書いてある内容をちらっと
次男(定型:いわゆる普通)が成長してきて、長男や娘の自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)としての特性が、対比することで分かりやすくなることが多くなってきています。
今までは上ふたりの事で必死で、幼いころの自分がどうであったか、対比するのは難しい部分もあったのですが、次男のお陰でアプローチすべき点が見えてきたのです。
その中でもハッとしたのは、次男には【何もしていない時間がある】という事でした。
やることが特にない時は、好きなおもちゃを手元に置いて、ボケーッと見ているような見ていないような夢想の時間がある。……そう言えば自分も子供の頃、こういう時間があって、色々とその日にあったことを思い出していたり、ちょっとした想像で遊んでたっけなぁと。
では、上ふたりの場合はどうかというと、テレビが流れていても、ちょっと興が冷めると玩具やマンガなど意識を向けていられる何かを手に取りに行きます。そうして、常に何かの作業や意識の集中を自分以外の何かに向けている。次男の過ごし方を見ていて、そこに気がついてから、上二人のフリーズやパニックに関わるいくつかの謎が解けたような気がしました。
まだ、実践途中ですし、確かめながらなので正しいかどうかは分かりません。ただ、わが家のASD当事者たちには広く応用が利きそうな視点なので、まとめてみたいと思います。
※この記事はあくまでわが家の子供ふたりの特性についての記事です。全ての自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の当事者に言えることではありません。まして、似ているからといって、ASDであるという事の根拠にはなりません。
不安感の分別不足
その時の心理状況などにもよりますが、コンディションとして安定していない時期であったり、不慣れな環境になどで動揺することがあった後など、急に『手持ち無沙汰』に不安を感じるようです。
この不安は面識のない距離の遠い人物より、親しくてより自分を知っている人間などがいる場合に多い気がします。
次男は現在4歳。ちょっと前までは、実はこれに似た反応が彼にも見られた時期があります。疲れていたり体調不良時には、急によそよそしくなり、常に周りの大人の出方を見るような緊張状態を作る事がありました。
しかし、彼はある一時期を境にこの反応を見せなくなります。
彼が感じる【体調不良の不安感】と【注意されたり嫌われる時の不安】など、様々に感じる不安の種類を分けて感じられるようになった辺りからです。つまり、以前は別離不安などとは関係のない別の不安感を感じた時、その不安感が何であるかを分けられずに、全てに対して不安な気持ちを持ってしまっていたのではないかと。
─── 不安感の分別不足。
そう言えば最近は大分治まっていましたが、長男と娘も体調不良になる数日前から不安症な状態に陥ったり、別離不安が大きくなったり、しなくていい気遣いをし過ぎて潰れてしまうなどがありました。
手持ち無沙汰の裏の不安
【良い・悪い】の両極にすべての物事が、それはもうハッキリと分割されていた彼らの幼児期は、“気にするほどの事でもない失敗”も激しい自責や絶望感につながっていました。
その責にばかり心奪われ、実際にはその失敗がどれくらいの事で、なにを問題視すればいいかには目が向けられていませんでした。もちろん、それは幼い子供であれば誰にでもあることですが、そこに思考の猶予や余白がなければ、理由も分からないまま失敗に怯える事になります。
そうしてふたりは自己評価を落としながら、全ての評価は相手がするものであると、繰り返しの中から学習していきました。
何が良くて何がどう悪いのかを持たなければ、採点は相手次第。そうなると必然的に出てくる行動・選択は【失敗を見せないようにする・良い事だけを紡ぐようにする】といった表面的対外的な対処です。
何もしていない時は、自分のたたずまいが合っているかどうかが分かりません。だから余計に人から評価されることが怖くなります。
それを埋めるには【やっても良いと確定している事】や【無難だと思われる事】だけを繰り返して、むき出しの自分を評価されないようにする方法が最も手軽です。しかし、そうして繰り返している間は、ただ気がそれているだけで、そこに感じている不安からは逃れられていないどころか、忘れることもできない状態になっています。
不安の分別の対応
何らかの問題が未消化な時、そこに思考は向けていないはずなのに、どんどん思考のメモリを奪われてフリーズに陥っていた妻。実は彼女のこの特性も、不安の分別不足があったのかもしれません。
他への不安が分けきれずに様々な事への不安になってしまう。
彼女のこの特性に有効だったのが、全て紙に書き出して視覚的に把握し、それに対する対処をそこで決めていくというものでした。要は問題の全体把握と未解決(不安)の分化です。
同様に長男や娘が、原因不明の不安感から、急に人によそよそしくなったりしていた時にかけてきた言葉は
お家はラクにする所。家族はただいるだけでいい。何もしなくていい・考えなくていい
人は人、自分は自分。人が自分をどう思うか自由だし、自分が人をどう思うかも自由。
といったものです。分別しきれていない不安を浮上させない点において、一定の効果が見込めました。しかし、一度強い不安が生じれば、抑えきれずに一杯一杯になってしまうのも事実です。
では、どうすればいいのか。
答えは妻がこうした事を超えてこられたことにあるのではないかと考えています。彼女は不安を感じた時に、それがどうして不安で、どういう風に解釈すればいいかを積み上げてきました。
10歳になる長男にこの【不安の分別不足】を話した結果、非常に早い復帰が見られました。まだ幼い娘は、もう少し補助が必要ですが、不安のコントロールには役立って来ているようです。実際の評価はどうあれ、どんな時にどんな不安の分別不足が起こるかが分かっていれば、思いとどまるための取っ掛かりになるかもしれません。
“ああ、これは~~が不安なだけだ。今は関係ない”と。
まだ途中段階ですが、久々に大きな手応えを感じられたので、ここに書き残しておきます。
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中の人
夫。30代。
定型。フリーのデザイナー。
自宅で仕事をするかたわら、家事・DIY・訪問営業撃退に勤しむ。 本人は定型だが、何かしら発達障害との縁が深い。
心労と過労で3度倒れ、一時はうつ状態に。 ところがどっこい完治なタフガイ。