ASDでACの妻と
アスペルガーのこども2人を持つ
定型夫の研究帳を公開します。

Category:軽度アスペルガーな長男

長男

4歳:長男、人との距離を理解した瞬間とその一部始終

2014-03-28 Category:軽度アスペルガーな長男
長男4歳時、連休中のある日、長男の大好きな恐竜のイベントを見に少しの遠出。保育所でチラシを大事そうに抱えて帰ってきてから、待ちに待った約束の日だった。
車の中でも楽しそうな長男。その日は長女も珍しく大人しいまま。
でも、現地について施設の敷地に入った時、施設外の途中にあったイベントの案内看板が見たいとゴネはじめた。(現地近くにいくつもあったのだが、なぜかたまたま目に入ったそれに反応)
すでに施設の通路内、後ろは駐車場待ちの渋滞、通路は一本だし危険な場所で停車することもできず、妻に任せて彼だけ降ろすなんてこともできない。
『駐車場に停めてから来……』
イヤーーーーーーーーーーッ
突如の爆発。もう話を聞けない状態。背後から金切り声で泣かれつつようやく駐車完了。
車内で
●看板を見には戻れないこと
●施設の中に同じものがたくさんあること
●イベント会場にいけば本物があること
を説明。
ようやく落ち着きを取り戻したようなので、いざ施設に行こうと車から降りるが、本人は完全にふてくされている。
『とりあえず外の遊具で遊ばせて、気分転換させてから展示を見せようかな?』
そんな事を考えつつ、車通りの多い駐車場で手を繋ごうと彼に手を差し伸べた時、彼は私の手を思いっきり払った
乾いた音が大きく響いた。
思わず立ち止まるが、長男はそのままこちらを見ようともせず、スタスタと施設へ歩き出す。妻は娘のベビーカーを押しながら、追いかけようともせずに眺めている。
私は娘のベビーカーを交代。長男は妻に追いかけさせ、さっさと施設に向かった。長男は何かしら妻に文句を言っているが一切無視した。
展示場を回り始めると長男は楽しそうにはしゃいでいたが、私は彼と口をきこうとはしなかった。
展示を一周し、すぐに車へ。まっすぐ家に向かった。車内では明らかにバツの悪そうな彼と妻。誰も一言も発しない。
家に着いてからもバツが悪そうにしていて、こちらを見ようともせず、私から距離を取ろうとする長男。
嫌な空気が流れだした頃、私は彼を近くに呼び、極力落ち着いたトーンで口を開いた。
私『今日、君は駐車場でお父さんの手をパチーンて払ったね?』
長男『………………(うなづく)』
私『どうしてかな?』
長男『………看板みたかった』
私『あの恐竜の看板が見たかった?』
長男『………………(うなづく)』
私『でもあの看板は施設の中にも同じのがいっぱいあったし、本物は中にあるって説明したよね?』
長男『………………(うなづく)』
私『じゃあ、施設は行きたくなかったの?』
長男『いきたかった』
私『じゃあ、車から守ろうとしたお父さんの手を払った理由は?』
長男『おとうさんがかんばん、みせてくれなかった(そっぽ向く)』
私『……わかった。君の気持ちはよくわかったよ。じゃあ、お父さんも君に手を叩かれて悲しかったから、お父さんはこのお家を出ていきます
長男『………………!』
私『君の考えを全部じゃないけどお父さんは叶えました。でも、全部じゃなかったからお父さんは君に手を叩かれて払われました。
君は知らないかもしれないけど、人に差し伸べられた手を払うのは、その人を【いらない】って言う意味があります。』
私『君はそんなつもりじゃなかったかもしれないけど、君はそうやって悲しいことをしました。
お父さんは君を【恐竜のおまつりにつれていく】って約束を果たしたけど、そこへの看板が見たかったっていう君のその時の考えを叶えられなかっただけで【いらない】ってされました。』
長男『……! ……!!?』
私『君は看板っていう約束じゃない事を【お父さんが見せてくれなかった】って気持ちだけで【ゆるせない】って思ったんだよね?』
長男『……(うなづく)』
私『だからお父さんも【約束をまもったのに】、きみのとの約束じゃないことをしなかっただけで【いらない】ってされて、【ふざけんな、出ていこう】って思ったんだよ。』
長男『……!(青ざめる)』
私『お父さんにだって気持ちはあるよ? 君と同じように嫌なことされれば嫌になる。楽しいことの前に嫌なことをされれば、つまらなくもなる。それは君とお父さんだけじゃなくて、みんな同じだよ。』
長男『……………………(考えるような独特な集中の顔)』
私『君の【看板を見たかった】は、お父さんの気持ちじゃない。お父さんの気持ちは【君との約束を守って恐竜に会わせてあげて、お父さんも楽しく遊びたい】だったんだよ。
君には君の、他の人には他の人の気持ちがあるんだよ。
ちょっと嫌だっただけで、他の人の気持ちを考えられないなら、人となんか暮らさなきゃいい』
長男『………………ゴニョゴニョ』
私『……ん? なに?』
長男『………………ごめんなさい』
私『………………(自分から生まれて初めて謝った!?)』
長男『お父さん、ごめんなさい!』
私『お、おお、分かってくれたならいいんだ(←泣きかけ&戸惑い)』
■今だから分かること
全部書いたらえらい長くなってしまいました……。
当時はまだ彼が自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)だとは分かっていません。どうすれば彼に私の『悲しさ』が伝わるかを考えた末に成り立った会話でした。そしてこれだけではなくて、ここに来るまで散々衝突を繰り返した上での効果でもあると思います(時には感情的に上回って押さえつけることも必要でした)。
論法は会社勤めの頃に培った『責任感のない部下』への、自覚を持たせるために『上司もかつて同じ考えだったんだよ』な手法と同じ感じです(根本的に人に伝える手法は、大人も子どもも変わらないと思ってます)。自分の気持ちや考えの一方通行になると、とたんに自己中ともとれる言動が出るのは定型発達者も同じことですから……。
結果的には彼が完全に『魔のイヤイヤ』時期を卒業したのは、この日がきっかけになったと思います。それくらいの変化が訪れました。
この後、彼の『思いつき』による瞬間的な癇癪が激減。そして、どこか話を聞く姿勢が変わった気がします。結果的に【父の前であからさまに黙りこむのに母の前では大暴れ】などの、極端な『人選び』が緩和していきます。
また、保育所での生活でも衝動的な行動での問題が激減しました。
彼の依存に関わる大部分の問題は、この『他人と自分』を理解できていないのが大きかったのかもしれません。それでもやはり『相手の気持ちを理解する』などは非常に苦手なため、ケースごと説明を繰り返し、対応策を増やすことで無駄な衝突や勘違いされることを防ぐトレーニングを続けています。
一度『他人と自分』を理解してからは、『他の生き物』『おもちゃや道具』『勉強道具や本』にも気持ちがあることを浸透させることで、非常に話が通じやすくなりました(『もったいないオバケ』シリーズのCM再開しないかなぁ……)。
ただ実際のところ、あの時がきっかけに思えていますが、私の話がどうこうではなく、彼自身がちょうどそこまで成長していたからかもしれませんけど……。なにかしら上ふたりの成長する時って、こういう衝突がきっかけになっていることが多いので。

【関連記事】⇒長男魔のイヤイヤ2歳時代

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  • 夫。30代。
    定型。フリーのデザイナー。
    自宅で仕事をするかたわら、家事・DIY・訪問営業撃退に勤しむ。 本人は定型だが、何かしら発達障害との縁が深い。
    心労と過労で3度倒れ、一時はうつ状態に。 ところがどっこい完治なタフガイ。

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