私の仕事柄、インターネットに関わる技術やガジェット(道具や装置、目新しい小型電子機器)などについて、モヤモヤと考えることが多くあります。
少し前までは小さい画面の腕時計型PCつけてどうすんの? とか思ってました。
そんな中、インターネットの特性と、Googleグラスやスマートウォッチなどのウェアラブル端末(“着る”発想のパソコン)の技術進歩状況が、自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)などの発達障害を持つ、当事者へのサポートの可能性を考えられるところまで来てるなぁとか思うようになりました。
今回はちょっと趣向を変えて、今までわが家のASD当事者3人との関わりの中から感じた【こういうサポートがあればいいのになぁ】を、現在の技術から考えたらどんな事が現実的に出来そうか考えてみました。
最初に申し上げておきますが、思いっきり私の妄想超特急です。よく昭和の少年雑誌で特集された【これが100年後の未来だ!】を見るような、生ぬるい目でどうかお読み下さい。技術うんぬんは抜きにしても、発達障害の家族を持つ誰かの発想のお役に立てたならいいなぁ……くらいでまとめてみます。
意外と知らないインターネットの仕組み
インターネットには、端末と端末をつなぐケーブルなどの物質的なつながりも必要なのですが、実は元々の着想が【文章そのものの中で、リンク同士つながったらいいな】です。テキスト作成ソフトのWordなんかで、勝手に文章チェックが入ったりしますよね? そして、指定した部分の文字に飾りをつけたり装飾も出来ますが、ああいう効果が付けられるのを【リッチテキスト】といいます。文字をただの文字ではなく、意味のあるものだとPCに教えることが出来る技術です。
Wordの文章がWordのソフトなしでは開けないように、特定のリッチテキストには専用のソフトが必要です。インターネットで表示されている画面も同じで、インターネット専用のリッチテキストで書いた文章を、ブラウザを使って開いています。つまりブラウザはインターネット用のリッチテキストを開くためのソフトで、そのリッチテキストに書かれた効果を実行することが出来ます。また、このインターネット用のリッチテキストにはHTMLなどのいくつかの規格があります。
【文章そのものの中で、リンク同士つながったらいいな】は、このHTMLに書かれた文章に、直接的に本人が他の文章へリンクを貼ることで、ケーブル網を超えた文章同士のつながりを形成していくことにあります。それがちょうど、蜘蛛の巣を貼ったようなつながりが形成されるとイメージしたことから【ワールドワイドウェブ(WWW)】という構想になっていきました。今もURLの最初にWWWがあったりすると思います。
現在ある検索サイトの多くは、その【ワールドワイドウェブ(WWW)】をプログラムが泳ぎまわって世界中のウェブページの情報を集めて、その文章をコンピューターに判断させて検索キーワードに関連付けや索引をつけていったものです。
どんどん文章同士がつながって広がり続ける所に、探しやすいように検索サイトがキーワードごとのデータを蓄積しています。例えるなら膨大に増え続けるおおまかなカテゴリーごとの本(Webサイト)を、検索サイトに全て中まで目を通して言葉ごとに索引を作ってもらっているわけです。
もとはこの作業を人力でやっていた時代もありましたが、膨大に増え続ける情報に対応しきれず、コンピューターによる自動化に移り、そして現在ようやくこの作業速度や膨大なデータを管理できる物理的な技術がそろいました。今はちょうど、Web検索技術が一気に進化する時代の中にいます。
……ちょっとややこしいかもしれませんが、ここと次のビッグデータの概念を知っておくと、ASD当事者に役立つかもしれないと思った発想が分かりやすくなると思いますのでご容赦を。
ビッグデータ解析は状況把握に使える?
サイト巡回をしていると、様々な広告が目に入ると思います。そこに表示されている広告は、よく見るとサイトの内容や方向性とマッチしていると思いませんか? 手動で広告が貼り付けられている場合もありますが、多くは自動化されていて内容に合わせて選出されています。
もっと言うと、気がついたらあなたの好みの広告に変わっていっている場合もあるのではないでしょうか? これは今までの検索傾向から、必要とされるであろう情報に精度を合わせて表示を行っているのです。
ここで『プライバシーが…』と構えていると、いつまでも【ネットは調べる道具】で発想が止まってしまうかもしれません。本分は個人の特定などではなく、様々な人物像や発想から生まれる傾向を体系化することにあるからです。
世界中のWeb上に出回っているデータ量はとんでもない量です。これらをビッグデータと呼び、そこを解析するのは不可能とされてきましたが、最近の技術の進歩はこれを可能にしました。
ビッグデータの解析と、体系化された情報の検索と表示を瞬時にできるようになった先にあるのは、PC端末とネットによる【人のサポート】です。もちろんそこに辿り着くまでには多くの問題も抱えることになるでしょう。しかし、一人の人間の進歩や学習には限界があります。画一的に学習させるための道具ではなく、各個人の個性や自由を保ったまま、的確なサポートや提案を受けられる基礎ができつつあるということです。
……ようやくうんちくは完了です。以下、素人おっさんの妄想が始まります。
ターミネーターっぽく音声検索と状況把握
映画『ターミネーター』や『プレデター』などで、目の前の状況を文字や色分けなどで視覚的に補足情報が流れているのを見たことはないでしょうか。何かを見た時に、それの識別をしたり、対応策が数パターン提示されたりするやつです。
これ、いっつも視界に出てきたら混乱しますが、状況が飲み込めなくなったり、葛藤やパニックを起こしている時に“視覚的”に答えのパターンを提示されたら、かなり無駄が省けて本分に集中できると思いませんか?
まだここまでの技術は出てきていませんが、実はそれに近いことはすでにみなさんのスマホで行うことが可能です。【音声検索】や【Shiri】などの音声認識による検索や情報サポートです。まだ一般的にそれほど多くの人が使いこなせているとは思いませんが、技術的には恐ろしいほどの速度で進歩しています。
この音声認識が進んだ時、周囲の音声も含めて解析し、マッチした情報を表示することができたら。さらに回数を繰り返すことでその精度を上げていく学習能力があったら。世の中には音が溢れかえっていますが、任意の方向の音声を拾う指向性マイクなんてのもあったりします。
こういった世界中のデータもしくは、自分にマッチした答えを即座に提示してくれる端末を、それこそ“着る”感覚で持ち歩けたらと考えると、社会生活において非常に多くの人が助かるのではないかと。
こういった物が先般発表されたGoogleグラスや(他にも様々な企業でメガネタイプとかコンタクトレンズタイプの物も研究されてたりする)、スマートウォッチで視覚的に対応できたら、ケースバイケースで混乱に呑まれることも少なくなると考えられます。それはASDだけではなく、定型も同じことです。
こういった物が先般発表されたGoogleグラスや(他にも様々な企業でメガネタイプとかコンタクトレンズタイプの物も研究されてたりする)、スマートウォッチで視覚的に対応できたら、ケースバイケースで混乱に呑まれることも少なくなると考えられます。それはASDだけではなく、定型も同じことです。
すでに検索サイトで文章からの検索マッチにほぼ成功していますから、以下のものは意外と早く行けるかもしれません。
・【○○はそのままにしておいて、△△を☓☓にして☆にしておいて】などの情報が多い指示の解析補助
・字義通りの答えにになりそうな会話にヘルプ表示
・オープンクエスチョン認識とその回答集
・会話からそのままスケジュールアプリでの調整
・ワーキングメモリの補助
・カテゴリーごとの一般的解答表示
……など
・字義通りの答えにになりそうな会話にヘルプ表示
・オープンクエスチョン認識とその回答集
・会話からそのままスケジュールアプリでの調整
・ワーキングメモリの補助
・カテゴリーごとの一般的解答表示
……など
結構これだけでもわが家の自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)当事者の3人に、意識的に行っている私の補助的行動の多くを占めています。
現在のところGoogleグラスもスマートウォッチも、道案内や健康管理などできる事は限られていますが、アプリなどが出揃えばどんどん進化するだろうと思われます。凄く先の話かといえば、【個人が携帯なんて……】という時代から、あっという間に今、家事の合間にスマホでネット上の最新情報をチェックしたりしている時代です。駅で見かけた公衆電話への行列の風景が、すでに忘れ去られているように、多分、常識はすぐに覆されるんじゃないでしょうか。
※Googleグラスの記事はこちらのサイトに詳しく書かれています
⇒「Google Glass」でできること、実現してほしいこと
⇒「Google Glass」でできること、実現してほしいこと
データでの学術的貢献
ASDなどの幅広い特性や障害のある場合の、【人それぞれ過ぎるから、学術的な解明が間に合わない。統計データが足りない】という様なことに対して、任意でその音声認識に利用されたデータや、マッチしたデータベースを提出すれば、そこにはアンケートの様なブレのない純粋なデータが含まれています。
この人口が増えれば増えるほど、細分化された研究が可能になりますし、後世に残すどころか短時間で自分に還元される可能性だって出てきます。
まとめ
などと、今ある技術から【こうなったらいいな】をまとめてみました。
なんだか昔のSFとかでは【コンピューターと人間=支配・画一的社会!】みたいなノリがありましたが、現実には凄く優しい世界になる可能性もあるんだなぁとか勝手に思っています。ちなみに「今できそうなこと」で上げた例などは、スマホなどを工夫すれば、できる事もあるかもしれません。
なんだか昔のSFとかでは【コンピューターと人間=支配・画一的社会!】みたいなノリがありましたが、現実には凄く優しい世界になる可能性もあるんだなぁとか勝手に思っています。ちなみに「今できそうなこと」で上げた例などは、スマホなどを工夫すれば、できる事もあるかもしれません。
……誰か実現してくれませんかねぇ(チラチラ)
【関連記事】
⇒超私的論:アスペタイプとADHDタイプ人間2極論
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中の人
夫。30代。
定型。フリーのデザイナー。
自宅で仕事をするかたわら、家事・DIY・訪問営業撃退に勤しむ。 本人は定型だが、何かしら発達障害との縁が深い。
心労と過労で3度倒れ、一時はうつ状態に。 ところがどっこい完治なタフガイ。
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