態です。
ここではそれを【セルフオープンクエスチョン(造語)】としておきます。
こういう時は本当になぜフリーズしているのか、周りはもちろん、本人でさえ分からなくなることがあります。そしてわが家の場合はこれが意外に多く起こっていました。
また、これらは通常のパニックの対策をしても、なかなか効果を示さないことがあります。
今回はその【セルフオープンクエスチョン】を防ぐための、ABA(応用行動分析)の観点を応用した、わが家独特な対策をまとめてみたいと思います。

状況を見ずに“言葉”にとらわれる

生活にありがちな例をあげると、リビングが明らかに汚れていて、その場でその話をした後、【掃除をしておいてね】とだけ発言したとします。ASD当事者の場合、リビングが汚れていることを認識していますし、さっきまでの会話も理解していますが、どこまで掃除すればいいのか混乱することがあります。
こういった時の指示とは、その場にいない第三者にも通じるような文面。例えば【リビングを掃除しよう】などです。また、“玄関と和室は綺麗だからそのままで、リビングは掃除しておいて”と、同時複数の意味を入れ込むのも、一点集中型のASD当事者にとっては不必要な情報が多すぎて混沌としてしまうことがあります。
これらは曖昧表現・曖昧指示となり、当事者を困惑させていましまう危険性があるのです。
基本的に一話題、一テーマが鉄則であり、的確に指示できていることがポイントです。
この曖昧表現・曖昧指示が、ASD当事者本人の自問自答の中で生まれてしまうことがあります。
例えば妻が何かに困っていて、自分で【分からない時は、人に相談しよう】と思い浮かべた時、彼女はそこから以下のように考える可能性があります。
“これは相談するほどのことなのだろうか?”
“助けてもらうほどのこと?”
“これはちょっと頑張れば自分で分かることだよね?”
“相談なんかしたら、凄く迷惑なんじゃ……?”
“できないって事にされるんじゃ……?”
彼女の場合、【相談】という言葉に対して、“頼りきる・問題放棄”などのネガティブな意味合いが強く含まれているので、現実の問題の大きさが見極められていません。オープンクエスチョンを投げかけられた時のように、自分への投げかけが“考えなきゃいけないこと”を増やしすぎ、混乱を引き起こしています。
つまり自他ともに、一般的に適切な言葉を適切なシーンで使えていても、本人の中で曖昧な表現だったり、意図の取り違えがあると混乱を起こすということになります。

セルフオープンクエスチョンの特徴

通常の困惑やフリーズは、目の前の環境や問題に対して困惑しているので、そこに対して対策をとる・本人への適切な説明をするなどの方法になります。
セルフオープンクエスチョンの場合は自らの問題定義が起点となっているために、【本人が自分に投げかけたその言葉を、実際に本人はどんな意味でとらえているか】を解明してから対策する必要があります。今、思い込んでる言葉の意味の誤解を解く必要があるということです。
またセルフオープンクエスチョンには、ASDのふたつの性質が関与しているように思います。
ひとつは“言葉の意味を汲み取りにくい・言葉の人称表現が苦手(いく・くる、あげる・もらう…など)”という性質。
もうひとつは“いくつかの意味合いのある別の言葉を、一つの表現にまとめようとする”という性質。
前者は言葉の微妙な違いに対し、その違いをハッキリすることに無頓着になりがちな原因にもなりえます。後者はひとつの言い回しで、多くのシーンに対応しようとする合理的な側面がありますが、同時に自ら“複数の意味合いやニュアンス違いを内包した言葉”を作っている状態でもあります。
このふたつが明確にすべき言葉の意味合いを、曖昧な感覚のままなんとなく使い続けてしまっているように思えるのです。
これは単純に状況把握に困惑してフリーズしている時と比べ、言葉選びと使用方法のズレによって生まれた、自作の葛藤といえます。自問自答でフリーズした場合、そこに関わる言葉の使用方法を適切にしなくては、その言葉を浮かべる度にこの状況にはまる危険性が出てきます。

ABA的メモメモ法

わが家の自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の当事者3人には、独特な言い回しや微妙な言葉のニュアンス違いがちょくちょくあります。実はこれらの違いが、後に問題に関わることが出てくることがあります。
ただの言い間違いやズレが、そのまま状況判断に用いられることがあるということです。
これを見極める対策として、わが家では当事者が発する言葉をABA(応用行動分析)の様に、言葉ごとのカテゴリー分けをして書き出す方法を採用しました。
こういった言葉のズレが生じているケースは以下のように分けられます。
1・いく・くる、あげる・もらう…などの人称違い
2・漢字の読み間違いの様な言葉を訂正されても何度も使う
3・場にそぐわない大仰な言葉選びや丁寧語
4・ネガティブな言葉に対して極端な程度を設定する
5・余裕が無い時は言葉を受け取るネガティブさが極端に強い
6・機嫌がいい時は言葉を受け取るポジティブさが極端に強い
1・2】はふつうにケースに合わせて訂正していくのと同時に、なぜ違うのかを説明して、正解の正当性をしっかり伝えるだけで短期間のうちに治ることがあります。無理に治す必要がなければそのままでも。
3】これも無理に治す必要がなければそのままでも良いのですが、ネガティブな言葉に関して大袈裟な表現を使っていた場合、余裕のない時はその言葉の重さに自ら深く落ち込むきっかけになることがあります。気持ちを表現する際の言葉に関しては、その程度を注意していく必要を感じることがありました。
4~6】これら残りはABA的な対策をとっておくと、後々、当事者が何を反芻してパニックを起こしているのかの手がかりになることがあります。
具体的には
【4】の場合は全てにおいて『嫌だ』『苦手』『最低』などの言葉で片付けてしまう事が多いので、その際に実際どれくらい嫌なのか・苦手なのか・よくないと思うことなのかを確認していきます。
それを本人も分かりやすい言葉でレベル分けにしていくことで、言い換えてくれることもあれば、こっちが聞き出す足がかりになることがあります(何がどうしても耐え切れない・我慢はできるくらい・うーんって思うくらい・言ってみたかっただけ・意味はない……など)。できればその時に、『横隔膜がグッと押された感じ』など、感情による体感覚も聞いておけるとさらに掴みやすくなります。
【5・6】はどんな時にその言葉が問題になったのかを中心にして、通常時にはどんな反応か、機嫌が良い時はどんな反応かのデータを蓄積していきます。またそれぞれどんなシチュエーションであったかも加味すると、その当事者自身の特性とパターンが見えてくることが多いです。例えば機嫌のいい時の『普通に』は、“がんばらなくていい・こういうことはしなくていいんだ”となりますが、余裕が無い時には“ふつうってなんだ?・いつもはどうしていたっけ?”などの不安に変わります。
書いていくと分かるのですが、言葉やハマり込みなどのケースごとのパターンはそれほど多くはありません。
気になるパターンというのは、使い方のズレと問題とが絡んだ状態ですから、全ての言葉を精査するような膨大なデータにはならないはずです。
そして、どういう言葉をネガティブに取りやすいか、どういう言葉がすれ違いやすいかなどが見えてきます。
ここに注意を払うことで指示ミスを防いだり、本人に“そういうところがあるよ”と指摘してあげるだけでも、視界が拓けることがあるようです。

具体的なアプローチと対策

引っかかる言い回しや、問題に発展した際のキーとなった言葉を書き出していくだけでも、かなり全容がつかめるかもしれません。一応、わが家でその後、特別にとった対策を一部ご紹介しておきます。
例⇒妻の『相談』の言葉の捉え方

彼女の困惑した時の状況
子どもの行事や仕事の日程に関して抱え込みオーバーワーク状態
受け取っていた意味合い
自分が失敗したことを認め、助けを求める・自力を諦めること
自己評価を下げるような意味合いに感じていた

対策
日程や抱えている事を伝えることは『報告』
そう言った時に知恵やヒントなどの手がかりを借りることが『相談』
自力を諦めるとか失敗の尻拭いは『助けて』
と、相談に内包されていた彼女の意味合いをほぐして、とるべき行動を一つに絞った。

例⇒妻がイベント時に『何か手伝わなくちゃ』と思った時の捉え方

彼女の困惑した時の状況
保育所のイベントの手伝いに遅れて参加し、何をしようか考えすぎてフリーズ
受け取っていた意味合い
自分も他の人達のように『何か』を見つけて動かなきゃいけない
『手伝わない』のは悪

対策

『何か』は無から有を生み出す典型的なオープン
そこにあるものから選ぶ、有を数えてから選択する視点を持つ
『手伝う』はメインではない。人の作業の一部を担うこと。

『何か手伝います』は混沌とした交渉を生む危険性があるので怖いが、
出来そうな物を見つけて、『あ、それ手伝います』は二~三択しか生まない。

などなど。
なぜ彼らがそう思ったのかが分かった時点で、多くのことは対策が取れることがあります。
幼児の場合は、ある程度の発達を待つ必要があるので、時間がかかりやすくなります。幼児の場合は社会性を求められる5歳以降から通用する点があるかもしれません。
※ABA(応用行動分析)とは?

初見の方のために、一応ご説明しますが、私はズブズブの素人ですので、ものすごく簡単にだけとさせていただきます。
認知行動療法のうち、【第三世代認知行動療法】と呼ばれる、行動分析の技法のひとつです。
非常にはしょって概念を言うと、
【とった行動ひとつひとつの、本人にとっての“意味合い”を記録していき、それを条件ごとにまとめて、基準を作成】
【その基準を“褒める・認める”などの評価を与えることで、本人の適切な行動をクローズアップさせ認知したり、補正をかけていくテクニック】
といったものです。
この“補正をかけていく”部分などが非常に難しくなるため、優れた専門家や臨床心理士さんの手によって行われる必要があるとも言われています。

また、厳密にこの方法論に乗っ取らなくても、“とった行動ひとつひとつの、本人にとっての“意味合い”を記録していく”過程だけでも、支える家族として大きな成果につながることがあると思われます。
当事者本人の苦痛や認知を理解することが、最も基礎的な快方へのアプローチになることが多く、家族側も“進んでいる”というポジティブな心理を保てるためです。

【関連記事】⇒その他の具体策

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  • 夫。30代。
    定型。フリーのデザイナー。
    自宅で仕事をするかたわら、家事・DIY・訪問営業撃退に勤しむ。 本人は定型だが、何かしら発達障害との縁が深い。
    心労と過労で3度倒れ、一時はうつ状態に。 ところがどっこい完治なタフガイ。

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