書いてある内容をちらっと
非常に考えるところでした。というのも我が家は夫婦お互いの実家から離れているので、祖父母へ子どもたちと合わせる機会が少ないのです。
わざわざ祖父母にそれを伝える必要があるのかと。かえって余計な心配をかけるのではないかと悩みました。
私の母は医療関係の人間で、なまじ知識があったために、早くから長男の行動を疑う様な質問を、会うたびに私たちに投げかけて来ました。父は適当に相手し特に口は挟まず。
妻の母はおそらく当事者。それも二次障害が強く、気分の波で衝突が起こります。現在一人暮らしで安定していて、適切な距離を保てています。
どうにも微妙な感じですよね。
さらに微妙なことに私の母と妻の母の間には、何かしら冷たい空気が流れる事が多く、結婚当初から板挟みにされやすかった。
娘の環境変化に対するパニックが2歳あたりから激しくなり、4歳の頃には日曜日の外出どころか、ちょっとした散歩まで危ぶまれる状態が続いていたので、長期休みの度に連れていけない言い訳を考えなければならない……。
そしてそれが原因で疑念が生まれ始めていました。
結局、必要に迫られお互いの祖父母への告知へと……。
■義母のケース
『ああ、そうだったの。あらあら』と結構あっさり。診療のことや保育所のことなどを簡単に訪ねた後、こんな事をおっしゃってました。
『でも、なんだろう。それを聞いて私が安心したわ。だって、聞いてる限り私もそうだったなぁって。きっと私もその頃にそういう診断があったらそうだったんでしょうね。』
ここから義母の幼少期の話と、義母の父(妻の祖父)の話を聞き、娘の様子の辻褄が合うことが判明します。
自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の遺伝については諸説あります。実際の所、私もどうだか厳密には分かりません。
しかし発露するかは別にして、本人の行動や言動、趣味趣向のフレーズが遺伝することはよくあります。パニック時やこだわりの中には、そう言ったフレーズが外形になっている事が多いのは、今までの上ふたりの様子から感じていました。
これはヒントになる貴重な情報です。
同時に今まで義母との間に起きた衝突や、その時に投げかけれられたことなどの理由もわかり、少し気が楽になりました。現在もちょくちょく電話連絡やメール、手紙のやりとりがありますが、娘のことを適度な距離感をもって見守ってくださっているのを感じます。
■私の母のケース
『……今まで大変だったのね。今ちょうど仕事も手が空きそうな時期だし、顔出すわ。他の子たちにも会いたいし』
遠いところを母がやってきてくれました。その前に関係がこじれてから2年ぶりの再会。(その時も義母の話が引金になっていた)
和解もでき、本当に嬉しかった。
…しかし。
『あのこたちがそんな訳ないじゃない。あなたたちが幼いあの子たちを連れて、引っ越しなんかしたからきっと精神に影響があったのよ』
母は職業柄、障害を知識では理解していながら、感情的に受け入れようとせず、診断を受けに病院へ連れて行った私たちを否定しました。
『診断なんかつけられて、あのこがかわいそうだ』と。
以前まだ長男が2歳だった頃、延々と私を試すようにちら見しながら悪戯を繰り返す彼を見て、私に『過干渉』疑惑を掛けたのも他でもない母。会う度に『この子、遅れてるんじゃない?』と何かしらつついてきたのも母。
私たちは激しく困惑しました。告知するべきではなかったのかと。
■今だから分かること
私の母が頑なになる理由も理解できます。まず世代的なとらえかたの問題。そして孫への想いと、私たちへの想い。
もう一つ、母の場合は父の存在も影響があります。
父は気むずかしい性格で、生い立ちもやや特殊だったため、どこか『冷たさ』や『利己的』を感じさせる所があります。
実際は発達障害や精神障害ではなく、明らかに後天的な性格の順応だったわけですが、母はそれを疑い続けたため、“障害”や“精神”といった言葉にたいして敏感なところが……。
さらに義母の様子から妻の血筋への疑念も持っていた。そして生まれた孫に発達障害という要素が出てきた。結果、受け入れまいとする心が働く。
それは正しくも間違いでもない、ただ母本人の受け止め方に他なりません。私自身、孫の告知を通し、母を動揺させてしまったことを息子としては、悲しくも申し訳なくも思ってはいます。
しかし─、
自分の受け止めかた一つで、ひとりの人間のあり方や存在を否定したり、聞き流そうとするのは、感情論であって残酷なことでもある。
私はこの時に伝えておいて正解だったと思っています。
うちの場合、
隠して続けてお互いの距離感を保っていくのには、大人たち同志、ちょっと関わりに問題がありすぎました。これを解決するには、どこかで『触れにくい』などと言っていないで、決着をつけなければ進みません。
隠して続けてお互いの距離感を保っていくのには、大人たち同志、ちょっと関わりに問題がありすぎました。これを解決するには、どこかで『触れにくい』などと言っていないで、決着をつけなければ進みません。
そして、この時の母の無理解な発言が、私をさらに『客観視』するスタンスを生み出すきっかけになったということ。冷めたり捨て鉢になったわけではなく、『人間の持てる認知など、ほんの些細な拠り所でしか存在していない』という悟りのような感覚を得られました。
とたんになんだか問題に囲まれていても、自然と楽になれる効果的な場所に目が行くようになった気がしました。
私が当事者の家族と生きてきて得た物の一つに『理解や認識する心は変えられない。受け止め方と着地点は変えられる』があります。
すでに高齢に差し掛かった母の、受け止め方と着地点を変えられるかは、正直自信がありません。
それでも今、多くの積み重ねから、娘が変わり始めて来ている時期。
伝えられること、伝えられなくても誇れるものは、今の私と、私の家族に蓄積されてきたなぁと勝手に思っています。
【関連記事】⇒アスペ妻の記録
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中の人
夫。30代。
定型。フリーのデザイナー。
自宅で仕事をするかたわら、家事・DIY・訪問営業撃退に勤しむ。 本人は定型だが、何かしら発達障害との縁が深い。
心労と過労で3度倒れ、一時はうつ状態に。 ところがどっこい完治なタフガイ。
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