ASDでACの妻と
アスペルガーのこども2人を持つ
定型夫の研究帳を公開します。

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手記

発達障害育児の【いつまで?】【疲れた】のストレス対策

2014-04-24 Category:手記
まあ、ストレスで三度ぶっ潰された私が書くのもなんなんですけどね。
今回は自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の子どもふたりと、
軽度アスペルガー症候群でACな妻と暮らす私が
スッと楽になった瞬間

をまとめてみたいと思います。

0~1歳時期の子育て

なんでこんなに大変なんだろう……。とよく頭を抱えました。
『親の通る道だよ』と一般論をいただいても、子どもが夜寝てくれることはありませんし、抱きしめても顔をそむけられてしまいます。
あまりにつらくなった時に【スッ】と来たのは、
こんなに手のかかる子なんだから、普通の育て方じゃ逆に遠回りになるかもね
と閃いた瞬間でした。
無理やり愛さなくてもいいと言う発想が湧いた後に、この考えが来てわが家流の発展につながりました。何度か書いていますが、愛さなくてもいい発想のきっかけは、夜中に泣き続けるわが子に疲れ、
なにが悲しくて泣いてんだか、このウンコマンは……
とつぶやけた瞬間の脱力によるものです。
結局『耐える』ことには変わりませんが、こういった心構えがとれるかどうかで、体感の難易度はやや軽くなった気がします。

2~3歳時期の子育て

『愛さなくてもいい』のまま、『逆に、いつになったら愛せるんだろう』という、自分が親として不適格なのではないかという自責や恐怖が生まれだしました。笑って話せることもなく、むしろわざわざ近づいてきては、叱らせる種をまいてくるだけの日々……。
あまりにつらくなった時に【スッ】と来たのは、
もう少し話が通じるようになるまでは、こっちもサービスはしなくていい
ただ育てること以外にも、コミュニケーションをはかるイベントやお出かけはたくさんありますが、この時にこれらを諦めました。
かわりに散歩や庭での遊びなど、近場で子どもの安定したタイミングを狙える、ご近所遊びに力を入れました。無理に親が望んでも徒労に終わったり、彼ら自身のいい思い出にならないことを知ったからです。そして、話が通じるまではやきもきしないということも。
同時に『ある程度話が通じるくらいに発達しないと、参加できないものをピックアップ』する作業にもつながりました。これは本人の得手不得手が掴みやすく、後の対策のよいデータとなりました。

4~5歳時期の子育て

踊り場の点在する、階段状の成長。この中でもいくつかの大きく長い踊り場を越えられる『急に楽になる』瞬間が起こる時期でした(定型の次男はふつうになだらかな曲線を描くように成長していきました)。
いわゆる『子供らしさ』が多く見られるようになる安心の時期。
ここぞとばかりに今まで『待ち』になっていた事を進めました。しかし、やはり出来るできないの白黒は点在していて、できることは普通の子よりも楽に出来るが、ダメなものは踏み絵でもあるかの如くできない。そんな我が子に焦りを感じた時期でもあります。
あまりにつらくなった時に【スッ】と来たのは、
実は本人は情報を集めてて、一定の量が蓄積されないと、スイッチが入らないんだ
と考えるようになったこと。
つまり本人が優柔不断なのでもひねくれているわけでも、性格がゆがんでいるわけでも親の教育が悪いわけでもなく、『まだそれほど答えが溜まっていないんだ』と思えることで、焦りはだいぶ消えていきました(悟りでもないのでそりゃあまだ焦りはありますが、だいぶ楽です)。

6~7歳時期の子育て

学習関連の不安が出てきた頃です。あちこちに気がいってしまう転動や衝動性、過集中がアダとなり学習に向かい辛い状態からのスタートでした。今までが急に楽になっていた分、ここでもう一度『問題』を見せられることになり、やや心が薄ら寒くなることがありました。
あまりにつらくなった時に【スッ】と来たのは、
子どもは意外と合理主義者で、その存在意義が実感できないとやろうとしないんだ
と考えるようになったこと。
それまでは、ただやらせようとしても『抜ける・逃げる・屁理屈』で、親の想いをちぎっては投げちぎっては投げしてました。『どうして今これをやるのか』をなるべく分かりやすく説明することを意識的に集中してみたところ、長男のLD疑惑も晴れていき、同時に娘が『なにを分からないと言っているのか』が少しつかめた感じがありました。

アスペな妻との暮らしかた

子どもたちの性質を知れば知るほど、妻が今まで背負ってきた『重り』の大きさが理解出来ました。相当に不安だらけの世界であっただろうに、よく笑顔を絶やさずにいられたものだと。
そして同時に今現在の妻の『戸惑い』や『不安』が分かるようになり、先回りした的確なサポートが出来るようになってきました。
ただ、夫婦とはお互いに支えあうものであり、この関係は一歩間違えばただの依存になりかねません。
事実、子どもの状態が酷くなればなるほど、妻はそこから逃げてしまったり沈黙してしまうので、状況的には同時に3人の自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)のサポートを迫られていました。
これは素人の私には重すぎた。
ましてや父親、母親には慣れないのでバランスは崩れる一方。心理的にも『父性』と『母性』はその管轄が違うのです。そして夫婦とは男女であり『師弟』では決してないわけですから。
あまりにつらくなった時に【スッ】と来たのは、

今まで子どもたちに閃いてきた【スッ】と状況は同じ。しかも相手は大人、話は速いぜ!
ということと

普通の夫婦じゃないんだから、普通にしてては損。利点を見つけよう
と考えるようになったこと。

とはいっても大人ですから、子どもに比べて『自尊心』がより根深く、また『不安』の形成の仕方も筋金入りです。わが家の場合は子どもに持っていたのとおなじプロセスで、この『自尊心』や『不安』に触れないよう、【利点を見つけてお互いが楽になるんだよ】のスタンスで妻との対話を続けました。
あまりにこんがらがっている時はじっくり一晩、少し軽くなることが必要な時は人の少ない時間に散歩をしながら話すよう、メリハリをつけながら……。

まとめ

自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)と定型の家族が暮らす場合、お互いに不安になることの種は当事者の『何が苦手で、何が解らなくて不安なのかが分からない』ことです。これは当事者自身も理解できていない事が多く、いわれのない不安や拒絶につながります。
定型側も『なんでなんだ……』と頭を抱えだすと、どこから手をつけて良いのか、相手がとんでもなく謎だらけのいきもののように錯覚してしまいます。
しっかり落ち着いてお互い対話してみると、意外とその正体は『え、そんなことだったの』とお互いに笑えることもあったりします。また、越えられなくてもお互いの『利点』が頭にあれば、協力体制を作るきっかけを見過ごす危険性も低くなります。
本当の『敵』は己の認識だということかもしれません。
……と、一時落ち武者になりかけた私がいってみたりしました。

【関連記事】

自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の家族を人に説明する時の用例集

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  • 夫。30代。
    定型。フリーのデザイナー。
    自宅で仕事をするかたわら、家事・DIY・訪問営業撃退に勤しむ。 本人は定型だが、何かしら発達障害との縁が深い。
    心労と過労で3度倒れ、一時はうつ状態に。 ところがどっこい完治なタフガイ。

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